大吉 さん プロフィール

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大吉さん: 大吉堂 読書録
ハンドル名大吉 さん
ブログタイトル大吉堂 読書録
ブログURLhttp://daikichidou.blog56.fc2.com/
サイト紹介文読んだ本の感想雑記。ミステリ中心に乱読雑読。
自由文好きな作家は、有栖川有栖、森博嗣、宮部みゆき、田中芳樹、泡坂妻夫、江戸川乱歩、梨木香歩、いしいしんじ、殊能将之、東川篤哉、北村薫、藤野千夜、恩田陸、西澤保彦、などなど。気になりゃ何でも読みます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供79回 / 365日(平均1.5回/週) - 参加 2009/02/25 21:52

大吉 さんのブログ記事

  • 『宇宙からきたかんづめ』(佐藤さとる)
  • スーパーで手にしたパイナップルのかんづめ。ばかに軽くてふってみたら「ふってはいかん!」とかんづめから声が聞こえた。地球を調査に来た宇宙人が中にいるかんづめ。そのかんづめの宇宙人が語る不思議な物語。SF童話と称された物語の面白さ。本来SFならばどのような理屈という部分が不可欠であるが、ここでは科学的現象の結果の部分だけを抽出して物語に乗せています。なので、タイムマシンやものを小さくする光線やものを考える [続きを読む]
  • 『Arknoah 2 ドラゴンファイア』(乙一)
  • 『アークノア』という絵本の中に入り込んだアールとグレイの兄弟は、そこで自らの心が生んだ怪物と相対することになる。そんな前作では弟グレイの怪物を退治して、グレイのみが現実世界へ帰還するところで終わる。そして第2巻となる今作では新たにマリナという少女がアークノアにやって来ることから始まる。現実世界でその歯並びの悪さからいじめられていたマリアの心が生んだ怪物は歯並びの悪い竜だった。前作ではアールが自らの [続きを読む]
  • 『旅のスケッチ』(トーベ・ヤンソン、冨原眞弓・訳)
  • トーベ・ヤンソンによるムーミン以前の短編小説集。どの作品に出てくる人たちもどこか役割を演じているような、背景すらも書割りであるような雰囲気がありながらも、そこに確然といるという存在感も示しています。そしてそこに出てくる人物たちは、他の人物をまたはその場所自体に役割を与えそこに自分を投影させようとします。謂わば勝手に相手の理想像を作り上げ勝手に失望もし勝手に諦めるのです。若い女性は芸術家に、老いた男 [続きを読む]
  • 『狩人の悪夢』(有栖川有栖)
  • 人気ホラー作家白布施に誘われ、そこで眠ると必ず悪夢を見るという部屋のある「夢守荘」に泊まることとなったアリス。その翌日、白布施のアシスタントが住んでいた「獏ハウス」で右手首が切断された女性の死体が発見されるのだった。作中で探偵役の火村がこの事件のことを「散らかっている」と称するように、様々な要素が次々と出てきます。突飛な凶器、壁に残された血糊の手形、被害者につきまとうストーカー、被害者と繋がりのあ [続きを読む]
  • 『孤島の冒険』(N.ヴヌーコフ、島原落穂・訳)
  • 海洋調査船のデッキから大波にさらわれた14歳の少年サーシャ。彼が泳ぎついた先は無人島だった。実話を元にした無人島での冒険譚。14歳の少年が何もないところで必死に生きようとした47日間の記録。物語上の孤島の冒険とは違い、沈没した船が近くに漂流して道具や食料を運び込むことができた訳でもなく、以前に人が暮らしていた跡がある訳でもなし、原住民がいる訳でもなし。本当に何もないところで、今まで得た知識と勇気を [続きを読む]
  • 『過ぎ去りし王国の城』(宮部みゆき)
  • 宮部みゆきは逃げません。世に満ちる悪意から暴力から、人の持つ厭な部分から、どうしようもない悲劇から。だから読むとしんどい思いもします。ああ、その箱を開けるのか、その思いを開陳するのかと。しかしただ露悪的に悪意を書き綴っているのではありません。打ちのめされるけれど、それがこの作品の目的ではありません。芯の部分には優しさがあります。だからつらいだけではない読後感があります。どうしようもないつらさの向こ [続きを読む]
  • 『だいじな本のみつけ方』(大崎梢)
  • 学校に忘れられていた文庫本は、まだ発売されていないものだった。中学校を舞台に本が好きな子たちが、ちょっとした謎と本への想いに挑む青春ミステリ。謎自体はわかりやすく、謎を解くことよりもその過程に於けるやり取りを楽しむのがいいのかも。かなり都合良く話が進む部分もありますが、そこはご愛嬌。しかしある一定のライン以上には進まないのは、中学生という登場人物の目と気持ちを大事にしているからでしょうか。それはメ [続きを読む]
  • 『青空のむこう』(アレックス・シアラー)
  • アレックス・シアラーの作品は胸を打ちます。それは真摯な眼差しを持っているから。目の前の問題から目をそらさず、嫌なことやつらいことにも真っ直ぐ投げ掛け、そこから生じる想いを真っ直ぐ受け止めるから。でも嫌なことやつらいことをそのままにするのでなく、そこに優しさの眼差しもあることによって希望へと繋げています。この『青空のむこう』でもその眼差しがありました。主人公ハリーは交通事故にあって死の世界に来たばか [続きを読む]
  • 『春の庭』(柴崎友香)
  • 面白かったー! と読み終えて、さて感想を書こうとしたら何をどう書いたらいいのやらわからなくなる。そんな状態に陥っています。家の物語、町の物語、去り行く人たちの物語。移り行くものたちの物語。舞台となるのが立て壊しの決定しているアパートとその裏にある水色の瀟洒な家。その家はCMディレクターと小劇団女優の夫婦が住み、そこを舞台とした写真集が発行された場所。写真集を介して知っていたその家に入ってみたい、中を [続きを読む]
  • 『はるかな空の東 クリスタライアの伝説』(村山早紀)
  • 20年前に発行された作品です。作者自身による挿絵のタッチも相まって、懐かしい雰囲気に溢れています。この懐かしさは20年前のエンタメ作品を知っている者の感覚でしょう。(20年前でも懐かしい感じがしたのかも知れません。20年前の段階で既にお馴染みとなっている感覚なのかも)しかし20年を経た今になってこの作品が文庫化されたのです。現在の新たな読者の目にはこの物語はどのように写るのでしょうか。異世界ファン [続きを読む]
  • 『こんや円盤がやってくる』(福島正実)
  • まずはタイトルと表紙のイラストに心掴まれました。そして作者のお名前に見覚えが。どなただったっけ? と考えども思い出せず。はてさて? 解説を読むと初代『SFマガジン』の編集長を経て作家になられたのだとか。その流れでお名前をお見掛けしたのでしょう。子ども向けのSFが2編収録されています。タイムスリップものと宇宙人との遭遇もの。どちらも基本となる知識を押さえつつ、ドキドキハラハラとドキドキワクワクがギュッと [続きを読む]
  • 『チャリング・クロス街84番地』(ヘレーン・ハンフ・編著、江藤淳・訳)
  • ニューヨークに住む本好きの女性がロンドンの古書店に送った一通の手紙、そこから始まった20年に及ぶ手紙の行き来。ユーモアに溢れ素敵な本に出会えたことを心の底から喜び、残念な本と出会ってしまったことへの落胆も隠さずぶつけるヘレーンの筆に笑みがこぼれます。そして対する古書店のドエル氏のある種の真面目さと、へレーンのユーモアを受け取るユーモア性のある返信に心温まります。そこには本を通じて感じ得る信頼と友情 [続きを読む]
  • 『こゝろ』(夏目漱石)
  • そういえばきちんと通読していなかったと、今更ながらに読みました。あれ? 漱石ってこんなにも読みやすかったっけ? と思いながらスルスルと読み進めたつもりだったのですが、実際は普段よりも時間が掛かっていました。これは面白い感覚ですね。読みやすさと読み応えの共存というのでしょうか。エゴイズムと罪の意識の葛藤。それだけならば、下の「先生と遺書」のみでも書けるのではないか。でもそのできごとを経た上でどのよう [続きを読む]
  • 『灰色の畑と緑の畑』(ウルズラ・ヴェルフェル、野村泫・訳)
  • 今から40年以上前の作品ですが、ここに書かれていることは今に通じるものも多いでしょう。子どもたちを中心として人々の生活をスパッと切り取って描写されています。その結果として貧困や差別などが表出しているように感じました。つまり世の中のことを描こうとすると、そういう問題となるできごとを書かざるを得ないかのように。1編1編は短くスッキリと書かれています。そのため問題となるものが色濃く見えます。問題は提示さ [続きを読む]
  • 『ドクターぶたぶた』(矢崎存美)
  • ピンクのぶたのぬいぐるみのぶたぶたさん、今回は消化器系内視鏡手術のエキスパートです。ぶたぶたさんのお医者さんだというと小児科だとか過疎地でお年寄り相手にというイメージがありましたが、まさか胃がんの手術に携わるような話になるとは。(過疎地云々はそういう面も物語上出てきますが)シリーズを追って読んでいる身としては、ぶたぶたさんはぬいぐるみだけどぶたぶたさんというひとりの人物(?)なんですけれど、物語の [続きを読む]
  • 『片隅 』02(伽鹿舎)
  • とある企画で不意に手にした本は九州限定に配本された文芸誌でした。谷川俊太郎と茨木のり子の詩に挟まれて、様々な小説が並びます。ここでもまた、ここでしか出会えなかったろう作家との出会い。ジャンルが定められている訳でないので、読み始めてもしばらくは曖昧模糊とした中を手探りで進むような感覚。人物は? 世界は? そんなことを思いながら読み進めることの面白さ。思いも寄らない世界へと連れて行かれる快感。そんなも [続きを読む]
  • 『尼僧とキューピッドの弓』(多和田葉子)
  • ドイツの田舎町の歴史ある尼僧修道院を訪れた日本人のわたし。そこには様々な人生を送ってきた女性たちが共同生活をしていた。そんな尼僧たちの生活を観察するわたし。しかしわたしに滞在許可を与えた尼僧院長が不在だった。透明美、陰休、老桃、火瀬、貴岸。わたしが尼僧たちにつけた呼び名は、その読みを示されておらず非現実感を高めます。しかし彼女たちはしっかりと現実に足を下ろしてそこにいます。修道院の尼僧というと人生 [続きを読む]
  • 『ダーウィンと出会った夏』(ジャクリーン・ケリー、斎藤倫子・訳)
  • 間もなく20世紀を迎えようという年の夏、キャルパーニアは庭にいるバッタに見たことのない色と大きさのものがいることを見付け、変わり者の祖父にそのことを相談する。それが彼女と科学との出会いだった。百年以上前のアメリカ南部の田舎町に住む少女が、ダーウィンの著書と自然科学を観察研究する祖父に出会い科学の面白さに目ざめる物語。時代が時代のため女の子が科学に興味を持つこと自体周りに認めてもらえず、苦手意識に溢 [続きを読む]
  • 『岸辺のヤービ』(梨木香歩)
  • いかにもな物語、いかにもな文体、いかにもな挿絵、そんないかにもな要素が集まり素敵な作品となっています。こんな作品がいま生まれた喜び、いま出会えた喜び。マッドガイド・ウォーターの岸辺に棲む小さないきもののヤービ。ウタドリ先生が偶然出会ったヤービから聞いた彼らの物語。ものを食べることに疑問を抱いたいとこのこと。ママを探しに冒険したこと。新しくできた友達とお茶会を開いたこと。冬ごもりの準備を始めたこと。 [続きを読む]
  • 『月と六ペンス』(サマセット・モーム、金原瑞人・訳)
  • タイトルだけは知っているが内容を全く知らず、でも何かが気になって手に取ったのです。タイトルの響きかも知れません、表紙のデザインかも知れません、金原瑞人さんが訳をしていたからかも知れません。そして読み始める時にはじめてゴーギャンをモデルとした人物の物語であることも知りました。そんな状態で読んだ物語はとても強い力を持っていました。職も家族も自分さえも捨てて絵を描くことを選んだストリックランド。いや絵を [続きを読む]