水本爽涼 さん プロフィール

  •  
水本爽涼さん: 水本爽涼 歳時記
ハンドル名水本爽涼 さん
ブログタイトル水本爽涼 歳時記
ブログURLhttp://s-mizumoto.cocolog-nifty.com/blog/
サイト紹介文日本の四季をベースに中・短編小説、脚本、エッセイなどを綴った小部屋
自由文一応は、作家ですか? ^o^ (そこは、「か」は、いらない)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供373回 / 365日(平均7.2回/週) - 参加 2009/08/19 10:31

水本爽涼 さんのブログ記事

  • サスペンス・ユーモア短編集−71− 事件の終着
  •  漁川(いさりがわ)署の捜査本部である。事件は犯人逮捕で一件落着し、刑事達は勤務後の慰労会で一杯、やっていた。「いや! 私はこの手のものは…」 茶碗に一升瓶の酒を注(そそ)ごうとした小鮒(こぶな)を慌(あわ)てて片手で止め、ペットボトルの烏龍(ウーロン)茶を茶碗に注ぎ入れたのは新しく第一線に配属された諸子(もろこ)だった。諸子は酒が嫌いだとか下戸(げこ)という訳ではなかった。表立って角(かど)が立 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−70− 素直(すなお)な刑事
  •  猿山署の刑事、手長は上司の警部、赤毛に今日も叱責(しっせき)されていた。しかし手長は素直に聞いていた。日々の馴れもあり、手長にはそう苦にはならなかった。というか、手長はすべてに素直だったのである。手長は署内で[フォローの風]と陰で呼ばれた。逆らう[オーム]や[アゲインスト]ではなかったからだ。署内では、ほぼ日常の行事的な繰り返しで、他の署員達も赤毛が手長を怒らない日は体調でも悪いのか・・と案じた [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−69− 柳に風
  •  立花は風変わりな刑事である。あらゆることを柳に風と受け流すのだ。そんな立花だったが、妙なもので事件はスンナリ解決させたのである。取り分けて手法がある訳ではなく、警察内部では七不思議の一つとなっていた。 そんなある日、また新(あら)たな事件が一つ、発生した。「えっ!? なんです? あなたの旦那が失踪(しっそう)したんですか?」 立花は捜索を願い出た女に一応、驚いたものの、内心では、アンタなら仕方な [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−67− 不連続追突事件?
  •  朝の駅である。勤めに向かう人の流れが途絶えることはなく、構内は多くの人で混雑していた。事件? は、通勤者同士の単なる追突から始まった。「あっ! どうも…」「いや…」 二人の通勤者がホーム階段の上り下りで偶然、軽く追突した。このときは取り分けて騒動になるようなことはなかった。問題はそのあとに発生した。降りる通勤者に謝って上り始めたその一人がまた別の下りる通勤者に追突したのだ。問題はそれだけではない [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−66− 猪豚盗難事件?
  •  山笹(やまざさ)署に盗難捜査の依頼があったのは、猪豚生産業者からだった。山笹地区の猪豚は脂(あぶら)の乗りも肉質もよく、全国各地から買い入れの問い合わせが殺到する名産品だった。その猪豚が一匹、盗難にあったのだ。たったの一匹である。「ははは…数え間違いじゃないんですか? その手の電話は、よくあるんですよ」 応対に出た若手刑事の東雲(しののめ)は、賑(にぎ)やかに頭を振りながらそう言った。『そう言わ [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−65− 風味がある事件?
  •  野立(のだて)署の刑事課である。安原警部は机の上で愛用のマグカップをフゥ〜フゥ〜させながら婦警の堀川巡査部長に淹(い)れてもらったシナモンティーを飲んでいた。安原は、これでどうしてどうして、なかなかの飲みフェチで、最近ではシナモンの香りと味に嵌(はま)っていた。シナモンは香辛料として売られている市販品の小瓶で、マグカップに数回、振り入れたあと、角砂糖1ヶを放り込んで湯を注ぎ、啜(すす)るのである [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−64− 目撃者
  •  目撃情報の正確さ・・を焦点に、目撃者を証人とする検察側、弁護側双方の丁々発止(ちょうちょうはっし)の法廷論争が裁判所で行われていた。「ほう! すると、あなたは何人かの男に車で連れ去られる被害者を見ていた訳ですね?」「はい、連れ去った男達の顔は特徴がありましたから、はっきりと覚えております」「なるほど…。その連れ去った男達は、この法廷にいますか?」「はい! 被告席の七人です」「質問を終わります」  [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−63− 霧の夜の出来事
  •  奇妙な事件がらみの出来事は、秋が深まりかけたある霧の夜に起きた。 葱山署の取調室である。「ほう! なるほど…。つまり、あなたは深夜に細い山道を歩いておられた訳ですね?」「はい…」 薪(たきぎ)刑事の問いかけに、鍋川(なべかわ)は小声で返した。「そこで、行き倒れていた鴨居さんを発見したと…」「はい…」「妙ですなぁ〜。そんな山道をなぜ深夜に歩いておられたんです?」「なぜと言われましても、家への帰り道 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−62− 突(つつ)かれた夢
  •  刑事、戸坂の生活が始まった。事件がない日の勤務は、世間一般のサラリーマンとあまり変わりがない。捜査三係で、マル暴の四係でなかったのが幸いしてか、戸坂は犯人に恨(うら)みを買ってつけ狙(ねら)われるということはなかった。三係は窃盗事件担当で、刑事任用試験を経て配属となった戸坂も、配属後はそれなりに活躍していた。それなりに・・というのが味噌(みそ)で、当たり障(さわ)りがない程度に・・という刑事課長 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−61− 残された形跡
  •  これこそがサスペンスであるっ! …とは、やはり言いがたい事件? 含みの展開が、ここ貝巻(かいまき)中央署で起きていた。「いや! 残された形跡からすれば、当事件の行方不明者を連れ去った犯人は明らかに中年男ですっ!」 新任の刑事、御門(みかど)は鼻炎の鼻水をグスグスと啜(すす)りながら言った。「犯人が連れ去ったかどうかも分からんじゃないかっ! 君はどうして、そうだと言い切れるんだっ? 失踪(しっそう [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−60− 生き返らせ事件?
  •  毛鼻(けばな)署に冥尚(みょうしょう)寺から訴えがあったのは、かれこれもう一年ばかり前のことである。だが、その訴えがあまりにも奇妙、奇天烈(きてれつ)で、刑事課は事件として捜査したものかどうか、議論が二分(にぶん)していた。「我々は傷害、殺人とかの危害を加えた者を捕らえるのが仕事ですよ。それがなんですっ! 生き返らせたから寺の生計が成り立たないという理由で、その人を捕(と)らえて欲しいとは馬鹿も [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−59− 回り回って
  •  麹北(こうじきた)署の捜査本部である。先輩刑事の瀬戸と後輩の有田が問答をするように左右の席で言い合っていた。それを中央の椅子にドッカと座り、人ごとのように聞いているのは警部の九谷である。「いや! それはおかしいぞ、有田。だいいち、それじゃ、犯人は鳥のようにフワフワと空を飛んだことになる!」「瀬戸さんはそう言いますがね。今の時代、それは可能でしょう。例えば、背中にブロワを背負ってハングライダーで人 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−58− 雨夜の騒動
  •  その日はシトシト・・と雨が降っていた。濡(ぬ)れ鼠(ねずみ)になった一人の男が、息を切らせて蓮華署へ飛び込んできたのは深夜の2時過ぎだった。当直はいるにはいたが、時間も時間だったから、そう多くの署員は署内にいなかった。「どうされましたっ?!」 当直の川城警部補は、濡れ鼠の男に思わず訊(たず)ねた。「み、見ましたっ!」「なにをっ! 事故ですかっ、殺人ですかっ?」「いえ、どちらでもありません」「いっ [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−57− 風には逆らうなっ!
  •  掃部(かもん)署の赤堀は、休みがやっと取れたというのに妻の命令で、せっせと落ち葉を掃(は)いていた・・いや、掃かされていた。署内では凄腕(すごうで)の刑事として署員達から一目(いちもく)置かれる赤堀だったが、家ではさっぱりなのだ。その日は風が強く、ようやく掃き終わった…と思いながらその場を振り返ると、また北風がビュゥ〜〜っときて、元の落ち葉だらけの状態に戻(もど)してしまっていた。赤堀は犯人を取 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−56− 切れたロープの謎(なぞ)
  •  深地(ふかち)署、刑事課の一室では捜査会議が開かれていた。焦点は切れたロープの謎(なぞ)についてである。「いや! 偶然にしては、あまりにタイミングが合い過ぎます!」 若手の刑事、土竜(もぐら)は反論するならしてみろっ! とでもいいたげに、座る多くの課員を見回しながら頑強(がんきょう)に主張した。「それはそうだが、まあ、そういうことだってあるだろう」 宥(なだ)める口調で小さく返したのは土竜とタッ [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−55− 消えたのか?
  •  尾亀(おかめ)署に妙な捜査依頼が市の商業観光課から飛び込んでいた。町の野良猫が相次いで消えているのだという。この町一帯は市の方針で猫保護区に指定され、猫の住む町として猫が安心して暮らせる地域だった。当然、人の目を気にしない野良猫がのんびりと道の真ん中で寝そべっている・・といった風景が垣間見られた。「動物虐待のニュースもよく耳にしますからな。これが変質者の仕業(しわざ)だという線も、強(あなが)ち [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−54− いつやらの捜査
  •  ふと、思いだしたように捜査三課の刑事、尾高は過去の調書を捲(めく)っていた。すでに時効を迎えていたその事件は600円分の自動販売機不正使用事件という警察が忘れたいようなセコい窃盗事件だった。 尾高がふと、調書を捲ってみよう…という気になった経緯(いきさつ)は、3日前に遡(さかのぼ)る。その日、尾高は町の大衆食堂で腹を満たし、トボトボと歩いていた。そのとき、道路の右前方斜めにあった自動販売機を物色 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−53− 思わず泣けた事件まがいの一件
  •  船着(ふなつき)署の屋形警部補は久々の非番に、ホッコリしよう! と意気込んで屋台へ入った。別に意気込まなくてもいいのだが、そこはそれ、日頃の張り込みの緊迫感を忘れたい…という一念だった。「親父、冷やで一杯…」「へいっ!」「適当に、見繕(みつくろ)ってくれや」 屋形は前のおでん鍋を指さした。親父はコップに酒を注ぎ置いたあと、無言ではんぺん、こんにゃく、煮卵などを箸(はし)で乗せ、屋形の前へ置いた。 [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−52− 物忘れ捜査・事件消滅
  •  酒蒸(さかむし)署の刑事、下戸(げこ)は最近、とみに物忘れをするようになっていた。50半ばになった途端、その傾向が激しくなり、下戸には辛(つら)かった。「先輩、一度、診(み)てもらったらどうですか?」 下戸のフォロ−をする機会が増えていた後輩刑事の麹(こうじ)は下戸に小声で言った。なんといっても事件捜査で記憶が消えれば捜査は振り出しに戻(もど)るから、ややこしいことになる。「ああ、今度の空(あ)きで、そうす [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−51− 茶 揉(も)み誤解事件?
  •  世の中にはとんでもない不幸な間違いが続き、窮地(きゅうち)に陥(おちい)ることがある。またその逆に、とんでもない幸せが連続して続くという事だってある。中国の故事では幸と不幸は綯(な)った縄のように交互に起こるとしたものだが、連続で起こる場合もあるにはあるのだ。この一件もそんな事例である。 銘茶で全国的に有名な美皿(みさら)村では茶畑で今年も新茶が摘まれていた。♪夏も近づくぅ八十八夜ぁ〜♪ではない [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−50− 落ち葉焼き芋盗難事件?
  •  事件の発端(ほったん)は頑固で意固地な老人に起因する。はっきり言えば…である。まあ、このあらましは読んでいただければ分かるだろう。 素泊(すばく)村にも山村の木々が色濃く紅葉する季節を迎えていた。その村の一軒屋に取越九郎兵衛[通称 九郎兵衛どん]という林業と農業を生業(なりわい)とする老人が住んでいた。身寄りとてなく、近づく人といえば、近くの家の子供達くらいだった。 ある日の夕暮れ、九郎兵衛どん [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−48− 夢の続きストーカー事件?
  •  逆波(さかなみ)署管内でストーカーが連続して出没するという厄介(やっかい)な事件が発生していた。訴えたのは中年のどう見てもストーカー? と首を傾(かし)げたくなるようなブス女だった。だが、訴えがあった以上、逆波署としても放置することは出来ない。安井警部を中心とする捜査陣による内偵捜査が行われることとなった。「何か思い当たるようなことは?」「いえ…」「奥さんの思い過ごしじゃないですか?」 ジロリ! [続きを読む]
  • サスペンス・ユーモア短編集−47− 屋台の提灯(ちょうちん)焼失事件?
  •  この事件まがいの一件は、うらぶれた裏通りの屋台で起きた。幸い、爆発事故や屋台の焼失までには至らず、屋台の屋根の一部を焦(こ)がす程度で済んだ。それでも、屋台の親父が大事にしていた提灯(ちょうちん)だけに、被害届が串焼(くやき)署に提出された。親父の炭火(すみび)は、火の不始末などは絶対、有り得ない! と串焼署の刑事、葱間(ねぎま)に訴えた。「分かりました。犯人を見つけ次第、お知らせしますから、今 [続きを読む]