葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttp://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供245回 / 365日(平均4.7回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 落月−20
  •  それを聞いた時、清香はああ、そうなんだと思った。寂しいとか、悲しいとかは全く思わなかった。喜一との会話は最近とても興味深くて楽しいものであった。だからもっと違う感情が湧くと期待していたのに何も感じなかった。清香はその事に酷く落胆した。「聞いてる?大丈夫?」清香が黙っていたので美土里が心配げな声を出す。きっと喜一の死を聞いて清香がショックを受けていると思っているのだろうと感じた。「あ、ええ。大丈 [続きを読む]
  • 落月−19
  •  喜一は清香が会いたいと言えば、どんな時でも都合をつけて来てくれる。これは相手の為に何かしてあげたいという事の表れなのか、これが愛なのか。だけどそれはとても簡単な事に思える。こんな事は誰でも出来る、これではつまらないと清香は感じる。どうすればもっと愛を感じる事が出来るのだろうと考える。 喜一は清香と会って人生が楽しくなったと言った。「今までは女に現を抜かしている男なんて情けないくらいにしか思って [続きを読む]
  • 落月−18
  • 「ねえ、久美ちゃん」家に帰った清香は久美子に尋ねた。「お父さんに会いたい?」「そりゃ、会えるならね」「お父さんの事、思い出したりする?」「当たり前じゃない、お姉ちゃんだってそうでしょう」「そうね…」そう答えたが清香は亡くなった父親の事を思い出す事は殆ど無いに等しい。だからいつも思う、人は死んだら終わりなのだと、死んだら何も残らない、人の心からもやがては消えてしまうのだと。生きている父が好きだった [続きを読む]
  • 落月−17
  • 「愛はどうやって証明出来ると思いますか?」清香が喜一にそう尋ねると喜一はとても困った顔をした。きっとそんな質問などされた事もないのだろう。「それはとても難しい質問です」「そうでしょうね」「清香さんはどう思われるのですか?」「私には分かりません、だからお尋ねしているのです。あなたに愛されているのかどうかも分かりません」「分からないのですか…」清香の言葉に喜一は落胆を隠せない。「これは報いなのかもし [続きを読む]
  • 落月ー16
  • 三.  そうして半年が過ぎた今も清香は喜一と付き合っている。あの後、喜一から毎日のように連絡があった。当初、清香は喜一と付き合うという意識は全くなかった。だが何度か会って清香の望まない事は一切無理強いしないと言う喜一の言葉に清香は付き合いを承諾した。最初はそれならこのままでも良いのではないかと清香は提案したが喜一はどうしても清香と個人的に付き合っているという形にしたいと拘った。喜一の熱烈なア [続きを読む]
  • 落月ー15
  • 「蒲生さんがあの元旦那さんを好きになったらどうするの?」博美がそう言うと遥と由衣が顔を見合わせる。そうして互いに首を横に振る。「そんな事、」「あるわけないじゃない」二人は口を揃えてそう言う。「でも、もし万一そうなったら?」博美が尚もそう聞く。「そうねえ、もしそうなったらなんか身近に感じるかも」「そうだね、蒲生さんが恋している姿って見てみたい。なんか、想像できない」「私も」二人の言葉に同調するよう [続きを読む]
  • 落月ー14
  • 「あ、あの、良ければこちらでご一緒にいかがですか」喜一は自分の座っているテーブルを指しながら席を譲るように移動する。さっきまでは全く関係ない素振りをしていたのにと遥は思う。ここは喜一の言葉に乗るのが作戦だが先ほどの素っ気ない態度を思い出すとこのまま喜一の思惑に乗るのも少し癪に触るような気がした。「いえ、私達はあちらで」清香はまるで遥の心の内を読んだかのように遥達の座っている席の方に目をやる。そこ [続きを読む]
  • 落月ー13
  •  そんな事があって暫くした頃に美土里から電話がかかってきた。「この間は成り行きであんな話になってしまったけれど本当に良いの」「ええ、でも私、特別な事は何もできないと思うけれど…それで良かったら」早く言えば清香は美土里の元夫を誘惑する役目を受け持った事になっている。話の流れでそんな事になった。くだらない話ではあるが不思議な事に清香自身、それほど嫌ではない。日常の中の非日常が見られるような気がして興 [続きを読む]
  • 落月ー12
  • 「似ている?」「ええ、何となくそんな気がするわ」自分と似ているという言葉に興味が湧いた。「自分の周りで何が起こっていても動じないっていうか、悪く言えば無関心?みたいな」「私ってそんな感じなの?」清香は人が清香の事をどんな風に見ているか等と気にした事もなかった。というより、他人は清香の外見しか見ていない、特に男性はそうだと思っている。「あ、蒲生さんの事を悪く言っているわけじゃないのよ。蒲生さんはそ [続きを読む]
  • 落月―11
  • 桂木は結婚していて娘がいると言っていた。その事を話した時、桂木は少しはにかんだような嬉しそうな顔をしていた。その表情に彼は家族の事をとても愛しているのだなと思った。結婚とは、愛とはどういうものなのだろうと増々興味が湧いた。人を愛するとは一体、どのような感情なのだろう。久美子はさっき、好きだからずっと一緒にいたいとか会いたいと思うと言っていた。清香は喜一に対してそのような感情を抱いた事は一度 [続きを読む]
  • 落月−10
  •  久美子が部屋から出て行った後、清香は鏡をじっと見る。幼い頃からずっと綺麗だと言われ続けてきた。子供の時はただ、褒められる事が嬉しくてもっと綺麗になりたいと内緒で母親の化粧品を使って真似事のように化粧を施した事があった。勿論、化粧の仕方も知らない幼い頃の事だから塗り絵のようにただ塗りたくっただけである。そして出来上がった顔は少しも綺麗には見えなかった。リンゴのように赤い頬と赤い唇は幼い顔にはとて [続きを読む]
  • 落月−9
  •  清香と別れて自宅マンションに戻った喜一はソファーに座ってグラスに注いだブランデーを一気に飲み干して深い溜息を吐く。 結局何一つ進展していない。会う前は今日こそはと思っているのにいつも清香に良い様にはぐらかされてしまう。(否、しかし)今日は手を繋いだではないかと思ってまた首を振る。良い大人が手を繋いだくらいで喜んでどうするのだ。別れた妻が喜一のこんな姿を見たら呆れるか失笑するのは目に見えている。 [続きを読む]
  • 落月ー8
  • 席を立って店を出ると、清香は手を差し出してきた。喜一は意味が分からず一瞬、戸惑ってしまった。「?」喜一の表情に清香はほんの少し頬を染めて恥ずかしそうに小さな声で言った。「手、繋ぎます?」「あ、」その言葉に喜一は思わず自分の両手をジャケットで拭う。どうしてそんな事をしたのか喜一自身分からない。しかし、まさに白魚のような手と言う言葉がピッタリの美しいその手にそのまま触れる事に何故か申し訳ないよ [続きを読む]
  • 落月ー7
  •     二. 「あなたは私をからかっているのですね」土曜の昼下がり、お茶を飲んでいるときに彼、宮代喜一(みやしろきいち)はそう言った。「それはどういう事ですか?どうして私があなたをからかったりするのですか」「付き合って半年になると言うのに私はまだあなたの手にさえ触れさせて貰えない」「あなたは私に触れたいのですか?でもそんな事今まで仰いませんでしたよね」「言わなくても分かる事でしょう」「そんな [続きを読む]
  • 落月ー6
  • 「長くお付き合いしていく上では。一緒にいて安らげる事が一番だと私は思いますよ。相手に何かをしてあげたいと思う心が愛情です」「愛情…それはどうやって図れば良いのでしょう」「図る?」「だって、心は見えないのでしょう。そう仰いましたよね?」「心は見るものではなく、感じるものです。一緒にいると自然と伝わってくる物があるでしょう」武之の言葉に清香は小さく首を捻る。「久美子さんに対して愛情がおありでしょう? [続きを読む]
  • 落月−5
  •  その翌週に清香はまた私の診療室を訪れた。「お久し振りです」「お元気にしておられましたか?」「先週、お会いしましたよね」武之が切り出す前に清香からそう言われた。「お気付きでしたか」清香が気付いていた事は承知していたが敢えてそう答えた。「ええ、勿論。先生のお顔見たらまたお話がしたくなって」「そうですか。一緒にいらっしゃったのは妹の久美子さんですか?」「ええ、そうです。可愛い子でしたでしょう」「ええ [続きを読む]
  • 落月−4
  • 「愛情がないというわけではないでしょう。人の心には色んな思いが折り重なるように入っています。例え相反する感情であってもどちらも本当の心なのです」武之がそう言うと、清香の表情はパッと明るくなった。「では、私は今のままで良いのですね」そう言われて武之は一瞬、どう答えるべきか迷った。まだ清香という人物の事をよく分かっていないのだ。「ええ」だが駄目と答えるわけにもいかない。心に何かしら抱えているかもしれ [続きを読む]
  • 落月−3
  •  清香はまた来るだろうかと武之は思った。彼女が心に何かを抱えている事は何となく感じる。それを吐き出させる事が武之には出来るのだろうかと思う。人の心は複雑だ。精神科医という職業ではあるがそれを覗き見る事は容易な事ではない。そして無理やりこじ開ける事はその精神を壊しかねない。 だがその日は案外と早く来た。清香が二度目に武之の診療室を訪れたのはそれから一週間後であった。「先生、こんにちは」武之の顔を見 [続きを読む]
  • 落月−2
  • 「医者の私がこんな事を言うのも変かも知れませんがあなたのようにお綺麗な方なら叶わない望みなど無いように思ってしまいますが」武之がそう言うと清香はまた微笑んだ。「皆さん、そのように仰って下さいます。子供の頃から親も周りの人間もいつも綺麗だと褒めてくれます。それはとても嬉しい事です。妹も自慢の姉だと言ってくれます」「なら、」「でも、美しいという事は決して幸せの条件ではありません」「幸せの条件?あなた [続きを読む]
  • 落月ー1
  • 第十六話 「落月(らくげつ)」           一. 「落としましたよ」その声に振り返った桂木武之は思わずその女性の美しさに息を飲んだ。白いワンピースと絹のように細い髪が彼女の美しさをより際立たせているようだ。見とれている武之の視線に気が付いたのかそうで無いのか分からないが彼女は静かに微笑んで手に持っているものを差し出した。武之の定期券だった。思わずズボンの後ろのポケットに手をやり無 [続きを読む]
  • こんにちは。
  • 長くかかってしまった「隠微」もようやく終わりました。すぐに次のお話に取り掛かるつもりでしたが前に書いていたお話に関連したお話を書くつもりがそのお話が1年くらい前に書いたもので自分で書いたものながら詳細を覚えていなくて(??)ちょっと読み返したりしていたら時間経ってしまいました。相変わらず、行き当たりばったりで書く姿勢は変わっていないので特にプロットを立てたりはしないのですが辻褄が合わなくなっても困 [続きを読む]
  • 隠微−30〈最終回〉
  • 事件は終わった。溝内佳苗は事故によって死んだ。彼女が落ちた時その場所に下村瞳子は居なかった。それに間違いはない。そう結論付いたが瞳子を取り調べした刑事はどこか釈然としないものがあった。何だか喉に引っ掛かった小骨がいつまでも取れないような感じが抜けなかった。あの瞳子の態度にあるのかも知れない。大体、あの夜、一緒に屋上にいた事を隠していたことだって怪しいと言えば怪しいのだ「そんな事を言えば疑われるじ [続きを読む]
  • 隠微−29
  •  四.  結局、瞳子はそれから何度も警察に呼び出された。質問はいつも同じ。瞳子の答えもいつも同じ。同じ言葉を何度も繰り返し答える。まるで丸暗記した文章を読むかのように。会社の人間からもよそよそしい態度を取られるようになった。瞳子が警察に疑われている事が噂になり始めている。高校の時と何もかもがまるで同じだ。こうやって、何もしていないのに人の疑惑の目に晒される。そして瞳子はあの時と同じように逃げ [続きを読む]
  • 隠微−28
  • 「何が可笑しい?」刑事が険しい目で瞳子を見る。「いえ、別に。ちょっと思い出していただけです」「何を?」「大した事ないです」こんな状況で笑える事に刑事は違和感を抱く。母親が言っていたようにどこか普通でない物を感じる。下村瞳子が捜査線上に浮上した時には彼女の身辺で聞き込みもした。多くの社員は瞳子の事を特に変わったところもない普通の人間だと言っていた。ただ、一人だけ妙な事を言った同僚がいた。卜部励二と [続きを読む]
  • 隠微−27
  • 「でも、私には関係ない事です。何度も言っていますけれど私は何もしていません」「そんな事が通ると思っているのかね、君は溝内さんが亡くなった夜、一緒にあの屋上にいたというのに」「一緒にいたから私が何かしたなんて短絡的ではないですか。私が突き落としたという証拠はどこにあるのですか」「しかしね、情況的に見ても」「状況だけで判断などするからこの世に冤罪があるんです。刑事さん、私は何もしていないんです。それ [続きを読む]