ハル さん プロフィール

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ハルさん: ハルと音
ハンドル名ハル さん
ブログタイトルハルと音
ブログURLhttp://harl.blog40.fc2.com/
サイト紹介文彼の日々、彼女の日々
自由文本当に大切だった日々は もう戻らない
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供31回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2008/04/17 03:16

ハル さんのブログ記事

  • 僕の一日 116
  • “クリスマスまでは忙しいんじゃないかと思って”そんなことを考えてくれる人が心底ありがたいと思う程、雑貨屋もホストクラブも、とにかく忙しかった。雑貨屋といえばオープンと同時にお客が来て、多くがプレゼントでラッピング希望。さらには冬休みに入った学生がオープン直後から来るようになり、店内はいつもの平日が嘘みたいに人で溢れていた。休憩は全員バックルームでとり、いつでも入れる様にして、学生バイトの奥村くんと [続きを読む]
  • 僕の一日 115
  • クリスマス前になるとカップルが増えるのは気のせいではない、と思う。街を歩けばやたらとイチャついたカップルを見かける。普段からそんな光景は見慣れているけれど、どうしてか寒い季節にそれを見せつけられると、ほんの少し寂しさを感じる。傍から見れば俺のようなホストはいつも女の人に囲まれて、選びたい放題、選り取り見取りと思われがちだが、実際はそういう関係は持たないようにしている人もいるという事を知って欲しい。 [続きを読む]
  • 僕の一日 114
  • 薬をもらってから30分ぐらい時間が経つと、次第に痛みがひいていった。頭痛薬を飲んだことがなかったけれど、ここまで効くとは思っていなかった。感動ものだ。バックルームを出るとレジには斉藤さんが立っていた。「お、大丈夫?」『はい、もう落ち着きました』「良かった、効いて」『びっくりしました。すごい効くんですね』「うん。でも効くからってあんまり飲んじゃだめだよ。 逆に頭痛がひどくなったり薬が効きにくくなるか [続きを読む]
  • 僕の一日 113
  • 「不毛な恋」をしている自覚がなかっただけに、相沢さんの一言は衝撃が大きかった。不毛って……。不毛ってなんだ。不毛な恋?不毛な恋愛?俺の場合は恋愛してるわけじゃないから……恋愛って相手と思いあっての言葉だよな。一方通行は片思いになるし。辞書にどう書いてあるか知らないけど、恋愛は相手がいて成り立ってる恋のことを指してるのだろうし、恋は恋愛のような意味もあるだろうし、一方的に思う意味も含まれてるはず。恋 [続きを読む]
  • 僕の一日 112
  • 斉藤さんの車に石川さんが乗り込む姿を目撃後、俺からは一度も連絡はとっていないし、以前はよく送られてきていたメールも途絶えた。当然、仕事場で会うし話もするが、以前のように個人的な話をうまく出来なくなっていた。石川さん自身は特に何も変わっていないよに見えるが……。「ミサ、最近なんだか元気だね」積み上げられていた段ボールをレジの横で手早くたたみながら相沢さんが呟いた。視線の先には笑顔で接客をしている石川 [続きを読む]
  • 冬の一日 7
  • 7「石川、大丈夫か」握ってくれている手を軽く引っ張られる。「あ……うん」「ああいう人間は汚いものに触れる機会が多いから、 そういうものに飲み込まれてしまっているのかもね」「……そうなの?」「みんながみんな、そうではなくて一部だけだと思うけどね」手渡された名刺には、私でも聞いたことがある芸能事務所の名前が書かれていた。あの男性が関係者であるのは嘘ではないんだろう。ちらりと名刺に目を落とした斉藤さんが [続きを読む]
  • 冬の一日 6
  • 6勝手に想像して気分が落ち込んでしまい、そんな顔を見られたくなくて外ばかり眺めていると、家電量販店の看板が見えた。「着いたよ。酔った?」「ううん、平気」「そう?」笑って声をかけてくれる。優しい声。「じゃあ、さっさと決めて夕飯食べに帰ろう」「うん」お店の中に入り、暖房器具が置いてあるところに向かって歩いていると、突然後ろから声をかけられた。「すみません」べたっとした嫌な感じがする声に振り返ると、そこ [続きを読む]
  • 冬の一日 5
  • 5「ここにに居ていいよ」と斉藤さんが言ってくれた。私が考えてることを言わなくても分かっていて、大丈夫だよと言ってくれる。優しく髪を撫でてくれることが、たまらなく嬉しい。自分と似ているわけじゃない。むしろ正反対の人なのに、傍に居るだけで安心する。この人の隣に居れば何も心配はいらない。どんなときでも助けてくれる。手を引いてくれる。そう思える。だから錯覚してしまう。自分は斉藤さんにとって特別なんじゃない [続きを読む]
  • 僕の一日 111
  • 運よく確保できた居酒屋の個室で、ソフトドリンクと適当に注文したつまみを口に運びながら歩さんの話に耳を傾けた。言いたいことがイマイチまとまっていなかったけれど、要約すると「俺と会って話がしたかった」のようだ。男の俺に対しても、「何を考えているのか」という事や「自分の希望」を口にするのは苦手のようだが、それ以外のことになると普通の大学生と変わらず、楽しそうにおしゃべりをする。大学生活に支障がでないでい [続きを読む]
  • 僕の一日 110
  • いつのまにか降り出した雨のせいで、道路には水たまりができ始めていた。お店に放置されている大量の傘の中から透明のものを2本失敬して、早歩きで歩さんが待つファミレスに向かった。お店の前に着き、入り口から店内を見ると、まえと同じ席に座っている歩さんのところにサラリーマン風の男性2人が座っていた。『……知り合い?のわけないか』一瞬考えてから、かぶりを振って店内に入った。「いらっしゃいませ〜。一名様で〜」と [続きを読む]
  • 僕の一日 109
  • 繁華街の一画にある店の中で、綺麗に積み上げられたシャンパンタワーを眺めながら隣に座る女性の話を聞いていた。今日が初めてのホストクラブだというOL。『そうなんですか』切れの悪い返事ばかりを繰り返している自分に気づきながらも、気持ちがついてこないことに苛立っていた。すり寄ってくるOLを遠ざけたい気持ちを抑えながら、シャンパンを口に運んだ。『新しいグラス持ってきますね』空になりそうなグラスに気づいて席をはず [続きを読む]
  • 僕の一日 108
  • 分厚い雲に覆われた重い空から、日差しの暖かさは感じられず冷たい風が吹き付ける中、いつもより数本早い電車に乗って仕事へ向かった。今日は彼女が月1の早番掃除の日。終わってなかったら手伝うつもりだった。だが店に着いてみると、商品棚からはネットや布がとられ、もうオープンするだけの状態になっていた。早めに終わったのかと思いながら灯りがもれているバックルームのドアを開けた。「あ、おはよう」椅子に座っていた彼女 [続きを読む]
  • 春の一日 31
  • 31「うう……ん?」携帯のアラーム音で目を覚ますまで熟睡していたのは俺の方だった。布団が掛けられていたが、まったく気づかなかった。隣で寝ていたはずの石川もいない。いつのまにかテーブルに置かれていたメガネをかけてキッチンを見ると、エプロンをした石川が立っていた。「おはよう、早いね」ダイニングテーブルには皿に盛られて食べるばかりに用意されたおかずと、彼女のお弁当箱が置いてある。「おはよう、昨日はごめんな [続きを読む]
  • 春の一日 30
  • 30映画に集中していた石川の身体が揺れ始めたのは、1時間を過ぎたあたりだ。力を失くしてカクンと前に倒れそうになる。子供がアニメを見てる途中で落ちる姿とまったく一緒。そのままソファーに寝かせて、彼女の部屋から布団を持ってきてかけてやった。7時まであと1時間半、俺も眠ろう。「ふぅ……」こんな生活がいつまで続くのか。俺自身、この生活を続けたいのか。自分でもよくわからない。ただ、手放したら何かしらの後悔はす [続きを読む]
  • 春の一日 29
  • 29振り向いた石川の目が大きく開いた。視線を合わせるように首を傾けると、彼女が怯えるように顔を逸らした。「ふきこぼれる」ぽつんと石川が言った。「え?」「牛乳」「うわっ」慌てて火を止める。「やっぱり見えてない?」メガネ部屋に置きっ放しだった。極端に悪いわけではないが、こういうのは見えにくい。とはいえ目の前にある顔の表情ぐらい読み取れる。緊張を振りほどくように自分の頬を触りながら俺から一歩離れて、温めた [続きを読む]
  • 春の一日 28
  • 28お風呂から上がるとだいぶ落ち着いた表情をみせた石川は、「今日はこのまま休む」と言って部屋に入って行った。俺がお風呂から上がるのを待って話を聞いてほしいなんて言われたら、正直、キツかっただろう。あとで話聞くからなんて言っておいて、実際は体力の限界。さっさと入ってさっさと寝ないと。誰かと話したり立っているなら眠らずにいられる。でもひとりでソファーに寄りかかってたら、もうアウト。目覚ましに煙草を吸いた [続きを読む]
  • 春の一日 27
  • 27浴槽の栓がされていることを確認して湯はりのスイッチを押した。寒いだろうからと、クローゼットにしまっていたハロゲンヒーターを引っ張り出し、浴槽にお湯を溜めている間に洗面所を暖めるようになった。ひとりのとき洗濯はいつもお風呂に入ってる間にするようにしていて、洗い終わるまで湯船につかり、そのまま浴室乾燥機をつけて、風呂場に干していた。「カビ防止になるし、次の日すぐにお風呂溜められるし」と、浴槽のお湯は [続きを読む]
  • 春の一日 26
  • 26ふいに、無言になった石川が俯いた。「どうした?」髪を撫でていた手を止め、顔を覗き込むと寂しそうな笑みを浮かべた。「なんでもない」眉間にしわ、引きつった口元。泣きそうだ。さっきまであんなに大声で笑っていたのが嘘のように、涙を浮かべていた。「……ごめん、なんでもない」俺に背を向け涙を拭う仕草をした。何か傷付けることを言ったか記憶を巡らせたが、とくに思い当たらない。ズズッと鼻をすする音を聞いて、テーブ [続きを読む]
  • 春の一日 25
  • 25財布を手にリビングに戻ると、背筋をピン伸ばし、緊張した様子でソファーに座っていた。「そんなに構えなくても特に怖いものは出てこないよ」「だって!」「まぁ、おちついて」隣に腰をおろし、財布からクレジットカード、ショップのポイントカード、免許証、保険証をテーブルの上に並べた。「見ていい?」免許証に手を伸ばす石川に、どうぞ、と手で合図した。「……え?」手にした免許証を数秒間見つめたあと、目を丸くしてこっ [続きを読む]
  • 春の一日 24
  • 24俺から微妙な距離をとってソファーに座った。身を細め、両手は膝の上で握られていた。「……石川」「はいっ」身体をわずかに硬直させ、こちらに目も向けず強張った声で返事をした。手にしていた湯呑をテーブルに置いて彼女の頭に手を置いた。「邪魔だなんて思ってないよ」俺の言葉に顔を上げる。「出ていって欲しかったらそう言ってるよ。 ホントに迷惑だとは思ってない。 石川は周囲に気を遣いすぎるから、 他人の家にいると [続きを読む]
  • 春の一日 23
  • 23夕食を終え、リビングで休憩しようとすると、「お茶入れるね」と石川が言った。俺のところに来て5日。体調は思っていたより早く良くなったし、今のところ「ぶり返し」はない。仕事も家事も問題なくこなしているところを見ると、すっかり落ち着いているように思えるが、一向に自分のマンションに帰ろうとしない。正座をして手際よくお茶を入れ、ソファーにもたれ掛かっている俺に湯呑を差し出してきた。「はいどうぞ」「ありがと [続きを読む]
  • 僕の一日 107
  • 話が進まない歩さんの言葉に相槌を打ちながらお茶を入れ、乾いていた喉を潤した。『歩さんは……』「あ、はい」『お茶飲む?緑茶』「飲みます。パックですけど」『紅茶もおいしいけど、緑茶もおいしいよね』「はい」『こんな話で平気?それとも何かある?』携帯越しに感じられる空気が緊張したのが分かった。『無理にとは言わないけど話したいなら聞くよ』「…………」会話が完全に途切れ、沈黙が続いた。大事なことを言おうとして [続きを読む]
  • 僕の一日 106
  • 悪い方へ意識が傾いていき、気分が悪くなっていった。少しの不安が過去の記憶を引っ張り出していく。涙でにじむ目には携帯を握る左腕が映る。塞がった傷口はかさぶたになり痒みを伴っていた。ある程度治ると、どうしてもまた傷口を開きたくなる。理由はわからない。言えるのは血を見ると落ち着くというよりも、傷付けて感じる痛みが、心を軽くしてくれるという事。その痛みも感覚が鈍っているのかあまり感じず、痛くてたまらない、 [続きを読む]
  • 僕の一日 105
  • 俺と石川さんが体調不良から仕事を休み、なにかとゴタゴタが続いていたが、12月になってそれも落ち着いていつも通りのシフトに戻った頃から違和感があった。彼女にも斉藤さんにも。斉藤さんに関して言えば、俺が長い間休んで仕事に戻ったあたりから。単純に考えるなら、俺が何日も休んで迷惑をかけたから怒っている、という感じだと思うが、どうにもそういうものじゃない気がした。合わせて彼女の俺への気持ちが薄れているように感 [続きを読む]
  • 春の一日 22
  • 22有利くんとおつかいを済ませて店に戻ると、「今日はもう帰っていいよ」と店長が言った。俺がいない間さんざん迷惑かけたし、かなり残業したりみんなの面倒みてもらってたから、少しの時間だけど今日は早く帰って休んでくれ、ということだった。寝不足だったし疲れていたのもあって、お言葉に甘えた。「ただいま」買い物はせずにマンションに帰ると、驚いた顔で石川が玄関まで迎えに来た。「びっくりした。遅番だよね?」「うん、 [続きを読む]