トリトン さん プロフィール

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トリトンさん: 宇宙人のブログ
ハンドル名トリトン さん
ブログタイトル宇宙人のブログ
ブログURLhttps://ameblo.jp/endo1508/
サイト紹介文宇宙人の、宇宙人による、宇宙人のためのブログ
自由文宇宙で生まれなかった人間はこの世に一人もいません。そうです、みなさんが宇宙人なのです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供25回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2010/07/05 18:49

トリトン さんのブログ記事

  • ⑱ 誕生
  • それは何の前触れもなく起こりました。それまではさまざまな色を浮かべるだけの集合体にすぎませんでしたが、そこに大きな変化が生じたのです。もちろんその内部では、あらかじめ混沌としたものが渦巻いていました。それがしっかりと目に見える形として現れるために密かに活動を進めていたのです。だからこうなったのは当然の成り行きで、何も突飛な現象ではありません。むしろこのまま何も起こらない方が不思議なぐらいです。こう [続きを読む]
  • ⑰ クラゲ
  • まず私の目に入ったものは、さまざまな色の集まりでした。闇があまりにも深いものだから、その光は私の目を強く刺しました。いったんは失っていた記憶がそのことでふたたびもどってきたのです。どうやら自分でも気づかないうちに、その光の集まりに引き寄せられていたのでしょう。それはこの世界の中で唯一貴重なもののように私には思えました。そして、それはきっと簡単には手に入らないものにちがいありません。そのとき私はふと [続きを読む]
  • ⑯ オートバイ
  • 僕はオートバイにまたがり、街を目指しました。ハンドルには地上を蹴るタイヤの振動が伝わってきます。ところが街との距離は一向に縮まるようすはありませんでした。街は、依然として様々な色の粒で満たされた黒い水たまりにすぎません。それで僕の目は街を離れて辺りに向けられることが多くなりました。この世界に対して考える時間が与えられたのです。その結果、少しは僕なりの見方ができるようになりました。たとえば頭上の空に [続きを読む]
  • ⑮ タクシー
  • ふいにタクシーが、僕の目の前にあらわれました。ヘッドライトの光が暗闇の中に大きな穴を空けながらだったので、僕は一瞬まぶしくて何も見えなくなりました。おそらく僕を拾おうとしてあらわれたのでしょう。それで僕はそのタクシーに乗り込みました。走り始めてからしばらくして僕は異変に気づきました。タイヤが地面をこすりつける際のあの振動がいつのまにかなくなっていたのです。あるのはゆるやかな波に運ばれていくような軽 [続きを読む]
  • ⑭ 沈む
  • 意識がもどってきたとき、もう私は冷たい水の底へ向かって沈みはじめていました。けっして不快な気持ちはありません。状況からすれば命に関わるようなことなのかもしれませんが、ふしぎと何か優しさにあふれたようなものへ向かって包み込まれていくような気がするのです。それにしてもなぜ私が氷の上を滑っていたのか自分でもよくわかりません。たしかにスケートは幼い頃から習っていました。滑るのは当時から好きでしたが、上手な [続きを読む]
  • ⑬ スケート場
  • スケート場から、たくさんの人々のざわめきが聞こえてきました。僕は引き寄せられるように、スケート場へ入っていきました。氷の上では一人の少女が華麗な舞を披露しているところでした。身体をくねらせながら自在に滑るようすは、まるでくるぶしから翼が生えているかのような軽やかさです。しかし、辺りはただならぬ緊張感に包まれていました。そこにいるだれもが息を殺して彼女の滑りをじっと見守っていました。どの顔も固く引き [続きを読む]
  • ⑫ 映画館
  • その映画館は、薄靄の中にそっと身をひそめるような佇まいでした。僕が近づくと、瞬きするようにぱっとまぶしく明かりが灯りました。そのようすはなんだか僕をずっと待ち受けていたかのようでした。中に入ると、ちょうど上映が始まったところです。客はまばらでした。だれもがじっと押し黙ったまま、あちらこちらの席を占めていました。僕は彼らが何者なのかとても気になりました。それでスクリーンに映し出されていく数々の出来事 [続きを読む]
  • ⑪ 象
  • その世界でまず僕が見せられたものは、象の玉乗りでした。僕にこの世界がどういう成り立ちで動いているのかを自ら実演してみようという意図があったと思います。僕は腕を組み、じっと彼のやることを観察しました。一言でいうと、彼の芸は見事なものでした。玉の上を器用に長い鼻を使ってバランスを取っていました。今にも彼が踏みつける玉が自らの重みで圧しつぶされそうでしたが、それを上下左右に忙しく振り回す鼻がその危機を救 [続きを読む]
  • ? エレベーター
  • そのエレベーターは、僕の身体の大きさからすると、かなり小さいように思えました。実際、無理な形に中へ身体を押し込むような格好でした。そんな僕に見かねたのかエレベーター内に声が響きました。そういうことはどうでもいいことだ、大事なことはそんなことではない。その言葉が何を意味するのかはわかりません。ただ、エレベーターが下降を始めていくにつれて、僕の身体が少しずつ小さくなっていったのです。あるいはエレベータ [続きを読む]
  • ⑨ 女王
  • 女王は、深いため息をついてじっと僕を見つめました。別の世界に入るにはぜひとも女王との面会が必要なのです。面会といっても、一方的に僕が彼女に見つめられるというものでした。そして、ふとそうやって見つめられるうちに僕そのものが彼女のものになってしまうようなふしぎな気がしてくるのです。言い方を変えれば、彼女が僕を見つめることをつづけることによって、少しずつ僕というものがなくなってしまうような感じです。おそ [続きを読む]
  • ⑧ エンジントラブル
  • 空の中にいるとき、一番気になるのはエンジンの調子です。もしこのエンジンが止まるようなことがあれば、僕はもう空の中にとどまることはできなくなります。しかし、それは実際に起こりました。その少し前から妙な音を立てていたので覚悟はできているつもりでしたが、いざそれが完全に停止してしまうともう何も頼るものはありません。僕は大きく息を吸い込み、気持ちをしずめるためにそっと目を閉じました。僕にできることはもうそ [続きを読む]
  • ⑦ 音楽
  • 僕の場合、音楽はほんの小さな糸口から見つけます。たとえば機体が風を受ける際に起こる振動等がそれです。その中でも両翼は最大の楽器です。左右に張り出した翼は辺りの空気を感知するレーダーのような役割を持っていて、心地よい興奮とともに操縦席まで伝わってきます。尾翼はあくまでもそれを補助する役割にすぎませんが、その両翼との兼ね合いで起こる絶妙なバランスはまるでハーモニーを奏でているかのようにいつでも僕を楽し [続きを読む]
  • ⑥ 月の光
  • 操縦士になる前のこと、僕は空気が澱んだ薄暗い場所に住んでいました。そこがどこだったのかはっきりと思い出せませんが、そこがどういう場所だったのかはよく覚えています。いくつものビルが僕を圧しつぶそうとするかのようにどこまでも高く延びていて、それが空のほとんどを遮っていました。空気が動かないのはきっとそれらのビルのせいだったのでしょう。僕は人工の深い谷底で身動きがとれずにいたのです。ときおりあちらこちら [続きを読む]
  • ⑤ ライオン
  • 定期的に、僕が必ずやらなければならないことがあります。これは僕の飛行経歴に大きく影響するものです。それは競技場のすぐ上空で形となって生まれます。何でできているのかわかりませんが、見た目は空に浮かぶ雲のようです。でも、その雲はしだいに形を成しはじめ、やがてライオンへと姿を変えていきます。ここで注意しなければならないのは、完全なライオンとして形を整えるのを寸前で見計らって事に当たらなければならないとい [続きを読む]
  • ④ 操縦士
  • その操縦士と初めて会ったときから、僕は彼の抱えている何かに心を惹かれていました。そんなある日、その何かを彼は僕に語ってくれたのです。我々は草木一本生えていない荒地にそれぞれの飛行機を着陸させました。星が赤く輝く夜のことでした。そこで彼は遠くの方をじっと見つめながら、遠い昔に起こった出来事に想いを馳せたというわけです。しかし、僕が耳にしたものは言葉の数々ではなく、波の音でした。たしかに彼の口は僕に語 [続きを読む]
  • ③ トンネル
  • そのトンネルは、街と森に挟まれています。しかし、その実体はいつものことながら不明です。以前、僕は何度かそこを訪れたことがあります。覚えていることは、まずそのトンネルの狭さです。僕の小型飛行機でもやっと通れるほどなので、他の操縦士がどうやってここをくぐり抜けているのかふしぎに思ったことをよく記憶しています。トンネルの中ほどで飛行機を着陸させます。それと同時にしだいに視界が悪くなっていきます。ちょうど [続きを読む]
  • ② カモメホテル
  • カモメホテルは、一般には知られていません。おそらくホテル側がそれを望んでいるせいでしょう。でも、僕にすればぜひ多くの人に知ってもらいたいという気持ちでいっぱいです。ただ難点なのは空からでないと見つけられないということです。そこでどうしても空を飛ぶ乗り物が必要となってくるわけです。目印は湖です。その湖をぐるりと取り囲むように各部屋が点在しています。それぞれにはつながりはなく、それぞれが独自の主張をし [続きを読む]
  • 眠り
  • 僕の友人は、眠るような運転をします。実際、目を半ば閉じ、ハンドルを回す腕の動きも妙に緩慢です。まるで夢の中を走る特別な車に同乗させられたような気分になってきます。そこで僕にも当然変化が起き、僕はその変化に身をまかせるといった巡りあわせになるのがいつもの彼とのドライブなのです。変化にはいくつかの段階に分けられています。これはこの数週間、僕が観察してきた結果です。第一段階、ドライバーに同調してか、僕に [続きを読む]
  • 障害物競走
  • 二つの街の間で、年に一度障害物競走が開催されます。参加者は四名です。黄色の街から二名、灰色の街から二名選びます。選手として選ばれることはどちらの街にとってもたいへん名誉あることで、それだけに毎年多くの申し込みがあります。まず選手たちは所定のスタート地点に向かいます。この際、お互いを意識することはもうなく、ただこれから乗り越えていかなければならない障害物のことで頭がいっぱいです。一つ目の障害物は縦に [続きを読む]
  • ① 二つのプール
  • その施設へ行くには、空を飛ぶ乗り物が必要です。僕の場合は小型飛行機を使っています。中古で安く買ったものですが、そこへ通うにはいまのところ支障はありません。施設にはプールが二つあります。一つは泳げる人のためのプールで、もう一つは泳げない人のためのプールです。泳げる人のためのプールはどこにでもあるごく普通の水の入ったもので、泳げない人のためのプールには水が入っていません。僕は泳げないわけではありません [続きを読む]
  • 3本の指
  • さあ、街へ飛び出そう! きっと新しい発見があるでしょう。 [続きを読む]
  • 夜の波
  • こんな夢を見ました。なぜか僕は太陽になっていて、夜空にぼんやりと浮かんでいます。太陽でありながら熱さをまったく感じないのは、それほど僕がぴったりと太陽と同化しているなによりの証拠にちがいありません。だからこそ僕は苦もなく太陽でありつづけられるのでしょう。やがて夜の闇が波を形作って遠くの方から近づいてきます。そして、僕はその波の形をした夜の闇の中に星がちらほらと輝きだすのを見つけます。とにかく闇があ [続きを読む]
  • 横顔
  • これは僕の横顔です。ぴたっと北を向いています。北に向かって横顔が固定されているわけです。だから自ずと僕の両目はまっすぐ東を見つめているということになります。いつからそうなったのかはもう覚えていません。かなり昔からのような気もします。とにかく常に顔は同じ方向へ向けられたままなので、それに合わせて移動する必要があります。進む方向によってはごく自然に見えるのですが、そんなことはまれです。横歩きなったり後 [続きを読む]
  • 吸い込まれる
  • どちらかというと、僕は世の中に対して無関心な方だと思う。しかし、いつまでも無関心でいられるほど世の中が甘くないことはもちろん知っている。それでも僕は頑なに無関心な態度をとり続けてきたのだが、じつはこれがすべての始まりでもあった。ただし、もし僕にもう少し柔軟性があればこんなことにはならなかっただろうという後悔はこれっぽちもない。ある時点から僕が吸い込まれ始めたことは、今では誇りでもある。見た目にはま [続きを読む]
  • 発射台
  • 着々と進められてきた計画はついに実を結び、いよいよその当日が迫ってきました。街に住むだれもがその日が来るのを待ち望んでいたので、人々の顔は興奮気味で心持ち鼻の穴が大きく広がっているように見えます。それは発射台です。その発射台には多くのものが詰め込まれていて、それが一気に空へ放たれようとしているのです。綿密な意図の下に編まれた計画なので、失敗するはずがありません。おそらく当日は、たくさんの住民がこの [続きを読む]