Writer さん プロフィール

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Writerさん: きみの靴の中の砂
ハンドル名Writer さん
ブログタイトルきみの靴の中の砂
ブログURLhttp://air.ap.teacup.com/writer/
サイト紹介文『それは言わない約束』のようなもの。
自由文Writer / Blogger
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供171回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2009/09/13 08:00

Writer さんのブログ記事

  • I Can Hear Music
  • [画像] 子供の頃、通う学校は違ったが、よく遊んでいた近所の同い年の木村さんという女の子が、中学に上がって、チマチョゴリの制服で通学を始めたのを見た時でも、ぼくには、それまでとは違った特別な感慨はなかった。今になって思えば、それはそのまま、そういうものなのだと自分なりに受け入れたに違いない。 さて、高校を卒業すると、彼女を見かけなくなり、どうやら親の家を出たようだった。 通りすがりにご両親と会う機会 [続きを読む]
  • ハーフムーンビーチの夏
  • [画像]「少女だった頃って、とっても昔のことなんですよ」 きみが笑ってそう言ったのは、ハーフムーンビーチの暑い夏のいち日が、漸く溌剌としはじめた、朝もまだ早い時間帯の番組でのことであった。The Lovin' Spoonful / Do You Believe In Magic  [続きを読む]
  • プルメリアの花
  • [画像]「プルメリアの花には毒があるの?」 イチ子は、それが朝から気になって仕方がないようであった。「だって、仲間の夾竹桃には毒があるって、昔、どこかで読んだような気がするのよ」とも。「南の島じゃプルメリアの花でレイを作るくらいだから、例えそうであっても、触る分には構わないんじゃないのかなぁ」 ぼくの知識では、そんないい加減な答えしか返せなかった。 イチ子が気にしていたわけは、その日のうちに判明した [続きを読む]
  • 一番たやすい方法
  • [画像] 長い旅の途上にあるきみだから、時折、わけもなく不安になるらしく、メールで自分をどう想っているのかと聞いてくることがある。だから、しばらくの間、愛の言葉で返信を締めくくっていると、今度は『大切な言葉を安売りし過ぎる』と言ってくる。 もしかするとぼく達は、気付かないままに、同じ迷路に陥っているのかも知れない。 気持ちは、日々、態度で示すのが一番たやすい方法ではあるのだが...。Lesley Gore / Look [続きを読む]
  • そんなの照れ臭くって描けるもんか
  • [画像] 夏休み。 水泳部でプール当番中の水口イチ子がフェンス際を歩いていたぼくを見つけて、夏休み中はどこへも行かないのかと声をかけてきた。 美術部であるぼくらの合宿は、毎年、静岡の御前崎にある顧問の美大時代の同級生が営む民宿へ行くのが常だった。 ところが、民宿が老朽化したというので、去年の冬から建て替えを始めたのはいいが、田舎の工務店のこと、野菜農家も兼業しているらしく、この春が終わる頃までに建て [続きを読む]
  • 気にならないわけではなかった
  • [画像] きみはまだ未成年だったから、日暮れてバーに連れて行くわけにもいかず、大抵は床が砂でざらついた海岸通りのアイスクリーム・ショップで過ごすのが、その夏のぼくらの日課だった。 ぼくは独身だったから、若い女性と一緒にいても誰にもはばかるところはなかったけれど、やはり二十以上も年の離れた女性とでは、衆人の目にいったいどう写っているのか、まったく気にならないわけではなかった。The Raspberries / I Wanna [続きを読む]
  • きみの影がゆっくりと動いて行くのを...
  • [画像] おじいさんの世代の方がもっと英語を上手に使ったと、インド系の混血に違いない魅力的な深い眼差しの、その浅黒い肌の色の若いウエイトレスがはにかみながら話したのは、彼女のそそぐミネラル・ウォーターの瓶が昼近い木漏れ日を受けて、ぼくの目にまぶしかった時のことだ。 もうすぐランチ・タイムと言っていい時間に遅い朝食を注文したにも関わらず、快い返事でわがままな客に食事を出してくれたのは、ここが単にリゾー [続きを読む]
  • 深夜急行(2007)
  • [画像] その秋、週末の夜も遅くなって、頼まれていた原稿がようやく書き上がったときのことだ。 ぼくは、突然、大阪にいる水口イチ子に逢いたいと思った。 かれこれ、もうふた月ほど顔を見ていない。こんなことなら、イチ子が東京にいるうちに、もっと一緒にいる時間を作っておくんだった。後悔が募る。 Macintosh のディスプレイの右上、時計のデジタル表示は22時07分。 ぼくは思い立って、取材用にいつでも出かけられるよう [続きを読む]
  • 一九七九年七月のある朝
  • [画像] 一九七九年七月のある朝のことだ。 近所でヒンシュクを買っている怪しげな店構えのエスニック料理屋『ティムール』のガランとした駐車場にぼく達ふたりはいた。 イチ子が HONDA の Z を買った。360cc、空冷二気筒のオレンジ色の中古車。 チョコチップの入ったビスケットをかじりながら、ぼくは車の周りをゆっくりと眺めて回った。「とうとう、買っちゃったわけね。空冷エンジンは扱いが難しいってよ」とぼく。「みんな [続きを読む]
  • 何とも摩訶不思議としか
  • [画像] 沖縄北部もさすがに国頭村の外れまで来ると本土からの観光客に出会うことは稀で、時折、日盛りの中を旅行者のレンタカーが通り過ぎるくらいのものです。 今流行りの路線バスの旅をするにも、村営の巡回バスが朝夕三本ずつでは、旅の足として足るはずもありません。 さて、今年も東村の具志堅さんのパイン畑の収穫を手伝った後、具志堅のおじさんの知り合いということで紹介された国頭村の照屋さんの畑も手伝いました。  [続きを読む]
  • 暑い日である
  • [画像] 海が近い、ここ鎌倉の古い木造住宅のほとんどは、潮風やそれが運んでくる砂を避けるため、海岸通りから少し距離を置き、周りを松などの林で囲んで建てられているのが普通である。砂の飛散を避けるため、庭に芝を貼る家が多いのも特徴と言える。 戦前にお金をかけてしっかり建てられた屋敷が多く、うちのように戦後間もなく建てた家など、どちらかと言えば新しい方であった。 空調のない時代、夏の防暑と湿気対策のために [続きを読む]
  • いずれもまた等しく酔狂な人達
  • [画像] かつて、植草甚一さんが『ユリイカ』のインタヴュー(孤島へ行くとしたら本は何をもっていきますか)に答え、「そのとき吉田健一全集三十冊が出つくしていたら、それにしようかと思うでしょうが、結局は何でもいいわけで、さしあたり今なら...」なんて答えていたのを覚えている。 そもそも吉田健一は嫌いなわけじゃないし、むしろ、そこで言及されている吉田健一全集全三十巻は、ぼくの本棚にも並んでいて、結構小まめに引 [続きを読む]
  • まぶしい転校生
  • [画像] まぶしい転校生だった。 まぶしすぎて、親しい話などついぞ卒業までできず仕舞い。 二十年程たって同窓会の幹事をさせられたとき、消息不明だった彼女の実家に電話で現住所を尋ねたことがあった。 口調からして恐らく御尊父だろう、「あれはもううちの娘でもなんでもないから、そういった件では、もう電話しないでもらいたい」。 父親の気にそぐわない男とでも駆け落ちしたか。 所帯やつれしてなければいいのだが。  [続きを読む]
  • オヒョウとタラ
  • [画像] 英国で伝統の軽食(今の日本の牛丼のように考えてもらってもいい) ----- フィッシュ(フライド・フィッシュ)& チップス(フライド・ポテト)のしっかりした店なら、魚は常に五種類ほど用意されている。単品バラ発注が利くので、三種類食べたければ、ただ、そう頼めばいいだけ。 ぼくは、ハリバットとコッドフィッシュが好きだ。日本で言うところのオヒョウとタラ。 イートインで食べるときは、皿の上のフライド・フィ [続きを読む]
  • 昨日の雨のいち日
  • [画像] 暖かい夜だ。南風が吹いているのだろう。 『熱い紅茶を飲んで、フルーツを少し食べて、筆が二、三行進めば多少の嫌な気分は消え失せる』なんてエリック・ホッファーが日記に書いていたのを思い出したから、昨日の雨のいち日は家にこもって、そんな生活を模倣していた。もっとも、二、三行書けそうな気がしてきたのは、夜もだいぶ深まってのことだから、昼間の書けず仕舞いのモヤモヤした気分が大分尾を引いていたことにな [続きを読む]
  • 旅の間
  • [画像] どこで手に入れたのか、とうとう聞かず仕舞いで帰ってきてしまった。 イーリアスだかオデッセーだかの英訳本同様、きみは旅の間、そのレトロなサングラスを手元から放すことはなかった。The Marmalade / Reflections Of My Life  [続きを読む]
  • やっぱり大事
  • [画像] あるブログで『持ち物をいちばん好きな使いやすいものにするってやっぱり大事』という一文を読んだ時、ちょうど傍らに、西村書店から出た『作家の家 ----- 創作の現場を訪ねて(原書は仏文)』という写真集があった。いつだかの新聞の書評欄にも採り上げられていたから、すでに全国の公立図書館の棚にあるかもしれない。明治大学の鹿島教授が訳文を監修していて、カバーの折り返しにこんなことを書いている。 文体は作家な [続きを読む]
  • 25マイル先の空
  • [画像] 初冬の週末の朝だ。風は冷たく、わずかに砂混じりだが、空は蒼く天気はすこぶるいい。 ぼくは、湘南の海を目の前にした市営駐車場の端に、古い黄色い車・フィアット500R を停めていた。 ポットに入れた珈琲を飲みながらの休息。 いささか陽も高くなったとはいえ、午前中のこんな時間に車を停めている者など他にはいない。3時間か4時間前なら、サーファーの車が何台か停まっていたかもしれないが.....。 茅ヶ崎辺りの [続きを読む]