りんさん さん プロフィール

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りんさんさん: りんのショートストーリー
ハンドル名りんさん さん
ブログタイトルりんのショートストーリー
ブログURLhttp://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文気軽に読めて笑えるショートストーリーです。名作パロディーやファンタジーなどが中心です。
自由文お話を作るのが大好きで、こっそり書き溜めていたのですが、夫と子供に見せたところ、面白いからブログに載せたら、と言われて、思い切って作っちゃいました。

重い話はありません。
楽しいショートストーリーが中心です。
お茶でも飲みながら読んで欲しいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供77回 / 365日(平均1.5回/週) - 参加 2009/11/29 22:51

りんさん さんのブログ記事

  • ぼくんちのお盆
  • お盆が来ると、たくさんの親戚が集まる。叔父さん家族4人、伯母さん家族5人、東京に行った兄ちゃん。お父さん、お母さん、おばあちゃん、おじいちゃん、中学生のぼく。総勢15人が、居間に集まる。ふすまを外して2部屋の仕切りをなくすと、旅館の大広間みたいに広くなる。お母さんは朝から大忙しだ。掃除に料理。納戸からお皿を出したり布団を用意したり。おばあちゃんは手伝わないのに「あの皿の方がいいべ」とか「座布団足ら [続きを読む]
  • 傘の花
  • 春から夏にかけて、たくさんの花が咲くけれど、私にとって最も愛しいのは「傘の花」だ。雨上がりの澄んだ光の中、六つの傘の花が軒先に咲く。それは我家の幸せの象徴だ。夫の黒い傘、私の赤い傘、長女の夕菜はオレンジの傘、長男の海斗は青い傘、次男の草太は緑の傘、末っ子の桃香はピンクの傘。それぞれのカラーが、右から大きい順に並んでいる。通りすがりの人が目を細めるほど、それは微笑ましい風景だった。**雨が降り続いて [続きを読む]
  • キッチンの魔女
  • 気配を感じて振り返ると、キッチンに女が立っていた。淡い光に包まれて薄ぼんやりとしたシルエットは、彼女が生きている人間ではないことを物語っている。「キッチンだけは汚すな」と、結婚前に夫に言われた。他はいいけど、キッチンだけはきれいにしてくれと。私はその言いつけを守っていた。女は、ピカピカのシンクを満足そうに見つめ、ふわっと消えた。何だったのだろう。夫には死別した前妻がいた。その人だろうか。私は、帰宅 [続きを読む]
  • 月がきれいですね
  • きれいな満月の夜。あなたはいない。すぐに逢いに来るって言ったのに、うそつきだな。満月の夜、僕も同じ月を見るよって言ったのに、あなたの街は雨じゃないの。ホントにうそつきだな。お祭りいっしょに行きたいねってメールしたのに返信もない。忘れちゃったのかな。私のこと。なんか泣きたくなってきた。月がきれいすぎて。やっべえ。電車で爆睡して終点まで行っちゃった。疲れているのかな。最近仕事きつかったからな。夕方まで [続きを読む]
  • お父さんのかくれんぼ
  • 一家の大黒柱であるにも関わらず、私の存在感はティッシュペーパーよりも薄い。「あら、お父さん、いたの?」と、毎日のように言われる。ネコのミーコの姿が見えないと一家総出で探すくせに、私がいなくても誰も気づかない。日曜日の朝、どうせ存在感がないのなら…と、ソファーの後ろに隠れてみた。誰かが「あれ? お父さんは?」と言ったら、「ここに居るぞ」と出て行こう。きっとウケるぞ。「もう、お父さん、何やってるのよ」 [続きを読む]
  • お兄ちゃん
  • あれ、ジュンちゃん、どうしたの?明日まで広島出張じゃなかった? 一日早く帰ってきたんだ。そ、そうなんだ。え? 何も慌ててないよ。やましいことなんかないよ。あるわけないでしょ。会いに来てくれて嬉しいよ。タバコ臭い? ああ、えっとね、昨日ユミが来たの。ほら、あの子タバコ吸うから。ベランダに男物の下着? ああ、それはね、えっと、防犯だよ。ほら、女性のひとり暮らしは物騒でしょ。だからね、しまむらで買ってき [続きを読む]
  • 見える人、見えない人
  • 我が家はいわゆる「見える」家系だ。パパもママも私も、生まれたときから幽霊が見える。ただ、どういう訳かお姉ちゃんだけは「見えない」人だ。霊感が全くない。だからといって困ることなど何ひとつない。霊なんて、見えないに越したことはないのだから。そんな我が家に、ちょっと困ったことが起きた。お姉ちゃんが、幽霊を連れてきてしまったのだ。青白い顔の男の霊が、お姉ちゃんの肩に乗っている。「どうする? パパ、ママ、教 [続きを読む]
  • 拾った恋
  • 高2の夏、生まれて初めて彼氏が出来た。ずっと憧れていたイケメンの翔君に告白したら、拍子抜けするほど簡単にOKをもらった。「いいよ。ちょうど彼女と別れたばっかなんだ」と。日曜日に、早速映画に行くことになった。旬のアイドルが出ている大ヒット映画だから、先にチケットを買ってから食事をすることにした。「舞ちゃん、俺バイト代が入るまで、すげー貧乏なんだ。悪いけど割り勘でいい?」「もちろんだよ」あたしは自分の [続きを読む]
  • ぼたん園
  • パートを終えた午後3時、家に帰りたくない気持ちは百パーセントに達する。会話のない家は崩壊寸前、いや、もう崩壊しているかもしれない。車を家と逆方向に走らせる。民家がまばらな山道で、このまま行方不明になってやろうかと、幾度となく考える。私がいなくなったら、あの家は間違いなく崩壊する。古い木の看板が、目に飛び込んできた。黒い字で『ぼたん園』と書いてある。そういえば、牡丹の季節だ。薄紅色の大きな牡丹が、実 [続きを読む]
  • 彦星の愛人
  • あら、織姫さん、いらっしゃい。今日は7月7日。年に一度の面会の日ですね。今、彦星さんを呼んできますね。え? 私ですか? 私は彦星さんの愛人です。でもご安心くださいね。本妻は織姫さんだということは、重々承知していますから。私は愛人の身ですから、364日一緒にいられるだけで充分ですのよ。呼んでくるからお待ちくださいね。彦星さーん。織姫さんが見えたわよ。早くして。待たせちゃ悪いわよ。ほらほら、子供の面倒 [続きを読む]
  • おとぎ話(笑)19 もしも編
  • シンデレラ(もしも王子様がガラスの靴を持ってこなかったら)「すみません。シンデレラと申します」「何の用だ」「昨夜お城の階段に、ガラスの靴を忘れてしまいました」「ガラスの靴? ああ、ちょっと遅かったな。今日は燃えないゴミの日だったから出しちゃった」「マジか!」赤ずきん(もしもオオカミがおばあさんになりすましていなかったら)「おばあさまの耳は、どうしてそんなに大きいの?」「福耳さ」桃太郎(もしも桃太郎 [続きを読む]
  • ビールを買いに
  • 夏の夕方、ずいぶん早く帰ってきたお父さんが、冷蔵庫を開けて「ああああ〜」と大声を出した。「ビールがない!」お父さんは息子の啓太を呼んだ。「啓太、角のコンビニでビールを買ってきてくれ。お父さん、疲れて歩けない」「お父さん、僕は12歳だよ。未成年はビールを買っちゃいけないんだ。大人のくせに知らないの?」「でもさ、おまえは12歳の割に背が高い。俺と大して変わらないだろう。変装すれば買えるさ」犯罪じゃん、 [続きを読む]
  • 紫陽花の恋
  • 紫陽花は、気まぐれ、移り気などと言われますが、私は違います。私は一途です。私が恋をしたのは、目の前のアパートに住むT大生です。爽やかでイケメンで、おまけに頭がいいのです。彼は毎朝、大家さんに挨拶します。「おはようございます。紫陽花がきれいに咲きましたね」きれいだなんて言われてしまいました。照れます。大家さんは私に水をかけてくれながら、ひとりごとをつぶやきます。「いい男だね。礼儀正しいうえにT大か。 [続きを読む]
  • おじさまと人魚
  • 子供の頃、冒険家のおじさまの話を聞くのが好きだった。海賊に襲われて、命からがら逃げた話や、どこかの民族の酋長に気に入られて、危うく婿養子にされそうになった話。大きな熊と闘った話もあった。私がいちばん好きだったのは、おじさまが人魚と恋に落ちた話。船が遭難して、人魚の国にたどり着いたおじさまは、ひとりの人魚と恋をした。だけどおじさまは海の中では生きられず、人魚は陸では生きられず、悲しい別れとなった。お [続きを読む]
  • 記憶研究所
  • 「大丈夫、眠っている間に終わります」初老の医者が祥子の顔を覗き込んだ。医者の顔に並んだホクロを、祥子は薄れていく意識の中でぼんやり見た。「人間は間違いを犯します。しかしそこで躓いて、たった一度の人生を棒に振るのはよくありません。いいですか」初老の医者は、紙に鉛筆で丸を書き、すぐに消しゴムできれいに消した。「間違った文字を消しゴムで消すようなものだと思ってください。祥子さんの人生の悲しい記憶を、すっ [続きを読む]
  • 雨宿り
  • 小さな雑貨屋で、妻の代わりに店番をしている。どうせ客は来ないだろう。雨音が聞こえてきた。かなり激しく窓ガラスを叩いている。客はますます来ないだろう。…と思っていたら扉が開いて、客だと思って身構えたが違った。「すみません。雨宿りをさせてください。急に降ってきて、あいにく傘がなくて」女性が小さく息を吐きながら、困った様子で言った。「構いませんよ」と、私は椅子をすすめた。カフェでもあれば飛び込むのだろう [続きを読む]
  • 遠足に行きたいの
  • おやつをリュックに詰めて、テルテル坊主を吊るして、楽しみに楽しみにしていた遠足なのに、その朝突然熱が出て行けなくなる。私は、そんな子供だった。そして大人になり、念願の教師になって初めての遠足。副担任として生徒たちを見守りながら、楽しく過ごすはずだった。それなのに、遠足の朝、私はまた熱を出した。かなりの高熱で、遠足どころかベッドからも起きられない。担任の田中先生に電話をしたら、「仕方ないわね、ゆっく [続きを読む]
  • 公園の女
  • 初夏の公園は、家族連れで賑わっている。真ん中に人工の池があり、子供たちは容赦なく服を濡らして水しぶきを上げる。木陰のベンチは子供たちを見つめる父親と母親に占領され、居場所をなくした私はひとり、ブランコに座って時間をつぶす。「おばちゃん、どいて」子供に追われて立ち上がった。「おばちゃんじゃないのよ」と小さい声で言ったみたけれど、勢いよくブランコを漕ぎ始めた子供に聞こえるはずがない。仕方ないので公園を [続きを読む]
  • カーネーションが2本
  • 仏壇に、2本のカーネーションが供えられている。長女の美菜と、次女の美緒が母の日に一本ずつ買ったものだ。5年前に天国へ旅立ったふたりの母親は、写真の中で笑っている。私は半年前、この家に嫁に来た。9歳の美菜と7歳の美緒の新しいお母さんになった。ふたりとも亡くなった母親のことはあまり憶えていない。だからかどうかわからないが、私にとても懐いてくれている。母になって初めての「母の日」、やはり私は期待した。期 [続きを読む]
  • 大切なもの
  • 藤田は子供のころから、ポケットに手を入れる癖があった。しかもその中で指を動かすものだから、すぐに穴があいてしまう。だから藤田は、大切なものをいくつも落とした。母親からお使いを頼まれたときの小銭、友達にもらった光るビー玉、自転車の鍵、キャンディ、チケットなど、数えきれない。藤田は30歳になった。ポケットに手を入れる癖は相変わらずで、ポケットに穴をあけるのも日常茶飯事だが、学習能力がある彼は、大切なも [続きを読む]
  • いつか人間に
  • 次に生まれ変わるときは、絶対人間になりたかったのに…。わたしはハムスターになった。行きつく先のない回し車の上を、ただひたすらに走り続ける毎日だ。なんて狭い世界だろう。なんてちっぽけな命だろう。わたしはかつて、陸上選手だった。誰よりも早く走り、オリンピックを目指していたが、戦争によって命を落とした。生まれ変わってまた走りたいと願ったら、わたしは犬になった。広い草原で、飼い主が投げたボールを走って拾い [続きを読む]
  • 田植えの季節
  • 5時を告げるメロディが、村に流れた。「峠の我が家」は優しく心に響く。秀じいさんは、思わず歌詞を口ずさみながら腰を叩いた。田んぼに水を張り、あとは苗を植えるだけだ。昔は家族そろって田植えをしたものだが、息子家族は帰っても来ない。秋に新米をもらいに来るときだけ、嫁は愛想がいい。「さてと、帰るべ」ふり返ると、水面に緑の山がくっきり映っている。いい季節だ。秀じいさんは家に帰ると、簡単な夕飯を作る。女房が生 [続きを読む]
  • おやゆび姫育成キット
  • 夫が、チューリップの鉢植えと「おやゆび姫育成キット」を買ってきた。夫はこういう変わったものが好きで、前にも「100万コに1コ、桃太郎が入っている桃」とか、「運がよければかぐや姫に逢える竹」とか買ってきた。今回もどうせまがい物だろうと思いながらも、花がきれいだったから育てた。育成キットはいたって簡単。小さな粒を花の真ん中に置き、あとは特殊な培養液と水を与えるだけ。子供だましだと思ったが、二日後、粒が [続きを読む]
  • 25年目のクラス会
  • 久しぶりに降りた故郷の駅は、閑散としていた。6番のバス乗り場に行くと、懐かしい面影がベンチに座っていた。「先生」声をかけると、先生は「やあ」と右手を上げた。「今日はクラス会だね」「そうですね。卒業して25年目のクラス会です」「みんな変わったかな」「ええ、15歳だった少年少女が、40歳の中年ですもの」 あの頃の先生は25歳の若い教師で、女生徒たちの憧れだった。若い分、私たちの気持ちをよくわかってくれ [続きを読む]
  • 桜が見える部屋
  • 南側の窓を開けると、桜の花びらがふわりと舞い込んできました。川向こうの桜並木から、はるばる風に乗ってやってきたのでしょう。小さな花びらは、しばらく空中で遊びながら、あなたの写真の上にちょこんと舞い降りました。桜が好きだったあなたが、写真の中で笑っています。一緒に暮らすことになったとき、あなたはいつになくはしゃいだ声で言いました。「いい部屋を見つけたよ。窓から素晴らしい桜並木が見えるんだ」年に一度の [続きを読む]