くまのすけ さん プロフィール

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くまのすけさん: 恋とか、愛とか、その他もろもろ・・・・・・
ハンドル名くまのすけ さん
ブログタイトル恋とか、愛とか、その他もろもろ・・・・・・
ブログURLhttp://loveetc.seesaa.net/
サイト紹介文くまのすけの小説ブログ (短編長編いろいろ書く予定だよ。)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供54回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2009/09/07 17:33

くまのすけ さんのブログ記事

  • ドライブレコーダー
  • 夕食を摂り終えると、夫の省吾さんはそそくさと書斎へ移動していった。ひとりで読みたい本でもあるのかしら? それとも、パソコンで調べもの?まさかいやらしいものでも眺めているのかしら?ちょっと気になったので、そっとドアの陰からのぞいてみたら、パソコンの前に座ってモニターを楽しそうに眺めている。時折うふふふと気持ち悪い笑い声を漏らして。あ、でも、見るからに楽しそうだけど、鼻の下を伸ばしてはいないみたいだか [続きを読む]
  • 初夏の日は遅く暮れ
  • 「お父さん、聞いてください。最近、あの子ったら・・・・・・」ひさしぶりに我が家に現れたと思ったら、さっそく息子の嫁の珠代さんが孫のことで愚痴り始めた。「近所の子と一緒になって毎日遅くまで外をほっつき歩いてるんですよ。それなのに、あの人ったら、全然叱ってもくれなくて・・・・・・」六月になると、日が暮れる時間が遅くなり、七時を過ぎたというのに、まだ駅前は明るい。車よりも人の方が大勢行き交うロータリーを [続きを読む]
  • やさしく大きな人
  • 昇降口で靴を履き替え、玄関ロビーに立ったところで気が付いた。いつの間にか雨が降り出している。朝はカラッと晴れていて、雲一つない青空が広がっていたというのに、今は薄暗くキラキラの糸がいくつも天地をつないでいる。「あちゃぁ 降ってきやがった。トオル、傘入れて」私のすぐそばで同じクラスの山内たちが騒いでいる。あっちも部活が終わって、今帰りなのだろう。チラリとそちらに視線をやって、吉井くんが今まさに傘を開 [続きを読む]
  • 御田植え祭り
  • 紺の単衣に赤い襷をかけ、花飾りのついた菅笠をかぶった五人の早乙女たちが、神社の所有する田んぼの中を中腰のまま後ずさっていく。にぎやかな笛や太鼓に合わせてのどが自慢の老爺が歌う田植え歌が響き、ピンとまっすぐに張ったひもに沿って、早乙女たちが稲の苗を植えていく。今日は神社の御田植え祭りだ。早乙女たちの姿はすでに田んぼの端まで移動してきており、もうすぐ御田植え祭りも終わりを迎える。このあと、彼女たちは会 [続きを読む]
  • 借り物競争
  • 昼休みも終わり、運動会は午後の部に入っていた。昼食をとったことでお腹がふくらみ、ポカポカ陽気の午後のグラウンド。競技に出場して頑張っているクラスメイト達には悪いけど、自然とまぶたが重くなり、ウトウトしてくる。――次は借り物競争です。どこか頼りなさげなアナウンスも眠気を誘うヒーリングミュージックだった。――稲本、稲本起きろ!誰かが誰かを呼んでいるような。でも私には関係がないはず。「しーちゃん、起きて [続きを読む]
  • 白雪姫
  • ホームの電光掲示板を見上げた。つぎに来る電車が同窓会会場の最寄り駅にも停まる各駅停車だ。もう一度、手元の案内ハガキを確かめ、それをハンドバッグの中にしまった。「秋絵、元気にしてるかな」そうつぶやいて、遠くに小さく姿を現してきた電車を望んだ。『王子様が好きなのは王妃ではなく白雪姫だ』私たちのクラスでの連絡用のために登録してあった掲示板サイトに、その文章が現れたのは昨日のことだった。『鏡』を名乗る謎の [続きを読む]
  • 遅刻ッ!
  • AM8:00――たしか目覚ましのベルが鳴ったので、自分で止めたのを覚えている。仕事に出かける前に母さんが何度か起こしに来たことも。なのに、なんで俺はこんな時間までベッドの中にいるんだ?二度寝の恐怖を今さらながら味わいながら、ベッドを飛び出した。完全に遅刻だ。今からじゃどうあがいたって、一時間目の授業開始には間に合わない。慌てて制服に着替え、髪を整える間も惜しんで部屋を飛び出す。キッチンの食卓には俺の [続きを読む]
  • ハンカチ
  • 息子の裕太郎と同じ中学に通っているお嬢さんを持つ友人と今日はランチだ。でも、この味でこの金額なら、裕太郎にもっとおいしいものをお腹一杯になるほど食べさせてあげられるのにな。ちょっと残念な気分でランチを平らげ、先日の母の日に娘さんからプレゼントされたとかいうハンカチを自慢げに見せびらかせられて、食後のコーヒーを飲んだ。大学時代からの友人。子供たちが同じ学校に通っているママさん友達でもあるので、これま [続きを読む]
  • 暖かい風
  • なんだろう? 今日はずっと隣から視線を感じる。絶対、気のせいなんかじゃない。だって、さっき一緒にトイレに行った時、柚香だってそう言ってたもん。白石ずっと見てるねって。生まれてこの方、男子にモテたことなんて一度もないのに、朝からこんなに見つめられるなんて・・・・・・ 自然と頬が熱くなる。で、気になって、そっちを見るのだけど、わざとらしく視線をそらして、決して私と視線を合わせようとはしないんだよね。な [続きを読む]
  • ささやかに距離が縮まる
  • 予報外れの急な雨の午後、祖父が住んでいる寺の庫裏を出ると、開け放った山門の陰に人の姿が見えた。僕の学校の制服姿の女子。肩を落とすようにして空を仰いでじっと佇んでいる。雨宿りしているのだろうか?同級生だろうか? それとも全然知らない別のクラス、学年の人? 後姿だけじゃ判断できない。ともあれ、用事が終わって僕は自分の家へ帰らなきゃいけないから、どうしても、その女子のそばを通り抜けることになる。そのとき [続きを読む]
  • その木には
  • あの子をちゃんと見たのは、去年の今頃が初めてだった。小学校のころから、何度も同じクラスになり、おそらく何度も隣同士の席になったはずだ。だが、そんなこと全然覚えていなかった。僕にとっては、あの子はずっとただの同級生の一人でしかなかった。なのに、その認識が変わったのは、公園の奥のひとけのないこの桜の木の下でだった。あの日、僕は公園の中をジョギングしていた。コーチの都合で部活が休みになり、エネルギーを持 [続きを読む]
  • 三年寝将棋
  • 私の叔父は、子供のころから将棋界では神童とうたわれた人物だった。長じてからも、その才能は衆に抜きんでており、高校生でプロになり、十代でいくつものタイトルで挑戦者の資格を得たのだった。今でも、祖父母の家の応接間には、叔父が獲得した賞状やらトロフィーやらがところ狭しと飾られている。だが、それも三年前までだった。ちょうど今と同じ桜が満開のころだった。ある日、なにかの企画で将棋ソフトと対戦することになり、 [続きを読む]
  • 君が気に入ったわ
  • 「君が気に入ったわ。私のところへ来なさい」初対面の年上の、その上とても綺麗な女性からそんなことを言われて、舞い上がらない男なんていないだろう。まさに、今の僕がそうだ。この学校の入学式を終えた翌日、新入生へ向けてのクラブ勧誘活動が始まったその瞬間、真っ先に僕たちのクラスに乗りこんできて、この目の前の楚々とした見るからにお嬢様っぽい先輩がそう僕に告げたのだ。静まり返った教室。昨日初めて会ったばかりの同 [続きを読む]
  • 「ウルフボーイ」の提供開始について
  •  当社ワタヌキ総合データべースは、独自のアルゴリズムを用いたソフトウェア『ウルフボーイ』を4月1日より提供開始いたします。 みなさますでにご存じの通り、先日、第193回通常国会において、与野党満場一致で、電子通信に関する情報配信の適正化を促進する法(通称:フェイクニュース撲滅法)が可決、成立いたしました。 この法律ではSNSやメール、ウエブページなどネット上で根拠の伴わない虚偽の情報を発信することが [続きを読む]
  • 桜シャツ
  • 終業式も終わり、春休み。オンラインゲームを夜も更けるまで楽しめるようになった。おかげで昼までベッドに横になっていられる。それでも、だれからも怒られない。春休みバンザイだ!昼過ぎに目が覚めたのは、家の裏手の公園で近所のじいさんたちが騒いでいたから。桜のつぼみがいよいよ膨らみ、今週中には咲き始めそうだという。で、自治会のお花見をどうするとか、ぼんぼりなどの飾りつけはいつするとかなんかを大声で話し合って [続きを読む]
  • だれからもらったの?
  • 「えっと、牛乳、牛乳・・・・・・」お母さんから渡されたメモをたよりに食材の棚を物色していく。「あった」学校から帰って、顔を合わせた途端、お母さんにおつかいを頼まれたのだ。買い忘れていたものを買ってくるようにって。だから、今、近所のスーパーでカートを押しながら回っているのだ。「次は、卵っと・・・・・・」棚をあちこちのぞき、ついでに晩ご飯のおかずになりそうな総菜をみつくろって。一通りカートの中に頼まれ [続きを読む]
  • 最後のメッセージ
  • 去年の中学の卒業式、式があった体育館を退出した直後に朋絵が話しかけてきた。「喜美ちゃん、ありがとうね。私のわがままにつきあわせちゃって」一瞬、なんのことか分からなかったけど、「私と同じ学校の試験一緒に受けさせちゃって、ゴメンね」「ああ、そんなこと。別にいいんだよ」「でも・・・・・・ 喜美ちゃんなら、もっと上の学校行けたはずなのに」「ううん。そんなことないよ」「そんなことあるよ」そうして、涙を流さん [続きを読む]
  • ファンファーレ
  • お雛様を飾るときに、いつも不思議に思っていた。他の女の子の家では三人官女や五人囃子を飾っているのに、我が家のお雛様は六人官女と十人囃子。お内裏様とお雛様は一体ずつなのに……たぶん、二セット分の雛人形が交っているのだろう。なら、お囃子だとか官女だとか持ち物が同じものが二体ずつあってもおかしくない。なのに、我が家のはそれぞれに別の持ち物をもっていた。たとえば、定番の横笛や鼓だけでなく、ギターを奏でてい [続きを読む]
  • 雛飾り
  • 「フフッフ フフ フフーン♪」鼻歌交じりに上機嫌な姉がリビングで旅行のガイドブックを眺めている。「姉ちゃん、どっか旅行行くの?」声をかけると、俺のことをチラリと見てきた。「うん。そうだよ。今度のお休み」「へぇ」うん、まさに『へぇ』としか反応のしようがない。正直、姉の旅行になんかさほど興味があるわけでもないのだし。だというのに、「どうかな、どうかな。やっぱり、京都へ日帰りかな? 初めてのデートだし。 [続きを読む]
  • カラオケ店
  • カラオケ店に入る前に俺は家に電話をかけた。出たのは妹。『そう、分かった。じゃ、遅くなるってお母さんに言っとくね』「ああ、頼む」『はーい。ね、今日のバレンタイン残念会、楽しんできてね、お兄ちゃん』「うっ・・・・・・」今の電話では一言も今日誰からも義理チョコすらもらえなかった男子たちの残念会だとは伝えていないというのに。妹よ。こんなときだけ鋭くなるの、お兄ちゃんはいけないと思います。店に入ると、先に入 [続きを読む]
  • 千鶴の恩返し
  • スーパーのレジ打ち係のパートへ出かけた母さんと入れ違うようにして千鶴が俺の家にやって来た。隣に住む同い年の幼馴染みだ。「おばさんの許可もらってるから、今日は台所借りるね」「ああ、母さんから聞いてる。あがって」「お邪魔します」なんでも、自分ちの台所は大学生の姉の千晴さんとその友人たちが占領していて使えないらしい。「だって、お姉ちゃんの友達と一緒だと結構気を使うしね」そういうものなのだろうか? ずっと [続きを読む]
  • オニを払う
  • 学校から帰ってきて、自室でスマホをいじっていると、ドアがノックもなく開かれた。「伊織、いるんでしょ?」「いつも言ってんだろ、ノックぐらいしろよ。ったく」「別にいいでしょ。あんたの部屋なんだし。ははぁ〜ん。さては、今からエッチなものでも眺めようとしてたわね」「はぁ? なんでだよ」「あら、違うの? だってほら、そのパソコンのフォルダの階層の深いところに……」「だぁ〜! そ、そんなこと、い、今は関係ない [続きを読む]
  • 君に伝える言葉
  • 「ハルカ」私が上げたトスに飛び込んできたハルカが利き腕の右腕を振り抜く。存外軽い音を残して、ボールはネットの向こうのコートに鋭く突き刺さった。「いいよ。今の感じ」「OK」――君に伝える言葉を探してる。「もっかいお願い」「わかった」――伝えなくちゃいけないことがあるのは分かってる。「いくよ」――だけど、それを言葉にできない。僕の言葉がでてこない。「はぁ〜」頭の上に飛んできたボールをはじこうとして、結局 [続きを読む]
  • ヤスケ
  • 仕事帰り、自宅の郵便受けをのぞいてみると俺宛のハガキが届いていた。結婚報告の手紙。高校時代、三年間を一緒に漫研で過ごしたスギがとうとう結婚したらしい。高校を卒業して、すでに十年以上が経っている。あいつとは三年前の同窓会で顔を合わせたっきりで、あとはずっと年賀状のやりとりだけだった。「そっか、あいつ、やっと結婚したんだ」ハガキの裏には写真が印刷されてあり、真っ白なタキシードを着てポーズをつけて立って [続きを読む]
  • ホコリをかぶったガラケー
  • 去年の大掃除、越してきてからロクに掃除もしてこなかった俺の部屋を思い立って片付けてみた。見つけた。高校時代の携帯電話。まだスマートフォンでなくガラケーだったころの俺の愛機。毎日制服のポケットに突っ込んで持ち歩いていた。懐かしくなって電源を入れようとしてみたが、とっくにバッテリーは干上がっていたようだ。あいにく、充電器は実家に置きっぱなしだし、今のスマホの充電器では充電できない。まあ、今さら充電して [続きを読む]