Writer さん プロフィール

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Writerさん: きみの靴の中の砂
ハンドル名Writer さん
ブログタイトルきみの靴の中の砂
ブログURLhttp://air.ap.teacup.com/writer/
サイト紹介文『それは言わない約束』のようなもの。
自由文Writer / Blogger
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供142回 / 365日(平均2.7回/週) - 参加 2009/09/13 08:00

Writer さんのブログ記事

  • 同じ潮騒が聞こえているかもしれない
  • [画像] 古い東京タワーが見える都会のど真ん中。 ホテルのバーの酒瓶が並ぶ棚の端にバニラのリキュール『ガリアーノ』の首の長い瓶を見つけたのだろう、真っ黒に日焼けした妙齢の女性が『ハーヴェイ・ウォール・バンガー』を頼んでいる。 突然、ぼくの耳にノース・ショアの激しく砕け落ちる大波の音が聞こえてきた ----- もしかしたら、あの人の耳にも同じ潮騒が聞こえているかもしれない。Irma Thomas / Time Is On My Side  [続きを読む]
  • ドライ・フルーツが自転車のカゴにいっぱい
  • [画像] 夏の昼下がり。 明るい陽射しの中を驟雨が来る。                              * 腰越の叔母から電話で、先月庭で収穫した無花果が干しあがったから取りにいらっしゃいと連絡があった。 うちではそのまま食べるだけじゃなく、ジャムに作ったりもする。                              * プラスチック・バッグのドライ・フルーツが自転車のカゴにいっぱい [続きを読む]
  • 三十一番目の夏
  • [画像]「セブンアップを飲み過ぎたみたい。ちっともお腹が空かないの...」 きみはそうでも、ぼくが朝から飲んでいたのは海水ばかり。 午後は日陰でハメットを読もうか、それとも、うたた寝をして過ごそうか...。                            * 昼過ぎ ----- 風が落ちて手に合う波が来たのか、きみが小さな影を連れて海へ向かう。The Hollyridge Strings / No Reply  [続きを読む]
  • パーフェクトで妻帯者
  • [画像] ちょっといいなと心ときめく男は、パーフェクトで妻帯者。 最早、手遅れを認めざるを得ない、M子38歳 ----- 男運は絶望的。「おっと、オレはダメだよ。独身だけど、オリンピック五大会分も年上だから...」Scott Walker / I Think I'm Getting Over You  [続きを読む]
  • 水口イチ子のカレーライス
  • [画像]「昔、クールヴォアジェの産地へ行った時、街のビストロに入ってね、隣にいた、もう酔っぱらって鼻の赤いおじ様に、この辺で一番人気のあるコニャックの飲み方って何ですかって聞いたの。そうしたら、若い奴等はコカコーラで割って飲んでるよ、だって。びっくりしちゃった」 それには、ふたりとも大いに笑った。「まあ、好きなように飲めばいいってことだよ。ぼくが、夏でもラムの水割りに氷を入れずに飲むのも、実はなんら [続きを読む]
  • カムーン (ありがとう)
  • [画像] 夏至の日、ハノイから車で二時間ほどの村でエンジンを止めた。ちょうど、駄菓子や飲み物を売る屋台をロードサイドに見つけたからだ。「シンチャオ (こんにちは)」と店番の髪の短い少女が陽気に声をかけてくる。 言葉はわからないが、買い物は指差すだけで事が足りて気安い。 日本の煎餅よりも薄くて大きい米菓子とパパイアジュースを買って、「キムラン」と目差す村の名を言うと、少女は察して、今来た道のその先を指差 [続きを読む]
  • 夏は、まだ始まったばかり。
  • [画像] 早朝。南に向いた硝子窓を大きく開くと夏の風がすかさず吹き込んでくる。 ディンギー日和。 秒速4メートルほどの海からの風。 ランチにと今、庭の菜園から捥いできたばかりのトマトを洗う。地下水をモオタアで汲み上げて引いた水の冷たさに背筋の緊張感が爽快。 この辺りでも深く掘ってあるほうの井戸というけれど、水から塩気が抜けることなんかない。しばらく流水で冷やして、そのままかぶりつくと、果物も野菜も天 [続きを読む]
  • サラダは、いつもパイナップル入り。
  • [画像] 水口イチ子が日曜のブランチに用意するサラダは、いつもパイナップル入り。それと、この頃じゃめずらしくなくなったけれど、モヤシの妹のような豆野菜アルファルファも...。かつては、どこででも手に入らなかったらしく、出かけたついでに、例えば麻布辺りのマーケットで買ってきていたようだ。 ドレッシングは、決まってサワークリーム。それがダイエットのためなのか健康のためなのかは、まだ尋ねたことがない。 サワ [続きを読む]
  • 海鳴りと浜風とスバル360
  • [画像] 横須賀長井漁港のそばに古くからの船具屋があって、ぼくは、そこにスウェーデン製のヨット用羅針盤を注文していた。「注文が何台か溜まったら発注するから気長に待ってもらえますかねぇ」というのは店主の冗談かと思っていたら、本当に半年以上待たされた。 今朝七時に由比ヶ浜のフリートに着くと、すでに強風注意報が出ていて、ぼくと仲間達は早々と出艇を取り止めた。塩っ気の多い連中ばかりなので、さすがにそそくさと [続きを読む]
  • 願わないことは決して実現することはないのだから...
  • [画像] 自作のスカートを見ながら、「そろそろこれも季節外れね」と水口イチ子が言う。 それはこの夏、きみに一番似合っていた。「家の中ならまだ平気だよ」とぼく。「それとも、こんなのを一年中着ていられるような暖かい国で暮らすとか...」 それはなかなかいいアイデアだと思った。少なくとも、願わないことは決して実現することはないのだから...。 朝からの曇り空が次第に明るくなる気配。 ぼくはイチ子を誘って、腰越か [続きを読む]
  • 広い谷戸を満開の花が...
  • [画像] 九月の初め、車で安曇野へ抜ける山間の道すがらのことだ。 水口イチ子が白い花の群生を見つけて、「見て! 雪よ、蓮華よ」と高ぶった声を上げたのは、広い谷戸を満開の花が埋め尽くした蕎麦畑でのことであった。Tracey Ullman / Breakaway  [続きを読む]
  • 鎌倉の春
  • [画像]「鎌倉の駅から歩いてほんの数分のところに、こんな静かな花のお寺があるのを、どうしてみんな知らないのかしらね」と言うと、水口イチ子は山門をくぐり、ひとり先に行ってしまった。「ここはね、桜が終わると、すぐに海棠、そしてアヤメ、花菖蒲...」 ぼくが言うのもろくに聞きもせず...。 ここ妙本寺に咲く海棠は、四月半ばが見頃。 その花の柔らかな色は、毎年、中世の、日本の春の情景をぼくに思い描かせる。     [続きを読む]
  • 曇ってよく見えなくなった
  • [画像] あの夏の夕暮れ、 透明な硝子のような気持ちできみを愛しはじめたぼくではありましたが、 その後、人並みに紆余曲折があって、 今のぼくの気持ちは、まるで磨り硝子のよう。 曇ってよく見えなくなった分だけ、愛情が深まりました。Roger Nichols & The Small Circle Of Friends / The One World of You And Me  [続きを読む]
  • ハイビスカス
  • [画像] 昼を過ぎて、急に強まる西風。 プールサイドのパラソルは、ホテルのボーイ達に瞬く間に奇麗さっぱりと畳まれてしまった。思い起こせばダンク島上陸以来、毎日、午後にはそんな風が吹く。 パラソルの落とす日陰を失った滞在客は、皆、部屋へと引き揚げたようだ。残ったのは、幸運にも低い棕櫚の葉陰のビーチチェアに座った私と、さざ波立つプールに体を浮かべている旅の娘との二人きり。 プールサイドからは、紅く焼けた [続きを読む]
  • 夏の終わり...
  • [画像] 水面海抜千二百メートルを超す湖水の短い夏。 八月の初め、伊太利大使館の別荘沖を二枚帆のスプールが行き交っていた風景が昨日のことのよう。 九月まであと数日 ----- 白い服を着た、あの外国人達は、いつの間にか波が引くように街へ帰って行った。                          * 時折、秋風が吹くこの頃、日中(ひなか)も長袖に腕を通すことが多くなった。Elvis Costello / I'll Never Fall I [続きを読む]
  • 段々思い出してきた
  • [画像] ユニフランス・フィルム駐日代表部の古い月報(1970年3月第110号)を書庫で見つけた。 この年は大阪万博のあった年で、同会場で、4月1日から10日まで国際映画祭が催されている。 当時すでに映画を外貨獲得の重要な輸出品と位置付けていたフランスは、同国映画製作者連盟会長J・ダンシジェールを団長に、二十有余名という、堂々たる代表団を日本に送っている。 そうそう、段々思い出してきたぞ。 代表団名簿にフラン [続きを読む]
  • 嬉しい誤算
  • [画像] 天気予報は午前中雨、昼過ぎから曇り。 しかし、予想はずれ。 ぼく達が腰越の伯母の家で昼食を済ませた頃には、すっかり晴れて嬉しい誤算となった。 誰もいない波打ち際で、イチ子が飛ぶ。The Association / Cherish  [続きを読む]
  • ブーゲンビリアが咲く島の入江に
  • [画像] ブーゲンビリアが咲く島の入江に、今はもう朽ちて廃屋のようになったボートハウスがあって、かつて盛んだったというシャコ貝採りの漁夫が暮らしていた日々が偲ばれます。 きのうは、年に一度、夏の大潮の日におこなわれるという海浜祭り ----- 入江の浅い海底が露出したと聞きます。 合図と共に待ち受けていた人々が先を競って海に入り、名物のシャコ貝や潮だまりに取り残された魚を手づかみで採り合って、それぞれに岸 [続きを読む]
  • 溶岩台地直下の夏
  • [画像]『池のクルミ』から車山へ。聞こえるのは雲雀のさえずりと草の斜面を吹き上げる風の音だけ。見上げる空にグライダーが停まって見える。            *梅雨明け十日。熱気は諏訪湖辺りにとどまったままか。            *霧ヶ峰 ----- 溶岩台地直下の夏は、まだ、陽射しが眩しいだけのことであった。Josh Groban / Try To Remember  [続きを読む]
  • そのあまりに悠長な
  • [画像]大王椰子の並木が巨大な陰を舗道に延ばし、カリフォルニアの陽が西に傾き始める頃のことだ。ぼく達が座っていたのは、ロングビーチにある、安いだけが取り柄のようなメキシコ料理店の奥。タコスと些か上品さに欠ける匂いの豆料理を前にしながら、きみならではの、そのあまりに悠長な語り口で、この春、きみが日本に帰るのを躊躇ったわけをぼくは長々と聞かされようとしていた。We Five / You Were On My Mind  [続きを読む]