葉菜 さん プロフィール

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葉菜さん: タイトルのないミステリー
ハンドル名葉菜 さん
ブログタイトルタイトルのないミステリー
ブログURLhttps://ameblo.jp/mio-r
サイト紹介文長編推理小説です。 犯人を想像しながらゆっくり読んで頂ければ嬉しいです。
自由文人間関係が複雑に絡み合って誰が犯人か分からない・・正直作者もまだ決めていない???
お楽しみ頂ければ幸いです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供222回 / 365日(平均4.3回/週) - 参加 2010/07/14 18:49

葉菜 さんのブログ記事

  • 陰火ー35<最終回>
  • 二人の話を聞いて美月は何も言えなくなった。彭彦を許す事は出来ないが叔父夫婦の気持ちも分かる。泣いている叔母を哀れだとも思った。それに何があったとしても大切に育てて貰った恩は忘れられない。小学校の遠足の時も、運動会も参観日の日も二人共、本当の両親のようにいつも美月を見守っていてくれた。あれも彼らの真実なのだ。二人は優し過ぎただけだと。朱美も叔父や叔母の事は恨んでいないと言った。何より、美月を育て [続きを読む]
  • 陰火−34
  • その後の言葉を二人は口にしなかった。だが吉岡と話して増々不安を大きくした朱美はその日から夜の仕事は休んで美月の家の周りでもし何かあったらと思って備える様にした、勿論叔父夫婦に見つからないように用心して。吉岡はどちらかと言えば華奢な体型の朱美にもしもの時の対処が出来るのか心配しているようであったが朱美がこの十年間、仲間からカンフーを習っていた、身分を隠している身だから大きな大会には出られないが練習 [続きを読む]
  • 陰火−33
  •  勤務時間が終わって外に出ると吉岡がそこに立って待っていた。朱美はそのまま吉岡と連れ立って歩いて近くの公園のベンチに腰掛けた。「どうして…」朱美は座るなり口を開いた。「どうして分かったの?」「あなたが元は男だって事ですか?それとも田原君の兄だという事ですか?」「どっちもよ」「まず、あなたが元は男だという事は初めて会った時から分かっていました」「初めて?」初めてという事は朱美が昨年、あのベーカリー [続きを読む]
  • 陰火−32
  • 彭彦が生きていた事は朱美にはショックでしかなかったが、叔父夫婦は新しい住まいに引っ越し、近所にも息子がいる事すら話していない。美月にも教えていないようだ。それに美月にはとても良くしてくれている、元々優しかった叔父夫婦ではあるが息子がその両親を手に掛けた事に対しての償いという気持ちもあるのかも知れない。彭彦はあのサナトリウムから出てくる事も無い、ならば美月も安全だと思われた。美月も朱美の事を覚え [続きを読む]
  • 陰火−31
  •    五. 「お姉さん、行ってきます」「行ってらっしゃい」学校へ行く美月を朱美が戸口まで見送ってくれる。朱美の事をお姉さんと呼ぶ事にも漸く慣れてきた。見た目は完全に女性なのだが頭の中で兄だという意識がどうしても邪魔をしてすぐには馴染めなかった。子供の時はそう呼んでいたと言うが大人になると変に意識してなかなか言葉に出すのは難しいものだと思った。 美月は今、朱美のアパートで一緒に暮らしている。あの [続きを読む]
  • 陰火−30
  • その言葉に美月は口をポカンと開けて朱美を見る。彼女?兄?何を言っているのだ。兄はさっき襲ってきた男だ。あの男の顔には見覚えがあった、幼い時から間違いなく知っていた顔だ。第一朱美は女ではないか。これは吉岡独特のジョークという奴なのだろうか。だが瑞樹も反論しない。女でも兄というのはあるのか、否、そんな馬鹿な。「え、え…っと、お兄さん?女の…?え、でも、兄は、さっきの…」「あの男は君のお兄さんじゃない [続きを読む]
  • 陰火−29
  • 「ま、またおまえか!また、僕の邪魔をするのか!」男は朱美を見下ろして怒鳴る。美月はどうにか朱美を助けたいと思うが足が竦んで動けない。だが男の下敷きになっていた朱美はその足で男の胴体を挟み込み男の拳をかわすのと同時にそのまま体を弓状にしならすようにして起き上がると反撃を始める。振り下ろした朱美の右手が男の左の首筋に入ったかと思うとたて続けにその左足が男の顎を蹴り上げる。それでも男は尚も朱美に掴み掛 [続きを読む]
  • 陰火−28
  • 「思い出したようだね」「あ、あなたが…」この男が美月の兄なのか。そうだ、確かに猫にナイフを突き立てて振り返った男の顔だ、あの時よりずっと大人になっているがはっきりとその面影が残っている。頭の中に幼い美月といるこの男の姿が浮かぶ。否、違う、何かが足りない。何か、否、誰か。「美月、おまえはとても可愛かった、いつもお兄ちゃんって僕の事をそう呼んで…」男の手が美月の頬を撫でる。背筋に恐怖が走る。「でも、 [続きを読む]
  • 陰火−27
  • (どうして…)何故朱美がここに居るのか分からない。偶々だろうか?朱美に家の場所を教えた覚えはない。どうして美月の家を知っているのか。否、それよりももし知っていたとしても何故、ここに居るのかが疑問だ。朱美は思いつめた顔でこちらを見上げている。美月は朱美に気付かれないようそっと部屋を出て階下に降りる。叔母に知らせるべきだろうか、不審な人物が家の前にいると。でもあれは朱美だ、見知らぬ人間なら迷わず知ら [続きを読む]
  • 陰火−26
  •  暫くして叔母が帰ってきた。物音に美月は階下に降りる。「お帰りさない、叔母さん」「ただいま、ごめんなさい。また遅くなって、」「ううん、でも叔母さんこそ大丈夫?」「大丈夫って何が?」叔母が眉間に皺を寄せる様にして聞き返す。「何って、展示会の準備」「あ、ええ、大丈夫よ」なんだか取って付けたような返事に聞こえる。「他に何かあるの?」「何もないわよ、それより夕飯まだでしょう?」「あ、うん」「すぐに用意す [続きを読む]
  • 陰火−25
  • 「美月ちゃんには兄弟はいなかったの?」「あ、えっと…いなかった、みたいです」咄嗟にそう答えてしまった。やはり殺人犯であるかも知れない兄がいるとは言いにくい。「そう…兄弟、欲しいとか思った事ない?」「うーん、どうかな。特に考えた事はないです」美月の返事に朱美は少し目線を落とす。妹の事を考えているのだろうかと思う。「あ、でも、朱美さんみたいなお姉さんならいて欲しいです」美月がそう言うと朱美は小さく笑 [続きを読む]
  • 陰火−24
  •  美月は一度家に帰って私服に着替え、朱美との待ち合わせの場所に向かった。先にそこに向かった朱美は既に来ていた。朱美は植物を植えてある生垣に腰を掛けて本を読んでいた。その光景をどこかで見た事があるような気がした。デジャブだろうか。「朱美さん!」「あら、随分早かったのね」顔を上げた朱美は少し驚いた顔をした。「猛ダッシュで帰って着替えてきました」「そんなに急がなくても大丈夫なのに。まだ時間も早いし」「 [続きを読む]
  • 陰火−23
  • 四.  電車を降りて学校へ向かう途中、朱美の居るベーカリーショップの前を通ると丁度扉付近にいた朱美と目が合って中から彼女が顔を出した。「美月ちゃん、昨日お休みだった?」「え、あ、うん」「昨日、ここを通らなかったからどうしたのかと思っていたのよ。どこか具合でも悪かったの?」「あ、うん、ちょっと」美月が言葉を濁すと朱美は心配そうな顔をした。「何かあったの?」「ううん。大した事はないの。そうだ [続きを読む]
  • 陰火−22
  • 「朝、あの時あの場所にいたって言っていたでしょう。でも私、覚えていなくて…」「覚えていない?」「うん、叔母さんがどこにいて見ていたのか分からないの」「分からないって…美月ちゃんはあの場所にいたっていう事?見ていたの?思い出したの?」「うん、全部じゃないと思うけど…はっきりしない事もいっぱいあるんで」「はっきりしない事って?」「あ、あの、」美月をあの現場から助け出してくれたのは一体、誰だったのか、 [続きを読む]
  • 陰火−21
  •  昨日まで家族と一緒に過ごしていた家が赤い炎の中に包まれている。美月はぼうっとした頭でそれを見ている。頭の中にはさっきまでの光景がはっきりと残っている。玄関で父親が誰かと言い争っている声。母親が美月を抱えてクローゼットの中に押し込む「絶対に声を上げては駄目」いつになく強い口調でそう言う母に幼いながら美月は異変が起きた事を感じ取る。そうして腹から血を流しながら倒れ込む様に部屋の中に入ってくる父、そ [続きを読む]
  • 陰火−20
  •  その日、美月は学校を休んだ。一晩中、叔母を待っていて眠っていなかったのと叔父から聞いた真実で頭の中は混乱するばかりであった。どこかで事件の犯人は兄かも知れないという思いはあったがこうやって突きつけられると流石に平静ではいられない。叔父から聞かされた話が頭の中で渦を巻くように何度も何度も旋回している。(兄が殺人犯…兄が両親を殺した……)その言葉を美月は噛みしめる。叔母が見ていた、そう聞かされても [続きを読む]
  • 陰火−19
  •  予想していた言葉ではあった。それでも叔父の口からその事実を突き付けられると動揺を隠しきれない。覚えてもいない兄の犯した罪だと言っても美月にとっては唯一残された血を分けた家族なのである。「で、でも、記事には証拠不十分だって…どうしてそんな風に言い切れるの」美月の問いに叔父はやや間をあけて口を開こうとしたときに後ろの扉が開いて叔母が入ってきた。「それは…私が見ていたからよ」そして叔母はそう言った。 [続きを読む]
  • 陰火−18
  • 「もしかして、行方不明の私の兄と何か関係ある事なの?」胸の中に渦巻いていた言葉が思わず口を突いて出た。叔父は美月のその言葉に驚いて顔を上げる。「お兄さんが叔母さんに何かしたの?」「美月…おまえ……」そこまで言って叔父は口を開けたまま次の言葉を探す様に美月をじっと見る。「おまえ、思い出したのか?否、それともずっと覚えていたのか?否、まさか、そんな筈…」叔父は美月に聞くと言うよりまるで自分に問いかけ [続きを読む]
  • 陰火−17
  • 「やっぱり…何かあるんですよね」あの会話を聞いた時からずっとそう思っていた。だがそれを認めるのが怖かった。それでも自分の過去と向き合うと決めたのは美月自身だ。こうやって人を巻き込んでもいる。もう目を背ける事は出来ない。「そうだね、君のご両親を殺したという犯人はまだ捕まっていないんだよね」「はい」「もしかしたら…」「はい?」美月を見て言葉を止めた吉岡の顔を美月は見返す。「君には本当に辛い現実が待っ [続きを読む]
  • 陰火−16
  • 「成程、なかなか興味深い会話だ」「守る為ってどういう意味でしょう。叔父や叔母は私を何から守ると言うのでしょう。引き取って育てたという事を言っているのでしょうか」「ああ…そうだねえ」その様子に吉岡は美月の質問に少し考える風をする。何か美月の質問が吉岡の思惑とは違っていたような感じを受けた。吉岡はあの会話から何を読み取ったのだろうと思いながら美月は彼の次の言葉を待った。「他には何も聞いてない?」だが [続きを読む]
  • 陰火−15
  • 「超能力と言われているものがあるだろう?」「あ、はい。あの、スプーン曲げたりとかですよね」美月がそう答えると吉岡は目を見開いて美月を見る。その目が信じられないとでも言っているように見える。何か拙い事を言ったのだろうかと思う。「あのね、あんなのはただのパフォーマンスに過ぎない。ってか今時そんな事を言う子がいるなんて」そう言うと吉岡は口を抑えるようにしてクックックッと笑った。完全に馬鹿にされている。 [続きを読む]
  • 陰火−14
  •  春休み、美月は再度吉岡に会った。瑞樹は用事で来れなくて何故か二人で会う羽目になった。会う前から相当に緊張していた。やはり苦手意識が消えない。瑞樹はどうしてあんな風に吉岡と自然に話せるのだろうと思う。クラスメイトだからなのだろうか。でもそれだけではないように感じる。瑞樹は吉岡をとても信頼している、そんな感じを受ける。瑞樹は吉岡と付き合っているわけではないと言っていたがもし本当に今はそうで無くても [続きを読む]
  • 陰火−13
  •    三. 「こんにちは」「あら、美月ちゃん、久しぶりね」ここは美月の通う高校の近くのベーカリーショップである。昔からあって明星の生徒はよく利用している。味の評判も良い。三年前に改装したらしくお店の雰囲気もとてもお洒落である。「叔母さん、毎日お弁当作ってくれるから中々買いに来れなくて」「あら、それは良いじゃない。パンは売れて欲しいけれど毎日パン買いに来る子がいると心配しちゃうわ。お母さん、お弁当作 [続きを読む]
  • 陰火−12
  • 「キーワードは白いシャツの男と若くて奇麗な女性、というところかな」「あ、あの、私の兄は生きているんでしょうか?」「それは、まだ今の段階じゃ何とも言えない。でも可能性が0ではないと思う」「でも、もし生きているのならどうして今まで何の連絡もして来なかったのかな。それに十二年もの間、いったいどこに身を潜めていたのかしらね」瑞樹が疑問を投げかける。「さあね、理由は幾つか考えられるが」「幾つかって?」「身 [続きを読む]
  • 陰火−11
  • 「ちょっと整理してみよう」暫く考えた後、吉岡は身を乗り出してそう言った。「君は四歳の時に火事で両親を亡くして叔父さん夫婦に引き取られて育った。叔父さん夫婦には他に子供はいない。そして両親は実際には火事で死んだのではなく火事の前に殺されていた、そうだね?」「はい」「そして君には兄がいたが火事の後、行方知れずでその生死も不明。そのお兄さんは両親を殺した容疑者になったようだが証拠不十分で真理は分からな [続きを読む]