結局、真実は分からない~映画「落下の解剖学」 フランスの山小屋に住む作家夫婦の日常に「事件」は起きた。最上階から夫が転落死。事故か殺人か、それとも自殺か。検察は、妻を殺人罪で起訴した。 映画は2時間半、やや長めで大部分は法廷劇。しかし、退屈する暇がないほどドラマは緻密、重厚に展開する。どこの家庭にもある嘘と秘密が明らかになっていく。 ドイツ生まれの妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)はベストセラー作家。「事件」の時もインタビューを受けていた。最中に大音響で音楽を流したのがフランス生まれの夫ヴァンサン(スワン・アルロー)。インタビュアーを見送った後、遺体を見つけたのは視覚障害を持つ息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)だった。サンドラは自殺か事故を主張したが、検察は殺人罪で起訴した。夫婦は前日に口論をしており、夫が録音したUSBが捜査過程で押収されていた。 殺人を否定するサンドラに、弁護..