葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttp://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供240回 / 365日(平均4.6回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 善意−24
  • あさ美は正樹が来る前に美弥子に帰って貰わなければと思った。美弥子の前で暴力を振るったりはしないと思うが帰ったらいつもよりもっと酷い事になるような気がする。「あ、あの、私の彼氏、初対面の人と話すの苦手なんです。だから、あの」「あなたに手は挙げるのに?」「な、何の事ですか」「もう分かっているのよ。あなたが暴力に耐えている事」そう言って美弥子はあさ美の前髪を掻き上げる。そこには三日前に正樹に殴られた跡 [続きを読む]
  • 善意−23
  • 「ねえ、彼氏ってどんな人?」「ど、どんなって凄く優しい人よ」真知子の唐突な質問にあさ美は思わず動揺した。「そう、なら良いけど。あ、それより課長が今日また皆でご飯行かないって。今日は誰も残業しなくて良さそうだからって」「え、きょ、今日?」正樹に何も言っていない。もしまた家の前で待っていたりしたら遅く帰って来たことにどんな態度をとるかと思ってしまう。「私、今日は…」「何か、用事があるの?」「ちょっと [続きを読む]
  • 善意−22
  • 「誰って、だから会社の人よ」「男?」「違うわよ。女性だけで歓迎会してくれたの。うちの課長、女性だから」何だろう、いつもの正樹と違う。「ああ、なら良いけど」「どうしたの?今までそんな事気にした事ないじゃない」「今までは学生だったからね。でも社会に出ると色々誘惑も多いだろう。あさ美はスキが多いから変な男に付け入れられるかもしれないじゃないか」「何、心配しているの?」焼きもちを焼いているのかと思った。 [続きを読む]
  • 善意−21
  • 〈森山あさ美〉  昭和から元号が平成となったこの年、大学在学中に内定を貰ったこの会社にあさ美は就職した。配属先は総務課。この会社で唯一の女性課長がいる部だった。課長の高木美弥子は現在三十九歳、今年で四十歳になるという事であったがとてもそんな年には見えない。仕事をバリバリこなしているこの美しい女課長にあさ美は憧れにも近い感情を抱いた。総務には他に女性が三人いたがそのうちの一人は現在妊娠中で出産と育 [続きを読む]
  • 善意−20
  •  休日だったのと美弥子が上手く取り計らってくれたことで真知子は流産した事を親にも会社の他の誰にも知られず済んだ。完全流産だったので事後処理もなく入院の必要もないと言われたが帰って両親の顔を見て平静でいられる自信もなかったのでその夜は美弥子のマンションに泊めて貰った。美弥子は一人暮らしだった。両親は既に他界していて山梨にある実家の乾物屋は兄夫婦が営んでいるという話だった。思っていたより立派なマンシ [続きを読む]
  • 善意−19
  •  その夜は久しぶりにゆっくりと眠る事が出来た。美弥子には優斗に話す前に病院で診て貰った方が良いとも言われた。真知子もそうしなければいけないとは思っていたが中々足が向かなかった。会社や家の近くの病院はどこで誰に見られているか分からない、かと言って全然知らないところに一人で行く事にも不安がある。そんな話をすると美弥子はその場で看護師の友人が勤めているという婦人科に連絡を入れ翌日の予約を取ってくれた。 [続きを読む]
  • 善意−18
  • (妊娠…)その言葉が真知子の頭に大きく伸し掛かってきた。どうすれば良いのだろう、兎に角優斗に話すしかない。お腹の子の父親は紛れもなく優斗なのだから。だけど優斗がもし本当にあの夜の事を覚えていなかったら、いきなりあなたの子ですと言われても信じてくれるだろうか。だが実際にまるで覚えていないなんて事はあり得るだろうか、もしかしたら優斗も記憶がはっきりしていないだけなのかもしれない。それで真知子が何も言 [続きを読む]
  • 善意−17
  •  真知子は去って行く優斗の背中を追うようにして見てしまう。だが優斗が真知子を振り返る事は無かった。(あ、そうか。ここは職場だもんね)真知子はそう思い直す。社内でそんなプライベートな会話など出来る筈もない。だが優斗は帰社時間になると真知子より先に出て行った。随分、急いでいる感じに見えた。真知子も慌てて仕事を片付ける。後を追うようにロッカールームに向かい着替えを済ませて出入り口に向かう。もしかしたら [続きを読む]
  • 善意−16
  •  翌朝、目を覚ました真知子は見慣れた天井とパジャマを着ている事にホッとして身を起こす。間違いなくここは真知子の部屋である。昨夜の事はきっと夢だったのだと思おうとしたが体の中にははっきりと優斗の身体の感触が残っている。(夢…じゃない…?)どうしてあんな事なったのか全く覚えていない。兎に角気が付いたら優斗の部屋にいたのだ。確かに速いペースでワインを飲んでいたような気はする。優斗が目の前にいて一緒に食 [続きを読む]
  • 善意−15
  •  それから真知子は総務に書類を持っていったりすると必ず美弥子の方を見てしまうようになった。そして見る度に落ち込む。美人でテキパキしていてとても叶わないと感じる。優斗より十歳上という事は真知子より十五歳上、三十七、八歳という事になるが優斗の言葉通り、とてもそうは見えない。どう見ても三十そこそこか、知らなければ二十代後半でも通りそうな感じだ。結婚はしていないらしい。あれだけの美人なら彼氏の一人や二人 [続きを読む]
  • 善意−14
  • 〈片桐真知子〉 昭和六十一年、大学を卒業した真知子は二十二歳で就職し、営業課の庶務係に配属された。営業課は庶務係にもう一人先輩女性がいるだけで後は男性社員ばかりであった。同期の子の中では営業課に配属されたがっていた女の子も何人かいたので真知子はちょっと羨ましがられた。でも真知子はもっと女子の多いところに行きたかったので少しも嬉しくはなかった。だがそこで真知子は五歳年上の村上優斗(ゆうと)に仄かな [続きを読む]
  • 善意−13
  •  その後、美弥子とは何度か会った。一緒に食事に行ったりもしたが彼女は何があったのか、否、何をしたのかを特に語る事は無かった。恭子も日が経つうちに何となく聞きそびれてそのうちそんな事はどうでも良い様に思えてきた。兎に角美弥子のお陰で助かった事は間違いない、その事には感謝しかない。あのまま欣二の嫌がらせを受けていたら精神的に追い込まれていた事は想像に難くない。同じ部の者達も見て見ぬ振りをしていた事に [続きを読む]
  • 善意−12
  • 「…あります」恭子は意を決するようにそう答えた。「そうですか」恭子の返答に河野は少し眉間に皺を寄せるようにして小さく溜息を吐いた。その態度にやはり拙かったのではと一瞬思ったが一度口に出した言葉はもう消す事も出来ない。「これは彼の今後の進退にも関わるかもしれない、しかし本当の事なら会社としても見過ごす事は出来ない。事実をそのまま正直に話して貰えますか」河野は至極穏やかにそう言った。恭子は今まであっ [続きを読む]
  • 善意−11
  • それから数日間は何事もなく過ぎた。美弥子はなんとかしてくれると言っていたが実際のところそれは難しいだろうと思っていた。一女子社員の話を会社が親身になって聞いてくれるとは思えない。欣二の態度にも変化は見られない。美弥子と顔を合わす機会もなかったが分かってくれている人がいると思えるだけでも恭子には救いであった。 そして更に二週間が過ぎた時の事であった。仕事の帰り、会社から出ようとしたところ [続きを読む]
  • 善意−10
  • 二. 〈桑田恭子〉  短大を卒業した恭子は昭和五十二年、二十歳でこの会社に入社した。配属されたのは商品管理課、直属の上司は増田欣二、四十代半ばで未だ独身という冴えない男性であったが学生時代アルバイトすらした事のない恭子は初めての職場でとても緊張していた。そんな恭子に欣二はとても親切にしてくれたので良い上司に恵まれたと思っていた。半年が過ぎ仕事にも少しずつ慣れてきた頃の事であった、欣二に日曜日 [続きを読む]
  • 善意−9
  • 「まあ、この話はもうこの辺にしておきましょう。私達が色々憶測したところで事実は分からないんだし」「そ、そうですよね。課長と山下さんがどんな関係だったかなんて分かりようもないし」恭子の言葉にあさ美も同意する。「ですよね、第一、どっちにしても私達には関係ない事ですしね」真知子も同じ様に頷く。「それより、お腹減っちゃった。追加注文良いですか?」桃子が皆の顔を伺うようにしてメニューを広げる。「勿論、どん [続きを読む]
  • 善意−8
  • 「はー、お腹空いた。あ、私、ビールね」桃子は席に着くなりメニューを取って店員に声を掛ける。「随分、疲れている様子ね」「そんなんですよぉ。今日、同じ場所担当していた子が急遽休みで人員補充も出来なくて倍働いたんですよ。昼ご飯食べる暇もなくて。手当割り増ししてくれるって言ってたから頑張ったけど、後で聞いたら割り増し、千五百円だって言うんだもん、全然割に合わないですよ」「それは大変だったわね」恭子が慰め [続きを読む]
  • 善意−7
  • あさ 昼過ぎになって高木課長の兄らしき人物が神妙な面持ちで妻らしき女性を伴って会社を訪れた。部長に負けないくらい悲壮感を漂わせている。妹が横領して失踪したなどという話は寝耳に水どころの話ではないだろう。奥の商談室に通された二人にお茶を運んだあさ美は何度も何度も頭を下げている気の好さそうなこの夫婦を少し気の毒に思った。暫くしてその二人と連れ立って出てきた部長は彼らを伴って高木課長の住んでいたマンシ [続きを読む]
  • 善意−6
  • 翌日、いつもより一本電車に乗り遅れて出勤したあさ美は部長が昨日にも増して慌てた様子をしている事にまた何かあったのだろうかと思った。それとも高木美弥子の事で何か分かったのだろうか。既に出社していた真知子の方にあさ美は近寄って尋ねる。「おはようございます、ねえ、部長どうしたの?」あさ美の声に真知子が振り返る。「ああ、森山さんおはよう。どうしたの、今日はいつもより遅かったじゃない」「あ、うん。ちょっと [続きを読む]
  • 善意−5
  • 「でも、そんな話、聞いた事ないわ」真知子が反論する。「そうですよね、マンションにお邪魔した時も男の人の気配とか何もなかったし」あさ美が真知子に同調する。「でも美弥子さんくらいの年の人に会う男性ってやっぱり、そこそこの年だろうし、普通結婚してるんじゃないですか?だったら人に悟られないくらいの用心はするでしょう」桃子がそう言うと、あさ美も真知子も言われて見たらそうかも知れないという顔をする。「まあま [続きを読む]
  • 善意−4
  • 「私も連れて行って下さい。あ、そうだ、今日、何かあったんですか?なんか会社の人達様子変でしたよねえ」桃子の言葉に三人は顔を見合わせる。「実はね…」恭子が事情を掻い摘んで離すと桃子は目を丸くする。「うっそぉ〜、信じられない!」「私達だって、ねえ」恭子が同意を求めるようにあさ美と真知子を見たので二人とも頷く。「どうします?どこか寄ります?」真知子があさ美と恭子の顔を伺うようにして尋ねる。「行きましょ [続きを読む]
  • 善意−3
  •  翌日、高木課長は会社に姿を現す事は無かった。警察に届けを出すのだろうかと部の者は様子を伺っていたが昼過ぎ頃から社内で何かあったのかバタついた様子が伺えた。役員達が集まって緊急会議をしている。ただならぬ様子である事はみんな感じ取っていた。そしてその会議が終わって戻ってきた部長の顔には悲壮感が漂っていた。「なんて事だ…」席に着くなり部長は頭を抱えるようにした。「部長、どうかしました?」一番近くの席 [続きを読む]
  • 善意−2
  • 月曜日になって女はいつものように会社に出社した。今日からあの女の顔を見ないで済むと思うと満員電車の通勤も苦にならない。 入社当初は憧れの存在でさえあったのに、こんなにも変わってしまったのは全部あの女が原因だ。あの女のせいでどれ程惨めな気分を味わったか。耐えに耐えた結果だ、あんな事になったのもあの女の自業自得というものだと思った。(それにしても…)昨日の肉は本当に美味しかった。みっともない姿 [続きを読む]
  • 善意−1
  •  第十七話 「善意」        一. (お腹が減った…)一段落した仕事を見下ろして女はそう思った。思ったより時間が掛かった。まだ片づけなければいけない仕事が残っているが取りあえず腹ごしらえをしようと思った。 女はキッチンに行って冷蔵庫を開ける。大したものはない。(何だ、もっと良いものはないのかしら)冷凍庫を開けると肉があった。ステーキだ。「あら、あるじゃない」それを手に取ると女はにん [続きを読む]
  • 落月−31<最終回>
  •    五.  仕事を終えた武之は帰り道のホームに立って空を見上げた。白い月が美しく夜空を照らしている。 春に病院の異動が決まり、武之は何人かの患者にその連絡をした。精神的な悩みを持つ患者は医師が変わると話をしなくなる者も少なくない。折角心を開きかけてくれている患者の前から黙って居なくなるとどんな影響を与えるとも限らないと思ったからだ。 [続きを読む]