ヒロハル さん プロフィール

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ヒロハルさん: 三流自作小説劇場
ハンドル名ヒロハル さん
ブログタイトル三流自作小説劇場
ブログURLhttp://hiroharukohno.blog65.fc2.com/
サイト紹介文現代をベースに恋愛、ファンタジー、SFなどあらゆるジャンルに挑戦。まずは小説風作品紹介からどうそ。
自由文主に舞台が現代の自作小説をブログにてを公開しております。是非一度覗いてくださいませ。ブログでは主に短編小説を連載、近頃は長編もやっております。時折、日々の呟きがございます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供38回 / 365日(平均0.7回/週) - 参加 2009/01/28 20:27

ヒロハル さんのブログ記事

  • 『赤い糸をたどって』 第三十一回
  •  次の日曜日は若槻と会う約束をしていた。彼女の意見で「今回は春見さんの希望に合わせます」ということになった。  暑さも本格化してきたため、冷房のよく効いた場所にいられる映画鑑賞で決まった。ドライブを兼ねて少々遠方のショッピングモールまで行き、その中にある映画館を利用することにした。特別観たいというわけでもなかったが、俺の趣味でアクションものの洋画を選んだ。若槻も「いいですよ」と二つ返事で答えてくれ [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第三十回
  • 「わあ、改めて見ると大きいですね」  目の前のそびえ立つキリンを見上げて、松田は無邪気に笑った。  彼女がリクエストした「行きたいところ」というのは動物園だった。  動物たちの姿を見て癒されたかったらしい。本人は、少々子供っぽいかなと思っていたようだが、俺も童心に帰って、久しぶりに行ってみたいという気持ちになった。  美しさや幻想的な雰囲気が楽しめる水族館と違い、臭いや敷地の大きさを考えると、動物園は [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十九回
  •  当日。待ち合わせ場所は直接その店だ。 午前十時四十五分頃に『今、お店の前で待っています』と、松田からメールが届いた。 約束は十一時なので、随分と余裕がある。 時間にもきっちりとした人らしい。 昨日の夜、予定通りで大丈夫かを確認すると、『はい。大丈夫です』と返事があった。ただし、その時点で時刻は午後十時過ぎで、『まだ仕事中です』と書いてあった。 ひょっとすると、休むために必死になって仕事をこなした [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十八回
  •  六月に申し込んだM子という女性から『お受けします』の返事が届いた。 本名は松田智花。年齢は二十八歳。ルックスは、今まで実際に会った女性の中ではいいほうに入ると思う。目がくりっとしていて可愛らしい。『はじめまして。毎日、仕事に追われ、忙しい日々を過ごしています。そのせいもあって、出会いが全くありません。素敵な人が見つかればいいなと思います。理想の夫婦像は両親。二人のようにいつまでも仲良く人生を共に [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十七回
  •  岬シーパークを出て、若槻を彼女の住むマンションの近くまで送り届けたのは、午後五時過ぎだった。 若槻は終始笑顔で、心から今日一日を楽しんでくれたように見えた。「若槻さん、夕食はどうする?」 すぐに答えはもらえなかった。若槻はしばらく考えるような表情をした後、「ゴメンなさい」と申し訳なさげに口を開いた。「せっかくなんですけど、ココアの散歩もあるし、洗濯や掃除もやっておきたいので」「アイロンがけもある [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十六回
  •  水族館へ行くことになったのは、五月最後の日曜日。契約期間終了までちょうど四ヶ月だ。 水族館は以前、小谷と一緒に行った岬シーパークだ。別の水族館が良かったのだが、同スケールのものはこの近くにはない。ただ、前回はどうにも忙しなかったため、ちょうどいいと言えば、ちょうどいい。 待ち合わせはB駅で、俺が車で迎えに行くことになっていた。目的地までおよそ一時間のドライブ。小谷の時は、彼女の都合に合わせて電車 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十五回
  •  数日後、俺の手元に若槻の紹介状が届いた。 仕事ではなく、プライベイトであんなふうに落ち着いて話をしたのは、もちろん、初めてのことだった。彼女に抱いた印象は、自分でも思った以上に良かった。以前に紹介状を返却した理由は、同僚たちの目を気にしてだった。 しかし若槻も会社の連中の面倒臭さはわかっているし、あからさまに仮交際中であることを匂わせたりはしないだろう。会社での言動にさえ注意すれば、問題ない。  [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十四回
  •  ゴールデンウィークが終わって最初の日曜日、ホテルで行われる「春よ、恋」という立食パーティに参加した。参加人数は男女共に十五人ずつ。時間は午前十一時から午後一時までの二時間。前回の喫茶店でのパーティの時のように順番に話していくわけではなく、「自分から積極的に相手を選んで会話する形式になっている」と、司会の女性スタッフ、橘が説明した。 時間の関係上、全員と話せるわけではない。始めからある程度相手を絞 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十三回
  • 「女はもっと現実的です」 確か沢口も同じことを言っていた。俺の考えは現実離れしていて可笑しいものなんだろうか。いや、それにしても小谷の言葉が正しかったとは思えない。他人に対する思いやりがない。 現実的というより、機械的だ。あんな女と結婚するくらいなら、このまま独身のほうが余程マシだ。 夜になり、小谷からメールが届いた。件名は「ありがとうございました」 文句でも送ってきたのだろう。仮に謝られたところ [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十二回
  •  夕食を済ませて風呂から上がると、ケータイのランプがチカチカと点滅していた。『着信あり』と『新着メールあり』 どちらも小谷からだった。『こんばんは。春見さん。今日はありがとうございました。電話したんですけど、出られなかったので、用件のみメールで送らせてもらいますね。 あの後、二人の方とお会いしましたが、一番印象が良かったのは春見さんでした。できればまたお会いしたいのですが、いかがでしょうか? 今度 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十一回
  •  カフェに着くと、小谷は迷う様子もなく、一番入口に近い空いた席に腰掛けた。「どこへ座るか」なんて悩むことさえ彼女には無駄なんだろう。ウェイトレスが水を持ってくるなり、小谷は「私、ホットコーヒーで」と素早く注文を済ませる。「春見さんは?」と急かされてしまい、「メニューお願いします」と言える雰囲気ではなくなった。仕方なくホットコーヒーを頼むことにした。「ゴメンなさいね。あまり時間がないもんだから、つい [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第二十回
  •  若槻はわざとらしく、「はじめまして」と頭を下げてくる。「あっ、はじめまして」と俺もそれに応える。もはや気まずさのようなものはない。一応、自己紹介カードを交換する。「まさか春見さんがブーケトスの会員だったなんて、思ってもみませんでした」「俺だって同じだよ。だって若槻さんはまだ結婚とか考えているようには見えなかったしさ」 本当は知っていたけどね。「そんなこと言ったらまた牛島さんがうるさいでしょ?」「 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十九回
  •  パーティの日がやってきた。事前に郵送されてきた地図を頼りに会場へ向かった。 とりあえず一人でもいいので、つながりを作っておきたい。 会場である「憩い」という名の喫茶店は駅ビルの地下にあった。壁に赤いレンガタイルを張った昔ながらの造りをしていた。 開けっぱなしのドアの内側に『本日貸し切り』の札が掛かっている。午前中は、俺の参加する二十代から三十代前半組で、午後からは三十代後半から五十代の組に別れて [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十八回
  •  待ち合わせに使ったロータリーに車が到着した。 山上が「今日はどうもありがとうございました」と笑顔を見せた。それを見ても、「もういいか」とはならなかった。「山上さん」「はい」「あれはあんまりなんじゃないですか?」「何のことですか?」 山上は自分のしたことに対して悪気を感じている様子はない。「僕に断りもなしに御両親と会わせたことです」「ああ、そのことですか。あまりに突然で心の準備をする暇もなかったで [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十七回
  •  橋添のスケジュールに合わせるため、結局、大した話をすることもなく、スイーツを食べただけで帰ることになった。 ケーキ三つを一気に胃の中へ放り込んだため、少し気分が悪かった。車に乗り込み、シートベルトを締めると、思わず「おえっ」という声が出そうだった。「橋添さんの家の近所まで送りますか? それともどこかの駅がいいですか?」「じゃあ、F駅でお願いします。そこまで彼氏が迎えに来てくれるので」「了解です」 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十六回
  •  山上のメールは以前に比べると少しは減り、一日に二回程度になった。このくらいのペースなら苦もなく続けられるというものだ。 そこへ橋添からのメールが一通紛れ込んできた。『今度の日曜、休みがとれたので会いませんか?』 実を言うと、少し前に山上から「次の日曜日も会いたい」というメールをもらっていたが、まだ返事はしていなかった。 橋添とはなかなか休日が合わないし、これを逃すと次はいつになるかもわからない。 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十五回
  •  それを皮切りに、朝、昼、夕方、そして夜と、最低でも一日四回は山上からメールが届くようになった。内容はと言えば、挨拶と雑談がほとんどだった。四六時中ケータイと睨めっこしているわけではないが、さすがにこれだけ頻繁に送って来られると辛いものがあった。婚活の一つとして割り切るつもりだったが、やはり言うべきことは言ったほうがいいだろう。『山上さんに一つお願いがあります。メールを送ってきてくれるのはとても嬉 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十四回
  • 「他の男性に会われるときもやっぱり車なんですか?」「そうですね。大抵は」と、山上は前を向いたまま答えた。その横顔をじっと見た。 とり立てて美人でもなく、ブスでもない。ごく普通のどこにでもいる女性だ。「運転が好きだからですか?」「それもありますけど……」 そう言ったまま、山上が黙り込む。「どうかしましたか?」「あっ、いいえ。あの……笑わないって約束してくれますか?」 何が言いたいのか、さっぱりわから [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十三回
  •  橋添の案内してくれたのは、「ぷろヴぁんす」という名の店で、白い壁に赤茶色の洋瓦の屋根を乗せたカワイらしい外観をしていた。店先のプランターに植えられたオリーブの木に木製の縁がついた黒板がぶら下がっていて「本日のシェフのオススメは心も体も温まるまろやかパンプキンシチューです』と白チョークで書いてある。女性ウケしそうなので、別の誰かを連れてきてもいいなと、 橋添には口が裂けても言えない考えが頭を横切っ [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十二回
  •  有料オプションAへの申し込み効果はちゃんと出た。正月休みが終わり、仕事が平常業務へと落ち着き始めた頃、続々と女性会員の紹介状が届くようになった。年齢は二十歳から四十歳までと幅広いが、有難いことに俺のストライクゾーンである、二十代後半から三十代前半が特に多かった。 遠方からの申し込みもいくつかあった。新幹線やフェリー、あるいは飛行機を利用しなければ会えないような所だ。申し込みをしてくれたのは嬉しい [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十一回
  •  そこで冬月が店員呼び出しボタンを押してくれた。 意外と気が利く奴だ。「結婚願望のない女なんて今はいっぱいいるよ」 冬月が決め台詞のようにそう言って、四杯目のビールを飲み干すと、ちょうどいいタイミングで店員がやってきた。冬月は「生」と自分のお替りだけ注文して、「最近は……」と話を続けた。 別に俺に気を利かせてくれたわけではなかったようだ。立ち去ろうとする店員の背中に、俺も慌てて追加のビールを注文し [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第十回
  •  映画館へは俺の車で行くことにした。軽より大きい小型の普通車であまり広くはないが、一応掃除だけはしておいた。車がステータスの一つだなんて、無理して高級車を買う奴もいるが、俺はそうは思わない。特に婚活中なら尚更だ。「今の給料ではせいぜいこの辺りが身分相応なんです」と、それとなくアピールしておくほうが後で楽だ。 待ち合わせは、沢口の自宅の最寄り駅に午後一時。昼食は各自済ませてくることにした。 前回と同 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第九回
  •  十一月も終わりに近づく頃には、高崎を含めた今月の申し込み相手九人全員からのお断りの連絡が届いた。手元にあるのは沢口の紹介状だけで、先月から状況は何も変わっていないことになる。 沢口には時折メールを送ってみてはいるが、大抵二言、三言でお仕舞いで、彼女のほうから進んでメールを送ってくることはない。やはり彼女には結婚するつもりなんてないのかもしれない。 沢口のことを非難している場合ではない。このままで [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第八回
  • 『春見さんにはどこか行ってみたいところがありますか?』 高崎からのメールだ。昼食後に彼女とメールをするのが、ちょっとした日課になりつつある。締まりのない顔になっていることは、自分でも容易に想像できた。「何だか最近、機嫌がいいですね」「はい、どうぞ」と、俺宛のファックスを手渡してくれながら、若槻が白い目で俺を見る。「何だよ。その目は」「だって顔がイヤらしいんだもん」「イヤらしいって……別にいいだろ。 [続きを読む]
  • 『赤い糸をたどって』 第七回
  •  モール内の飲食店街をぐるりとひと回りした後、高崎にどこか希望の店があったかを尋ねてみた。「私はパスタがいいです。春見さんは?」「ちょうど良かった。僕もパスタがいいなと思っていたんです」「じゃあ、決まりですね」 こんなふうにきっちりと自分の希望を話してくれると、こちらとしてもやり易い。「引っ張っていって欲しい」と「自分の意見を言わない」はイコールにはならない。「黙って俺に着いて来い」の亭主関白にし [続きを読む]