りんさん さん プロフィール

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りんさんさん: りんのショートストーリー
ハンドル名りんさん さん
ブログタイトルりんのショートストーリー
ブログURLhttp://rin-ohanasi.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文気軽に読めて笑えるショートストーリーです。名作パロディーやファンタジーなどが中心です。
自由文お話を作るのが大好きで、こっそり書き溜めていたのですが、夫と子供に見せたところ、面白いからブログに載せたら、と言われて、思い切って作っちゃいました。

重い話はありません。
楽しいショートストーリーが中心です。
お茶でも飲みながら読んで欲しいです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供78回 / 365日(平均1.5回/週) - 参加 2009/11/29 22:51

りんさん さんのブログ記事

  • 紫陽花の恋
  • 紫陽花は、気まぐれ、移り気などと言われますが、私は違います。私は一途です。私が恋をしたのは、目の前のアパートに住むT大生です。爽やかでイケメンで、おまけに頭がいいのです。彼は毎朝、大家さんに挨拶します。「おはようございます。紫陽花がきれいに咲きましたね」きれいだなんて言われてしまいました。照れます。大家さんは私に水をかけてくれながら、ひとりごとをつぶやきます。「いい男だね。礼儀正しいうえにT大か。 [続きを読む]
  • おじさまと人魚
  • 子供の頃、冒険家のおじさまの話を聞くのが好きだった。海賊に襲われて、命からがら逃げた話や、どこかの民族の酋長に気に入られて、危うく婿養子にされそうになった話。大きな熊と闘った話もあった。私がいちばん好きだったのは、おじさまが人魚と恋に落ちた話。船が遭難して、人魚の国にたどり着いたおじさまは、ひとりの人魚と恋をした。だけどおじさまは海の中では生きられず、人魚は陸では生きられず、悲しい別れとなった。お [続きを読む]
  • 記憶研究所
  • 「大丈夫、眠っている間に終わります」初老の医者が祥子の顔を覗き込んだ。医者の顔に並んだホクロを、祥子は薄れていく意識の中でぼんやり見た。「人間は間違いを犯します。しかしそこで躓いて、たった一度の人生を棒に振るのはよくありません。いいですか」初老の医者は、紙に鉛筆で丸を書き、すぐに消しゴムできれいに消した。「間違った文字を消しゴムで消すようなものだと思ってください。祥子さんの人生の悲しい記憶を、すっ [続きを読む]
  • 雨宿り
  • 小さな雑貨屋で、妻の代わりに店番をしている。どうせ客は来ないだろう。雨音が聞こえてきた。かなり激しく窓ガラスを叩いている。客はますます来ないだろう。…と思っていたら扉が開いて、客だと思って身構えたが違った。「すみません。雨宿りをさせてください。急に降ってきて、あいにく傘がなくて」女性が小さく息を吐きながら、困った様子で言った。「構いませんよ」と、私は椅子をすすめた。カフェでもあれば飛び込むのだろう [続きを読む]
  • 遠足に行きたいの
  • おやつをリュックに詰めて、テルテル坊主を吊るして、楽しみに楽しみにしていた遠足なのに、その朝突然熱が出て行けなくなる。私は、そんな子供だった。そして大人になり、念願の教師になって初めての遠足。副担任として生徒たちを見守りながら、楽しく過ごすはずだった。それなのに、遠足の朝、私はまた熱を出した。かなりの高熱で、遠足どころかベッドからも起きられない。担任の田中先生に電話をしたら、「仕方ないわね、ゆっく [続きを読む]
  • 公園の女
  • 初夏の公園は、家族連れで賑わっている。真ん中に人工の池があり、子供たちは容赦なく服を濡らして水しぶきを上げる。木陰のベンチは子供たちを見つめる父親と母親に占領され、居場所をなくした私はひとり、ブランコに座って時間をつぶす。「おばちゃん、どいて」子供に追われて立ち上がった。「おばちゃんじゃないのよ」と小さい声で言ったみたけれど、勢いよくブランコを漕ぎ始めた子供に聞こえるはずがない。仕方ないので公園を [続きを読む]
  • カーネーションが2本
  • 仏壇に、2本のカーネーションが供えられている。長女の美菜と、次女の美緒が母の日に一本ずつ買ったものだ。5年前に天国へ旅立ったふたりの母親は、写真の中で笑っている。私は半年前、この家に嫁に来た。9歳の美菜と7歳の美緒の新しいお母さんになった。ふたりとも亡くなった母親のことはあまり憶えていない。だからかどうかわからないが、私にとても懐いてくれている。母になって初めての「母の日」、やはり私は期待した。期 [続きを読む]
  • 大切なもの
  • 藤田は子供のころから、ポケットに手を入れる癖があった。しかもその中で指を動かすものだから、すぐに穴があいてしまう。だから藤田は、大切なものをいくつも落とした。母親からお使いを頼まれたときの小銭、友達にもらった光るビー玉、自転車の鍵、キャンディ、チケットなど、数えきれない。藤田は30歳になった。ポケットに手を入れる癖は相変わらずで、ポケットに穴をあけるのも日常茶飯事だが、学習能力がある彼は、大切なも [続きを読む]
  • いつか人間に
  • 次に生まれ変わるときは、絶対人間になりたかったのに…。わたしはハムスターになった。行きつく先のない回し車の上を、ただひたすらに走り続ける毎日だ。なんて狭い世界だろう。なんてちっぽけな命だろう。わたしはかつて、陸上選手だった。誰よりも早く走り、オリンピックを目指していたが、戦争によって命を落とした。生まれ変わってまた走りたいと願ったら、わたしは犬になった。広い草原で、飼い主が投げたボールを走って拾い [続きを読む]
  • 田植えの季節
  • 5時を告げるメロディが、村に流れた。「峠の我が家」は優しく心に響く。秀じいさんは、思わず歌詞を口ずさみながら腰を叩いた。田んぼに水を張り、あとは苗を植えるだけだ。昔は家族そろって田植えをしたものだが、息子家族は帰っても来ない。秋に新米をもらいに来るときだけ、嫁は愛想がいい。「さてと、帰るべ」ふり返ると、水面に緑の山がくっきり映っている。いい季節だ。秀じいさんは家に帰ると、簡単な夕飯を作る。女房が生 [続きを読む]
  • おやゆび姫育成キット
  • 夫が、チューリップの鉢植えと「おやゆび姫育成キット」を買ってきた。夫はこういう変わったものが好きで、前にも「100万コに1コ、桃太郎が入っている桃」とか、「運がよければかぐや姫に逢える竹」とか買ってきた。今回もどうせまがい物だろうと思いながらも、花がきれいだったから育てた。育成キットはいたって簡単。小さな粒を花の真ん中に置き、あとは特殊な培養液と水を与えるだけ。子供だましだと思ったが、二日後、粒が [続きを読む]
  • 25年目のクラス会
  • 久しぶりに降りた故郷の駅は、閑散としていた。6番のバス乗り場に行くと、懐かしい面影がベンチに座っていた。「先生」声をかけると、先生は「やあ」と右手を上げた。「今日はクラス会だね」「そうですね。卒業して25年目のクラス会です」「みんな変わったかな」「ええ、15歳だった少年少女が、40歳の中年ですもの」 あの頃の先生は25歳の若い教師で、女生徒たちの憧れだった。若い分、私たちの気持ちをよくわかってくれ [続きを読む]
  • 桜が見える部屋
  • 南側の窓を開けると、桜の花びらがふわりと舞い込んできました。川向こうの桜並木から、はるばる風に乗ってやってきたのでしょう。小さな花びらは、しばらく空中で遊びながら、あなたの写真の上にちょこんと舞い降りました。桜が好きだったあなたが、写真の中で笑っています。一緒に暮らすことになったとき、あなたはいつになくはしゃいだ声で言いました。「いい部屋を見つけたよ。窓から素晴らしい桜並木が見えるんだ」年に一度の [続きを読む]
  • 桜より〇〇
  • 桜が満開になったから、今日の合コンはお花見合コンだって。はっきり言って夜桜なんて寒いだけ。冷え性なのよ、わたし。でもね、今回の合コンはレベルが高いらしいの。IT企業のエリートだって。桜はどうでもいいけど、とりあえず合コンには参加するわ。あー、始まって30分で、来たことを後悔した。寒いのよ。襟がいい感じに開いたブラウスなんか着てきちゃったから。ダウンジャケットでも着てくればよかった。おまけにコンタク [続きを読む]
  • 説明の多い立ち食いソバ店
  • 立ち食いソバの店の前に、長い行列が出来ていた。よほど美味しいのだろうか。並んだとしても、立ち食いソバなら回転も速いし、さほどでもないだろう。そう思って、いちばん最後に並んだ。しかし行列はなかなか減らない。しかしここまで待つとどうしても食べたい。根気強く小一時間ほど待って、自分の番が来た。「いらっしゃいませ。立ち食いソバへようこそ。お客様、おひとりさまですか?」「はあ」「当店のご利用は初めてでいらっ [続きを読む]
  • 離婚届・婚姻届
  • バツイチ同士の再婚で、彼も私も子供がいないし、双方の親も他界している。障害は何もない。彼はちょっと頼りないけど優しい人だ。とりあえず一緒に暮らし始めて、あとは籍を入れるだけだった。ところがここで問題が起きた。彼の離婚届が、出されていなかったのだ。つまり彼はまだ、離婚をしていない。彼は元妻に電話をした。「え? 出し忘れたって、どういうことだよ。もう5年も経っているんだぞ。いや、確認しなかった俺も悪い [続きを読む]
  • おとぎ話(笑)18
  • <金の斧・銀の斧>ひとりの男が湖のほとりを散歩していた。喉が渇き、自動販売機の前で小銭を出そうとしたら、うっかり財布を落とし、小銭が湖の中に落ちてしまった。「ああ、僕の小銭が…」すると湖の中から女神が現れた。「おまえが落としたのは、500円玉か?100円玉か?それとも10円玉か?」「それ全部です。全部で735円落としました」「正直者だな。ではおまえには、いちばん高価な500円玉をやろう」「いや、2 [続きを読む]
  • 天国の歓迎会(空見の日)
  • 本日3月16日は、もぐらさんの呼びかけで『空見の日』となりました。空見の日は、みんなで空を見上げようという日です。7時15分の空昨日までの雨もすっかり上がり、いい青空です。12時の空ぽかぽか春の陽気で、昼休みの散歩も楽しい。今年1月に、父を亡くした私は、やはりこの空のずっと上に父がいるのかな…なんて思いながら空を見上げました。天国で、お酒でも飲んでいるかな。そんなことを思いながら…、空に因んだ短い [続きを読む]
  • 新人さん
  • 朝は誰よりも早く出社して、社員たちが気持ちよく働けるように掃除をする。入社してからずっとそうしてきた。今朝も、当然一番乗りだと思ったら、社長が鼻歌を歌いながら机を拭いていた。「おはようございます。社長、早いですね」「春日さん、おはよう。ほら、今日から新人さんが来るでしょ。だからね、彼女が気持ちよく働けるように、机をきれいにしてたんだ」社長がだらしなく鼻の下をのばしながら言った。社長をここまで張り切 [続きを読む]
  • シロクマ婦人
  • シロクマ婦人は、いつも白い毛皮のコートを着ている。でっぷりと太り、丸まって歩く。髪も肌も白く、黒目がちな目をしている。年齢不詳だ。シロクマ婦人と名づけたのは僕だ。本名なんて知らない。彼女とは、毎朝バスで乗り合いになるだけの関係だ。シロクマ婦人は、座席2つ分を占領するが、もちろん二人分の料金を払えなんて思わない。彼女はとても愛すべき存在だ。「で、そのシロクマ婦人は、毎日どこに行くの?」咲が、興味深そ [続きを読む]
  • テレビ依存症
  • 「麻子さん、テレビが壊れちゃったのよ」パートから帰った途端、義母からの電話だ。電気屋じゃあるまいし、私が行ったところで直るものではないけれど、とりあえず車を走らせて、5キロ先の夫の実家に向かった。「ほら、みて」リモコンを渡されて電源ボタンを押したが、テレビ画面は黒いままだ。「ダメですね。寿命じゃないかしら」朝から晩までつけっぱなしで8年も経てば、テレビだって壊れるだろう。義母は早くに夫を亡くし、3 [続きを読む]
  • 純愛日記
  • 2017年3月卒業式で、大好きな先輩が答辞を読んだ。凛々しい先輩を見るのは、今日で最後。溢れる涙をこらえて、私は先輩の姿を目に焼き付けた。「思い切って告白すれば?」友達は言ったけれど、私は見ているだけで幸せだった。家に帰ると日記帳を開く。入学した日に、桜吹雪の中で先輩を見た日から毎日書き続けている日記。先輩への想いが詰まった2年間の日記。最後の想いを綴って日記帳を閉じ、鍵のかかった引き出しにしまっ [続きを読む]
  • はつこい
  • 僕の初恋は、姉のお雛様だった。大きな屋敷にあるような七段飾りではなく、お雛様とお内裏様だけの一段飾りだ。姉はお雛様を飾るたびに、「さわらないでよ」と言った。だから僕は、少し離れたところから、お雛様を眺めるだけだった。僕は小学生になった。母と姉が出かけて、僕は子供番組を見ながらひとりで留守番をしていた。「くすくす」と笑い声がした。振り返ると、お雛様が笑っている。見間違いかと思ったけれど、何度も笑う。 [続きを読む]
  • 長い乾杯
  • ご指名をいただきました長井です。僭越(せんえつ)ながら、乾杯の音頭をとらせていただきます。あきらくん、みさきさん、ご両家の皆さん、本日はまことにおめでとうございます。あきらくんが我が社に入社いたしましたのは、5年前の4月のことでございます。桜はまだ3分咲きといったところでした。入社して一週間のころ、桜は満開になり、恒例の花見をすることになりました。私はあきらくんに場所取りをするように言いました。新 [続きを読む]
  • 社長夫人と僕
  • 社長夫人は、社長が不在の時を狙って会社に来る。僕に会うために。今日は昼休みにやってきた。「あら、あなたひとり?」「社長は出張です(知ってるくせに)」「まあ、愛妻弁当? ちょっとおかず少なくない?」「放っておいてください」「ねえ、今夜うちに来ない? あの人いないから」「行きませんよ。嫁が待っているんで」「朝昼晩、嫁の食事じゃ飽きるでしょ。たまには浮気しなさいよ」弁当のプチトマトを、赤い口紅をたっぷり [続きを読む]