cooldaddy さん プロフィール

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cooldaddyさん: 風に吹かれて
ハンドル名cooldaddy さん
ブログタイトル風に吹かれて
ブログURLhttp://mycinemakan.blog19.fc2.com/
サイト紹介文映画、音楽、読書、落語、テレビ番組、ガーデニング、愛犬、薪ストーブ、テニス、アートなど
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供64回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2008/06/26 19:00

cooldaddy さんのブログ記事

  • 桜木紫乃「星々たち」
  • 連作短編集ではあるが、どの話も塚本千春という女性と彼女と関わりをもった人たちの物語になっている。また同時に彼女の母親、そして娘と繋がる女三代の物語にもなっており、そういう意味では長編小説として読むこともできる。なかなかユニークな構成である。塚本千春の母親、咲子は奔放な女である。娘の千春を実家に預けたまま、遠く離れた街で水商売の女として生きている。そうした母親と娘の暮らしを描いているのが、冒頭の「ひ [続きを読む]
  • ほしおさなえ「活版印刷三日月堂 海からの手紙」
  • 埼玉県川越市にある小さな活版印刷所「三日月堂」を訪れる様々な人たちの姿を描いた連作短編集である。この「海からの手紙」は「星たちの栞」に続いて出された「活版印刷三日月堂」シリーズの第2弾になる。主人公は二十代の女性、月野弓子、「三日月堂」という名の活版印刷所を、ひとりで切り盛りしている。「三日月堂」は彼女の曽祖父が昭和初期に創業した印刷所で、それを祖父が継いで営んでいた。だが5年前、祖父が亡くなると [続きを読む]
  • 映画「フランス組曲」
  • 1940年、第二次世界大戦下のフランス。ナチスによってパリが陥落、さらにその侵攻の鉾先は地方にも及び、フランス中部に位置する街ビュシーもナチスによって占拠される。そこに住むヒロインのリュシルは、大地主の姑アンジェリ夫人とともにフランス軍の兵士として出兵した夫の帰りを待っている。厳格で気難しく、小作人に対する態度も容赦のない姑との生活は陰鬱なものでしかない。自分を押し殺しての毎日である。その邸宅にナ [続きを読む]
  • 映画「最愛の子」
  • 中国では毎年数多くの幼児誘拐事件が発生、大きな社会問題となっている。背景にあるのは、1979年から始まった「一人っ子政策」である。急激な人口増加を緩和するために中国政府が行った抑制策である。この政策により、原則として子供は1人に制限され、違反した場合は罰金が科せられることになった。そのため働き手や跡継ぎとなる男児の価値がよりいっそう高まり、養子をとるケースが増えていった。その結果、非合法な人身売買市場 [続きを読む]
  • 映画「起終点駅 ターミナル」
  • 桜木紫乃の小説、初の映画化作品である。先日桜木紫乃の「氷平線」を読んだ後、彼女のことを調べているなかで、この映画の存在を知ったのである。さっそく借りてきた。主演は佐藤浩市。ひとり暮しの初老の弁護士、鷲田完治を演じている。20年前には新進の裁判官だったが、ある事情から裁判官をやめ、今は国選弁護しか引き受けない弁護士として、ひっそりと生きている。そんな彼の元に弁護を担当した若い女性が、頼みごとと称して [続きを読む]
  • 島田雅彦「ニッチを探して」
  • ニッチ(Niche)とは「隙間」や「くぼみ」のこと。もともとは古代ローマ時代の建築で造られた、花瓶や彫刻などを置くためのくぼみのことであったが、現在ではビジネス用語として使われることが多い。また生物の「生息域」という意味でも使われることがあり、そのことについて小説では次のように書いている。<地球上には生物の多様な生息環境があり、それぞれの生息に適した場所を占める。その場所もしくは条件を「ニッチ」と呼ぶ [続きを読む]
  • 桜の剪定枝の配布
  • 今日から彼岸の入りである。昨日から岩木山ではスカイラインの除雪が始まった。また市内の多くの学校では卒業式も行われるなど、春の訪れを感じさせる話題が聞こえてくる。今年は雪が多く、今でも積雪は66センチと平年の倍近い量だ。それでも春は確実に近づいている。そんななか今日弘前公園の桜の剪定枝の配布が行われた。配布開始が8時半ということなので、少し早めに家を出て、8時には配布場所である緑の相談所に着いたが、も [続きを読む]
  • 桜木紫乃「氷平線」
  • 川本三郎の「物語の向こうに時代が見える」のなかで、< 桜木紫乃の第一作品集「氷平線」をはじめて読んだ時の新鮮な驚き、感動は強いものがあった。北海道の寒々とした風景にも、確かに、子供の自分が見た風景とつながるものがあった。 年齢から言って新しい作家のものを読むのはもう無理とあきらめていた時に、桜木紫乃の作品に出会って、現代の小説に引き戻された。 >と書いており、この評論集のなかで彼女についての評論を3 [続きを読む]
  • 佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」
  • 大正12年生まれ、九十歳を越えた作家、佐藤愛子が書いたベストセラー。図書館で予約したのがいつだったか、忘れてしまうほど長く待たされたが、ようやく順番がまわってきて借りることができた。女性セブンに連載されたエッセイをまとめたものである。2014年に始まった連載だが、、当時彼女は作家生活の集大成として長編小説『晩鐘』を書き上げたばかりで、これを最後に筆を断ち、のんびりと生活しようとしたところ。「書くべきこと [続きを読む]
  • 黒井千次「高く手を振る日」
  • 先日読んだ川本三郎の「物語の向こうに時代が見える」のなかでとりあげられていた小説である。そのなかで <この小説の主人公、嶺村浩平は七十代。大学時代、ゼミが同じだった女性と何十年ぶりかで再会し、恋らしきものをするが、結局は・・・・と老いの悲しみがにじみ出た小説になっている。といって決して湿っぽくはない。自分の老いを客観視しようという適度の距離感があり、それが軽いユーモアを生むし、ゆとりも感じさせる。 [続きを読む]
  • 川本三郎「物語の向こうに時代が見える」
  • 川本三郎のおそらく最新の単行本であろうと思う。図書館で予約しておいたが、短期間で借りることができた。どちらかといえば地味な部類に属するこうした評論集は、新刊であってもあまり待たずに借りることができるのでありがたい。今回の評論は映画ではなく、文芸評論である。題名からも判るように、小説のなかから今という時代を読み解こうとするものだ。とりあげた小説は24編、いずれも読み巧者である川本の目にかなった作家ば [続きを読む]
  • 映画「バクマン」
  • かつてマンガ少年だった。小学生の頃の愛読書は月刊マンガ雑誌「少年」。その他にも「少年クラブ」「冒険王」「少年画報」「少年ブック」「ぼくら」といった月刊誌があり、手塚治虫をはじめ横山光輝、竹内つなよし、桑田次郎、関谷ひさし、ちばてつや、石ノ森章太郎といった漫画家たちのマンガを夢中になって読んでいた。やがて月刊誌は衰退をはじめ、それに代わって登場したのが、「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」。昭 [続きを読む]
  • 乙川優三郎「ロゴスの市」
  • 「脊梁山脈」「トワイライト・シャッフル」「太陽は気を失う」に続く乙川優三郎の現代小説である。昭和55年、大学で出会ったふたりの男女「成川弘之と戒能(かいの)悠子」が、ともに翻訳家と同時通訳者として言葉の世界で生きていくことになる。そしてお互いに刺激し高め合いながら、それぞれの世界で着実に実績を積んでいく。いずれふたりは一緒になるのだろうとの予感があったが、なぜか彼女は突然別の男と結婚してしまい、ふ [続きを読む]
  • 水村美苗「本格小説 上・下」
  • 「私小説 from left to right」に続いて読んだ、水村美苗の小説「本格小説」。それにしても何という題名だろう。「私小説」に続いて「本格小説」とは。なるほど今回の小説は、確かに本格的な小説というのに相応しい内容の小説である。エミリー・ブロンテの「嵐が丘」を戦後の日本に置き換えて書いたといわれるだけあって、いかにも劇的な展開を見せる小説になっている。波乱の人生を生きる「東太郎」なる人物が「嵐が丘」のヒース [続きを読む]
  • 映画「愛する人」
  • 原題は『Mother and Child』、2009年製作のアメリカ映画である。その原題が示すように若くして娘を産んだ母親と、生まれてすぐに養女に出された娘の37年後を描いた映画である。但しそれを単純な母子再会の話にしないところが、この映画の優れたところ。老母の介護をしながら暮らす母親と、優秀な弁護士としてキャリアを重ねる娘の今に重ねて、養子を希望する若い黒人夫婦のエピソードを描くことで、さらに物語に深みと厚みをもた [続きを読む]
  • 高橋弘希「指の骨」
  • 三十代の新鋭が書いた戦争文学ということで話題になった小説である。著者の高橋弘希は1979年12月8日青森県十和田市生まれ。2014年にこの小説で、第46回新潮新人賞を受賞。また同作で第152回芥川賞候補、第28回三島賞候補となっている。戦争文学といえば、ほとんどが戦争経験者の書いたものというのが通り相場だが、これは戦争をまったく知らない世代が書いた戦争文学。そんな人間に果たして戦争が書けるのだろうかとの疑問が湧くが [続きを読む]
  • 春日太一「役者は一日にしてならず」
  • 時代劇研究家、春日太一が「週刊ポスト」に『役者は言葉でできている』と題して連載したインタビューをまとめたものである。取材した俳優はぜんぶで16人。登場順に書くと、平幹二郎、千葉真一、夏八木勲、中村敦夫、林与一、近藤正臣、松方弘樹、前田吟、平泉成、杉良太郎、蟹江敬三、綿引勝彦、伊吹五郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄、全員が還暦を越えたベテラン俳優ばかりである。ちなみにこの登場順は生年月日順でもある。この [続きを読む]
  • 休日は映画の日
  • 仕事が休みの日は、家内とふたりで映画を観ることにしている。特に冬は雪に閉じ込められ、外出も面倒なので、これがいちばんの過ごし方である。昨日がその休日であった。さっそくDVDを借りてきた。「クロワッサンで朝食を」と「麗しのサブリナ」の2本。「クロワッサンで朝食を」はフランス映画。ジャンヌ・モローが久しぶりに出演した映画である。「麗しのサブリナ」は先日「ローマの休日」を観て印象が強かったので、またもうい [続きを読む]
  • 水村美苗「私小説 from left to right」
  • 副題にある「from left to right」とはいったい何か?読む前に感じた疑問であるが、これはこの小説が横書きで書かれていることによるもの。なぜ横書きかといえば、文章に頻繁に英文が挿入されるからである。すなわちこれは十代から三十代までをアメリカで過ごした日本人女性の物語なのである。さらに「私小説」とあるように、作者自身の体験に基づいた小説でもある。そこでまずは水村美苗のプロフィールから。1951年東京生まれ。12 [続きを読む]
  • 映画「ローマの休日」
  • 一昨日BSプレミアムで「ローマの休日」が放映された。これまで繰り返し何度も見たが、テレビで放映されるとやはり観てしまう。そして気がつくと映画の世界にどっぷりとはまってしまっている。笑いあり涙あり、そしてため息が出るような名場面の連続、まさに名画中の名画である。監督は名匠ウィリアム・ワイラー、そして脚本はイアン・マクレラン・ハンター。これはすなわちダルトン・トランボの偽名である。当時ダルトン・トランボ [続きを読む]
  • 沢木耕太郎「銀の街から」
  • 沢木耕太郎は朝日新聞で毎月1回映画について書いている。2007年から始まった連載である。そして2014年に180回を迎えた。最初の90回までの連載が「銀の森へ」というタイトルで、次の90回が「銀の街から」というタイトルであった。そこでその連載を2冊に分け、それぞれのタイトルをつけて出版することになったのである。この本で取り上げられた映画のうち、観た映画を数えてみると41本。約半分近くを観ていること [続きを読む]
  • 宮下奈都「羊と鋼の森」
  • 昨年度の本屋大賞を受賞した小説ということで、図書館に予約したのが2か月前のこと。ようやく順番がまわってきた。本屋大賞受賞ということと同時に興味をそそられたのは、そのちょっと謎めいた題名である。読んでみてわかったが、これはピアノのことを表した言葉であった。羊はピアノの弦を叩くハンマーに付いている羊毛のこと、鋼はピアノの弦、そして森はピアノ本体の木材を指している。その言葉が示すように、この小説はピアノ [続きを読む]
  • 映画「チャイルド44 森に消えた子供たち」
  • この映画の原作であるトム・ロブ・スミスの小説は3年前に読んだ。2009年の「このミステリーがすごい! 海外編」で第1位になった小説である。その圧倒的な面白さは、3年経った今でもはっきりと憶えている。それを映画化したのが、この映画である。だが果たしてその面白さがどの程度再現されているのか。観る前はいささか不安であったが、その心配は映画が始まるとすぐに解消された。1953年のモスクワが舞台であるが、その時代の再 [続きを読む]
  • 藤岡陽子「手のひらの音符」
  • 初めて読む作家である。この本を読むまで、知らなかった。それほど知名度のある作家ではない。著者紹介によると、1971年京都府生まれ。スポーツ記者として勤務した後、すべてをリセットすべくタンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後、慈恵看護専門学校に入り、看護師資格を習得。さらに大阪文学学校で小説を学び、2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。<いまも [続きを読む]