本木 数 さん プロフィール

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本木 数さん: まちびと
ハンドル名本木 数 さん
ブログタイトルまちびと
ブログURLhttp://ameblo.jp/motokisu/
サイト紹介文読みきり恋愛小説中心です  随時追加中 連載物もあります
自由文恋愛中の方も、そうでない方も。是非。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供19回 / 365日(平均0.4回/週) - 参加 2010/05/27 10:16

本木 数 さんのブログ記事

  • 猫の話
  •  猫は人語を話すという。そんな話は古来より洋の東西を問わず存在する。大抵の場合それらはファンタジーの一種として認識されているようだ。もしくは文学として。だけど僕は知っている。猫が人語を話すことを。なぜかって?だって僕は、ずっとちいさい頃から彼らの言ってることが理解できたから。「なあ、いいだろ」「いやよ」「いいだろ。やらせろよ」「いやだって」「なんでだよ。お前とやりてえんだよ」「何言ってんのあんた。 [続きを読む]
  • デッキブラシ
  • 「ごめんごめんー」 カナは笑いながらそう言った。彼女のデッキブラシから汚れた水が飛んで私の素足にかかったからだ。「いいよいいよ気にしないでー」 笑顔を作って同じ調子で返す。右手で持ってる緑色のホースから出る水で自分の足を流す。スカートにはぎりぎりかからなかった。ウエストで折り返して少し短くしておいてよかった。「ぽんたー。こっちよろしくー」「はいはーい」 田之倉君に呼ばれた。なんてことないって顔して [続きを読む]
  • 物書きの彼女について
  • これは個人的な意見なんだけど、人って褒めて伸ばすものだと思ってるんだよ。褒めるってのは肯定ってことでね、世間ではなかなか手放しのそれは手に入らないわけ。だからこそ彼女とか恋人とか愛人とか妻とかヒモとか幼馴染とかお隣の奥さんとか眼鏡っ娘とか、まあ何でもいいけれど親しい異性のいいとこは褒めていきたい、そう思ってるんだな。褒めて肯定してここに居ていいんだよと伝えたい。もう必要以上に積極的に褒めていきたい [続きを読む]
  • リハビリ
  • 私の人生が間違った方向に流れている。そんな気がする。そんな気がし始めて結構経つ。できるなら方向転換したい。でないと、なにか苦しい。なにをしたら舵を切れるのかわからない。どうしたらいきたい方向へ行けるのか。そもそも舵を切る事なんてできるのか。私にとって人生は川に浮かぶボートではなく川そのものであるように感じられる。川は簡単に行く先を変えられない。流れる先を自分の意志では選べない。しかも私の川の堤防は [続きを読む]
  • ディア、ピンクパンサー
  • ベッドを転がるように降りる。カーテンの隙間から朝の光がこぼれてる。それに照らされた部屋は相変わらず汚い。何も踏まずに洗面台にいけるか怪しい。とはいえ気持ちが悪い。洗面台へ向かう。やはり何かを蹴っ飛ばす。が、気にしない。ろくに開かない目で鏡を見る。ひっどい顔。もしゃもしゃな髪をヘアバンドで後ろに追いやる。喉が渇いてひりひりする。水を含んで、はき出す。もう一回。さらにもう一回。歯磨き粉をつけて歯ブラシ [続きを読む]
  • オリーブ
  •  それじゃあ、あれですか。お父様がいなくなったあと、泡関係のお仕事で。 ご苦労なさったんですねえ。 でもそのご両親の残した借金を返す義務はなかったんじゃないんですか? ああ、なるほど。でも偉いですよ。理由はともかくね、ちゃんと借金を返すってのは。自己破産すればいいとか言ってね、借金を簡単に考えている人に聞かせてあげたい。全くほんとに。 借金を返し終わってからも。ずっと続けてらしたんですか。なかなか [続きを読む]
  • 滑り込みセーフ
  • 「ねえねえ」「んー?」「俺ね、最近気がついたんだけど」「うん」「可愛くて乳のでかい女は大抵彼氏がいるけど、美人で乳がでかい女は意外と彼氏いないね」「そうなんだ」「男からするとさ、ちょっと声かけづらいんだよね。なんか冷たくあしらわれそうで」「ふーん」「だから意外と出会いが少なかったりするんじゃないのかな」「なるほど」「まあそんな人ってなかなかいないけどね」「ふーん」「そういえば」「うん」「最近仕事、 [続きを読む]
  • BTB
  • 小さい頃、私は風変わりな少女だったと思う。実家が家業をしていて、なおかつ男子に恵まれなかったからだろう。両親が長女である私に望んだのはこの家の跡継ぎとして数字に強くなる事だった。父は婿を取ったときに経理面を見られるようにくらいの気持ちだったようだけど、母は男と対等に生きていけるように必要になる武器だからとかなりの熱の入れようだった。小学校三年になった時、私に家庭教師がついた。いかにも数学が出来そう [続きを読む]
  • 脚本家
  • 「あれえ?」「あー」「もしかして」「赤松くん?」「部長だ」「元気にしてた?」「元気です。そういう部長は?」「元気だよー。元気だけど、部長はやめてよー」「なんで」「何か恥ずかしい」「部長が恥ずかしがってる」「なによ」「珍しい」「なんでよ」「どんな舞台でも一切緊張しない、歴代演劇部部長の中でもっとも強い心臓を持つと言われた女なのに」「昔の話ですー」「とにかく俺にとっては今も部長だし」「そうだけど実際は [続きを読む]
  • イブ
  • 朝起きたら頭が痛かった前の日に寝不足で飲んだせいだ。頭が痛い。いたいよう。イブを探す。引き出しの奥に見つかる。ぽち、ぽち、と二錠出す。テーブルの上で冷えていたコーヒーで流し込む。昨日淹れたコーヒーは酔っぱらったあたしに無視されてすっかり拗ねていた。まあまあ。機嫌直してよ。ちゃんと最後まで飲んであげるから。これからゴールデンウィークが始まる。それはほぼ正確に一年おきにやってくる日本でメジャーなお祭り [続きを読む]
  • 軽い、そして細い
  • ―――― 7F 会議室腕を組んで難しい顔をした男が二人。一人は明るい髪色の短髪。もう一人は真面目そうな眼鏡。その視線の先には色とりどりの付箋紙が張られたホワイトボード。短髪が一つため息をついてから口を開く。「もうこれ無理だろ」「無理?」「無理だよ」「無理かな」「そもそもさあ、なんで『軽い』を使わないで軽さを伝えないといけないの」「しょうがないよ。それがクライアントの欲しがってるコピーなんだから」「い [続きを読む]
  • 彼が浮気しています
  •  彼が浮気してるみたいなんです。 別れた方がいいでしょうか。 彼とは付き合い始めて一年くらいになります。彼はとても優しいです。そしてとても感性が近いと感じます。よい言い方ではないかもしれないけれど男の人っぽくないところがあります。例えば、きらきらした小物が好きだったり、お酒よりスイーツが好きだったり、ウインドウショッピングが好きだったりするところです。 とはいってもゲイとかそういう感じではありませ [続きを読む]
  • 黒の誘惑
  •  仕事が一区切りついて時計を見る。定時を少し過ぎている。若手が一人、課長お先に失礼します、とオフィスを出て行く。おつかれさーん、返しながら俺も久々に早く上がるかと片付けに入る。 黒ビール飲みたいな、ふとそう思う。唐突な欲求だが俺はそれに慣れている。前回はいつだったか、やっぱり二年前のような気がする。 不思議な癖だと思う。癖、とはちょっと違うか。習慣、というほど頻繁でもない。何しろ二年に一度の話だ。 [続きを読む]
  • ひとりずつひとつ
  • 「なんで遅刻したの」「……」「吉岡さん?」「……」「なんで遅刻したのか聞いてるんですが」「難易度高いよねえ」「?」「十四日で決めなきゃならないって」「吉岡さん?」「もう、名前考えるのに必死で。ぶっちゃけ仕事どころじゃないよね」「吉岡さん。お子さん生まれて名前で迷われてるのはわかりましたが、そういうぶっちゃけを上司にするのはどうかと」「あんまキラキラなのはさあ、俺やなんだよねえ」「せめて遅れるときは [続きを読む]
  • ファンブル
  •  やや緊張しながらドアを開ける。 あたしと目のあったマスターは笑顔を作ってこう言った。「よう、久しぶり」「あの、おじゃましてもいい…かな?」「もちろん」 駅からちょっと離れた所にある一階のバー。扉を開けると店は奥に向かって細長く伸びている。左手には木目の綺麗なカウンター。右手には丸いバーテーブルが二つ。他にお客さんはいない。もっともまだ午後四時だし、当然といえば当然な気もする。カウンターの一番入り [続きを読む]
  • 夏は逢わない
  •  その日の会社の飲み会は二時間ほどで解散となった。居酒屋の雑居ビルから出ると、来るときに降っていた雨は止んでいた。何人かが二次会の相談をしている。傘を忘れたのに気がついて、ちょっと忘れ物をしたのでと言って皆と別れる。総務の娘が、あ、私も傘忘れてきちゃいました、と言ってついてきた。じゃあ一緒に、とエレベーターで八階まで。僕の傘はすぐ見つかった。さっきまで飲んでた店の傘立てで僕を待ってた。でも彼女は、 [続きを読む]
  • 下川原花穂の転落
  •  いやもうすごいの。ほんと。笑う以外の選択肢ないよね。なにって奴の、姿形、全体的なオーラ、そしてその生き様、っていうの?いや、同僚の河合の話なんだけども。 がっしりした体つきの上に首ふっといのよ。頭と同じくらいある。だから後ろから見ると頭がにょっきり生えてるように見える。それだけで割とおかしい。徹夜中に見たら危ないレベル。三十分は持って行かれる。でもそれだけじゃない。というかそれどころじゃない。髪 [続きを読む]
  • 模様替え
  •  元気か? そんなことを聞く権利はほんとはないのかもしれない。もう俺とお前は何の関係もない他人同士だから。だけど、伝えておきたいことがあってこのメールを書いてる。少し長くなると思う。なるべく簡潔に話そうと思うけれど端折りすぎるとこれを書いている意味が無くなる。だから我慢して読んでもらえると嬉しい。 お前が出て行って二ヶ月くらい経ってからの話だ。女が一人家に転がり込んできた。ずいぶん早く立ち直ったっ [続きを読む]
  • 野菜
  • 「腹減ったなぁ」 昨日のカレーならあるよ?「カレーしかねえな」 カレー好きじゃん。「二日連続カレーってのも芸がねえな。スーパー行くか」 外は暑いよ?「あれ、ジーンズどこやったかな」探し当てたジーンズに足を通して外に出る。九月最初の日曜。午後一時半。少し秋めいてきたなぁなんて人々が言いすぎたせいか、今日の夏は頑張ってる。正直いい迷惑、だ。買い物かごに入れた最初の物は発泡酒。「今日は安いのでいっか」  [続きを読む]
  • その先の軌跡
  • 男に飼われている。男は金だけは持ってる。服を着た豚のような男だ。その男に月いくらで飼われている。男が私に期待しているのは男の名義のマンションの一室からでず、誰とも会わないこと。部屋を適度に綺麗に保つこと。男の言いなりになること。その代わりに私はそれなりのお金をもらう。それが私の仕事。男が私のために借りている部屋はマンションの最上階で十分に広く、また同じ位広い庭もついている。男はそこでするのも好きだ [続きを読む]
  • 新宿の西
  • 「そういえばどうだった」「何が」「ほら、週末映画行くって言ってたじゃん」「ああ、うん」 あたしは気のない感じでうなずく。奴は持ち上げかけたジョッキを止めてあたしをのぞき込む。「あれ、面白くなかったの」「いや、そうじゃなくて、行かなかった」「どしたの。彼氏の都合?」「ううん。うん」「どっちよ」「映画の前にコーヒー飲んでたんだけど」「うん」「そこで別れた」「え」「別れた」「それはあれ?交際が終わりまし [続きを読む]
  • ソーシャルネットワーク
  •  夜、家に帰ると母が言う。夕方ごろ、私宛に電話があったと。誰から、と聞くと、山中さん、女の人、電話欲しいんだって、と言う。山中。女の人。電話欲しい。うーん、心当たりはない。恐らくそれが顔に出ていたのだろう。母が言った。もしかして、山中さんってきょんちゃんじゃないの?母がメモっていた電話番号には見覚えがなかった。きょんだとしたら一体なんの用だろう。だって彼女と友達だったのは中学の時の話で、もう何年会 [続きを読む]
  • おじさんとよばないで
  • 「ねえ、おじさん」 土曜日の昼間にのんきに道を歩いていると、女の子にそう声をかけられた。結婚もしていない僕にはちょっとぴんと来ないけれど、五歳くらいなんじゃないだろうか。 思わずおじさんじゃなくておにいさんです、なんて反論しそうになったけれど、その行為自体がおじさんへの第一歩だと気がついて、ギリギリで思いとどまってみたりして。 しゃがみこんで目線を合わせてから「どうしたの」 と聞いた。「シタギタス [続きを読む]
  • わかってない
  • 「わかってるの!?」 大きな声。同時にテーブルを叩く音。 周辺の客は音のした方を見る。若い女性。向かいに同じくらいの年頃の男性。怒りに肩をふるわせているのは女性の方だ。「わかってるよ」「わかってない!」 今度のテーブルを叩く音は三回だった。わか、って、ない、と声に合わせて三回。先程の音では我慢した客もさすがに今回は彼らの方を見た。「確かにあんたはね、いいわよ、あんたは」「はあ」「そりゃちょっとかっ [続きを読む]
  • 横顔
  •  霧の濃い坂道を上っていく。運転は夫がしている。時折その横顔を眺める。かっこいいなあと思う。 ああ、とうとう帰り道になっちまった。とりあえず考える時間稼ぎにとかみさん連れ出してみたはいいけどろくに考える暇なかったわ。これから宿まで20分。その間に何か考え出さねえと。 朝、スタンドの奥さんから連絡があった。今日からしばらくの間、灯油の配送はできませんとのこと。旦那さんが足を捻って車の運転ができないら [続きを読む]