葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttp://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供235回 / 365日(平均4.5回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 善意−43
  • 頭の中が混乱している。何が何のか分からない。殺したのは美弥子なのか、初恵なのか。「だからあなたは駄目なのよ」そう言った美弥子の声が頭の中を旋回している。「こんな事も分からないなんて、本当、あなたは駄目な子ねえ」そう言いながら美弥子はあさ美の頭を撫でる。「あなたの為に言っているのよ、これはね、私の善意なの。分かるでしょう」美弥子の傍にいると自分は何も出来ない駄目な人間なのだと思い知らされる。なのに [続きを読む]
  • 善意−42
  • 「あ、この顔?」初恵と名乗った美弥子は両手で自分の顔を持ち上げるように挟む。「どう、美弥子にそっくりでしょう。だって私、この顔になりたかったのですもの。高木課長はね、ずっと私の憧れだったのよ。美人で仕事も出来て野心家で。あなただって最初はそうだったでしょう」そうして美弥子は笑う。初恵だと言ったがそんな事は俄かに信じ難い、この顔はどう見てもあの美弥子だ。「なんかね、割と骨格は似ていたみたいよ。目と [続きを読む]
  • 善意ー41
  • 五.  目の前でニッと笑う美弥子を見て女は恐怖のあまり腰を抜かしそうになった。何が起こっているのかさっぱり分からない。あの夜、間違いなくこの手で殺した筈だ。そうしてあの山に埋めた。一部始終鮮明に覚えている。夢だったのか、そんな筈はない。今もあの時の感触が残っている。「そんなに驚かなくても」美弥子は口を開くと女のすぐ前に近寄ってきた。どういう事だ、考えようとしても思考能力が全く働かない、頭の中が真 [続きを読む]
  • 善意−40
  • 「あら、美味しそう!」美弥子が適当に作ったおつまみを見て初恵は大袈裟な素振りで喜ぶ。「あなたって本当に何でも出来るのね」それを一口口に運んで満足そうな顔をした初恵は溜息混じりにそう言った。「私はね、人の何倍も努力してきたのよ」「分かるわ」口に入れたものを飲み込んで初恵は頷く。「私、ずっとあなたを見てきたもの」「私を?」「ええ、だってあなたは私の憧れだもの。あなたが入社してきた時、なんて綺麗な人な [続きを読む]
  • 善意−39
  •  美弥子は初恵の顔をじっと見る。どうやら嘘やはったりを言っているようには見えない。美弥子は仕方がないと言う風に大きく息を吐いて口を開いた。「中に入る?」美弥子がそう言うと初恵は嬉しそうに頷いた。(こんな女に掴まるなんて…)後ろから付いてくる初恵の様子を伺いながら美弥子はそう思った。想定外であった。山下初恵などまるでノーマークであった。特に仕事が出来るとも思っていなかったし、会社ではろくに口を聞い [続きを読む]
  • 善意−38
  • 四.  この春、昇進を約束してくれていた常務が三月末で急遽、定年退職する事になった。本人の希望という事である。実際には六十五になるまであと三年は会社にいる筈であった。「常務、どういう事ですか?」定年の話を聞いて美弥子は常務に詰め寄った。「私との約束は守って頂けるんでしょうね」「勿論、そのつもりだったんだがね…」「つもりってどういう事ですか!」「よくよく考えたら、そんなに頑張ってギリギリまで働く必要 [続きを読む]
  • 善意−37
  • 「私、最近課長の気配を感じる事があるのよ」久し振りに四人で食事しているときに恭子がふと漏らした。「そうなんですか?」桃子がちょっと不安そうな顔で尋ねる。「実は…私も」するとあさ美も同じ様に言う。二人の様子を伺うようにしていた真知子も口を開いた。「私も…です」「そうなの?」恭子があさ美と真知子の顔を交互に見ながら聞き返す。「もしかしたら私達の近くにいるんでしょうか?」あさ美が周りの様子を探るように [続きを読む]
  • 善意−36
  • 「そんなんだからあなたにはろくな男が寄って来ないのよ」女は何時も美弥子にそう言われた。始めのうちは言われても仕方がないと思ったりもしたが月日が経つにつれてそれが鼻につくようになってきた。「でもあなたって中途半端な感じだから男の人が寄ってきやすいんでしょうね」そう言って笑う事もあった。それは女が美弥子ほど美人ではないからという意味なのだ。確かに美弥子は同性から見ても思わず見とれてしまうくらいの美人 [続きを読む]
  • 善意−35
  • 「それより、山下さんの話聞いた?」恭子が話を切り替えるように持ち出した。「山下さんって、突然辞めたって言う経理の人ですよね?」桃子が念を押す様に尋ねる。「私、話した事は全然ないんですけど、何だかすっごく地味な人でしたよね」「そうなんだけどね…」恭子が意味深な返事をする。「私も、チラッとだけど意外な事聞きましたよ」今度は真知子がそう言った。「何ですか?」桃子は興味津々という感じに身を乗り出す。あさ [続きを読む]
  • 善意−34
  • 三.  美弥子がいなくなって一ヶ月が過ぎた。たった一月(ひとつき)なのにまるでそんな人間は初めから存在しなかったかのように社内ではもう誰も彼女の話をしなくなった。ただ恭子、あさ美、真知子、桃子の間では時折話に上るが横領の話も結局どうなったのかまるで戒厳令が敷かれてでもいるかのように彼女達の耳には何の情報も入って来なくなった。総務部長は被害届と失踪届を警察に出すような事を言っていたが実際に出したのか [続きを読む]
  • 善意−33
  • 「なんだか色々大変だったみたいだけれど…」そう話す美弥子はその表情とは裏腹に何故か嬉々としているように見える。「あ、噂をすれば、よ」美弥子がエレベーターから降りてきた人物を見て耳打ちをした。「常務よ」桃子はその人物の方を見る。あれが母の結婚していた相手かと思った。父とは全然違う。落ち着いた上品な感じの紳士だ。思っていたよりはずっと歳がいっているようには見えるが。「あなたのお母さんより二十も年上よ [続きを読む]
  • 善意−32
  • それから何事もなく日々が過ぎた。母はあれから何も言ってくる事も無く、弟と会えるかもしれないと期待していた思いも段々と薄れていった。母は桃子と親子である事を誰にも言うなと言っていた。きっとこんな掃除の仕事をしているような娘と親子であるなんて周りに知られたくないのであろう。弟と会う時間を作ってくれると言ったのもあの場での思い付きで言っただけの事であって実現する気など無かったのだろう。今や重役夫人の [続きを読む]
  • 善意−31
  • 「こんな風に会う日が来るなんて思っていなかったわ」桃子は黙ったまま俯いている。何を言ったら良いのか分からない。言いたい事は山ほどある筈なのに何一つ言葉にならない。「私の事恨んでいる?」母が桃子の様子を伺うようにしているのを感じるが桃子は顔を上げる事が出来ない。目の前にいるのが母だという認識はあるのだが何だか現実感が湧かない。とても遠い存在に感じる。黙ったままの桃子を見て母は溜息を吐いた。「今日は [続きを読む]
  • 善意−30
  • 「あの人、いつから常務さんの奥さんなんですか?」桃子は美弥子の質問には答えずそう尋ねた。美弥子はニッと口の端を挙げる。「そうね、確か十年位前だったと思うわ。常務の前の奥様の一周忌が済んで間もなくだったと思うから」「十年…」ではやはり母は家を出てすぐに再婚したという事か。そう言えば母が出て行く前、父とお金の事でよく揉めていた。あの頃は何が原因だったのかよく分からなかったが今なら何となくわかる。父は [続きを読む]
  • 善意−29
  •  美弥子に連れて行かれた店はその通りお洒落という言葉とは程遠い感じの店であった。客の大半は男性でしかもスーツ姿と言った普通のサラリーマンっぽい客は皆無であった。この美弥子がこんな店に出入りしているのかとちょっと驚いた。確かにこの店なら作業着のままでも全く違和感がない。逆に美弥子のブラウスにスカートといった格好の方が浮いて見える。「よぉ、姉ちゃん、また来たのかよ」首にタオルを巻いてニッカボッカとい [続きを読む]
  • 善意−28
  •  向こうが桃子を凝視する以上に桃子もその母と思われる女性を見続けた。母が出て行ってからちょうど十年、確かに当時の母よりは少し歳がいっているように見えるがとても十年も経ったと思えない程若く見える。身なりも良いところの奥様然としている。「お知り合いですか?」その様子を見ていた美弥子が桃子ではなく母の方に話し掛けた。「あ、いえ。似たような名前に知り合いがいたものだから」そう言って母は出入り口に向かって [続きを読む]
  • 善意−27
  • 〈中山桃子〉 桃子の両親は桃子が物心ついた頃からいつも喧嘩をしていた。母親はちょっと日本人離れした顔立ちで髪も赤みがかっていた。母は亡くなった自分の母、つまり桃子の祖母に当たる人はフランス人だと言っていた。そんな容貌だったから母親は近所でも目立っていた。実年齢よりもずっと若く見えたので街を歩いているとよく男性にも声を掛けられた。桃子や弟の寛人(ひろと)を連れていても声を掛けられる。二人が母の子供 [続きを読む]
  • 善意−26
  • 美弥子はいったい何をしたのだろう。違う会社の人事に口出しを出来るとも思えない。だが偶然と言うにはタイミングが良すぎる。あの時、美弥子が言った通りになったのだ。それでも他の会社の一課長に過ぎない美弥子にそんな力があるとも考え難い。気になっていたがその後あさ美は美弥子とゆっくり話す機会を得る事もなく美弥子もその事については何も言ってこなかった。 正樹は美弥子と話してからは殴る事も無くなっていた。橋 [続きを読む]
  • 善意−25
  • 「力になれるかもしれないわ」「そんな事は無理だ。あなたは僕の会社とは何の関係もない人じゃないか」「あなた、武藤商事にいるのでしょう」美弥子の言葉に正樹はあさ美を見る。あさ美は慌てて首を横に振る。「別に彼女が告げ口したわけじゃないわ。武藤商事には親しい子がいるのよ」「親しいって…」「まあ、その事は置いておいて、あなた、去年新入社員が自殺した話って聞かされている?」「自殺?そんな事知りません」「どう [続きを読む]
  • 善意−24
  • あさ美は正樹が来る前に美弥子に帰って貰わなければと思った。美弥子の前で暴力を振るったりはしないと思うが帰ったらいつもよりもっと酷い事になるような気がする。「あ、あの、私の彼氏、初対面の人と話すの苦手なんです。だから、あの」「あなたに手は挙げるのに?」「な、何の事ですか」「もう分かっているのよ。あなたが暴力に耐えている事」そう言って美弥子はあさ美の前髪を掻き上げる。そこには三日前に正樹に殴られた跡 [続きを読む]
  • 善意−23
  • 「ねえ、彼氏ってどんな人?」「ど、どんなって凄く優しい人よ」真知子の唐突な質問にあさ美は思わず動揺した。「そう、なら良いけど。あ、それより課長が今日また皆でご飯行かないって。今日は誰も残業しなくて良さそうだからって」「え、きょ、今日?」正樹に何も言っていない。もしまた家の前で待っていたりしたら遅く帰って来たことにどんな態度をとるかと思ってしまう。「私、今日は…」「何か、用事があるの?」「ちょっと [続きを読む]
  • 善意−22
  • 「誰って、だから会社の人よ」「男?」「違うわよ。女性だけで歓迎会してくれたの。うちの課長、女性だから」何だろう、いつもの正樹と違う。「ああ、なら良いけど」「どうしたの?今までそんな事気にした事ないじゃない」「今までは学生だったからね。でも社会に出ると色々誘惑も多いだろう。あさ美はスキが多いから変な男に付け入れられるかもしれないじゃないか」「何、心配しているの?」焼きもちを焼いているのかと思った。 [続きを読む]
  • 善意−21
  • 〈森山あさ美〉  昭和から元号が平成となったこの年、大学在学中に内定を貰ったこの会社にあさ美は就職した。配属先は総務課。この会社で唯一の女性課長がいる部だった。課長の高木美弥子は現在三十九歳、今年で四十歳になるという事であったがとてもそんな年には見えない。仕事をバリバリこなしているこの美しい女課長にあさ美は憧れにも近い感情を抱いた。総務には他に女性が三人いたがそのうちの一人は現在妊娠中で出産と育 [続きを読む]
  • 善意−20
  •  休日だったのと美弥子が上手く取り計らってくれたことで真知子は流産した事を親にも会社の他の誰にも知られず済んだ。完全流産だったので事後処理もなく入院の必要もないと言われたが帰って両親の顔を見て平静でいられる自信もなかったのでその夜は美弥子のマンションに泊めて貰った。美弥子は一人暮らしだった。両親は既に他界していて山梨にある実家の乾物屋は兄夫婦が営んでいるという話だった。思っていたより立派なマンシ [続きを読む]
  • 善意−19
  •  その夜は久しぶりにゆっくりと眠る事が出来た。美弥子には優斗に話す前に病院で診て貰った方が良いとも言われた。真知子もそうしなければいけないとは思っていたが中々足が向かなかった。会社や家の近くの病院はどこで誰に見られているか分からない、かと言って全然知らないところに一人で行く事にも不安がある。そんな話をすると美弥子はその場で看護師の友人が勤めているという婦人科に連絡を入れ翌日の予約を取ってくれた。 [続きを読む]