quian さん プロフィール

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quianさん: 茜いろの森
ハンドル名quian さん
ブログタイトル茜いろの森
ブログURLhttp://quianred.blog99.fc2.com/
サイト紹介文男性ヴォーカルグループを主役とした物語をアップしています
自由文音楽小説と呼ぶにははなはだ知識が不足しておりますが、フォレストシンガーズという男性五人のヴォーカルグループを主役とした、連作短編集です。彼らの学生時代からスタートし、脇役キャラの番外編、社会人編も続々アップしていく予定でいます。本橋真次郎、乾隆也、本庄繁之、三沢幸生、木村章、山田美江子、プラス小笠原英彦、プラスその他大勢のオリジナル小説をよろしくお願いします。
ブログにはペットもいます。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供172回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2009/10/01 16:07

quian さんのブログ記事

  • FSさくら物語「桜めぐり」
  • フォレストシンガーズさくら物語「さくらめぐり」1・高知  ソメイヨシノの開花宣言は、高知城の樹が基本なのだと聞いた。この樹の花がいくつか開いたら、日本中にサクラサクの報告がなされる。「ああ、咲いてるよ」「ほんまやきに……もうじきやな」 その樹をヒデに教えてもらって、俺が見つけた一輪。もうすこし遅く来たら桜満開の高知城が見られたのだろうが、こうしてここにヒデとふたりでいるだけでもいい。俺としては恥ず [続きを読む]
  • FS超ショートストーリィ・四季の歌・繁之「春の陽」
  • フォレストシンガーズ四季のうた「春の陽」 仔犬みたいな丸い目をした後輩が、無邪気そうに俺の顔を覗きこむ。 ラジオ番組にゲスト出演しているのだから、聴取者のみなさんには俺の顔は見えないのだが、学生時代の後輩、酒巻國友の視線を意識してしまった。「シゲさん、どうかしました? 僕、なにか変なこと言いました?」「いや、変なことなんか言ってませんよ。うん、春ですね、ほんとに」「春ですよねぇ。陽射しがほんと、春 [続きを読む]
  • 169「白い恋人たち」
  • しりとり小説169「白い恋人たち」 函館支店、こんな小さな支店の営業課長だなんて、栄転だとは思えないが、地方であっても課長になれたのは、会社から期待されているからだと山木珠緒は考えることにしていた。「山木課長は三十二歳なんですか。その年で課長だなんて、すごい出世ですよね」「そうでもないけどね」「どこの大学ですか?」 東京の大学、そこの院を出たの、理系? そうよ、という会話をした相手は、三つ年下の部下 [続きを読む]
  • FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2017/4
  •  FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2017/4 ぼーっと春霞がかかったような頭の中に、こんな歌が浮かぶ。 「杏あまさうな人は睡(ね)むさうな」室生犀星 ひとり、故郷の道を歩いている隆也の頭の中の春霞は、まぼろしの杏の花がつくりだしているのか。この歌の「杏」とは杏の実のことなのだろうが、先に花だ。白い花、杏の花。 ここは隆也のふるさとでもあり、歌を詠んだ室生犀星のふるさとでもある。 見たいな、杏の花を。  [続きを読む]
  • FSさくら物語「さくらガール」
  • フォレストシンガーズさくら物語「さくらガール」 冬には雪の積もった北国へと旅に出る、傷心の日本人。 北には別れたひととの思い出や、ふるさとの想い出があちこちにころがっている。 日本人は北が好きで「北……」とタイトルにつく歌はヒットするのだそうだ。そして冬が終わると春。春には日本人がもっとも好むものがある。「さくら」関連のヒットソングはたくさんありすぎて、俺なんかはどれがどれだかわからない。「パール [続きを読む]
  • FSさくら物語「花しぐれ」
  • フォレストシンガーズさくら物語「花しぐれ」 はらはら、ひらひら、ちらちら、俺にはそんな言葉でしか表現できないような花びらの中で、乾さんが歌っている。俺は素早くICレコーダーをセットした。「散る花に 華やいで 降る雨に 涙して 自分さえ あざむいて 舞う花に 想い託して」 俳句みたいな歌詞は即興なのだろう。ただただ散る花と乾さんの声と、もの哀しいメロディ……いいなぁ、情緒のない俺でさえも涙ぐんでしまい [続きを読む]
  • 花物語2017/4「花の宴」
  • 2017花物語四月「花の宴」 親戚の大部分は近所に住んでいるので、何組もの家族がそろってお花見に出かける。 年に一度の楽しみなイベントの日が近づいていた。 同じアパートに住む母の妹が、近所中の近所だ。母と叔母はどこそこの川べりがいいとか、あっちの公園もいいんじゃない? とか、お弁当にはなにを入れる? との相談ばかりしている。おばさんたちの会話を聞いていると、小学生の花絵も楽しみがふくらんでいくのだった [続きを読む]
  • FS超ショートストーリィ・四季の歌・隆也「春の火」
  • フォレストシンガーズ四季のうた「春の火」 白人さんは暑がりだ。白色人種? 欧米人? との見当がつくだけで、どこの国の人間なのか、なんの言語を話すひとなのかも不明だから、単に「白人さん」だろうと考えるのを許してもらおう。 真冬に半袖はざら。寒風吹きすさぶ中をショートパンツで自転車をこいでいたりもする。冬の観光地にも半袖の白人さんたちがそぞろ歩いている。 黒人はどうなのかな? と考えつつ、隆也も観光地 [続きを読む]
  • FSさくら物語「夜桜お七」
  • フォレストシンガーズさくら物語「夜桜お七」 笑顔がいちばん、とよく言われるが、女に限って、なのだろうか。「男は度胸、女は愛嬌」という慣用句もある。我々フォレストシンガーズが写真撮影に臨む場合、笑えと命じられることもあるが、おおむねはクールビューティ……って、誰がビューティだ。 ビューティかどうかは主観の問題なのでいいとしても、男はむやみに笑うものではない、とうちの祖母も言っていた。であるから、笑顔 [続きを読む]
  • 花物語2017/3「歩く姿はアマリリス」
  • 2017花物語3月「歩く姿はアマリリス」 立てば芍薬、すわれば牡丹、歩く姿は百合の花。「美人のことをそういうんだけど、リュートだったらさしずめ、歩く姿はアマリリスかしらね。リュートは和風ではないし、美女っていうんでもないし」 うっとりと流斗に見とれながら言ったのは、誰だっただろうか。誰でもいい。リュートは来るものを拒む気はないのだから。しかし、人間の感情というものが厄介なのは本能的に知っていた。「公演 [続きを読む]
  • FSさくら物語「花弁乱舞」
  • フォレストシンガーズさくら物語「花弁乱舞」 空気を吸い込んで呼吸を止め、止めて止めて止めすぎて気絶しそうになった。なにこれ? なにって、桜だろ? 桜以外のなんなんだよ。千本桜っていうのかな? 弥生の空は見渡す限り……ってこれだね。学生時代に乾さんに教えてもらった短歌も思い出す。 「願わくば 花のもとにて春死なん その如月の望月のころ」 如月に花は咲かないでしょ? と尋ねて、旧暦だから咲くんだよ、と [続きを読む]
  • FSさくら物語「花霞」
  • フォレストシンガーズさくら物語「花霞」 季語ってのは旧暦を基準にしているそうだから、現代の季節にはふさわしくない感じがすることもある。けれども、「桜」は春だ。「花」とは桜をさすのだから、「花」は春。 通りがかった河原に腰を下ろして、霞のかかったような頭で桜霞について考える。遠くに見える花霞。「霞」もいかにも春だなぁ。頭にも霞がかかってくるから、こうしていると居眠りしそうだ。 あの花霞は対岸の公園か [続きを読む]
  • FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2017/3
  • 2017/1 超ショートストーリィ また今年も誕生日が来る。 そりゃあ、生きている限りは誕生日ってのは来るもので。大人になれば誕生日なんてめでたくもないわけで。 フォレストシンガーズは全員が三月生まれだ。 だから、三月になると全員がひとつ年を取る。めでたくもないとうそぶいてみたところで、春の息吹を感じる三月になると、過去や未来にも想いを馳せるわけで。「幾山河 こえさりゆかば さびしさの はてなん国ぞ きょう [続きを読む]
  • FS超ショートストーリィ・四季の歌・全員「四季の歯」
  • フォレストシンガーズ四季のうた・超ショートストーリィ「四季の歯」1 煙草を吸う者は歯には細心の注意をするべきだ。めったにテレビに出る機会はないものの、皆無でもないのだから、乾さんの歯、汚いね、幻滅、などとファンの方に言われたくない。歯磨きは当然、自宅でもケアをして、歯科医にも頻繁に通っていた。「乾さんの歯は丈夫ですよね」「子どものころの食生活のおかげかもしれませんね」「どういったものを?」 年に数 [続きを読む]
  • FSさくら物語「サクラサク」
  • フォレストシンガーズさくら物語「サクラサク」 「空き室アリ」 見学可、とも書いてあったので、お邪魔します、と小声で呟いてアパートの中に入ってみた。今どきのマンションのような堅強なセキュリティなど望むべくもない。俺が住んでいたころは同居者は全員、独身男だと聞いていたから、少々用心がよくなくてもどうってこともなかったのだろう。 若いとは限らないが、独身で貧しい男たち。そんな奴らのアパートに泥棒に入った [続きを読む]
  • FS動詞物語「惚れ直す」
  • フォレストシンガーズ動詞シリーズ「惚れ直す」 サプライズがあると聞いていたのはこれだったのか。嬉しいような、恥ずかしいような気分だ。 もと野球選手の興梠さん、私は知らないタレントのSAKURAさん、彼女は日本人だがSAKURAという芸名らしい。そのふたりが司会担当で、興梠さんは実技もやってみせる。日曜日の朝、アスリートを迎えての番組だ。 実際には録画なのだが、放映されるのは日曜日午前九時。視聴率はあまり望めな [続きを読む]
  • FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2017/2
  • 2017/2月 超ショートストーリィ ほんわりと外が明るいのは、雪景色になっているからだ。冬は夜になるのが早いが、幸生たちが仕事をしている間に雪が積もって白夜みたいになっている。寝る気にもなれなくて、幸生は外に出ていった。「うわー……」 空を見上げると感嘆の声がほとばしる。 下は真っ白な雪。雪の中にはユキオがいて、ブルーブラックの空には星がいっぱい。濃紺と銀いろだけで絵が描けそうな気もした。「よーし、雪 [続きを読む]
  • FS超ショートストーリィ・四季の歌・章「冬の旅」
  • フォレストシンガーズ超ショートストーリィ・四季のうた「冬の旅」 思い浮かべていたイメージとはちがいすぎるけれど、現実とはこんなものなのだろう。 東京で暮らしていれば、大嫌いな雪景色などはほとんど見なくてすむと安堵していたのに、旅暮らしになってしまったら雪深い地方にも来なくてはならない。がっかりだ。「章はなんでそんなに雪が嫌いなの?」「稚内の生まれだからだよ」「稚内生まれのひとはみんな、雪が嫌いなの [続きを読む]
  • FS動詞物語「打つ」
  • フォレストシンガーズ動詞物語「打つ」 あなたにとってのプロ野球とは? と誰かに質問されれば、章だったらこう答えるだろう。「そうだな……ガキのころにテレビでアニメだとか歌番組だとかを見たくても、親父がジャイアンツの試合を見たがって見せてもらえなかった、って恨みだね。親父がたまに出張で留守にして、今日はあのアニメが見られるって楽しみにしていたのに、出張は中止だ、とか言って帰ってきたときの失望感、半端な [続きを読む]
  • 花物語2017/2「年に一度のスノードロップ」
  • 花物語2017「年に一度のスノードロップ」 もうじきやってくるはじめての結婚記念日。新婚夫婦にとっては最大のイベントなのだから、夫の孝道はサプライズプレゼントなりなんなりを考えてくれているのだろうか。当日まで素知らぬ顔で待つべきか。今日は孝道のほうが先に帰宅していたので、お帰り、と出迎えてくれた夫になにか言おうか、言わないほうがいいか、と恵梨香は迷っていた。「あのさ」「……んん?」 来た? 寝室で普段 [続きを読む]
  • FS動詞物語「酔いしれる」
  • フォレストシンガーズ「酔いしれる」  絵馬を買って願い事を書いていると、横から妹が覗き込んでいた。 恒例の初詣。若いころには大みそかに家を抜け出したり、友達と旅行がてらに遠方へ出かけたり、晴れ着を着て彼氏とふたりきりで、というようなこともあった。 いつのころからか旅行も億劫になり、友達づきあいも面倒になり、彼氏? 私を何歳だと思ってるのよ、になったのは、妹も同様だったのかもしれない。加寿子と波留子 [続きを読む]
  • FS超ショートストーリィ・四季の歌・真次郎「冬の曲」
  • フォレストシンガーズ超ショートストーリィ・四季のうた「冬の曲」 ベタすぎると笑われそうだが、なんたって「冬」!! 冬なのだから「冬」だ。 ヴィヴァルディの「四季」より、「冬」。ヴァイオリンの音色が、冬をあらわしている。わりあいに穏やかな気候の「冬」だと真次郎が感じる序盤から、徐々に曲調が高まっていくのは、空が荒れ模様になって雪が舞いはじめているのだろうか。「冬の曲? 冬っていうと北欧のデスメタルかな [続きを読む]
  • FS動詞物語「歌う」
  • フォレストシンガーズ「歌う」 音楽の授業で「作曲」の宿題が出た。一週間後に提出せよと教師に命令されて、生徒たちは大ブーイング。作曲なんてできないよーっ!! との声が大半だったが、俺としては余裕だった。「……ヒデは得意なんだからいいよな。作曲のできる奴なんて、他にもいるんだろうか」「小学生の宿題なんだから、なんとなくメロディになってたらいいんだよ」「それでも俺にはできないよ。ああ、どうしよう、どうしよ [続きを読む]
  • いろはの「し」part2
  • フォレストシンガーズいろはの「し」part2「島の娘」 まるでおとぎ話のよう。遠い遠い昔、というほどにも昔ではないけれど、この母が若い女の子だったころだというのだから、唯にはずいぶん昔の物語のように聞こえた。「お父さんには内緒だよ」「どうして?」「どうしても」 小さいころには意味がわからなかったが、中学生にもなるとわかってきた。ちょっとだけ秘密の香りがしてわくわくして、幼稚園くらいのころから何度も何度 [続きを読む]
  • 168「てのひら返し」
  • しりとり小説168「てのひら返し」 学歴にこだわる親なのは知っていたから、なるべく言いたくはなかった。けれど、結婚したいとの報告なのだから、質問されれば答えるしかない。武志は正直に言った。「中学生のときに登校拒否になりまして、中学は義務教育だから卒業はしたんですけど、高校には行っていません。叔父がニューヨークに住んでいましたので、叔父のアパートに居候させてもらって、アルバイトをしたり自転車旅行をした [続きを読む]