渡良瀬ワタル さん プロフィール

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渡良瀬ワタルさん: 金色銀色茜色
ハンドル名渡良瀬ワタル さん
ブログタイトル金色銀色茜色
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/knjaskmstkzk
サイト紹介文幽体離脱し易い体質が災いなのか、幸いなのか、諸事情から生霊のみが時空を越えていた。そんな物語です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供44回 / 365日(平均0.8回/週) - 参加 2008/05/30 18:06

渡良瀬ワタル さんのブログ記事

  • 無題その一。
  •  暗い夜道を歩いていると声がしました。「そこの君」僕以外に人影がありません。そっと見回すと木陰に女の子。足を止めた僕にその娘が歩み寄って来て、「お願いがあるの」何やら懇願の様子。戸惑っていると彼女が、「私を縛って」耳元に甘い囁き。ますます... [続きを読む]
  • なりすまし。(131)
  •  一つ一つ丁寧に紙で梱包されていた。職員達が総掛かりで紙を解き、床に並べて行く。短い刀剣が五振り。長い刀剣が三振り。一番下に寝かされていた大きな紙包からは盾。重そうな厚くて広い、黒い盾。八振りの刀剣の鞘も黒。次々に抜かれ、鞘の隣に並べられた... [続きを読む]
  • なりすまし。(130)
  •  ナナセに質流れ品で埋まった蔵に案内された。ここにはギルドで扱った質流れのうち、価値ある物だけが集められている、という。 管理も行き届いているようで、観音扉が開けられても黴臭さは微塵もなかった。中に入ったギルドの職員が窓を開け、陽射しが射し込ま... [続きを読む]
  • なりすまし。(129)
  •  俺は遠慮したのだが、アリスが譲らない。「私ね、口座を持ってないの。財布も巾着袋も持ったことがないの。自分で言うのもあれだけど、私、お姫様だから。外出して買い物するとお付きの者が支払ってくれる窮屈な生活なの。・・・。今日は久しぶりに金貨を持... [続きを読む]
  • なりすまし。(128)
  • 「アリスには感謝している。だけど俺達は城から下がる。俺達に宮廷は似合わないからな。それに今後の身の振り方を考えると、城の中にいるよりは街中の方が良いだろう。どんな仕事があるのかを見て回ってから決めるとしよう」 無念そうな表情のアリス。状況が... [続きを読む]
  • なりすまし。(127)
  •  事の発端はアリスの何気ない一言。それをゲスが勘繰ったらしい。「女官に登用するのではないか」と。失敗したとはいえ短時間で事が進められた。姫君を遠ざけ、身分票と貨幣を餌にして城から連れ出そうとした。あざとい力技だ。俺達姉妹が相手でなければ成功... [続きを読む]
  • なりすまし。(126)
  •  俺はアリスの希望を打ち砕くことにした。「確かに俺達姉妹は召喚祈祷の魔方陣のど真ん中に姿を現した。だからと言って、魔物として召喚された分けじゃない。ただの手違い。期待を裏切るようだが、人間だ。向こうの世界でも人間。こちらでも人間。ただ、ちょ... [続きを読む]
  • なりすまし。(125)
  •  アリスが俺をジッと見た。「何があったのか、ちゃんと説明してくれるんでしょうね」「もちろん。隠し事は一切しない」「いいでしょう」 アリスはキャロルを抱いたまま女官二人に耳打ち。その二人が後宮へ足早に戻るのを見送ると俺を振り向いた。「付いて来... [続きを読む]
  • なりすまし。(124)
  •  衛兵達の背後から悲鳴が上がった。キャロルの襲撃だ。彼等にとっては予想外のこと。反射的に全員が振り返った。槍の穂先が乱れた。 チャンス。俺は間合いを跳んで越えた。三人目が防御的に構えていた槍を斬り捨て、返す刀で下から半円を描くようにして振... [続きを読む]
  • なりすまし。(123)
  •  俺は確信した。この体軀からアマゾネスを連想したが、間違いではなかった。理由は分からないが、俺は真のアマゾネスになっていた。素手の戦い方からして戦士そのもの。戦いに臨むにしても、体捌きにしても、極めるにしても、いささかも躊躇いがなかった。普通... [続きを読む]
  • なりすまし。(122)
  •  何かあるとは思っていた。しかし、まさか実力行使に出るとは。普通であれば城中での乱暴狼藉は言語道断。発見されしだい当事者は拘束され、裁かれる。ところが女官長やスグルの言動をみた限り、人目を憚っている様子が全く感じ取れないのだ。逆に、法に則っ... [続きを読む]
  • なりすまし。(121)
  •  俺にとってスグルの登場も女官長の豹変も、どうでもよかった。二人とも最初から期待していた人物ではなかったので、ほんと、どうでもよかった。ちょっとだけ驚きはしたが、跡の残らぬ掠り傷のようなもの。鼓動に変化なし。冷静に周囲を見回した。 特異点を見... [続きを読む]
  • なりすまし。(120)
  •  書棚は陽射しを避けて、片隅の暗がりに置かれていた。どのような書物があるのか分からないが、期待した。なにしろ書物は情報の宝庫。読んでおいて損はない。ただ問題は文字。言葉同様に文字も日本語であることを願った。 歩み寄ると背表紙の文字が目に飛び... [続きを読む]
  • なりすまし。(119)
  • 「前線から、もたらされる多くは悲報ばかり。どこそこで誰が戦死を遂げた。次も、誰それが戦死を遂げた。舞踏会で踊ったことがある貴族の名前もあれば、見回り途中で私を笑わせてくれた近衛の名前もあった。でも私には何も出来ない。ここで温々お茶しているだ... [続きを読む]
  • なりすまし。(118)
  •  アリスに地図を見上げながら尋ねられた。「貴女の国は」 俺は正直には答えなかった。現代の文明文化は彼女には難しすぎる。かえって混乱を招くだけ。 人は鉄の箱に乗り、地上地下を走り、空を飛び、海に潜れるようになった。果ては月にも足跡を印した。年... [続きを読む]
  • なりすまし。(117)
  •  アリスは、「それは・・・」言葉を濁し、身体を寄せて来て、「ここでは無理。後で話しましょう」耳打ち。 彼女は余人の耳を憚っていた。おそらく女子供には聞かせたくないのだろう。 俺は心当たりがあるので、目を泳がせた。生け贄に相応しいのは、血が繋が... [続きを読む]
  • なりすまし。(116)
  •  案内された大広間は二階にあった。回廊を渡り、階段を上がって廊下を右に、左に曲がって行くと、ゴリラを連想させるスグルが出迎えてくれた。アリスを丁寧に出迎えるが、俺とキャロルには冷たい視線。実に分かり易い。それでも入室は拒まない。 大広間の中... [続きを読む]
  • なりすまし。(115)
  •  俺がフルーツを眺めながら考えていると、アリスが近付いて来た。「良い香りがするでしょう」 疑問で一杯で鼻が留守になっていた。辺りはフルーツショップの店内のような香りで溢れていた。 キャロルが鼻をピクピクさせて大笑い。「い、いーいーいー、めった... [続きを読む]
  • なりすまし。(114)
  •  怒り顔で向かって来る男はどう見ても三十代。粗末なズホンとジャケット。腰のベルトには短剣を下げ、大股で歩を進めてきた。醸し出す威圧感はただごとではない。人を殺すのには慣れているソレだ。時代背景から察するに、戦場慣れ。 俺の鼓動が速まった。怯... [続きを読む]
  • なりすまし。(113)
  •  俺は石畳の上に両足で立っていた。光の保護を失った代わりに肉体を得ていた。はて・・・。この肉体は誰のモノ・・・。光の中には俺以外に人はいなかったはず。正確には俺の霊体に座敷童子が居候しているが、女児は妖精なので無関係。ここまでを、どう振り返... [続きを読む]
  • なりすまし。(112)
  •  時間の経過は全く分からない。俺は痛みで目覚めた。とにかく痛い。まるで感電させられているかのよう。ビリビリ、ヒリヒリ・・・。目覚ましにしては酷すぎる。死ぬことはないにしても痛い。 自分が置かれた状況を思い出した。またもや幽体離脱していた。... [続きを読む]
  • なりすまし。(111)
  •  掴み合ったまま、二人して頭から大川に落ちた。頭や肩に激しい衝撃。人生の強制終了を告げるかのような激痛が走った。それでも斧の小町は俺を掴んで離さない。ついには足までも絡ませてきた。俺を殺そうとしているのではなく、思いもかけぬ出来事に頭がフリ... [続きを読む]
  • なりすまし。(110)
  •  俺は質問には質問で応じた。「貴方は斧の小町の機敏な身体捌きを目の当たりにして、どう感じました」 比良信安は顎に手を当て、遠くを見る表情をした。「驚いた。陳腐な表現だが、人間離れして獣そのものだった」 俺は周りを見回し、みんなに問う。「皆様は... [続きを読む]
  • なりすまし。(109)
  •  現金なもの。姫さんの目がきらきら輝いた。二人だけであれば焦らしてやるのだが、他にも関係者が大勢いた。彼等を無視する分けにも行かない。みんなにも分かり易いように、姫さんに問う。「姫様、よおく思い返して下さい。双子の怪物の為に、名主屋敷の庭先... [続きを読む]
  • なりすまし。(108)
  •  腹側背側の傷口を検めた。その結果、一つの仮説に辿り着いた。俺は監察医ではないが、あながち間違ってはいないだろう。 ゆっくり首を上げて姫さんを探した。直ぐに見つかった。彼女は俺を真っ直ぐ見詰めていた。その目色は問う色というより、気遣う色か。... [続きを読む]