Writer さん プロフィール

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Writerさん: きみの靴の中の砂
ハンドル名Writer さん
ブログタイトルきみの靴の中の砂
ブログURLhttp://air.ap.teacup.com/writer/
サイト紹介文『それは言わない約束』のようなもの。
自由文Writer / Blogger
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供179回 / 365日(平均3.4回/週) - 参加 2009/09/13 08:00

Writer さんのブログ記事

  • まだ想像するより他はないのだが
  • [画像] 道に迷ったら風が吹いてくる方が南だと、宿のおばあさんのハルオさんが出がけに教えてくれた。 尋ねたわけではないがハルオという名前は、春が長く続くようにとの親の願いから、春緒と書くのではなかろうかと想像した。そんなようなことが確か万葉集に書いてあったような記憶がある。 さて、ここ新島本村の中心部にある宿から歩いて三分ほどのビーチ前浜は、ゴールデン・ウィークとは言っても、海水浴に限れば今はまだは [続きを読む]
  • コクトーのイマージュ
  • [画像] このところの夜半、『特許許可局』とやかましく鳴いていたホトトギスは、なんの気まぐれからか河岸を変えたようで、入れ替わりに側の土手の茂みでウシガエルが鳴きはじめた。 そんな夜のことだ。 いつものように、浅い眠りから何度も覚めるたびに、手近に置いた富永太郎の詩画集をパラパラとめくっていて、ふと思った。 この青年は、詩も書いたから詩人に分類されたけれど、一度は絵描きを目指してもいたし、本質的には [続きを読む]
  • 太陽はひとりぼっち
  • [画像] 若いストックブローカー(株式仲買人)と人妻との恋。                 * 大人には不毛な愛があるのを知ったのは、 子供の頃に観た、 この映画でだった。Colletto Tempia and His Orchestra / L' Eclisse  [続きを読む]
  • その一瞬、きみが呼吸したのは...
  • [画像] 朧気に見覚えのある風景の色であった。 ある日の午後の遅い時間 ----- 重い足取りで夕闇が忍び寄ろうという頃の、その微かな記憶、もしくは印象の欠片。 折も折、ささやかな光は水平線の近くにあって、気付けば、にわかに鼻腔を満たしていたのは、余りにもはかない一抹の潮風だった。どこかで海鳥の声も聞こえていたかも知れない。 さて、その一瞬、きみが呼吸したのは、柔らかなベルベットにも似た時間と、静寂に導か [続きを読む]
  • 彼は風のように歌った
  • [画像] 目をつぶる。 懐かしい音楽が鳴っている ----- 頭の、どこかずっと深いところで...。                      * あの夏の夕暮れ、 彼は、その歌を歌った。あたかも、遠ざかる風のように...。Scott Walker / Joanna  [続きを読む]
  • いったいなにを待ちわびていたというのか...
  • [画像] リゾートホテルのプールサイドのバーが、やっとクローズした深夜、 泊まり客のざわめきも次第に遠のき、 今、聞こえているのは目の前のリーフに遠く近く砕ける波の音だけ。 熱帯の夜を照らしたカクテルライトも間もなく消える頃だ。                              * さて、今日いち日、わたしは、いったいなにを待ちわびていたというのか...。The Mystics / Hushabye  [続きを読む]
  • 帰ってきた『30秒の狙撃兵』
  • [画像] 硝子が弾けたように陽射しの眩しい七月のある日、彼への扉が開いた。                              *『ボクは「創っている時」が一番たのしい。創る ------ これはプロセスだ。完成したものはもうボクの所有物ではない。プロセスこそが創造だ。 / 杉山登志』〈昭和四十二年『宣伝会議』四月号「怒れ、怒れ」より〉杉山登志 / 資生堂シフォネットCM 1973  [続きを読む]
  • 常に誤解を孕んでいることに気付いている
  • [画像] 書き言葉 ----- 例えば手紙やメールのやり取り ----- が、時折、ふたりを不安定な関係に導くことがある。 きみの分析では、互いに Gimmick で Tricky な文章を書くからだとか。 ぼく達は、ふたりの使う言葉が、常に誤解を孕んでいることに気付いている。Kathy Mattea, Alison Krauss & Suzy Boggus With Chet Atkins / Teach Your Children  [続きを読む]
  • さらなる南の島影への熱い想い
  • [画像] 古くは代々村長を務めた家系だという。 今は民宿を営むその家の門構えは、島で、ひと際重厚な趣があった。 本来、魔除けが目的という屏風(ひんぷん)を正面に見て、両側がガジュマルの大木、石垣に沿って雑草のようなアカバナーの群生があり、夏から秋にかけ、それらが白砂を敷き詰めた小道に濃い影を落として燃えるように咲くのに出会えば、ここが日本ではなく、どこか遠い、もっと南方の異国にいるかのような夢も見られ [続きを読む]
  • 三差路、五差路のある街
  • [画像] なんで渋谷の街が好きなのか...。 昔、水口イチ子に尋ねたことがある。 答えは ----- 詰まるところ ----- 規則正しい街並みに、突然、法則に則らない街角が出現するところだという。 できれば、三差路、五差路が沢山ある街に住んでみたいとも言うのだった。The Hollies / Yes, I Will  [続きを読む]
  • 腰越、稲村ヶ崎の向こうに沈む夕陽
  • [画像] 夏の花、夾竹桃が、道の途中の生け垣の際に咲いていた。桃色の八重咲きよりも、白い、可憐な一重咲きに心が動く。                              * さっき、坂ノ下の波消しブロックに座っていて閃いた ----- いち日海に遊んで、夕方また、ここへ来ようと...。 今日の空なら、腰越、稲村ヶ崎の向こうに沈む夕陽は、きっと赤が色濃く燃えて、手を伸ばしたくなる程美しいに違いないと思った [続きを読む]
  • I Can Hear Music
  • [画像] 子供の頃、通う学校は違ったが、よく遊んでいた近所の同い年の木村さんという女の子が、中学に上がって、チマチョゴリの制服で通学を始めたのを見た時でも、ぼくには、それまでとは違った特別な感慨はなかった。今になって思えば、それはそのまま、そういうものなのだと自分なりに受け入れていたに違いない。 さて、高校を卒業すると、彼女を見かけなくなり、どうやら親の家を出たようだった。 通りすがりにご両親と会う [続きを読む]
  • ハーフムーンビーチの夏
  • [画像]「少女だった頃って、とっても昔のことなんですよ」 きみが笑ってそう言ったのは、 ハーフムーンビーチの暑い夏のいち日が、 漸く溌剌としはじめた、朝もまだ早い時間帯の番組でのことであった。The Lovin' Spoonful / Do You Believe In Magic  [続きを読む]
  • プルメリアの花
  • [画像]「プルメリアの花には毒があるの?」 イチ子は、それが朝から気になって仕方がないようであった。「だって、仲間の夾竹桃には毒があるって、昔、どこかで読んだような気がするのよ」とも。「南の島じゃプルメリアの花でレイを作るくらいだから、例えそうであっても、触る分には構わないんじゃないのかなぁ」 ぼくの知識では、そんないい加減な答えしか返せなかった。 イチ子が気にしていたわけは、その日のうちに判明した [続きを読む]
  • 一番たやすい方法
  • [画像] 長い旅の途上にあるきみだから、時折、わけもなく不安になるらしく、メールで自分をどう想っているのかと聞いてくることがある。だから、しばらくの間、愛の言葉で返信を締めくくっていると、今度は『大切な言葉を安売りし過ぎる』と言ってくる。 もしかするとぼく達は、気付かないままに、同じ迷路に陥っているのかも知れない。 気持ちは、日々、態度で示すのが一番たやすい方法ではあるのだが...。Lesley Gore / Look [続きを読む]
  • そんなの照れ臭くって描けるもんか
  • [画像] 夏休み。 水泳部でプール当番中の水口イチ子がフェンス際を歩いていたぼくを見つけて、夏休み中はどこへも行かないのかと声をかけてきた。 美術部であるぼくらの合宿は、毎年、静岡の御前崎にある顧問の美大時代の同級生が営む民宿へ行くのが常だった。 ところが、民宿が老朽化したというので、去年の冬から建て替えを始めたのはいいが、田舎の工務店のこと、野菜農家も兼業しているらしく、この春が終わる頃までに建て [続きを読む]
  • 気にならないわけではなかった
  • [画像] きみはまだ未成年だったから、日暮れてバーに連れて行くわけにもいかず、大抵は床が砂でざらついた海岸通りのアイスクリーム・ショップで過ごすのが、その夏のぼくらの日課だった。 ぼくは独身だったから、若い女性と一緒にいても誰にもはばかるところはなかったけれど、やはり二十以上も年の離れた女性とでは、衆人の目にいったいどう写っているのか、まったく気にならないわけではなかった。The Raspberries / I Wanna [続きを読む]
  • きみの影がゆっくりと動いて行くのを...
  • [画像] おじいさんの世代の方がもっと英語を上手に使ったと、インド系の混血に違いない魅力的な深い眼差しの、その浅黒い肌の色の若いウエイトレスがはにかみながら話したのは、彼女のそそぐミネラル・ウォーターの瓶が昼近い木漏れ日を受けて、ぼくの目にまぶしかった時のことだ。 もうすぐランチ・タイムと言っていい時間に遅い朝食を注文したにも関わらず、快い返事でわがままな客に食事を出してくれたのは、ここが単にリゾー [続きを読む]
  • 深夜急行(2007)
  • [画像] その秋、週末の夜も遅くなって、頼まれていた原稿がようやく書き上がったときのことだ。 ぼくは、突然、大阪にいる水口イチ子に逢いたいと思った。 かれこれ、もうふた月ほど顔を見ていない。こんなことなら、イチ子が東京にいるうちに、もっと一緒にいる時間を作っておくんだった。後悔が募る。 Macintosh のディスプレイの右上、時計のデジタル表示は22時07分。 ぼくは思い立って、取材用にいつでも出かけられるよう [続きを読む]