Kimura Yuka さん プロフィール

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Kimura Yukaさん: 城村優歌Webooks
ハンドル名Kimura Yuka さん
ブログタイトル城村優歌Webooks
ブログURLhttp://ameblo.jp/kimurayukanovel1/
サイト紹介文読み終えた時、ほっと心があたたかくなるような長編の物語をお届けします。
自由文「さしのべた手の先の君は」(95話)
「そばにいて、手をつないで」(121話)
「言えないBoy」(70話)
「巫 -kannagi-」 ユキ編(252話)
「既望-kannagi-」 ツキ編(157話)
「Sandwich Life」(92話)
「たゆたう」(85話)
「メジロの葬送」(80話)
「こどもの領分」(80話)
「仏猫」(80話)
「花笑ふ」(61話)
「あわいあい」(98話)
「destiny〜ある夏の遭逢〜」(85話)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供57回 / 365日(平均1.1回/週) - 参加 2010/06/30 16:15

Kimura Yuka さんのブログ記事

  • おしらせ&おわび
  • ご無沙汰をしております。城村です。細々と生きております。ご訪問も滞りがちで、大変失礼しております。 実は、8月いっぱい、ひとつ心身傾けてやりたいことができてしまいまして、途切れがちの「あいまみえ」を中断し、それにかかりたいと思います。今時点、内容は申し上げられないのですが、9月以降、何かの機会に、こういうことをしてました、とお知らせできればとは思います。 何かと不器用で、あれこれできないものでして、 [続きを読む]
  • あいまみえ [43]
  • 「最近のルイは、なんかおかしい」すぐ隣で、私の顔を覗き込んで不審気な瞳を向けている慧は、今日は珍しく電話をかけてから来た。「昨日はどこへ行ってたのよ」どうも、高屋敷と食事をしている時間に、ここに来たような口ぶりだ。「ちょっと買い物」「あんな時間まで?」「出るのが遅かったのよ。何時まででも開いてると思うと、つい遅くなっちゃうのよ。外に出るのに、気持ちがなかなか向かなくて」「電話しても、繋がらなかった [続きを読む]
  • あいまみえ [42]
  • その顔を見て、高屋敷は慌てたように、大きく手を振った。「いや、すみません、そんな意味じゃ……」って、どんな意味だよ、と自分に突っ込みながら、彼は肩幅を狭め項垂れる。「あなたがあの日、ご主人を思ってあんなに泣いていたから……僕なんて、死んだって泣いてくれる人いませんから……」 子どものような口調で言い訳しながら萎れていく高屋敷を見て、私は口角を上げ直した。そして、からかうように、「ほんと。無神経です [続きを読む]
  • あいまみえ [41]
  • 私が読書に気乗りしていないことは、ほどなくバレたようだった。高屋敷は、今まで本に落としていた視線をゆっくりと私に向け、「お腹が空きましたね」と、尋ねるでも誘うでもない口調で言った。頷いてすぐ本を書架に戻し、高屋敷がそうするより早くスツールから降りた私を見て、彼は僅かに苦笑し、私が払うと言った会計を断り、店を出た。 「ちょっと選択ミスだったかな」国立に向かう電車の中で、高屋敷は車窓を見つめながら呟い [続きを読む]
  • あいまみえ [40]
  • 高屋敷から電話が鳴ったのは、5時を少し過ぎたくらいだった。「もう駅にいるんですか?」電話の向こうで驚いた声を上げた高屋敷は、慌てて声を落とし、「わかりました、すぐ行きます」と電話を切った。 高屋敷は驚いた顔のまま、小走りにやってきた。「随分待たせましたか」用事があって近くまで来ていたのだ、と嘘をつくと、高屋敷は見透かすような目をして、「申しわけない」と軽く頭を下げ、腕時計を見た。 「これでも、今日は [続きを読む]
  • あいまみえ [39]
  • 翌朝、通勤ラッシュが始まる前の電車に乗りたいと言う慧を、6時過ぎに送り出してしまうと、目が冴えて二度寝ができなくなった私は、部屋の片づけと掃除を始めた。慧が使ったタオルや自分の洗い物を洗濯機に入れ、回している間に、出したまま積み上げてあったアルバムを、カバーにしまい本棚に戻す。その時、何気なく開けたページの写真の中の夫を見て、そっと指を伸ばし、頬の輪郭を撫でた。 それは写真を見る時に、いつもしてい [続きを読む]
  • だめ記
  • まめ記ではなく、だめ記という名のお知らせです。最近、まとまった時間がなく、小説に向かえておりません。今日から数日、東京を離れますので、また更新が滞りますが、元気にしております。いつも 、FBへのいいね!等、本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。戻りましたら、体勢を立て直したいと思います。こんな状態ではございますが、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。 城村 拝 [続きを読む]
  • あいまみえ [38]
  • その夜、私たちは修学旅行生のように夜遅くまで話し込んだ。物心つき始めた頃からの思い出を振り返ると、大きなものから小さなものまで、無尽蔵に掘り起こせた。それらはみな、傷つかない程度に風化し、色あせ、和らいでいたので、私も慧も改めて過去を共有することで優しくなれた。思い出の中では、あねさまは私たちの理想のあねさまで、かあさまは絶対的な愛の権化のような存在だった。 慧は、かあさまの日記のことなど忘れたよ [続きを読む]
  • あいまみえ [37]
  • 「電話中だった?」ドアを開けるなり、隙間から顔を押し込むようにして入ってきたのは慧だ。だいたいドアの新聞受けから物を言うのは慧くらいしかいない。「あ、もしかして、結布ちゃんと電話だったの?この前、彼氏と会ってあげたんでしょ。結布ちゃんからメール来たわよ、おかあさん、ちっとも親身になって話聞いてくれなかったって」そう言うなりソファに、どさりと座り込み足を投げ出した慧の早とちりは好都合だが、その内容に [続きを読む]
  • あいまみえ [36]
  • その晩、決心して彼に電話をかけた。その時、彼が電話に出るまで、私は意外にもそのことを忘れていた。それはもうすでに自分の中で、彼は彼で、夫は夫という位置づけに気持ちが変化していたので、うっかり夫に似ていることを意識していなかったのだ。なのに、受話器越しの声は。 「はい」の一言が、耳に残っている夫の声と同じだったので、私は思わず電話を放り出そうとした。それを慌てて握り直し、きつく耳に当てる。「……だあ [続きを読む]
  • あいまみえ [35]
  • その数日後、あねさまの招集を受けて、私は実家へ向かった。秋口に古い荷物を片づけに来てから、ふた月近く経つ。道に沿って植えられている生垣の下には、落ち葉が吹き固まり、空き家だとわかってゴミをねじ込んでいくのだろう、小さなビニール袋や空の菓子袋などが根本に突っ込まれている。師走の風に吹き飛ばされないよう、私は目立つゴミをつまむと、門扉の内側にまとめて置き、玄関を眺めた。 あねさまが外した表札の跡は、早 [続きを読む]
  • あいまみえ [34]
  • タクシーに乗せられてからの記憶が、はっきりしてきたのは翌日の昼過ぎからだった。重い頭をふらつかせながらベッドから起き、キッチンでペットボトルのお茶を、だらしなく口飲みしながら奥の寝室を見ると、コートも脱ぎっぱなし、バッグも放りっぱなし、ストッキングは布団の間から片足だけ、びろんと垂れ下がっている。服を着たまま寝て、そのうちに布団の中でストッキングだけ、もぞもぞと脱いだのだろうけど、それもあまり記憶 [続きを読む]
  • あいまみえ [33]
  • 彼は饒舌だった。無理に私に話させようとせず、他愛のない話を並べた。ほとんどが生徒たちの話で、私には学園ドラマの平穏なワンシーンを切れ切れに見ているように感じた。全く関わりのない世界の、本当に取るに足りない話だった。その心ある配慮が、私の嗚咽を次第に収めていき、落ち着いたところで私の視線がやっと彼の顔へと向かった。差し向かいで座っている彼が、夫ではないとわかっていても、どうしても夫との共通点を探して [続きを読む]
  • あいまみえ [32]
  • 「卒業式にね、在校生が卒業生に、卒業生が在校生に、お互い歌を送り合うのが、恒例行事でね、今年は在校生が熱入っちゃって、遅くまで練習したがるんですよ。それで最近は、いつも閉門ぎりぎりまでやって、それでも門の近くで帰らない生徒もたくさんいるもんですから、きちんと駅に向かうのを見送って、それから帰ると、こんな時間になってしまいましてね」高屋敷は、私を連れてターミナルにほど近い、小ぢんまりとした居酒屋に入 [続きを読む]
  • あいまみえ [31]
  • 思ったより早く、結布から連絡があり、電話があった3日後に食事会となった。食事会と言っても、結布と彼氏と私の、3人だけの顔合わせだ。国立駅からほど近い小さなワインビストロを選んだのは結布だったが、いざ扉を開けてみると、平日夜のわりに盛況で、ざわめきが耳に障る。「個室のあるフレンチが近くにあったんじゃない?」と結布に耳打ちしたが、「こっちのほうが堅苦しくなくて、いいの」と、すげなく言うと彼の隣に座り、 [続きを読む]
  • \ 新年の書き初め /
  • 謹んで新年のお慶びを申し上げます。昨年よりリアル偏重の生活になっているため、新年初回が三日になってしまいました。おそらく今年も、このような調子になってしまうと思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 昨年末に、新年早々、近所の福祉施設で行う音楽会への参加を、半ば強制的に(汗)呼びかけられ、年末から譜読みに音合わせにと、追われておりました。そして、正月休みが明けたら、また練習です。去年は携帯 [続きを読む]
  • まめ記
  • すみません。突然のまめ記です。今日やっと色々一段落したのですが、まだ本編に取り掛かる余裕なく、このままでは通信がさびてしまうと思い、真田丸通信のみの更新としたいと思います。放送半ばで突然始めることになった、この真田丸通信も今回で最終回です。お付き合いくださり、厚く御礼申し上げます。 「真田丸」が終わり、ものすごい脱力感です。毎日ツイッターで真田丸のタイムラインを追いかけて泣き、公式HPのム [続きを読む]
  • あいまみえ [30]
  • 考えておいて、と念を押して、慧は帰っていった。ひとりになると、火を使った後の湿気と食べ物の匂いを含んだ空気が、ひどく重く感じる。換気をしようと窓を開けたら、冷たい風がすり抜け、思わず首をすくめた。 駅前に並び建つマンションの混みあった景色に、心を癒すものはない。ほの暗く広がった夜空も、都会の電飾に負けて、闇を主張できない。まるで自分のようだと、私は建物の隙間に見える寒々しい夜空を見上げた。&nbs [続きを読む]
  • あいまみえ [29]
  • 私も慧も、黙りこくって食べ続けた。お互い、諍いたいわけではないのだ。それぞれが独立してから今まで、何十年と同じ東京に住んでいながら、それほどまめに会うこともなかったが、元気ならそれでいいと思っていた。ここ数年、私は私で、しばらく引きこもっていたし、慧は仕事が忙しく、あねさまはあねさまの生活があった。それが、あねさまの実家売却の話から、急にお互いが見えてきた。見えたら見えたで気になるのが、人というも [続きを読む]
  • あいまみえ [28]
  • 「そんな話、聞いたばっかりで、食欲なんか出ないよ……」湯気越しに、慧を軽く睨んでみせたが、慧の目はもう鍋の中の煮立った肉に釘付けだ。「ねえ、もういい感じ。ほら」と、おたまで掬って、とんすいに山に盛り、口先で吹いて冷ましながら、とろりと煮えた白菜をおいしそうに口に運ぶ。そして、ひと口目を満足そうに食べ終わると、軽く笑って言った。「あのね、まだそうと決まったわけじゃないから」え、と私は何度も瞬く。「き [続きを読む]
  • あいまみえ [27]
  • 「そろそろ、鍋もいい季節だと思わない? ルイんちで食べようよ」という慧の提案で、夕食を作ることになった。野菜と肉を買い、帰るなり米をとぐ。久しぶりの料理らしい料理だ。冷たかった部屋に熱がこもり、生活感そのものに生気が戻ってきたように感じる。 台所に立ちながら、慧が言う。「この前から調子良さそうじゃない。ついでに買い物しようって気になるなんて」説明が面倒で、通院の帰りにウィンドウショッピングをし [続きを読む]
  • あいまみえ [26]
  • 職業柄なのか、彼は話し上手だった。当たり障りはないが、つまらなくもない。どこかにわずかでも興味を持たせるような語り口で、この前の学園祭の話をしながら、駅から学校へと歩いた。合唱部の練習の様子から、本番、そしてその後の打ち上げの話もしてくれたが、私が体育館から逃げるように去ったことには全く触れなかった。そのうちに、昇降口まで来てしまい、「こちらでお待ちください、僕が取ってきます」と職員玄関のほうへ姿 [続きを読む]
  • あいまみえ [25]
  • 電車に乗り込み、つり革を掴んでふたり並んだ時には、緊張で目の前が一瞬白くなるほど息が詰まった。夫とそっくりの人が隣にいると思うと、表現しがたい苦しさがこみ上げてくる。それなのに、目は引き寄せられるように彼の横顔に向き、その細部を自分の記憶の中の夫と、比べ合わせてしまうのだから、心というものはどうにも御しがたい。 「ご足労願うことになって、すみません」「いえ、こちらこそ…拾っていただいて助かりま [続きを読む]
  • あいまみえ [24]
  • 「違います」とだけ言って立ち去ろうとしたのは、緊張と困惑のせいだ。あまりに突然で、どうしたらいいかわからなかった。不審者に声をかけられた子どものような、逃げ腰の私に笑顔を向けて、彼は繰り返した。「学園祭でお見掛けしました、ほら、体育館の入り口で……そうだった、保護者じゃないっておっしゃってましたね。あの時、体育館の中で急に……」私は、彼の言葉の途中で、突然踵を返した。せっかく気持ちがふっきれそうな [続きを読む]
  • あいまみえ [23]
  • 私はいったい、何をしたかったんだろう。無我夢中で家までたどり着いて、部屋に入った途端、がっくりと膝から崩れ落ちた。情けなさと怒りと後悔と、やるせなさと孤独感と……。あげればきりがないほどの、負の感情が自分を苛んだ。 私の愛していた人はもういない。わかっているのに、いったい何を期待してあんなところまで……。わかっているのに……。 体育館で聞いた歌が、耳の奥で鳴っている。彼が残したものは、私と [続きを読む]