Writer さん プロフィール

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Writerさん: きみの靴の中の砂
ハンドル名Writer さん
ブログタイトルきみの靴の中の砂
ブログURLhttp://air.ap.teacup.com/writer/
サイト紹介文『それは言わない約束』のようなもの。
自由文Writer / Blogger
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供170回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2009/09/13 08:00

Writer さんのブログ記事

  • 深夜急行(2007)
  • [画像] その秋、週末の夜も遅くなって、頼まれていた原稿がようやく書き上がったときのことだ。 ぼくは、突然、大阪にいるきみに逢いたいと思った。 かれこれ、もうふた月ほど顔を見ていない。こんなことなら、きみが東京にいるうちに、もっと一緒にいる時間を作っておくんだった。後悔が募る。 Macintosh のディスプレイの右上、時計のデジタル表示は22時07分を示していた。 ぼくは急に思い立って、取材用にいつでも出かけら [続きを読む]
  • 一九七九年七月のある朝
  • [画像] 一九七九年七月のある朝のことだ。 近所でヒンシュクを買っている怪しげな店構えのエスニック料理屋『ティムール』のガランとした駐車場にぼく達ふたりはいた。 イチ子が HONDA の Z を買った。360cc、空冷二気筒のオレンジ色の中古車。 チョコチップの入ったビスケットをかじりながら、ぼくは車の周りをゆっくりと眺めて回った。「とうとう、買っちゃったわけね。空冷エンジンは扱いが難しいってよ」とぼく。「みんな [続きを読む]
  • 何とも摩訶不思議としか
  • [画像] 沖縄北部もさすがに国頭村の外れまで来ると本土からの観光客に出会うことは稀で、時折、日盛りの中を旅行者のレンタカーが通り過ぎるくらいのものです。 今流行りの路線バスの旅をするにも、村営の巡回バスが朝夕三本ずつでは、旅の足として足るはずもありません。 さて、今年も東村の具志堅さんのパイン畑の収穫を手伝った後、具志堅のおじさんの知り合いということで紹介された国頭村の照屋さんの畑も手伝いました。  [続きを読む]
  • 暑い日である
  • [画像] 海が近い、ここ鎌倉の古い木造住宅のほとんどは、潮風やそれが運んでくる砂を避けるため、海岸通りから少し距離を置き、周りを松などの林で囲んで建てられているのが普通である。砂の飛散を避けるため、庭に芝を貼る家が多いのも特徴と言える。 戦前にお金をかけてしっかり建てられた屋敷が多く、うちのように戦後間もなく建てた家など、どちらかと言えば新しい方であった。 空調のない時代、夏の防暑と湿気対策のために [続きを読む]
  • いずれもまた等しく酔狂な人達
  • [画像] かつて、植草甚一さんが『ユリイカ』のインタヴュー(孤島へ行くとしたら本は何をもっていきますか)に答え、「そのとき吉田健一全集三十冊が出つくしていたら、それにしようかと思うでしょうが、結局は何でもいいわけで、さしあたり今なら...」なんて答えていたのを覚えている。 そもそも吉田健一は嫌いなわけじゃないし、むしろ、そこで言及されている吉田健一全集全三十巻は、ぼくの本棚にも並んでいて、結構小まめに引 [続きを読む]
  • まぶしい転校生
  • [画像] まぶしい転校生だった。 まぶしすぎて、親しい話などついぞ卒業までできず仕舞い。 二十年程たって同窓会の幹事をさせられたとき、消息不明だった彼女の実家に電話で現住所を尋ねたことがあった。 口調からして恐らく御尊父だろう、「あれはもううちの娘でもなんでもないから、そういった件では、もう電話しないでもらいたい」。 父親の気にそぐわない男とでも駆け落ちしたか。 所帯やつれしてなければいいのだが。  [続きを読む]
  • オヒョウとタラ
  • [画像] 英国で伝統の軽食(今の日本の牛丼のように考えてもらってもいい) ----- フィッシュ(フライド・フィッシュ)& チップス(フライド・ポテト)のしっかりした店なら、魚は常に五種類ほど用意されている。単品バラ発注が利くので、三種類食べたければ、ただ、そう頼めばいいだけ。 ぼくは、ハリバットとコッドフィッシュが好きだ。日本で言うところのオヒョウとタラ。 イートインで食べるときは、皿の上のフライド・フィ [続きを読む]
  • 昨日の雨のいち日
  • [画像] 暖かい夜だ。南風が吹いているのだろう。 『熱い紅茶を飲んで、フルーツを少し食べて、筆が二、三行進めば多少の嫌な気分は消え失せる』なんてエリック・ホッファーが日記に書いていたのを思い出したから、昨日の雨のいち日は家にこもって、そんな生活を模倣していた。もっとも、二、三行書けそうな気がしてきたのは、夜もだいぶ深まってのことだから、昼間の書けず仕舞いのモヤモヤした気分が大分尾を引いていたことにな [続きを読む]
  • 旅の間
  • [画像] どこで手に入れたのか、とうとう聞かず仕舞いで帰ってきてしまった。 イーリアスだかオデッセーだかの英訳本同様、きみは旅の間、そのレトロなサングラスを手元から放すことはなかった。The Marmalade / Reflections Of My Life  [続きを読む]
  • やっぱり大事
  • [画像] あるブログで『持ち物をいちばん好きな使いやすいものにするってやっぱり大事』という一文を読んだ時、ちょうど傍らに、西村書店から出た『作家の家 ----- 創作の現場を訪ねて(原書は仏文)』という写真集があった。いつだかの新聞の書評欄にも採り上げられていたから、すでに全国の公立図書館の棚にあるかもしれない。明治大学の鹿島教授が訳文を監修していて、カバーの折り返しにこんなことを書いている。 文体は作家な [続きを読む]
  • 25マイル先の空
  • [画像] 初冬の週末の朝だ。風は冷たく、わずかに砂混じりだが、空は蒼く天気はすこぶるいい。 ぼくは、湘南の海を目の前にした市営駐車場の端に、古い黄色い車・フィアット500R を停めていた。 ポットに入れた珈琲を飲みながらの休息。 いささか陽も高くなったとはいえ、午前中のこんな時間に車を停めている者など他にはいない。3時間か4時間前なら、サーファーの車が何台か停まっていたかもしれないが.....。 茅ヶ崎辺りの [続きを読む]
  • タイ王国のアイドル歌手
  • [画像] 2007年の夏のことだ。 とある日曜日に所用があって、久し振りに都心に出た。思いのほか用事は早く済み、時間は午後2時を回ったばかり。乾杯にはまだ大分早い時間だったが、渋谷にある知り合いの割烹に電話をしてみた。知人である店主は、もうすぐランチ・タイムが終わって手が空くからちょうどいい、構わないから来てくれと言うのだった。 渋谷駅を過ぎてタクシーを井の頭通りの交差点で降りると、割烹のあるビルは目前 [続きを読む]
  • 良いものを生み出せるかどうかは、それよりずっとあとの問題
  • [画像] いつだったかNHKの番組『食彩浪漫』で作家の村上龍が、「ベストセラーを量産する秘訣は何ですか」とアナウンサーに聞かれ、とっても上手に答えていたので感心した。彼が言うには、 「才能というものは『良いものを生み出せる』ことではなく、あるひとつのことを1日8時間なり打ち込めて、さらにそれを20日間続けても、「もう飽きた」などと言わずに続けていられる能力のことだと思うんですよ。良いものを生み出せるかど [続きを読む]
  • 冬の果実
  • [画像] 冬枯れた景色の中、舗道沿いの家の庭に、檸檬色した、夏蜜柑のような果実が実を結ぶ。 遠目には、温暖な地に実る、晩白柚(ばんぺいゆ)か不知火の仲間ようだ。                              * きみに、もう随分逢っていないような気がする。The Carpenters / All You Get From Love Is A Love Song  [続きを読む]
  • 7センチの足先
  • [画像] 東京を立つ時、Hotel White Beach という名前に、初めはリゾートらしい、やたらモダンな響きを感じた。しかし、後で聞けば、網元が以前営んでいた白浜荘という鄙びた宿を和洋折衷の小さなホテルに建て替えるに際し改名したというから、古い屋号をただ英訳したに過ぎないようだ。  浜も白浜とは名ばかりで岩場が多く、海流の浸食で水深は波打ち際から急に落ちみ、それが理由か、浜は全面遊泳禁止になっていた。だから、泳 [続きを読む]
  • 昨日から思い出せない
  • [画像] もう戻らない過去。そのうち、なんの後悔をも伴わないのは就学前までの時間だけ ----- 自我が形成され、凝縮された時代。 果たして誰の言葉だったか、昨日から思い出せない。EPO / 音楽のような風  [続きを読む]
  • 講義をサボって飲むビール
  • [画像] アメリカ東部で『田舎』と同意語が『アイオワ州』。 そのさらに片田舎の大学に、短期留学制度を使って来て以来、授業に身が入った試しがありません。方言も概ねわかるので不自由はないのですが、だからこそ講義に面白味を感じられないのかも知れません。それで、日本にいるきみのことばかり考えて暮らしています。 ところで、こちらの Bar は、日中は喫茶・軽食屋も兼ねるので、日本の飲食店同様、遅くても午前11時半に [続きを読む]
  • さて、バレンシアと言えば
  • [画像] グラナダからバレンシアへ旅したときの話だっけ? ん? その反対だったっけ? まぁ、どっちでもいいか。 どちらも厳寒期は今一月。それでも日本の早春の頃と同じ気温だから凌ぎやすいことだろう。                              * さて、バレンシアと言えば、思い浮かぶのはオレンジとパエリア。 どう? おいしい? あっ、でもこれポンジュース、愛媛県。The Commodores / Easy (Li [続きを読む]
  • 『鹿肉入りました』
  • [画像] 暑い休日だった。 富士見坂の切り通しを下った商店街の外れにある、今はすっかりめずらしくなった萬年筆屋に愛用の古いペリカンを修理に出した帰り道のことだ。笛木の商店街には東京では一、二軒しかないという獣肉屋があって、店の前に『鹿肉入りました』と貼り紙がしてあるのを見つけた。 そう言えば来週の土曜日はきみの誕生日だから、鹿肉のコンフィかアイリッシュ・シチューのどちらかを作ってあげられるなと思った [続きを読む]