そうだね、夜は綺麗だね。 彼方の鉄塔の光が、 ゆっくり、ゆっくりと遠ざかっていく。 車窓へ向けられたま...
朝が来て 君が歩く 言葉が霧散する どんな場所も恐れずに 光の中にいなさい 君はいつも正しい 夜が来...
あの人は思うより誠実でも 日常の言葉に乗せる術は 思い付かない 薄情のひとつ ...
さらさらと 砂の流れる音 心を逸らすというのでもなく ただ砂の音が気になって かえって...
昔、私が殺して海に棄てた 女 が、 今も南の海上で月を眺めている 暗闇で一瞬光...
助けはいらない 誰の言葉も届かない 誰の悲しみもいらない 誰の喜びもいらない 深く深く 地上に穿...
私は箱を積んだ。 私達のいた木陰の隣に。 毎日、私は仕事が終わるなり箱を積んで、 そこへと運んだ。 下段は...
箱の一段目を積む私を、キヨミは不思議そうに見ていた。 「花火がよく見えるようになるから」 と言った言葉は言い訳だっ...
あれほど畏れていた夏が、いつの間にか来ている。 いつの間にかこの空気に、 馴染んでいる自分の身体の方が異物だ。 夏を畏れ...
キヨミは私が箱を盗むことを知らない。 キヨミが指を差す。 「あの山の向こうから、花火が上がる」 ...
私は箱を盗む。 私が手を滑らせてもいいように、 箱の中には300個に1個の割合で余剰が含まれており、 私はそれを盗む。 ...
キヨミの指が私を裏返す。 私は私の内側に入り込み、 キヨミのことを見ている。 私は私の入口につけた耳で、 キヨミの声を...
私は箱を運ぶ仕事をする。 箱は正確に40cm×40cmの正方体をしていて、 中身と色は様々だ。 私はそれを表示に従い、部...
キヨミは船に乗ってやってくる。 小さな船の舳先に座り、 前方を眺めるキヨミは黒い服を着ていて、 少し肩が強く見える。 ...
神様が来ないのは今に始まったことではないが、 それにしても暑い。 体内の血液が沸騰し、 一ヶ所開いた穴から、ぴゅうと残らず吹き出...
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