asa さん プロフィール

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asaさん: 夕陽の回廊
ハンドル名asa さん
ブログタイトル夕陽の回廊
ブログURLhttp://yuuhikairou.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文今の世の中これでいいのか、と思いながら一言
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供70回 / 365日(平均1.3回/週) - 参加 2009/12/03 13:50

asa さんのブログ記事

  • 自らの「特攻体験」への決別〜濫読日記
  • 自らの「特攻体験」への決別〜濫読日記 「死の棘」(島尾敏雄著)  嫉妬に狂う妻。その表情を延々と観察し、記録する。精神に異常をきたした妻は、大理石のように冷たい視線で、夜を徹して夫を査問する。それはもはや感情を持たない尋問マシーンのようだ。こうした日々に耐えかねて、夫もまた発狂寸前(あるいは既に発狂していたのかもしれない)に追いつめられる。  ここに出てくる夫は島尾敏雄自身であり、妻は島尾ミホ [続きを読む]
  • 品格ない政治を憂う〜社会時評
  • 品格ない政治を憂う〜社会時評 「解散の大義」論争 A)にわかに解散・総選挙の話が出てきた。これに対して野党からは解散の大義がない、解散権の乱用だとの批判がある。与党内の一部からも批判が出ている。 B)安倍晋三首相の場合、いつもそうだが何のための解散なのか分からない。だからそういう批判が出る。 C)強いていえば、解散の理由は党利党略、つまり今が一番の好機だからということ。官邸寄りで知られるテレビコメンテー [続きを読む]
  • 誰が誰を裁くのか〜映画「三度目の殺人」
  • 誰が誰を裁くのか〜映画「三度目の殺人」  一見単純な事件の被告が供述を二転三転させ、真相が見えなくなっていく。男には30年前に殺人の過去があった。強盗殺人のうえ遺体を焼いたとなれば死刑は確実と思われた。だが…。  見るものの思いによって男の発する言葉が違った色に見える。芥川龍之介の「藪の中」や大岡昇平の「事件」を思わせる展開だ。  ほぼ全編、被告三隅(役所広司)と弁護士重盛(福山雅治)の対話シーン [続きを読む]
  • 描いたのはワイダ自身〜映画「残像」
  • 描いたのはワイダ自身〜映画「残像」  2016年10月、アンジェイ・ワイダ監督が亡くなった。1950年代から約60年、映画を作り続けた。その大きな柱は「灰とダイヤモンド」に代表されるソ連型社会主義=スターリニズムへの抵抗であった。遺作となった「残像」もまた、ソ連型社会主義への嫌悪と批判にあふれていた。  ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(1893―1952)は、近代絵画の神髄を知る画家だった。ベラルーシに生まれ、 [続きを読む]
  • 「どこまでも対米追随」の愚かさ〜濫読日記
  • 「どこまでも対米追随」の愚かさ〜濫読日記 「アジア辺境論 これが日本の生きる道」(対談 内田樹×姜尚中)  内田樹の著書に「日本辺境論」(新潮新書、2009年)がある。内田と姜尚中の新刊は「アジア辺境論」である。この2冊のタイトル、似ているようでかなり違っている。一方は「日本(はアジアの)辺境」論であり、一方は「(日本は)アジア(の)辺境」論である。しかし、タイトルの含意は違うが、主語はともに [続きを読む]
  • やはり戦場に赴くことを拒否すべきでは〜映画「ハクソー・リッジ」
  • やはり戦場に赴くことを拒否すべきでは〜映画「ハクソー・リッジ」  非暴力主義に立ち、良心的兵役拒否を貫きながらも祖国愛から志願し、衛生兵として従軍。沖縄戦で75人の米兵を救ったとされる実在の人物を描いた。  「なんじ殺すなかれ」という宗教的な教えを固く守るデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は祖国への忠誠を誓い、第2次大戦で陸軍を志願。しかし、銃を持つことを拒否し、軍法会議にかけられる [続きを読む]
  • 「まなざし」の中の鬱屈〜濫読日記
  • 「まなざし」の中の鬱屈〜濫読日記 「『働く青年』と教養の戦後史 『人生雑誌』と読者のゆくえ」(福間良明著)  いわれてみれば遠い昔、そんな雑誌があったな、と思う。「人生雑誌」あるいは「人生記録雑誌」と呼ばれた一群。「読書を通じた人格陶冶」を目指し、時事問題や社会批評も扱った。1950年代後半に高揚期を迎え、代表格の「葦」や「人生手帖」はそれぞれ約8万部発行したという。「中央公論」が12万部、「世界」 [続きを読む]
  • 緻密な心理描写〜映画「セールスマン」
  • 緻密な心理描写〜映画「セールスマン」  監督は「別離」のアスガー・ファルハディ(イラン)。なんでもない日常の中に潜む危機を描きだして、見るものに戦慄を覚えさせた。この「セールスマン」もまた緻密に作りこまれた「日常の中の危機」の物語である。  教師エマッド(シャハブ・ホセイ)は妻ラナ(タラネ・アリドゥステイ)と小さな劇団に所属し、アーサー・ミラーの「セールスマンの死」の上演を控えている。そんなある [続きを読む]
  • 単純が生む面白さ〜映画「ノー・エスケープ 自由への国境」
  • 単純が生む面白さ〜映画「ノー・エスケープ 自由への国境」  トランプ大統領の選挙中の公約に、米国とメキシコ国境に壁を造るというのがあった。まだあきらめていないらしいが、移民排斥の動きは、トランプ大統領だけでなく米国民の感情の底流としてあるのだろう。この映画も、そうした感情を織り込みながら米国・メキシコ国境で起きていることを映像化した。  といっても、政治的色彩はまったくない。追うものと追われるも [続きを読む]
  • 現下の政治を整理するための好著〜濫読日記
  • 現下の政治を整理するための好著〜濫読日記 「自民党―『一強』の実像」(中北浩爾著)  森友学園疑惑、加計学園疑惑と、安倍晋三政権の腐敗が露呈している。根幹には、「一強」ぶりが際立つ官邸に対して政官の行き過ぎた忖度があると思われる。では、官邸の一強体制はどのように出来上がったのか。それを考えるうえで参考になる書である。それは同時に、現下の政治状況を整理するための、最適な一冊でもある。  全体を俯 [続きを読む]
  • 超監視社会への流れを告発〜映画「スノーデン」
  • 超監視社会への流れを告発〜映画「スノーデン」  「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が7月11日付で施行された。多くの市民が懸念するように、複数の人間で特定の意思表示を企てただけで処罰の対象になりかねない。その前段として「企て」を立証するために、権力を行使する側の膨大な監視行為が行われる。  国会での議論で、政府は「一般人が対象になることはない」といいながらも「目的が一変して犯罪集団とみ [続きを読む]
  • 戦場から虚無の世界へ〜濫読日記
  • 戦場から虚無の世界へ〜濫読日記 「大岡昇平 文学の軌跡」(川西政明著)  むかし、雑談をしていて大岡昇平の「レイテ戦記」に話が及び「これだけ詳細に戦場を描いていながら女性のこと(「慰安婦」のこと)が出てこないのはなぜだろう」という指摘を聞いたことがある。確かに、戦記文学の最高峰といっていい「レイテ戦記」には「戦場にいた女性」のことが書かれていない。しかし、それを「不思議なこと」とは思えなかっ [続きを読む]
  • 動乱の時代が始まった〜社会時評
  • 動乱の時代が始まった〜社会時評 都民が常識的な判断 A)すでに報じられているように、東京都議選は自民が惨敗。小池百合子知事を先頭に立てた都民ファーストの会が第一党になった。 B)自民の惨敗は予想通り。これまで、安倍晋三をリーダーとする自民党がなぜこれほど強気でいられるのか理解できなかった。東京都民が常識的な判断をしたといえる。 C)しかし、それに代わって小池新党というのも…。 A)変わり映えしない [続きを読む]
  • 暴言・暴言また暴言〜社会時評
  • 暴言・暴言また暴言〜社会時評 言語クーデター A)暴言が続く安倍晋三政権で、またまた暴言が飛び出した。 B)稲田朋美防衛相の自民党候補応援演説。6月27日夜に「防衛省、自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言した。 C)防衛省や自衛隊として特定の候補をお願いする、などというのは少しでも社会常識のある人間なら分かりそうなこと。この程度の人間が日本の防衛の中枢にいるのかと思えばぞっとする。 A) [続きを読む]
  • 戦後思想のかたちを変える作品〜濫読日記
  • 戦後思想のかたちを変える作品〜濫読日記 「東京プリズン」(赤坂真理著)  15歳の時、母のある考えで米国の高校に通うことになったマリ。米国メイン州の片田舎で1級遅れの9年生として通う中で言語や文化の壁と格闘する。16歳になったある日、1級遅れを解消するための課題が学校側から提示される。「天皇の戦争責任」について、ディベートの口火を切るスピーチをせよというものだった。「天皇の戦争責任」どころか「戦争 [続きを読む]
  • いつまで続く政治の荒野〜社会時評
  • いつまで続く政治の荒野〜社会時評 ◆2回生議員の不祥事相次ぐのはなぜ  既に多くのメディアで報道されているが、自民の当選2回組の不祥事が相次ぐ。それも信じられないものばかりだ。「週刊新潮」6月29日号(6月22日発売)は豊田真由子議員(埼玉4区)による、秘書へのパワハラを報じた。秘書のミスを異常ともいえる言葉遣いで叱責。音声データも公開されたため、逃れられない物証となった。傷害、暴行、脅迫などの容疑 [続きを読む]
  • 強まる翼賛体質〜加計学園問題を考える
  • 強まる翼賛体質〜加計学園問題を考える ◆再リーク恐れた政権 A)加計学園問題が大詰め局面に入った。6月16日には、半日だけにせよ安倍晋三政権は参院予算委を開かざるを得なかった。 B)その前に、民進党が国会で提示した文科省の内部文書が、全部ではないが存在が確認された。これを受けて内閣府も内部調査を行い、結果を発表した。内閣府の方はたった半日の調査だ。 C)当初から予想されたことだが、「総理のご意向」「 [続きを読む]
  • 「国会」が死んだ日〜社会時評
  • 「国会」が死んだ日〜社会時評 ◆中間報告―本会議採決という愚行 A)いわゆる共謀罪法(改正組織的犯罪処罰法)が6月15日、参院本会議で採決、成立した。委員会審議を中間報告という形ですっとばした異例の強硬策だった。 B)日本の国会は委員会制度をとっている。選挙の結果得た議員の数だけが意味があるのであれば委員会審議は必要ない。しかし、少数政党の意見も聞き、できる限り政策に反映させるため委員会審議も行わ [続きを読む]
  • 都市こそが事件の引き金を引いた〜濫読日記
  • 都市こそが事件の引き金を引いた〜濫読日記 「まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学」(見田宗介著)  「永山則夫 封印された鑑定記録」(堀川惠子著、岩波書店)に以下のような記述がある。  「?連続射殺魔?は、あらゆる人間関係の磁場からはじき出され、孤立していた。少なくとも逮捕されるその日まで、彼にまなざしを注いだ人間は誰もいない。(略)彼は、どこにいなかった。いることができなかったからこそ [続きを読む]
  • 100年前と変わらぬヨーロッパ〜映画「サラエヴォの銃声」
  • 100年前と変わらぬヨーロッパ〜映画「サラエヴォの銃声」  1914年、サラエヴォで響いた一発の銃声が、ヨーロッパを奈落の底に叩き落した。事件から100年、「ホテル・ヨーロッパ」では記念式典が開かれようとしている。大学教授にインタビューするジャーナリスト、演説の原稿を練るVIP、ストを企てる従業員とそれを阻もうとする経営者。そんな中に、あの事件と同姓同名の男、ガウリロ・プリンツィプが現れる…。  「ヨーロ [続きを読む]
  • 戦後思想をきちんととらえるには〜濫読日記
  • 戦後思想をきちんととらえるには〜濫読日記 「さらば、民主主義 憲法と日本を問い直す」(佐伯啓思著)  安倍一強独裁の昨今の政治を見ると、何とかならないかと思う。しかし、考えてみればこの政権、我々の投票結果を受けてできた。嫌ならこうした政権ができないような投票行動をすればいい。しかし、なかなかそうはならない。なぜだろうか。あるいは、米国でトランプという異形の大統領が生まれた。これは民主主義の危 [続きを読む]
  • 浅はかで軽薄な駄作〜映画「たたら侍」
  • 浅はかで軽薄な駄作〜映画「たたら侍」  「たたら(鑪)」とは古代から続いた日本独自の製鉄法で、中国山地にも炉跡が残る。映画は戦国期から江戸期にかけての出雲の山村を舞台にした。期待はしなかったが、素材の魅力にひかれて観てしまった。感想は…。いやはや、である。入場料を返して、と本気で思った。  たたら製鉄を生業とする村の若者、伍介(青柳翔)。かつて野武士に襲われた経験から、村を守る手段を持ちたいと思 [続きを読む]