トイレノヨウコサン vol,4

その夜風呂に浸かっているとヨーコが現れた。いつものふざけたハリウッドかぶれの部屋着ではなく、マックスマーラかなんか、とにかくキャリアっぽいストライプのパンツスーツ姿だった。「あんたはあたしに出て行って欲しいわよねぇ。」呪ってやる！が怖くて、俺は何にも言わなかった。「除霊なんかしたって、あたし出て行かないわよ。しつこいから、あたし。」ヨーコはにゃっと笑った。あんたが寺に行った事はお見通し、そんな脅しに満ちている。俺はぞっとして、全身に鳥肌がたった。「でもね、もしあんたがあたしの頼みを聞いてくれたら、成仏してやってもいいわよ。」「ほんと、ですか、」「ほんとよ。まっとうな契約。なんなら証書書いてもいいわよ。」「それで、なにをすれば、、、。殺人とかは勘弁してください。」くっくっく。ヨーコは腹を震わせて笑い、やがてガハハ...トイレノヨウコサンvol,4

トイレノヨウコサン vol,3

あれから40，40，40，40ね～ん！J-WAVEDJピストン西沢による綾小路きみまろトランスが流れている。あれから30，30，30，30に～ち！自棄になって俺も叫んでみる。実際には一週間だが。この1週間でわかったこと。ヨーコは他人には見えないらしい。不動産屋、警察などに訴えてみたが、俺の精神状態および薬物検査をされるなどして、効力無い上に損であることが発覚。ヨーコはバスルームからは出られないらしい。その代わりというか、昼も夜も彼女には関係ない。毎朝、おそるおそるトイレに行く。ヨーコは居ない。ところが用を足して出ようとすると、彼女が戸口に立っている。「のんべえのおしっこは黄ばみが激しいから、すぐに洗え！」彼女に命令されて、朝からトイレ掃除である。酔っぱらってなるべく遅く帰宅する毎日。それでも風呂には入らずにいら...トイレノヨウコサンvol,3

トイレノヨウコサン vol2

妙な女が立っていた。バスタブと便器の中間にある、洗面台に寄りかかって。キャミソールというのだろう光沢のあるペラペラしたタンクトップ状のものに裾が開いた共布のパンツ。百合だかなんだか派手な花のプリントがついたガウン。ぽわぽわした毛のピンクのスリッパ。まるで出来損ないハリウッドだ。明らかに染めている栗色の髪はチョココロネのような縦巻き。くっきり”へ”の字に整えられた眉。3ミリはあるだろうと思われるアイラインにマスカラを塗り重ねられた上下の睫。グロスを塗られた唇はサラダオイルを舐めたかのようにテッラテラ。イケテるんだかどうか判別がつかないが、少なくとも俺の趣味じゃなく、少なくとも30後半はいってると思われる。「お湯さ、溢れさすと床が濡れて嫌なのよ、あたし。」いかにも迷惑だというように女が言った。「それにさ、あの酔っぱ...トイレノヨウコサンvol2

トイレノヨウコサン vol,1

その物件はネット検索をしまくって、30近い不動産仲介屋を巡って、やっと見つけたものだ。同棲5年。半ば家族化していると信じて疑わなかった彼女から突然の別れを切り出され、気持ちの動揺もさることながら、経済問題、即ち住む所とそれを借りる金という問題が大きく俺にのし掛かった。自慢じゃないが貯金は無い。彼女に15万ほど借金があるが、それはこの際帳消しだろう。資金と言えば彼女が恵んでくれると言う敷金の返金、約11万のみ。妥当に考えればこの資金で借りられるのは3万程度の家賃の物件。それは解っている。しかし俺には譲れない条件が2つあって、1つ目は風呂があること。シャワーじゃだめ。毎日風呂に入らないと我慢出来ない。2つ目。渋谷から歩いて帰れる場所。1年ほぼ365日飲み歩いているのでタクシーなんか使ったら破産だ。そんな物件あるわき...トイレノヨウコサンvol,1

nice to meet you!

新潮携帯文庫、とか有料サイトありますね。本好きにとって液晶で読むサイトに慣れるのには時間、かかります。私もいくつか登録してますが、え～い読みにくい、本買った方がまし！という結論に到達しました。で、携帯ではなく、もちっと大きな画面なら、OK?という考えが浮かび、ブログ始める事に致しました。勿論シロウトなので金なんか取りませんし、へたくそ、バカヤロー！と思う方はそうノノシってくださいまし。ターゲットとしては、ナイトキャップ代わりになんか読みたいけど生憎手持ちの本がない。ただなら、ま。いーか、読んでやっても。といった感じの文字中毒気味の諸兄です。ボンボヤージ。nicetomeetyou!