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僕たちの詩  〜ボクタチノウタ〜 https://blog.goo.ne.jp/navehico

自由気ままに小説や詩を載せています。現在、学園ラブコメ「かわらないもの」連載中です。

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十和田市
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2007/08/05

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  • かわらないもの・act19

    --------------いつも、僕の前にいた。いつも、僕の前にいてくれた。大きな、大きな背中。大きな、大きな掌。…僕は、それが大好きだった。一緒にいられた時間は僅かだったけれど…。それでも。僕は、はっきりと覚えている。あの、確かな温もりを。俺は、はっきりと憶えている。そこに、確かな“絆”があったことを。・・・・・・。…少しだけ。少しだけ、昔を思い返してみた。あの日。色々な事があって。まだガキだった俺には、全てを理解する事はできなかった。和真「簡単に言うとさ。…昔、俺の両親が離婚したんだ。」優しかった両親。あの頃の俺にとって、それが世界の全てだった。繋いだ手。その先には、いつも温もりがあった。和真「……まぁ、大変だったのはその後だったんだけど、な。」――その手を握り返せなくなるなんて、夢にも思わなかった――和...かわらないもの・act19

  • かわらないもの・act18

    彩音「あ、じゃあ、ちょっと和くんを見てくるね。」声の主が、部屋を出ていく。あたしは、その背中を見送った。…あの様子だと、和真関係の事だろう。少ししてから、部屋の片付けを再開する。――指先の感覚に、あたしは動かしていた手を止めた――ふとした仕草だけで、なんとなくわかる程に。『水原さん』と呼んでいた頃と比べると、ずいぶん彼女について詳しくなったように思う。好きな事、嫌いな事。他にも、いろいろ。彼女はもう、大切な友達。まるで、今までずっとそうだったみたいに。それ程までに、あたし達は彼女と親しくなったんだ。そんな風に考えてから、少しだけ嬉しくなった。――それは、過ぎ去ってしまった時間の――でも、まだまだ。わからない事が沢山ある。例えば、彼女の昔の事。転校する前にいた場所の話。…そこには、必ず『彼』いるだろう。いつも冷静...かわらないもの・act18

  • かわらないもの・act17

    ただ、ひたすらに走っていた。目に見える全てが闇。…いや、目に見えているのかもわからない。少なくとも、今の自分が『在る』と認識できるものは闇しかなかった。頭の中が、霧がかかったようにぼやけている。自分がどこにいるのか、どういう状況にあるのか、その全てが曖昧だった。…ただ、ひたすらに走っていた。自分は、何かから逃げている。何から?……ワカラナイ。だけど、自分は逃げなければならない。そんな考えが思考の大半を占めている。何処からか感じる気配。これは、『』――「………………!!」遠くに、光が見えた。その中に、何かが見える。三つの、影。俺は、必死に目を凝らす。二つの長い影。一つは大きく、一つは細く。そして、挟まれるように、小さな…あれは――「………俺………?」――瞬間、何もわからなくなった。・・・・・・。唐突に目が覚めた。...かわらないもの・act17

  • かわらないもの・act16

    ギィ……パタン、と、音をたててドアが閉まる。それと同時に、和真の姿も見えなくなった。良行「…しゃーない、片付けるか…。」隣に座っていた良行が立ち上がった。言葉通り、多少(?)散らかってしまったこの部屋を掃除するつもりらしい。「……ふ…ふふふ……。」…しかしあたしは、そんな殊勝な事は考えていなかった。良行「お、おい、し……」……これは、絶好のチャンスだ。志乃「……あれ位の脅しに屈するあたしじゃないわよ~!!」彩音「えぇ!?」雪奈「し、志乃ちゃん…。」そう、これはチャンス。多少のリスクを負った位では、あたしの好奇心は止まらない。志乃「なんだかんだいって、和真は手伝ってくれるはず!さあ、作業を再開するわよ!!」良行「や、やめろ志乃!俺にまで被害が…」志乃「うっさい!!」ゴリ……良行「おぅ!?」…それは、言うなれば一撃...かわらないもの・act16

  • あけましておめでとうございます

    このブログを見に来ていただいた皆さん、あけましておめでとうございます。このブログを開いて、初めての年越しとなりました。ここまで続けてこられたのも、このブログに立ち寄ってくれる皆さんのおかげです。更新の機会は少ないですが、長い目で見守ってもらえればと思います。とりあえず、小説を中途半端にしてブログを閉じる気はありませんので、どうか最後まで応援お願いいたします。少し堅苦しくなりましたが、今年もどうか「僕たちの詩~ボクタチノウタ~」をよろしくお願いします。あけましておめでとうございます

  • かわらないもの・act15

    時間は常に流れていく。楽しい時間も苦しい時間も、いつかは終わりがくるのだ。和真「……疲れた……。」一人廊下を歩く。色々なことがあった勉強会も一旦終わり、皆、それぞれに割り当てられた部屋に移動した。和真「……………。」ボフッ……部屋に入った途端、無言でベッドに倒れ込む俺。そのままベッドに身を預け、束の間の平穏を楽しむことにする。疲れはするが、なんだかんだで俺も楽しんでいるのかもしれない。和真「……………。」静かな部屋の中。まるで、世界に自分独りだけのような感覚に陥る。しかし、小さく聞こえてくる話し声に、それは錯覚だと気付かされる。…普段は無い、自分以外の人間の存在に。…この家は広い。それは、全員分の部屋を用意できた事からもわかる。詳しくは知らないが、この家の持ち主と母さんは昔からの友人らしく、その誼で使わせてもら...かわらないもの・act15

  • かわらないもの・act14

    カリカリ……静かな部屋に、文字を書く音だけが響く。賑やかな昼食も終わり、勉強を再開した俺達。後始末も終わっているので、今回は俺も参加できている。和真「………………」ノートをめくりながら要点をまとめていく。何度か繰り返し書いていれば、結構頭に入るものだ。志乃はヤマを張り(正確には“張ってもらい”だが)、その部分に力を入れているようだが、俺は少し違った方法で勉強している。和真「……よし、範囲はここまでか……。」ヤマを張っても、それが100%当たることはまずないだろう。なら結局、範囲全てを勉強した方が点は取れるのだ。参考書等はあくまで“基礎”を固めた後の“発展”であり、“基礎”を固めるにはやはり教科書が一番……というのが俺の考えだ。これはあくまで俺一人の考えなのだけれど。とは言え……和真「…そう簡単にいけば、誰も苦労...かわらないもの・act14

  • かわらないもの・act13

    志乃「……………。」その後……。暴走した志乃をなんとかなだめ、再び机に向かわせる頃には、時刻はもう6時30分をまわろうとしていた。ちなみに、勉強し始めたのが5時頃。志乃が暴走したのが5時半過ぎだったので、実質30分ほどしか勉強できていない。…逆をいえば、志乃は一時間も暴れていたという事だ。雪奈「……これに代入して……」志乃「……じゃあ、ここのχは……」……当の本人は、大暴れしたので満足したのか、はたまた反動で疲れたのか。今は真面目に勉強に取り組んでいる――志乃「……あ、頭がぁ……」彩音「志乃ちゃん、煙でてるよ?」――訳でもなさそうだ。…しかし、大混乱の爪痕は大きかった。食器を割られかけた事数回。襲いかかってきた事数回。…その他は聞かないでほしい。しかし、一番不運だったのは……良行「……………。」……間違いなくこ...かわらないもの・act13

  • かわらないもの・act12

    「よし、今日はこれまで!気をつけて帰れよ!!」…今日もまた、無事に終わった。平和に、と言えない自分が少し悲しい。良行「きりーっつ!!」号令係の良行の声。良行「れ――」「ああ悪い、ちょっとまて。」…も、途中で中断される。良行「なんすかセンセー。せっかくの気合い入った号令なのに~。」「スマンな。……連絡が一つある!!」なんだろう、と少しざわめく教室内。…内容は多分あの事だろうが。「一週間後、テストがあるからな!!各自、準備しとけよ!!」『―――――――――』――刹那。教室の空気が凍りついた…ような気がした。俺は予想がついていたので、特に驚きはしなかったが。「まぁ、連絡は以上だ。…田中、号令。」良行「へ~い。…きりーつ……」そして今日は、心なしか元気のない良行の声で締めくくられた……。・・・・・・。志乃「という訳で。...かわらないもの・act12

  • かわらないもの・act11

    もう七月も終わろうかという時期。今日は金曜日。天気は快晴。湿気も少なく、気持ちのいい日だ。『オオオォォ~~……』……そんなすがすがしい日に響くのは、この青空に似付かわしくないドロドロとした重低音。それに込められているのは、嫉妬、妬み、呪詛、殺意etc……。その全ては例外なく、ある一点に向けられていた。『お前、有罪決定。』……これが今日、教室に入って――和真「…………は?」――俺が聞いた、一番最初の言葉だった……・・・・・・。和真「……………。」これは夢ではなかろうか。……否。夢であったらどんなに良かっただろう。背中を流れる冷や汗が、否応なく『これは現実だ』と実感させる。ここは地獄ではなかろうか。……否。ここは紛れもなく俺の教室だ。俺の机もあるし、クラスメートもいる。和真「……………。」……だが、ここから見える光...かわらないもの・act11

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