みくら さんさんか さん プロフィール

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みくら さんさんかさん: Let's be Friends,
ハンドル名みくら さんさんか さん
ブログタイトルLet's be Friends,
ブログURLhttp://sketchbookrf044.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文病で逝った婚約者へ。9.11で逝った友らへ。聖書を読むのは思い出と鎮魂のため。時々エッセイや小説も公開。
自由文 ほぼ毎日、更新中。さとう珠緒じゃないが、「お暇なら来てよね」というところか?
 海外の小説、大好き。音楽、大好き。映画、大好き。コーヒー、大好き。スタバ、大好き。『ONE PIECE』、大好き。『F.S.S』、大好き。海ある故郷、大好き。
 いい年こいて、隣の席の年下女子への片想いに悩む、そこそこ青年そこそこ中年男子。細々ながら兼業作家をやっています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供271回 / 365日(平均5.2回/週) - 参加 2010/08/09 02:54

みくら さんさんか さんのブログ記事

  • 第2569日目 〈推理小説読書の第一期を振り返る。〉
  •  昨年の秋から、江戸川乱歩や横溝正史を皮切りにして、遅ればせながら推理小説に淫した日々を重ねて今日へ至っていることを、これまでにも何度か本ブログにて述べてきた。今年になってからは専ら現代の作物ばかり読み耽ってそれらの概ねについて感想めいたコメントをモレスキンのノートに書き留めているが、遅かれ早かれそれらの幾つか(全部ではあるまい)はやがて相応しい分量を伴って清書された後、ここにお披露目されることで [続きを読む]
  • 第2567日目 〈仕事帰りの<巣>を探すことの困難について。〉
  •  つくづくと過去の勤務地が恵まれた場所にあったことを痛感している今日この頃。 いや、いまのところも新宿なんていう幾らでも候補地が見つかるはずの場所なんだけれど、然に非ず。人が多くて店内が狭くて、しかも閑散とする時間帯がないという、却って悪しき傾向に囚われた場所なのだ。 乗換駅にも何カ所かあるけれど、北と南に日本有数のオフィス街を抱えるゆえにどこもかしこも混雑、混雑、混雑。店内は狭く、自分が立ち寄れ [続きを読む]
  • 第2566日目 〈小説完結のお知らせと、これからの本フ?ロク?のこと。〉
  •  2017(平成29)年04月06日を以て、昨年10月02日からこっそり更新を続けてきた小説『ザ・ライジング』完結と相成りました。ここに謹んで昨日まで忍耐強くお読みいただいた読者諸兄に感謝の意を表したく存じます。 顧みれば2003年1月10日に筆を起こし、途中人生を揺るがすようなアクシデントがあったけれどなんとか気持ちを奮い立たせ、同年12月末日に第一稿の筆を擱いたのでした。その数日後、舞台となった静岡県沼津市を訪れ、 [続きを読む]
  • 第2565日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』エヒ?ローク? 1/1〉
  •  二〇〇三年十二月二十五日、午後一時二十三分。 室内は閑散として実際以上に広く見えた。昨夜目が覚めたときにそばにいた看護婦に訊くと、ここは自宅から一キロばかり離れた市道町の千本病院だという。真南に面しているため、冬のやわらかな陽射しが差しこみ、暖房を入れる必要を感じないぐらいだった。眼下には子持川がさざ波をきらめかせて流れている。本来は二人部屋なのだが、いまは希美一人ということもあって、室内を仕切 [続きを読む]
  • 第2564日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 24/24〉
  •  美緒が行ってしまうと、希美と藤葉だけがその場に残された。二人には友人と救急隊員達のやりとりが、ずっと離れた世界でのさざめきのように、そして、現実の外側の世界から聞こえてくるように感じられた。自分の体を支える藤葉を気遣って、希美は「もう大丈夫だよ」といった。 「もう死のうなんて思わない、って約束して」と藤葉がいった。途端、涙があふれてき、希美の顔に何粒か降りかかった。「ののちゃんがいなくなったら、 [続きを読む]
  • 第2563日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 23/24〉
  •  ぼやけていた視界が時間を経るにつれて焦点を結んでゆく。声はすれども姿は見えず。暗闇の中で置き去りにされて声の聞こえる方向へ足をそろりそろりと踏み出す。そんな感覚が心をかすめていった。十数センチしか離れていないところに〈旅の仲間〉の他の面々が揃って自分を取り囲んでいる。激しくむせて意識がはっきりと現実へ戻ってきたときから、それはわかっていた。なのに視界は真っ暗なまま。失明したのかな、と思わないでも [続きを読む]
  • 第2562日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 22/24〉
  •  どうにかして足の届くあたりまでくると、藤葉は片膝をついて立つと、波の来ない場所まで希美を引きずっていった。雨に濡れて湿り気の増した砂浜に、自分の足跡と希美の踵がつける二本の筋が残った。ジーンズや厚手のシャツが肌にぴったり貼りついていたが、重く感じただけで他に寒さや気持ち悪さなどは湧いてこなかった。 「のの! ふーちゃん!」と叫びながら彩織が寄ってき、希美の両足首を握り持って、藤葉と一緒に、彼女と [続きを読む]
  • 第2561日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 21/24〉
  •  希美の手を摑んだとき、藤葉は思わず恐怖を覚えた。凍りついたような冷たさが掌から伝わってきたからだ。一瞬ではあったものの、死体みたい、という思いが頭をよぎった。霊安室に眠る妹の死体が脳裏に浮かんだ。天井からの蛍光灯の明かりが妙に寒々しかった。ドラマに出てくる作り物の霊安室や棺と異なって、すべてが白日の下に曝されて白っぽい印象が残っている。とはいえ、病院の地下にある霊安室とそこにいる自分達(両親と祖 [続きを読む]
  • 第2560日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 20/24〉
  •  黒い衣の男は去った。消えたのだ。もう姿を現して冥土に手招くこともないだろう。私が死を望まない限りは決して――。 澄みきった空を見あげると、無数の星が瞬いていた。いまにも降ってきそうでそら恐ろしい気分さえする。希美は己を岸へ寄せてゆこうとする波に身を委ね、虚空に向かって「ありがとう」と呟いた。開かれた目から涙がこぼれた。真珠の輝きに似た大粒の涙が頬を伝い、海へぽちゃりと落ちた。あの人は……正樹さん [続きを読む]
  • 第2559日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 19/24〉
  •  隣に誰かの気配を感じた。未知の人ではなく、自分のよく知っている人だった。美緒ちゃんかな、それとも、ふーちゃん? いや、醸し出される雰囲気は母にとてもよく似ている。 希美はゆっくりとそちらを見やった。視線がほんの少し上から感じられた。服装を見るまでもなく、すぐに女性とわかっていた。そして、徐々に希美にもわかってきていた。――隣に立ってこちらを見ているのが、ほんの少し先の時代の自分だということが。  [続きを読む]
  • 第2558日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 18/24〉
  •  青白い月が見えた。寒々とした印象を与える色だった。月影はときどき歪み、ゆがんだ。薄紗を敷かれたように白濁して映る。幾何学的な形状へ分断されて破裂し、宙を舞い、そうして散ってゆき。万華鏡のきらめきを彼女は連想した。月はもはや無数の欠片となって空中を漂い、ふわふわと落ちてき、海の雪となって、沈みゆく希美の体のまわりを輪舞した。肌に触れたそれは小さくぷつん、という音をたてて弾けた。それを耳にしながら自 [続きを読む]
  • 第2557日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 17/24〉
  •  母の運転してきてくれた車が停まった。若山牧水像のある公園の前だった。彩織は「待ってて!」といい残して降りると、散在する水溜まりに街灯の明かりが映る道路を走り出した。二〇メートルほど前方に防波堤が横たわっている。手前の派出所に電気が灯っていた。誰かが詰めているのだ。――誰やろか。ああ、どうか田部井さんでありますように。田部井さんならのののお父さんも知っている、子供の頃からののを知っている。きっと二 [続きを読む]
  • 第2556日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 16/24〉
  •  帰宅して彩織から電話で知らされるまで、真里は白井正樹が殺されたことを知らなかった。連絡を受けてすぐに希美の家に行ってみた。湯あがりでパジャマを着、歯も磨いていたが、それでも行ってみた。誰もいなかった。希美は既に海の中にいた時分である。真里は「自分も海に行ってみる」と彩織に連絡し、普段着に着替えて家を後にした。 いま、真里は千本浜公園を右手に望む、緑町の住宅街の夜道にいた。この道は、希美が公園を抜 [続きを読む]
  • 第2555日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 15/24〉
  •  藤葉は自転車を停めた。雨で濡れている路面にタイヤが音もなく滑った。脇から水しぶきがあがった。海からは強い風が吹きつけてくる。雨もまだ降りやまぬ天候の下、小諏訪の自宅からずっと自転車を走らせてきた。防波堤の遊歩道に乗り入れた途端、バランスが崩れて倒れ、左の膝小僧をしたたかに打ちつけた。いまもその痛みと疼きを感じる。とはいえ、希美が見つかるまで傷口を見てみる気にはなれない。親友が死のうとしているとき [続きを読む]
  • 第2551日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 11/24〉
  •  だしぬけに心のずっと深いところから、幼い時分の記憶が甦ってきた。父の乗ったバスを追いかけている記憶だった。あれって何歳のときだったんだろう。希美は目を閉じながら考えた。小学校には入学していた。二年生にもなっていた。それ以後であるのは確かだった。彩織が転入してきて同じクラスになったのが、二年生になった年の五月。バスを追いかけながら、沼津署近くのマンションに入居する秋まで彩織一家が暮らしていた賃貸マ [続きを読む]
  • 第2550日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 10/24〉
  •  少しずつであったが、父がゆっくりと希美の方へやって来た。波に自分の体が流されているせいなのか、それとも、本当に父がこちらへやって来ているのか。ぼんやりとした頭で考えてみても判然としなかったが、そうするうちにも父娘の間は徐々に縮まっていた。父が両腕を広げた。抱きしめようとする仕草だった。それがたまらなく胸に響き、希美は涙が目にじわりと浮かぶのを感じた。もう二度とそのあたたかさに出会えるはずのないと [続きを読む]
  • 第2549日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 9/24〉
  •  希美はやっぱりテューバをやっていたいの? 夏の牧歌的な匂いのかよう風を浴びながら、連れだって歩いていた父が突然口を開いてそう訊いてきた。もうそこに自分の姿は見えない。今年の夏の夕暮れに父と散歩したときの光景が、希美の目の前で広がっている。そのときの風の香りや波の音、防波堤を自分達と同じように闊歩する人の声が自分を取り巻いている。 その父の質問に希美はこっくりと頷いた。別にプロになろうとは思わない [続きを読む]
  • 第2548日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 8/24〉
  •  ――耳の奥で管楽器群が半音階の和声を厳粛に、それでいて慄然と奏でるのが聞こえた。それに耳を傾けているといつの間にか、底無しの淵に行き当たって足許を覗きこんだときに襲われる、あの足の裏がぞわぞわし全身が鳥肌だって総毛立つ、感情が千々に乱れる思いがした。だがそれもしばらくして一定のレベルを超えると、その響きが孕む官能美に恍惚とした気分を味わえた。希美はただ一度だけ、そんな気分にさせられてしまうとても [続きを読む]
  • 第2547日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 7/24〉
  •  雷はもはや遠くへ去ったらしかった。眼球をあちらこちらへさまよわせてみても、空に稲妻の走る光景は映らなかった。海は落ち着きを取り戻していた。うねる波も荒々しい轟きも、ここにはない。自分の体に打ち寄せて砕ける波のさざめく小さな音と、大気に宿る深閑とした静寂の音だけが聞こえる。自分がいちばん愛している海が戻ってきた。母のように優しく父のように懐の深い海に、いま、私はそっと抱かれている。幸せだった。生き [続きを読む]
  • 第2546日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 6/24〉
  •  希美、と自分を呼ぶ声がして、彼女は目を開けた。透明度の高い闇が四囲に垂れこめていた。ようやくいま、自分が海の中にいて、浮力を失って沈んでいるのだ、と察知するのと、急に息苦しくなって手足をばたつかせてもがき、唇から大きさの様々な水泡が無数にこぼれ出てゆき視界がふさがれたのは、ほぼ同時のことだった。浮かぼうと必死にもがいても、そう簡単に海面に出られそうもない。誰かが足首を摑んで死の淵へ引きずりこもう [続きを読む]
  • 第2545日目 〈『サ?・ライシ?ンク?』第5章 5/24〉
  •  海の大きく優しい掌に抱かれた深町希美は、まどろみながらうたかたの夢を見ていた。それはまだ自分が生まれるずっと以前の光景だった。若かりし日の両親の姿、まだ結婚する前の深町徹と松本恵美の、仲むつまじき黄昏刻の一景。時折話しに聞いていただけの昔を、なぜこうもまざまざと眼前にできるのだろう、と意識の遠くで訝しんだが、それはそれとしても、自分が知らない両親の独身時代をこうやって垣間見るのは後ろめたさよりも [続きを読む]