井上智公 さん プロフィール

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井上智公さん: 泣きながら一気に書きました
ハンドル名井上智公 さん
ブログタイトル泣きながら一気に書きました
ブログURLhttp://tmykinoue.hatenablog.com/
サイト紹介文妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟
自由文文筆業。
基本的に嘘泣きです。
よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供119回 / 365日(平均2.3回/週) - 参加 2008/12/16 15:32

井上智公 さんのブログ記事

  • 勇者・二度見村ミム彦の誤解
  • 勇者・二度見村ミム彦はいわゆる「二度見」の天才であった。彼はあらゆるものを二度見る。そして一度見た段階では確実に見間違えるが、再び同じものが視野に入ればその対象を正確に把握することができる。めでたく二十歳の誕生日を迎えたその日、ミム彦は初めて宮殿に招かれた。この村では、勇者が成人するとその日に王様から重大な任務を言い渡されるのが通例である。身なりを整えつつ窓の外にちらりと目を遣ると、どうやら雨が降 [続きを読む]
  • 似合わせなカット
  • 近ごろ髪切り場の看板黒板そしてネット上でやたらと目撃するようになった謎のメニューがある。「似合わせカット ¥6,480」なんということでしょう。なんだかわからないが、このメニュー名からは「言葉の圧」のようなものが強烈に発散されている。「似合わせる」という使役文体が、その強制力を遺憾なく発揮しているのかもしれない。しかしその「言葉の圧」がどの方向に向けられているかというと、これがよくわからない。「絶対に [続きを読む]
  • カールの乱、ポテチの変
  • 日本はついに、カールとポテチのない未曾有の時代へと突入した。正確にいえば完全にないわけではないが西日本限定になったり品薄だったりで、まあ大雑把にいえば「ない」というか「入手困難な状況が継続、あるいはわりと頻繁に起こり得る」という時代になったというわけだ。しかしこれは大変なことである。大変なことなのだよ諸君。www.huffingtonpost.jpwww.jiji.comはたしてこの先我々は、どのようにして生きていけば良いという [続きを読む]
  • 連載小説「二言武士」/第五言:過言はあれど二言なし
  • 「実はワシ、このジム畳もうと思ってるんだよね」オールドジムの支配人である「過言武士」こと過田減迫が、市中引き回されマシンに絶賛振り回され中の覆之介の耳に遠慮なく相談を投げかける。「なんかほら、毎日マッチョばっかり見てるの耐えらんなくて」いつも言い過ぎる過田にしてはまともな相談であったが、理由が心底しょうもなかった。覆之介はマシンにめくるめくジャイアントスイングを喰らいながらも辛うじてその声を聴き取 [続きを読む]
  • 短篇小説「河童の一日 其ノ十三」
  • 近ごろなんだか調子が出ない。どはいえ調子が出たところでたいしたことはない。それは僕が河童だからなんじゃないか。ついついそんな後ろ向きなことばかり考えてしまうのは、たぶんこの気候のせいだ。寒いようで暑い、暑いようで寒い。河童はそんな思わせぶりな気候が案外苦手で、だから五月病にもなりやすい。ことわざで有名な「河童の川流れ」の約六割が、五月中に起こっているというデータ(日本河童総研調べ)がそれを如実に物 [続きを読む]
  • 現在企画頓挫中の新書タイトル一覧
  • 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』あたりからだろうか。最近の新書はとにかく「タイトルありき」の羊頭狗肉が横行しているとの評判である。ならばまずタイトルから決めてしまうのが良いのではないか、と思いタイトルから決めたところ、結構思いつくには思いついたが内容的にはすべてが自分の中で頓挫した。原因はタイトルしか考えていないからである。中身はもちろん一文字も書いていない。これは大きな誤算であった。以下にその [続きを読む]
  • 短篇小説「雨のドラゲナイ」
  • 竜治は雨が降るとドラゲナイ気持ちになる。とはいえ竜治は一介の会社員。今朝も満員電車にドラゲナイしなければならない。二度寝が深まりすぎないうちに一大決心をして掛け布団を勢いよくドラゲナイした竜治は、トイレで用を、洗面所で顔をそれぞれドラゲナイしてから、ガスコンロでお湯を沸かしてインスタントコーヒーをドラゲナイするのが毎朝のルーティーンだ。冷蔵庫から卵を取り出し、それをフライパンでドラゲナイするか目玉 [続きを読む]
  • 絶対に出ない国語現代文入試問題
  • 【問1】傍線部(ア)でクワマンが3度目の盗難に遭ったときの気持ちを、20字以内で答えなさい。【問2】傍線部(イ)で指摘されている細川たかしの髪型を表現するのに、最適な四字熟語を以下の選択肢から選びなさい。 A. 猪突猛進 B. 七転八倒 C. 百花繚乱 D. 明鏡止水 E. 臥薪嘗胆 F. 四面楚歌【問3】傍線部(ウ)〜(カ)のカタカナを漢字に直しなさい。(ウ)オオスギレン (エ)ガシュウインタツヤ (オ)コヒナタフミヨ [続きを読む]
  • 短篇小説「死ぬのは面倒」
  • 喪之彦は樹海の中にいた。人生に絶望した男は、ひっそりと自ら首をくくるための死に場所を探し歩いていた。とにかく丈夫な木を探す必要があったが、そんなものは樹海にはいくらでもあった。喪之彦は幹だけでなく枝まで太く頑丈な木を選ぶと、さっそくそこにリュックの中から取りだした「縄丸くん」を取りつけにかかった。首つりに縄が必要なのはもちろん知っていたが、喪之彦は縄できっちり輪っかを作ることができるか不安だったの [続きを読む]
  • 短篇小説「森の覇者アラクレシスの三択」
  • 森の覇者アラクレシスは覇者と呼ばれるくらいだから喧嘩は抜群に強かったが、ジャンケンがすこぶる弱かった。アラクレシスの生涯ジャンケン戦績は「400戦無勝」であったと言われている。そして彼の人生における重大な岐路には、必ずジャンケンが壁となって立ちはだかった。森に住む人々も動物たちも、みなジャンケンが大好きだった。決定事項はすべて、ジャンケンで決めるのがこの森の通例であった。そして人生とはつまり選択の連 [続きを読む]
  • 短篇小説「いい意味で唯々男」
  • 飯田唯々男はいい意味でいい加減な男だった。唯々男はいつもいいスーツをいい具合に着崩していたが、そのラフさが彼をいい意味でいい人に見せていた。そのうえ唯々男は近ごろいい感じに太ってきているため、勢いよく息を吸い込んでスーツのボタンを留めるといい意味ではちきれんばかりになってしまい、そこから下手に息を吐いたが最後、いいように全ボタンがはじけ飛んで、せっかくのいいスーツがいい按配でつんつるてんになってし [続きを読む]
  • 短篇小説「天天天職」
  • どんな仕事にもその職務内で発揮される「才能」というものがあり、逆にいえば人にはその「才能」を生かす「天職」というものがあるらしい。「才能」というのはけっして、スポーツ選手や芸術家にのみ求められるものではない。映画チケットのもぎりにすら「才能」というものはあるのだ。ちなみに私はいま、学生を「天職」へと導くべく就活塾を開いている。そこで生徒に教えているのは、何も複雑なことではない。単に自らの「天職を知 [続きを読む]
  • 短篇小説「もはやがばわないばあちゃん」
  • がばいばあちゃんが思ったほどがばわなくなったのはいつの日からだろうか。がばいばあちゃんは、とにかくいつでも誰にでもがばうばあちゃんだった。イケメンにも不細工にも分けへだてなくがばうし、いったんがばうと決めたら老若男女も国籍も問わない。西に倒れている人あれば駆けつけてこれをがばうし、東に食い逃げ犯あれば持っている杖をためらいなく抛ってがばう。たとえば若手刑事とがばいばあちゃんがバディを組んだとして、 [続きを読む]
  • 短篇小説「河童の一日 其ノ十二」
  • 河童にだってお洒落は必要だ。でもお洒落にはリスクがつきもので。学校から帰ると、茨城から流れて来た爺ちゃんが居間で甲羅を磨いていた。人間だと乾布摩擦というのかもしれないが、フォームは同じでもやっていることの意味は全然違う。ボーリングとスカートめくりくらい違う。いやそこまでは違わないかもしれないが違うことは違う。激しく磨かれることにより艶めいた甲羅は、同族から見てもちょっと気色悪い。背後に回された爺ち [続きを読む]
  • 短篇小説「号泣家」
  • 私は奇妙なことに、泣きながら産まれてきたのだとのちに母親から聞かされた。私がそんな奇抜なスタイルで産まれてきたのは、きっと両親が泣きながら出逢ったからだ。産まれてこのかた、私はずっと泣いている。何をするときも確実に泣いている。飯を食うときも風呂に入るときも屁をこくときも泣いている。水分はわりとこまめに摂るほうだ。朝起きたらもう泣いている。きっと寝ている間もずっと泣いているのだろう。しかしよく訊かれ [続きを読む]
  • 短篇小説「最後の勇者」
  • 王様に呼び出されるというのは、つまり職員室に呼び出されるようなもので、だいたい叱られるものと相場が決まっている。しかしこの日は違った。城の大広間にでんと鎮座している王様の前に跪くと、王様は僕の手を取り神妙な顔を作り込んで言った。「よくぞ参った。もうお前しかおらんねん」そんなことだろうと思った。ずっと引きこもってゲームばかりしていたので気づくのがすっかり遅れたが、引きこもりニートの僕に声がかかるとい [続きを読む]
  • 連載小説「二言武士」/第四言:市中引き回されマシン
  • なんといっても武士は体が資本である。さしあたっての得物である「バールのようなもの」の圧倒的魅力により六人の岡っ引きをまんまと丸め込み、自らの器物損壊罪をもみ消すことに成功した覆之介は、家に帰る前に会員制スポーツジムで汗を流すことにした。近々関ヶ原レベルの大いくさが勃発するという噂が流れている。その手の風説の流布は武士の世の常であり、いちいち真に受けていたらおちおち寝ることも、『こち亀』全200巻を読 [続きを読む]
  • 短篇小説「私が全自動になっても」
  • 何もかもが全自動化されたこの世界で、自動でないのはもはや人間の心だけだ。もちろんこの文章も全自動で書いている。いや書かせている。むしろ書かれている。その証拠はいずれ表れることになるだろう。水道の蛇口が自動水栓になった際にも驚いたものだが、今や自動水栓を洗うのも自動水栓を洗ったブラシを洗うのも、そのブラシを乾かすのも頃あいを見計らって新品と交換するのも古くなったのを燃えるごみの日に出すのも、すべてが [続きを読む]
  • ゆとり鬼逃走中
  • ここ数日、節分から逃げてきた鬼たちがわが家に続々と駆け込んでいる。もちろん、うちに豆シェルターを完備しているからである。毎年のことではあるのだが、今年はちょっと数が多いような気もする。やはりゆとり教育のせいで、豆に弱い鬼が増えているのだろうか。鬼の世界にも、昔は容赦なく豆を投げつける先生がいたものだが、近ごろは鬼親の苦情やネットでの悪評を怖れて、すっかりそういう鬼教師はいなくなったらしい。昔は鬼教 [続きを読む]
  • ルパンに奪われしものたち シーズン3
  • ルパンはこれまで、世界中の人々からさまざまな物を奪ってきた。いや、奪われたのは物だけではない。心や概念までも。これはルパンの最新版盗難記録である。銭形「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたのモスキート音です」(ジャパネット高田姫に)銭形「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの息子の運転免許証です」(志茂田景樹姫に)銭形「いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。 [続きを読む]
  • 短篇小説「忘却無人」
  • ポストにちらしが入っていたのがすべてのはじまりだった。ちらしといっても広告ではなくちらし寿司である。ポストかと思ったものはホストで、要はホストが家の前でちらし寿司を食っていたのである。いや食っていたのではなく、繰っていたのかもしれない。ということはやはりちらし寿司ではなく、広告のほうのちらしだったのか。だとしたらホストではなくポストだと考えたほうが自然だということになる。いつも帰宅時にするように、 [続きを読む]