花瀬実 さん プロフィール

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花瀬実さん: 2097
ハンドル名花瀬実 さん
ブログタイトル2097
ブログURLhttps://ameblo.jp/lanevoiv/
サイト紹介文今回の新作はSFです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供67回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2009/01/16 00:54

花瀬実 さんのブログ記事

  • コンクエスト赤の惑星 −148−
  • −148− 「とにかく、我々は可能性がある限り、それを目標に設定することは間違いではないということでしょう」滝沢が力説した。「・・そうだな・・やっぱりドクが正しいか・・」アイルズも納得せざるを得ない。「納得いただけたなら、今後の計画の概要について改めて意見を頂戴したいと思います」ロビンソンがこの会合の本来の目的を切り出した。「ええ、いいわ」ラインハルトが同調すると、他の者も頷いた。「それでは、皆さ [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −147−
  • −147− 「では、意見の一致を見たところで、これからのプランの大まかな骨格を考えたいのですが、何か言うことがあれば・・」ロビンソンは一同を見渡した。「最も重要なのは、出発時期をある程度明確にしておくことを上げたいですね」滝沢がすかさず声を上げた。「・・だけど、現時点では想像もつかないんじゃないか。何一つそれを決められるような状況ではないと思うが・・」アイルズがその意見に疑問を呈した。「ええ、もち [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −146−
  • −146− 「いえ、それがそうとも言えないんですよ。どういうことかといいますと、地球に残るのではなく、人工惑星に移住しようというものなんです」ロビンソンはそんな疑問も予想していたようだった。「・・人工惑星だって?」「聞くところによると、建造する“ノア”を、そのまま惑星軌道に乗せるというだけなんですから、特別なことは無いと言えばないのですが・・」「・・なるほど・・それはそれでありかもしれないけど、永 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −145−
  • −145− 「皆さん、お待たせしました」ロビンソンは居住区Aブロックのサブコンに入ると、その顔触れに一礼した。彼を待っていたのは元老院のメンバーだった。今やほとんど使われることのない居住区内に設けられたサブコンことサブ・コントロール室に集まって、ロビンソン代表議長を待っていたのだ。年齢を重ね、居住区に籠ることの多い元老院のメンバーとの会合は、大抵がここで行われている。「構わないわよ。わたしたちは暇 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −144−
  • −144− ここ“ニューアース”で生まれた生まれた子供もすでに100人を超えており、亡くなった人を差し引いても人口は100人以上増えていた。コロニー人口の上限は今のところ3500人と見積もられており、余裕はあと900人弱となる。このままいけば将来的には産児制限も必要となるかもしれない。この辺りの事情は、資源開発と食料供給量によって左右されるだろう。つまり、人間が無理なく養えるであろうキャパシティー [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −143−
  • −143− 火星暦14年11月 コロニーではすっかり日常が違和感なく定着していた。地上に降りた翌年、この地を“ニューアース”と正式に命名された。そして今年、入植10周年を迎え、先日記念式典も開催された。但し、10年といっても火星暦であるから、地球の暦でいうならおよそ17年が経っている。この10年でコロニーは大いにその完成度を高め、ずいぶんと様変わりもしていた。最も変わったのが、あの回転する居住区であ [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −142−
  • −142− 10日後、作戦はほぼ終了を迎えていた。新たな居住区では、住人達も落ち着いた生活を送り始めている。人々は地球を脱出してから、最も安心して暮らしていることだろう。子供たちは学校に通い始め、若い男女には高等教育も再開されてた。この日、ラインハルト代表議長は、かねてからの予定通り議会を招集した。顔ぶれはいつもの中枢メンバーと、住民を代表するブロック長たちだ。全員が揃ったところで、ラインハルトが [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −141−
  • −141− ギブソンを迎えたのは妻のマデリンだった。彼女も軍人だった過去を持つ。二人はしばし無言で抱き合った。「・・・やっと終わったよ・・」ギブソンは呟くように言って、妻の顔をじっと見た。「・・・これで危険な任務からやっと解放されるのよね。嬉しいわ」「ま、そうだけど、すべてが終わったわけではないからね。何事か起こり、要請があればその時は受けざるを得ないから、そのつもりでいてくれよ」「でも・・できる [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −140−
  • −140− 主要メンバーの中で唯一パートナーのいないエドワードを迎えたのは、妹のナオミと、弟のティムだった。二人はまだティーンエージャーだ。ナオミは大学生の身分で、火星コロニーの運営を担うべく、次世代の人材として教育を受けている。一方のティムはまだ高校生で、今年の12月から姉と同じ大学生となる予定だ。「・・あ・・エディ、やっと帰ってきたわね。待ちくたびれたから、先に食べちゃったわよ。食べるんだった [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −139−
  • −139− 滝沢も疲れ切っていた。火星ミッションで最大最難関のプロジェクトの事実上の総合指揮を終えた身に、久しく遠ざかっていた重力が余計に疲労を増幅させているようで、身体が重く、動くのが億劫で仕方なかった。他の白人や黒人メンバーのタフさを目の当たりにし、体力的なコンプレックスを感じずにはいられないようだ。やはりアスリートでもない限り、東洋人は他の人種には敵わないのかもしれない。彼はやっとの思いで新 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −138−
  • −138− ラインハルトが新居に戻ると、先に帰っていた夫のヨハンと、12歳の息子ミハエルが、住居としての体裁を整えることに奮闘していた。「ただいま」「・・アンネ、おかえり」二人はハグを交わした。「・・ママ、おかえりなさい」「ミハエル、ただいま」母が帰ってきたことに気が付いた息子は、作業を中断して母のもとに駆け寄り、抱きついた。「どお?自分の部屋は元通りになったの?」「うん、もう終わったから、パパを [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −137−
  • −137− 「・・ずいぶんと様子が変わったわね」ラインハルトは内部に足を踏み入れると、周囲を見回して呟いた。「セルも床も取り付け角度が変更されて、景色が相当変わったからね」エドワードも高揚した様子を隠せない。「・・それにしても身体が重く感じるなぁ」アイルズが気怠そうに漏らす。「もう、低重力下の環境が長くなって、元に戻るのに少々時間がかかるかもしれないな」ギブソンも疲れ気味の身体には堪えるようだ。「 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −136−
  • −136− その小さめの窓から居住区の底面の一部が見えるが、それが一呼吸おいてじわりと動き出すのが見て取れた。一同は滝沢を除いて控えめな歓声を上げ、隣の人と握手とハグを交わして喜びを表した。「・・まだ喜ぶのは早いですよ。安定的に回るとは限りませんから・・」滝沢は背中を向けたまま、コンソールの計器類を忙しく見回している。設定した回転速度まで達するのに90秒ほどかかった。滝沢はその後もしばらくは緊張し [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −135−
  • −135− 新居住区に入居予定の全員が移動し終わったのは、その日の夕刻だった。もちろん、まだこれで終わりではない。この新たな居住スペースを恒久的なものにするには、更なる作業工程が必要である。それらの作業は翌日から始められた。最初に取り掛かったのは、最も手間のかかる作業の一つである着陸ギアの取り外しだった。一基は既に外されているが、残りの15基を撤去するのに、丸二日を要してしまった。ギアに荷重はかか [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −134−
  • −134− 「サム、ポール、おめでとう。ファースト・チルドレンの一員になるわね」ラインハルトが久しぶりに見せる笑顔で祝福した。「ありがとう」「あなたたちの子供なら、きっと優秀な子が生まれるわよ」「さあ、そう願いたいわ」「いや、きっとそうさ。僕らの子だろう」ロビンソンが自信ありげに宣言した。「そうよ、ポールの言う通りだわ」 これまでにレッドプラネット号内で生まれた子供は十数人いたから、その子供たちが“ [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −133−
  • −133− そして、10メートルも進まないうちにエンプティ(空)を示す連続音に変化した。ロビンソンは大きく息を吸って、呼吸を止めた。ヘッドギアの中にはまだ酸素が残っているが、最後の手段として温存するつもりだ。しかし、強風を受けながら歩くのと、焦り。これらの副作用として、肺の中の酸素は急ピッチで消費され、1分もしないうちに限界を迎えてしまった。彼は堪らず息を吐きだし、呼吸を再開させる。そして十数秒が [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −132−
  • −132− そのピットコントロールから、ガラス越しにピットの様子がうかがえる。滝沢がその窓に姿を見せると、ベルトランが彼に向けて親指を立てた。滝沢は頷いて、外へ出るためのエア・チェンバーの扉を開くボタンを押した。そして、6名全員が入って扉が閉まったことを見届けると、ピット解放の準備も整っていることを確認した。数秒後、チームがピット内に現れ、外へ通じるハッチの前へ進む。滝沢はすかさずハッチ解放のボタ [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −131−
  • −131− 滑走路とキャンプを繋ぐこの道は、地形に合わせて上下にうねっているのだが、その突風はちょうどうねりの頂上に達したタイミングだったのだ。ローバーは簡単にグリップを失い、斜めになって緩い坂を下り始めた。マークはもちろんブレーキを踏むが、車輪は簡単にロックしてしまい、コントロールを失ってしまった。強い追い風と下り坂という条件ももちろんだが、小さい重力と、それと不釣り合いに大きな慣性質量の組み合 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −130−
  • −130− ローバーは少しだが速度を上げた。そのほんの僅かなスピードアップでも、車体の揺れが大きくなったことを、全員が肌で感じた。ギブソンは無線のスイッチを入れる。「・・ギブソンだ、あと5分ほどで到着するんだが、酸素がぎりぎりだから、対処を頼みます」「ええ、わかったわ。ゲートを通過したら教えて。すぐにハッチを開けるから、そのまま突っ込んでちょうだい。エアユニットを用意しておくわ」今度はラインハルト [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −129−
  • −129− 「サマンサ、我々は移動を再開するよ。受け入れ態勢を準備万端整えるよう、アンネに伝えてくれ」ギブソンは決断した。ラインハルトは救出作戦が一段落した時点で、他の仕事をこなす為にそこを離れていた。「任せて、もうじき議長も戻ってくるから伝えておくわ。そっちの状況も変化があったら逐一知らせてちょうだい」「もちろんそうするよ」「とにかく気を付けてちょうだい。ね、ポール・・」「・・なんだい?」ロビン [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −128−
  • −128− 「問題は酸素だな・・あと・・1時間少々で尽きてしまう計算になると思うが・・」ギブソンは迷った。「順調に行けば、あと30分くらいでキャンプに戻れると踏んでたんだけど、つまりここでの待機が30分を超えるとアウトだよ、どうするの?」エドワードの不安は大きくなる一方だ。「エアユニットをもっと余分に持ってこられれば良かったのですが、作業人員の大量動員が続いたことでストックが尽きたせいもあって、置 [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −127−
  • −127− 「苦労かけたな、ここまでスムーズに来れたかい?」ギブソンが狭い車内を苦労して前席へ移りながら訊いた。「時間がかかりましたが、なんとか・・。重りになる物を積み込んだもので、足元が狭く窮屈だと思いますが、我慢してください」「大丈夫だよ、これがなきゃ風にあおられてひっくり返るかもしれないんだから、気にするな」エドワードはこれを自分が指示したことを言わなかった。ギブソンはそのやり取りを聞い [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −126−
  • −126− マークはローバーをとめて、無線を使った。「こちらマーク・スペンサー。聞こえますか」「・・・マークか。着いたのか?」彼の直接の上官であるギブソンが答えた。「はい、すぐ下にいます。エアユニットを持ってきていますから、対処願います」「わかった、少し待ってろ。お前はそのまま下りずに車内にいろよ」「了解です」彼らは早速行動を開始した。事前に話し合って決めた通り、ハッチを開くと、4人が強風吹き [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −125−
  • −125− 30分で準備は整えられた。先日のロビンソン夫妻の救出に使った例のシェル付きローバーに、重しとなる重量物と、残される4人のためのエアユニット8セットが積み込まれている。ドライバーはその時と同じく、マーク・スペンサーが担う。「では、行ってきます」マークは完全装備でローバーに乗り込んだ。「お願いね。くれぐれも気を付けて・・」ラインハルトが無線を通じて言葉をかけた。ローバーが収められたプラ [続きを読む]
  • コンクエスト赤の惑星 −124−
  • −124− 強風に煽られた7人は一様に足を取られ、ますます足運びが鈍った。それでも這うようにしてステップにたどり着くと、階段をよじ登る。そして、次々とハッチの内側に這い上がり、最後のロビンソンが引っ張り上げるように収容されると、大急ぎでハッチが閉じられた。7人はぐったりした様子でその場に座り込むものもいた。 「議長、ひとまず全員無事に避難できました」ギブソンは早速指令室に連絡を入れた [続きを読む]