大 さん プロフィール

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大さん: 森の生活
ハンドル名大 さん
ブログタイトル森の生活
ブログURLhttp://d.hatena.ne.jp/morinoseikatu/
サイト紹介文最近はすっかり連載ブログになってしまいました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供15回 / 365日(平均0.3回/週) - 参加 2007/06/17 12:08

大 さんのブログ記事

  • Cassiniのミッション終了まで24時間を切りました。
  • Cassiniのミッション終了まで24時間を切りました。Cassini日本時間15日午後7時31分に土星大気に突入、約1分後に姿勢が維持できなくなって通信が途絶(LOS)します。地球にその最後の通信が届くのは83分後、午後8時55分頃です。 https://t.co/H70ZnaAY26― isana (@lizard_isana) 2017年9月14日 [続きを読む]
  • キャスティング(10)
  • うっかりすると、何が事実で、どこからが物語なのか、区別がつかなくなるような話だった。 英樹は要領よくぼくに補足説明してくれた。 エイダ・ラブレスは、実在した女性で、バイロン男爵こと19世紀の詩人ジョージ・ゴードン・バイロンの実の娘だった。 そして、エイダはアマチュアの数学者でもあった。貴族階級の生まれから高度な教育を受ける事が出来た彼女の数学教師が、世界で初めてプログラムが可能な計算機を考案したチ [続きを読む]
  • キャスティング(9)
  • かなり打ちひしがれて、漸く機織工場に戻った時には、廊下に沿って干された洗ったばかりの「鯉のぼり」が僕を出迎えてくれた。 女子どもにこんな風にされるのは君だけじゃないのさ。という感じで僕同様にぐったりとしていた。 鯉というより役目を終えて水面に漂っているオスの鮭のようだった。 英樹は一人で僕たち二人分の映画のスクリプトをすっかりまとめ上げていたようだ。 彼の前の、例のそろばん教室の長テーブルには、き [続きを読む]
  • キャスティング(8)
  • 緒方里美を連れてきた佐藤一馬の車は、彼女を下ろすと、すぐに走り去っていったようだ。 車をどこかに停めてくるためなのか、ただ彼女を送り届けただけで帰ったのか、それとも佐藤一馬の実家はこの近くで一旦引き上げただけなのか。詳しいことは分からない。 僕もそこで、一刻も早く工場へ戻りたかったが、別の事も考えていた。 それは、まだ5月に入ったばかりだと言うのに佐藤一馬が車の運転免許を早々と取得しており、軽自動 [続きを読む]
  • キャスティング(7)
  • 僕が借りた風呂場は、矢島家の玄関脇にある農機具を収納している倉屋の裏庭側に、トタン板に囲われて備え付けられていた。 農作業の後でそこで汗を流す為に家族で古い風呂桶を運んで据え付けたらしい。 それで「離れのお風呂」と矢島幸恵はそんな風にそこを呼んだ。 屋根は波打った形のビニール板で簡単にしつらえていて、つなぎ目部分は破れ、そこからまだ陽が高い青空が見えた。 西部劇に出てくるような半屋外の風呂場だ。気分 [続きを読む]
  • キャスティング(6)
  • なぜ、僕は目白依子にこれほどまでの恨みを買わなければならないのか。 意識的に目白依子が僕に対して攻撃的であることは、もはや明らかのように思われた。 最初にあった時に頬にくらった強烈な平手打ちからして、今思い返してみれば確実に狙い澄ました一発だったような気がしてくる。 しかし、なぜだ。 相手が地元の同じ高校に通う矢島幸恵だとしたら、ふと生まれた誤解が巡り巡って曲解を生み、偏見を育て、結果として身に覚え [続きを読む]
  • キャスティング(5)
  • 我にかえった時には、僕はタライに一杯の中性洗剤溶液にしゃがみ込んでいた。 背後のタライの中に尻もちをついたらしい。 おまけに頭からかけられた水のせいで全身ぐっしょりだった。 タライの中で、ホースからの水が止まったのが僕の尻の辺りの感触で分かった。 矢島幸恵があらわれて言った。 「まあ、どうした! どうした? いったい, ああー、ああ、あはは、あっ、あひゃひゃひゃひゃ」 僕を見下ろす目白依子は、いつの間に [続きを読む]
  • キャスティング(4)
  • 「映画の制作から最も縁遠いものが学校行事を仕切る生徒会だ。」と僕は英樹に小声で告げた。 「それと鯉のぼりの洗濯も、だ。」 いずれ奴らにかかれば全てが予定調和的に進行していき、ほとんどコントロールが出来ないまま僕らの映画はただの学内イベントの具と化すに違いない。 「ま、しかし、いずれにしても 、2人きりであの映画を作るわけにもいかない。」意外なことに英樹は諭すようにそう言った。 「それに、本気で子供を [続きを読む]
  • キャスティング(3)
  • 矢島幸恵は深緑色のロングスカートのポケットから一枚の紙を取り出した。 それは4つに折られた原稿用紙で、彼女は丁寧にそれを広げた。そして声を出して読み上げた。 1.県立甲府南高校は今年4月で創立100周年を迎えた。 2.ついては今年度の文化祭(11月実施)では、いろいろな100周年記念イベントが予定されている。 3.有志達による「8ミリ映画製作」もその1つである。 4.映画の内容は「楽しいミュージカル [続きを読む]
  • キャスティング(2)
  • 矢島幸恵は機織工場の前で待っていた。 目白依子と並んで立っていた。 目白依子は、大きなマスクをしていた。 僕たち2人が少し足を早めて近寄ると、矢島幸恵は僕たちに向かって一つうなづくと、「ちょっと、困ったことになった。」と言った。 背中を向けて機織工場の入り口のドアを開いた。 まず、大きなマスクをした目白依子がその中へ入っていった。 何か不審な動きだった。 「今朝からウチに何件か電話があった。昨日のお祭 [続きを読む]
  • キャスティング(1)
  • 窓から差し込む朝日が顔を照り付けて目が覚めた。 いつの間にか眠ってしまったようだ。 机の上は散乱したノートやレポート用紙の切れ端で埋まっていた。 自分の頭が載っていたと思しき部分がくしゃくしゃになっていた。 妙な夢を見ていた。 時計を見ると、もう9時を過ぎており、あわてて起き上がった瞬間に夢のことは忘れてしまった。 とにかくノートをかき集め、鞄に詰め込み、部屋を出た。 5月連休の最終日はよく晴れて、空は [続きを読む]
  • シナリオ作成(17)
  • 僕は丘の頂のなだらかな平野を崩壊した建物跡を横目にその奥へと進んだ。 丘の向かい側は、甲府市街からは背を向けて、深い森へ、上日川峠へ向いた方向だった。 その彼方には大菩薩峠があり、それもさらに越えると奥秩父へと続く森林地帯だ。 「葡萄畑」があるとしたら丘の頂から見下ろせる程度の位置にあるはずだった。 そう考えながら、丘の頂きからなだらかに下りかかった時だった。 突然、ゴゴゴ・・・ と、獣が一斉に唸るよ [続きを読む]
  • シナリオ作成(16)
  • 建物の門前をライターの明りで照らしてみると「日川診療所」という看板が掛っていた。その周りも黒く焦げて文字を判読するのもやっとだった。 「ヒカワ診療所、ヒカワ・・・」 ライターで照らされた文字を、そう言葉にして呟いてみると、ふと何か記憶の底から蘇ってくるのもがあった。 この病院の名前は僕も聞いたことがある。 そうだ。 確か戦争中には、戦地で傷を負った兵士達を治療する軍専用の病院だった所だ。 研究施設も兼 [続きを読む]
  • シナリオ作成(15)
  • 変な女。 一言でいえば、それが目白依子に対する僕の印象だった。 僕はやがてお祭りの賑わいから離れて、人気の途絶えた街灯もない田舎の夜道を、駅へと戻りながら目白依子との会話を頭の中で反芻していた。 結局「作家」と言うのは「あんなふう」なものなのだろう。 時に怒っているような、そうかと思うと子供のようにはしゃいだような。 あの妙なムラがある態度はひょっとしたら彼女の言う神経症の後遺症なのかもしれなかった [続きを読む]
  • シナリオ作成(14)
  • 「書きません」と目白依子は答えた。「その必要はもうありませんから」と。 その眼はなんだか怒っているように僕の手元を睨みつけていた。 その視線に気づいてそれで漸く僕は自分が無意識のうちに煙草を取り出して火をつけているこに気づいた。 マズイ。 僕は吸いかけの煙草をあわてて地面に落とし靴の先で踏み消した。 目白依子は、尚もその地面にすり潰された煙草の残骸を目で追っていた。 僕は靴先で丹念に煙草のフィルターを [続きを読む]
  • シナリオ作成(13)
  • 突然、また強い夜風が吹きつけて「巨大迷路」の壁面沿いに並んだ提灯を一度に揺らした。 初夏とはいえ暦の上ではまだ5月だった。 峠からの吹き下ろしの風。それがこの土地の熱をすっかり奪い取っていく。 冷気が通り過ぎると、目白依子は、隣で足を組んで、ポケットから煙草を取り出した高間真一の横顔をこっそりと観察した。 高間真一はくわえた煙草に火をつけた。 ずいぶん慣れた仕草のようだった。 まだ高校生のくせに。 そ [続きを読む]
  • シナリオ作成(12)
  • 「ひとりなんですか。」 「そちらも?」 「英樹は、 栗本はもう帰りました。 その隣は空いてるのかな?」 「ああ、大丈夫。 どうぞ。 子供たちと、幸ちゃん、 矢島さんとその迷路の中です。まだ。」 「迷路の中か。 」 「そうだ。 小説を読ませていただきました。」 「 小説?」 「 ほら、ぼくたちが映画にしようと」 「ああ、「ワガハイ」のこと」 「 ワガハイ?」 「あれは小説なんてものではありません。」 「原稿 [続きを読む]
  • シナリオ作成(11)
  • 栗本英樹と別れた後、勝沼駅へと続く坂道を登りながら祭囃子が聞こえたような気がして僕は振り返った。 今や夜の帳が山々を覆い、黒く塗りつぶされた町の中に、そこだけぽっかりと浮かぶ灯りが見えた。 灯りの中に鳥居の幾何学的な影が見えた。 祭りの中心になっている神社があるのだろう。 それは地上から到着を待つ空の船の基地のように見えた。 僕は「森の者たち」の気配を感じていた。 ”お前は覚えているか。我らの故郷を [続きを読む]
  • シナリオ作成(10)
  • 「栗本君はお祭りに行かないの?」 そう尋ねられることを予想して、彼は一体何通りの答え方を用意していたんだろうと僕は考えた。 「栗本興業」は毎年のように地元はもとより、甲府市内のお祭りに出し物を出していた。「栗本興業」の出し物はお祭りの盛んな地域を巡回していたので僕も昔から知っていた。 「栗本興業」は当時の「栗本グループ企業」(当時はそんな括りはなかったが)の中でも一番歴史が古くそして一番怪しげな噂 [続きを読む]
  • シナリオ作成(8)
  • プログラム言語? 僕はもう一度原稿を覗き込んだ。目白依子が書いた「魔王の呪文」を。 そうだとしても専門知識のない僕には中途半端な英文と数式を組み合わせた文字の羅列にしか見えなかった。 まぁ、もっとも「物語の仕掛け」として、魔王の呪文が「プログラム言語」で書かれているというのはそれほど悪い思いつきではないようにも思えた。 わざわざ本物を使っているのであれば随分凝った作りだ。 英樹のような読者を想定して [続きを読む]
  • シナリオ作成(7)
  • 「物語」は巨大な火山が噴火し溶岩を吹きだす火口付近に、星空から7つの光が落ちて着地する描写が続いていた。 ”前方の視界全面を覆い尽くしている黒い山からは、血の筋のようなマグマが流れ出していた。 「まるであれは魔の山のように見える。地獄の火の山とはこんな風景に違いないぞ。」 火口から立ち上る噴煙は小康状態とはいえ夜の闇よりもなお黒い。 今や「階差機関」に捉えられた「森の者の目」は、噴火前の美しい山の姿 [続きを読む]
  • シナリオ作成(6)
  • 僕たちが目白依子の原稿を読みふけっていると硝子戸の廊下側に小さな影がちょろちょろと動きまりはじめた。そっと戸をあけると、その影の正体は、やはり先ほど追い出された子鼠の頭領のようだ。 ”山椒魚の兄”から「リュウゾウ」と呼ばれていた男の子だった。 ずいぶん年は離れていたが、先ほどの遠慮のなさから察して彼が矢島幸恵の弟なのだろう。その他にも2人ほどいた。 「テレビゲームに飽きたのかい?」と小声で聞いてみ [続きを読む]
  • シナリオ作成(5)
  • ”水晶の塔がその姿を現した。それは星にまで届かせようとして、伸ばした触角のように今まさに天を突き上げた。” 塔の根の門が開けば、そこには影絵のようにゆらゆら揺れながら何かが奥からやって来たが、やがて固まったひとつの形となった。 それは大きなマントを被ってた。 そのマントの色と言えば、黒の中の黒、彼こそが森の支配者、”葡萄の魔王”に他ならなかった。 「だが見よ。」 魔王の腕の中には今はぐったりとした「 [続きを読む]
  • 映画の製作(2) シナリオ作成(4)
  • その廊下の右側のガラス戸が1つ横に開くと、中から大きなビニール袋を抱えた目白依子が出てきた。透明なビニール袋の中には色とりどりのスナック菓子の袋が押し込まれていた。 目白依子は、僕達を先導していた矢島幸恵に目で合図すると、僕達の脇を抜け、パタパタと玄関から出て行った。どうやらその部屋のゴミを片付けているらしいかった。 「さあ、どうぞ。」 矢島幸恵の言葉に促されてカーペットの部屋に入ると、なるほど、 [続きを読む]