zecczec さん プロフィール

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zecczecさん: 陽炎隊
ハンドル名zecczec さん
ブログタイトル陽炎隊
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/zecczec
サイト紹介文魔法文化と科学文化が共に発展してきた世界。女官リトと6本の腕を持つ男との出会いがすべての始まりだった
自由文人を食べる「異生物」と呼ばれるモンスターがいるこの世界。場所はテノスという小さな国。六本の腕を持つ少年をはじめ、異生物と人間の間に生まれた兄弟等、それぞれに深い事情がある「陽炎の館」の住人と、何も知らずに関わりを持つことになった女官リト。 本サイトに登録前の小説です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供31回 / 365日(平均0.6回/週) - 参加 2008/04/22 14:01

zecczec さんのブログ記事

  • 無理、無理無理  清流の章 20-21
  •  場が静まり返るとはこのことだった。「ごめん」 来意がそう言って静かに立ち上がる。「気にするな」 最初にそう声をかけたのは巳白だった。「そんなこともあらぁな」 佐太郎もねぎらい、ラムールと軽く目くばせした。 リトが凍り付いたように真っ青で、弓や羽織はそちらの方を心配していた。 しかし次の瞬間、こちらを振り返った来意の表情を見た瞬間、全員がぎょっとする。 来意が怒ったように目を閉じていた。「来意、ど [続きを読む]
  • 波紋解除、勘のとおり  清流の章20-20
  •  石碑を前にして、流石に世尊も緊張していた。 一度、気合を入れなおすかのように頬を叩いて前に腰かける。 珠の並びは残り3カ所以外、全部分かっている。 綺麗にメモされた紙を見ながら丁寧に石碑に作られた窪みの中に珠を埋め込んでいった。 石碑につくられた横13、縦5列、計65の穴が珠で埋められていく。 そして一番上の段、左から7こめ、上から二段目の一番右端、下から2段目の右から2番目。 その3カ所を残し [続きを読む]
  • 挑む 清流の章20-19
  • 別に何時に集合などと決めていた訳ではなかったが、リト達は誰言うともなく、一人、また一人と自分の部屋から出て中央の部屋に集まった。 朝食は、さすがに誰も考えてすらいなかった。 少年たちの中で一番最後に中央の部屋ら出てきたのはアリド。 肩に変化鳥を乗せていた。「あとは?」 そう言って見回すと、佐太郎の部屋の扉が先に、少し遅れてラムールの部屋の扉が開いた。 佐太郎もいつもと変わらぬ姿で、リト達を見ると柔 [続きを読む]
  • 殺滅権を与えたこと 清流の章 20-18
  •  友を助けに行く。 その宣言を聞いた国王陛下は、どことなく誇らしげで嬉しそうですらあった。 そして、うなずくと、デイと義軍の間にいた己の身体を一歩横に身を引いた。 デイは軽く会釈をしながら義軍の側に寄った。「良く寝てる」 そのあどけない寝顔にデイも目を細め、陛下も頷いた。「デイ。 お前を行かせる前に――伝えておかねばならぬことがある」 義軍に触れようとしたデイの手を止めさせるかのように陛下がそう口 [続きを読む]
  • 殺滅権を与えたこと 清流の章 20-18
  •  友を助けに行く。 その宣言を聞いた国王陛下は、どことなく誇らしげで嬉しそうですらあった。 そして、うなずくと、デイと義軍の間にいた己の身体を一歩横に身を引いた。 デイは軽く会釈をしながら義軍の側に寄った。「良く寝てる」 そのあどけない寝顔にデイも目を細め、陛下も頷いた。「デイ。 お前を行かせる前に――伝えておかねばならぬことがある」 義軍に触れようとしたデイの手を止めさせるかのように陛下がそう口 [続きを読む]
  • 友達を  清流の章 20-17
  •  穏やかな夜だった。 深呼吸しか存在しないようなゆったりとした空気の流れ。 リトは夜中にふと目をさまし、トイレに行くために部屋を出た。 もう誰も珠の番をしなくて良い広間は誰一人いる訳ではなく、しんと静まり返る。 暗いのにまるで陽だまりの森の中を歩くかのような心地よさに満ちていた。「ん?」 リトはほんわり浮かび上がる影に気づいて少し首を伸ばした。 何か茶色いものが動いていた。 ――デュマ―だ。 もう [続きを読む]
  • 友達を  清流の章 20-17
  •  穏やかな夜だった。 深呼吸しか存在しないようなゆったりとした空気の流れ。 リトは夜中にふと目をさまし、トイレに行くために部屋を出た。 もう誰も珠の番をしなくて良い広間は誰一人いる訳ではなく、しんと静まり返る。 暗いのにまるで陽だまりの森の中を歩くかのような心地よさに満ちていた。「ん?」 リトはほんわり浮かび上がる影に気づいて少し首を伸ばした。 何か茶色いものが動いていた。 ――デュマ―だ。 もう [続きを読む]
  • 書きたかったんだ……
  • お魚のネタ、思い出したら書きたくて本編そっちのけで書いてしまいました。さて、本編いよいよ佳境です。でも多分9月中は無理…… 休みがとれたら頑張ります。 [続きを読む]
  • 一匹のお魚晩御飯。 
  •  その日、新世は厨房ですっからかんになった食材庫とにらめっこしていた。  緊急事態である。 なぜなら、食材が無いのである。  新世と一夢だけだったら食材なども少しで済むが、色々あって現在は、アリド、巳白、羽織、弓、清流、来意、世尊と7人の子ども達が一緒に住んでいる。   もう成人した新世と一夢だけだったら裏の森の番兵としてもらっている僅かな給金でも十分生活はできる。 だが子供がいるとなるとそうはいかな [続きを読む]
  • 一匹のお魚晩御飯。 
  •  その日、新世は厨房ですっからかんになった食材庫とにらめっこしていた。  緊急事態である。 なぜなら、食材が無いのである。  新世と一夢だけだったら食材なども少しで済むが、色々あって現在は、アリド、巳白、羽織、弓、清流、来意、世尊と7人の子ども達が一緒に住んでいる。   もう成人した新世と一夢だけだったら裏の森の番兵としてもらっている僅かな給金でも十分生活はできる。 だが子供がいるとなるとそうはいかな [続きを読む]
  • 友情 想定内 あん時 清流の章 20-16
  •  リトはとりあえず自分の休む部屋に弓を連れて行った。 佐太郎が羽織の首根っこつかまえてひきはがしたとき、抵抗はしないまでも、離れたくないといわんばかりの視線をお互いに向けあった弓と羽織。 ま、正直、お邪魔してしまったと思わなくもなかった。 が、確かに巳白の言う通り二人でいさせても浮上の気配はゼロだったし、リトも友達として弓を励ましてあげたかった。 今まで「羽織様」と呼べばいついかなるときも来てくれ [続きを読む]
  • 友情 想定内 あん時 清流の章 20-16
  •  リトはとりあえず自分の休む部屋に弓を連れて行った。 佐太郎が羽織の首根っこつかまえてひきはがしたとき、抵抗はしないまでも、離れたくないといわんばかりの視線をお互いに向けあった弓と羽織。 ま、正直、お邪魔してしまったと思わなくもなかった。 が、確かに巳白の言う通り二人でいさせても浮上の気配はゼロだったし、リトも友達として弓を励ましてあげたかった。 今まで「羽織様」と呼べばいついかなるときも来てくれ [続きを読む]
  • 俺の女になっとくか 清流の章20-15
  •  アリドが休んでいる部屋は、心なしリトの部屋より広かった。 アリドはベッドに腰かけて、すぐ隣にあるサイドテーブルの上に乗っている変化鳥の喉元を撫でてあげていた。 変化鳥はアリドに撫でられて気持ちよさそうに目を閉じており、リトが入ってきたのを薄目で確認すると、まるでだから何と言わんばかりの堂々とした態度で再び目を閉じた。「あ、変化鳥もいたんだね」 リトはできるだけ何気なく言った。 ここに帰ってきたと [続きを読む]
  • 俺の女になっとくか 清流の章20-15
  •  アリドが休んでいる部屋は、心なしリトの部屋より広かった。 アリドはベッドに腰かけて、すぐ隣にあるサイドテーブルの上に乗っている変化鳥の喉元を撫でてあげていた。 変化鳥はアリドに撫でられて気持ちよさそうに目を閉じており、リトが入ってきたのを薄目で確認すると、まるでだから何と言わんばかりの堂々とした態度で再び目を閉じた。「あ、変化鳥もいたんだね」 リトはできるだけ何気なく言った。 ここに帰ってきたと [続きを読む]
  • お帰り。 お疲れ 清流の章 20-14
  •  一方、テノス城会議室では「いやあ、一時はどうなることかと」「まさかこの名代期間中にこのようなことが起きるとは」  禁断の森の誓いの崩れが無くなったことに家臣一同、喜んでいた。「乱れは無くなったっしゃ。 もう安心だっしゃ」 48部署担当のニワシがトドのようなでっぷりとした身体を震わせながら目を一本の長い線みたいに細めなが嬉しそうに持ってきた羊皮紙の地図をクルクルと巻く。「これで一安心、でしょうか」  [続きを読む]
  • お帰り。 お疲れ 清流の章 20-14
  •  一方、テノス城会議室では「いやあ、一時はどうなることかと」「まさかこの名代期間中にこのようなことが起きるとは」  禁断の森の誓いの崩れが無くなったことに家臣一同、喜んでいた。「乱れは無くなったっしゃ。 もう安心だっしゃ」 48部署担当のニワシがトドのようなでっぷりとした身体を震わせながら目を一本の長い線みたいに細めなが嬉しそうに持ってきた羊皮紙の地図をクルクルと巻く。「これで一安心、でしょうか」  [続きを読む]
  • コープスvs羽織 清流の章 20-13
  •  羽織がコープスの勢いに押されるように後ろに下がる。 一見、羽織とコープスの闘いはコープス有利に見えた。 コープスもそう思ったのだろうが、ここは禁断の森とはいえ、羽織が見知った森だった。 大量の落ち葉で巨大な窪みの存在にコープスは気づかなかった。「うわっ!」 一歩ふみだしたところでずっぽりと腰まで身体が埋もれた。 その瞬間を羽織は見逃さなかった。 剣を振り上げ飛びかかった。「羽織! 体勢を変えろっ! [続きを読む]
  • コープスvs羽織 清流の章 20-13
  •  羽織がコープスの勢いに押されるように後ろに下がる。 一見、羽織とコープスの闘いはコープス有利に見えた。 コープスもそう思ったのだろうが、ここは禁断の森とはいえ、羽織が見知った森だった。 大量の落ち葉で巨大な窪みの存在にコープスは気づかなかった。「うわっ!」 一歩ふみだしたところでずっぽりと腰まで身体が埋もれた。 その瞬間を羽織は見逃さなかった。 剣を振り上げ飛びかかった。「羽織! 体勢を変えろっ! [続きを読む]
  • 初対決 清流の章 20-12
  •  時はほんのわずか前にさかのぼる。「兄ちゃん、俺だいぶ元気になったから行こ。 はよせな次の場所でまた寝る場所探さなあかんやん」 森を彷徨っている兄弟の弟は、気持ちよく昼寝をし終わると、さっさと荷物を兄に預けて歩き出した。 俺はまだ気持ちよく眠っていたんだぞ、と兄は言いかけて、言っても無駄かと苦笑してから腰を上げた。 弟は下り坂は大好きみたいで後ろを振り返ることもなくひょいひょいと下っていく。 適当 [続きを読む]
  • 初対決 清流の章 20-12
  •  時はほんのわずか前にさかのぼる。「兄ちゃん、俺だいぶ元気になったから行こ。 はよせな次の場所でまた寝る場所探さなあかんやん」 森を彷徨っている兄弟の弟は、気持ちよく昼寝をし終わると、さっさと荷物を兄に預けて歩き出した。 俺はまだ気持ちよく眠っていたんだぞ、と兄は言いかけて、言っても無駄かと苦笑してから腰を上げた。 弟は下り坂は大好きみたいで後ろを振り返ることもなくひょいひょいと下っていく。 適当 [続きを読む]
  • お使いだから、ちゃんと挨拶  清流の章 20-11
  •  アリドと羽織は草が刈られて歩きやすくなった森を、足元に気を付けながら進んだ。「多分、この草刈が原因で王の誓いがぶっ倒れたんだろうから、ここいらが目的地だからな」「うん、そうだね」 真剣な眼差しでゆっくりと地面を見る羽織とは対照的に、アリドは少しピリピリしながら周囲の気配を探っていた。「あっ、あれ」 羽織が指さすと、アリドが一瞬、臨戦態勢で身構えた。 が、もちろん誰も襲ってくることはなく。 羽織の [続きを読む]
  • お使いだから、ちゃんと挨拶  清流の章 20-11
  •  アリドと羽織は草が刈られて歩きやすくなった森を、足元に気を付けながら進んだ。「多分、この草刈が原因で王の誓いがぶっ倒れたんだろうから、ここいらが目的地だからな」「うん、そうだね」 真剣な眼差しでゆっくりと地面を見る羽織とは対照的に、アリドは少しピリピリしながら周囲の気配を探っていた。「あっ、あれ」 羽織が指さすと、アリドが一瞬、臨戦態勢で身構えた。 が、もちろん誰も襲ってくることはなく。 羽織の [続きを読む]
  • 必死に言い訳 清流の章20-10
  •  死に神がリトの祖母から刻印を消した瞬間、リト達は一斉に歓喜の声を上げた。 すやすや眠る祖母の顔を見て、嬉しくてリトはぽろぽろ涙をこぼした。 弓が一緒に涙をうかべながらリトの背中に寄り添い肩をさすった。 「すっげーぜ、すっげーぜ、清流!」 興奮冷めやらぬ、という感じで世尊が巳白を揺さぶりながら言った。 巳白も嬉しそうに表情を和らげた。「清流っていえば陽炎隊で仕事してるときはともかく、プライベートで [続きを読む]
  • 訪問 清流の章20-9
  • 「失礼します」 清流はそう言って、中に入ってきた。 怒るでもなく、見舞う感じでもなく、例えばただ「通りすがった」ように、自然に。 それを見ていて驚いたのはもちろん、珠で覗いている巳白たちだった。「……あれ、清流だぜ?」「どうして清流が?」 清流といえば、リトの15の祝いの翌日、スイルビ村の長老たちから新世を迫害した過去の話を聞いたときに厳しい言葉で責め立てたことが思い出され、リトは青くなった。「清流 [続きを読む]