気づくとそこは若い男性の部屋らしくモノトーンでセンス良く配置された家具とほのかに香るコロンの心地よい空間 ・・・。 「あ おはよう ・・・ …
「ごめん急ぐから。また連絡する。ありがとう」それだけ告げると電話はすぐに切れた。穂乃香は中途半端で自分勝手な相手の言動に怒りをぶつける間もなくそこに置き去りに…
暗闇に時折光るふたつの眼光不審な動きをするその相手を同じ動作をしている自分だからその目的を瞬時に知るのはたやすいことだ。半ば絶望感も携えつつしかしなんとしても…
穂乃香が駿成ゼミ近くの駅に降り立つとそこは何故だかじっとりと湿り気を帯びた、怪しげな闇の空間だった。どんよりと滞ったその空気はいったい何なのだろう・・・。穂乃…
その頃穂乃香は酩酊が進む中、ぼんやりと左右から漂ってくる紫煙の行方を虚ろな瞳で追いかけながら「・・・ 小学4年の頃にはあたし、 写真に写るときじゃなくたって…
子どもには親の血が流れているように離れていても見えない糸で繋がっているというのはほんとうなんだろうか・・・。父が苦悩の冥想に圧せられその場に倒れ伏し、闇と同化…
いつも通りに走りいつも通りの駅に停まる電車がこういう時には故障かと思われるくらい低速に感じる。 “ 早く・・・! ”逸る気持ちが貴幸を駆り立て一駅…
「 ・・ 秀美がいないのよ!!」「え」「秀美がいなくなったのよ! 塾に行ってるかと思ったら行ってなくて どっか行っちゃったのよ!!!」ぼわー っと両耳を中…
秀美の心は鉛色の雲で満たされていた。輝きたいという意志とは裏腹にいや、そんな意志があるということもわからずに輝き方をむしろ知ることもなくただただ機械的に日々を…
娘はそんな父親を「仕事が忙しくてあまり家にいない」と当初は観ていたが子供心にも両親の雰囲気は大人顔負けに察し母の”強さ”とそれに対比する”父の弱さ”に小さな胸…
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