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  • 「柔らかな頬 上・下」桐野夏生

    柔らかな頬 上 (文春文庫)柔らかな頬 下 (文春文庫)読後、しばらく絶句!でした。北海道生まれのカスミは家出して、親とは音信不通のまま、東京で夫と二人の娘と暮らしていましたが、夫の友人・石山という男性と、不倫関係に陥ってしまいます。石山は北海道の別荘を買い、

  • 「燕は戻ってこない」 桐野夏生

    燕は戻ってこない前から読んでみたかった作家さんでもあり、ドラマ化するというので興味がわきました。代理母出産にまつわる話ですが、生命の尊厳とか固い話にならず、とにかく主人公は産むか産まないのか? 産んだあとはどうするのか?でぐいぐい引っ張られ、気づいたら読

  • 「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ

    ザリガニの鳴くところ (ハヤカワ文庫NV)久しぶりの翻訳もので、600ページとかなりのボリュームだったので、読了まで時間がかかるかなと心配でしたが、とても読みやすく、ミステリーの結論が知りたくて、一気に読めました。ノース・カロライナの湿地で暮らすカイアが主人公。

  • 「灰の劇場」恩田陸

    灰の劇場 (河出文庫 お 26-2)今までに読んだことがない、珍しい構成で書かれていて、初め戸惑いました。「0」「1」「(1)」章に分かれていて、「0」はノンフィクションで、この本を執筆する過程が書かれており、「1」はフィクション、さらに(1)なんだろう? この物語が舞台化

  • 「本心」平野啓一郎

    本心 2040年、なるほど近未来はこういう世界になっているのかもしれないなと、空恐ろしくなりました。地球の温暖化は進み夏は40度が普通。経済格差は拡大、自由死が選択できる未来。主人公、朔也(さくや)は29歳。高校を中退し、学歴がないことが災いしてか、リアルアバ

  • 「コンビニ兄弟」町田そのこ

    コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―(新潮文庫nex)舞台は北九州市 門司港フェロモン店長がいるコンビニ「テンダネス」は、店長目当てのお客でいつも大賑わい。物語は、このコンビニを題材に、ネットで漫画を書いてるコンビニ店員・中尾光莉目線で、つづられていま

  • 「源氏物語」3 角田光代

    源氏物語 3 (河出文庫 か 10-8)今年の大河ドラマは、この「源氏物語」を書いた紫式部が主人公ということで、興味深く見ております。当時の生活を映像で見ることができ、この「源氏物語」を読むときも、吉高由里子の顔を思い浮かべながら読んでいました。3巻目ともなると、登

  • 「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ

    52ヘルツのクジラたち【特典付き】 (中公文庫)前から気になっていた本でしたが、虐待の話が出てくるのは辛いので、躊躇してました。確かに辛い場面もありましたが、軽いタッチで描かれているので、そう重くならず読めました。主人公貴瑚(きこ)が、海辺の町に引っ越してきた理

  • 「おちくぼ姫」田辺聖子

    おちくぼ姫 (角川文庫)2023年本屋大賞発掘部門で「超発掘本!」として推薦されている本のようです。1979年に出版されました。千年昔の和風シンデレラストーリー。恐らく平安時代に書かれたものらしく、それを田辺聖子さんがわかりやすく現代風に訳しています。高貴な生まれに

  • 「猫を処方いたします。」石田祥

    猫を処方いたします。 (PHP文芸文庫)京都の路地にある怪しげなメンタルクリニック。評判のいい先生がいると人づてに聞いて恐る恐る行ってみると、そこでは薬ではなく猫を処方していました!5話の短編集で、患者たちが猫を処方され、それぞれに変容していく姿を描いています

  • 「源氏物語」1・2 角田光代

    源氏物語 1 (河出文庫 か 10-6)源氏物語 2 (河出文庫 か 10-7)今まで何度かトライして、最後まで読んでもぜんぜん頭に入ってこなかった源氏物語。角田光代が現代語訳をしているのを知って、もう一度読んでみようという気になりました。1巻のあとがきでご自身も書いてますが

  • 「まずはこれ食べて」原田ひ香

    まずはこれ食べて学生時代に友人同士で立ち上げたベンチャー企業「ぐらんま」そこで働く社員たちと、家政婦の物語を連作短編集で綴っています。「ぐらんま」のメンバーは、紅一点の胡雪 IT担当の桃田 CEO田中 営業の伊丹4人。不規則な生活で食事がおろそかになり、掃除も

  • 「先生のお庭番」朝井まかて

    先生のお庭番 (徳間文庫)出島に薬草園を造りたいという、オランダの医師しぼると先生の依頼のもと、植木職人熊吉がしぼると先生の願いを叶えようとする物語です。熊吉は、植木商「京屋」で働く15歳の少年でした。母は遊郭で働くお針女(おはりめ)で、女手一つで熊吉を育てた

  • 「少年と犬」馳 星周

    少年と犬 (文春文庫)多聞(タモン)という犬が主人公。東日本大震災で、飼い主と離ればなれになったであろう多聞が、南に向かう途中に出会う人々の様々な人間模様を、連作短編の形態で書かれています。各章で登場する人たちは、飼い主を失いボロボロの姿で彷徨う多聞と出会い、

  • 「一人称単数」村上春樹

    一人称単数 (文春文庫)8作の短編集です。成り行きで一夜を共にした女性の話から始まる「石のまくらに」久しぶりの村上春樹でしたが、相変わらずです。「ウィズ・ザ・ビートルズ」で、「僕は不特定多数の女性にモテたという経験はただの一度もない・・・しかしそれでもなお、

  • 「月の裏側」恩田陸

    月の裏側九州の水郷都市、箭納倉(やなくら)。元大学教授、協一郎の呼びかけで、教え子の多門、娘の藍子、記者の高安が、ある事件を解明しようと箭納倉に集合します。そのある事件とは。まず、架空の土地箭納倉の神秘性に魅了されました。水の壁に覆われているような、しっと

  • 「私のなかの彼女」角田光代

    私のなかの彼女 (新潮文庫)「祖母は醜女だった」から始まるこの小説は、孫である和歌の恋愛と、祖母のこうであったかも知れない生涯をリンクさせて、読みごたえがありました。和歌は大学生。大学に入ってすぐ付き合い始めた一つ年上の仙太郎との結婚を夢見ていました。時代は

  • 「彼女に関する12章」中島京子

    彼女に関する十二章 (中公文庫)表題は60年前にベストセラーとなった「女性に関する12章」からきています。50歳になった聖子は、夫と二人暮らし。実家を離れて暮らす大学院の息子がいます。編集業を営む夫が仕事のために買った本が「女性に関する12章」そもそもキンド

  • 「クララとお日さま」 カズオ・イシグロ

    クララとお日さま (ハヤカワepi文庫)AF(人口親友)として開発されたロボット クララ。この物語はそのクララの目線で語られています。心の機微まではわからないであろうロボット目線で語られては、単調な物語になりはしないかという心配は無用。クララのいる時代は、どうやら

  • 「推し、燃ゆ」宇佐見りん

    推し、燃ゆ (河出文庫)前回読んだ「かか」の時も感じたのですが、実に生々しい。これはあくまでも小説であって、作者自身の体験談ではないのですが、作者の叫びが聞こえてくるようで、こんな小説を書いて苦しくはないのだろうかと思ってしまいました。主人公のあかりは、推し

  • 「正欲」朝井リョウ

    正欲(新潮文庫)本書の帯に「読む前の自分には戻れない」という衝撃的なキャッチコピーが書かれているのですが、確かにそうかもしれないと思えるほど、読後感は最悪かも知れません。それでも読んで良かったと思える本でした。ここ数年、多様性という言葉がもてはやされてい

  • 「クスノキの番人」東野圭吾

    クスノキの番人 (実業之日本社文庫)主人公の玲斗は、シングルマザーに育てられ、母親は玲斗が小学校低学年の頃に亡くなってしまう。それからは祖母に育てられ、高校を卒業後就職するが、職場に恵まれず何度か転職したのち、不当な理由で解雇された職場に強盗に入り、逮捕され

  • 「ブルーもしくはブルー」山本文緒

    ブルーもしくはブルー (角川文庫)山本文緒の初期の作品で、携帯電話のない時代が描かれていて、取り上げている題材もドッペルゲンガーということで、なんだか昔流行っていたような気がして、単純に古い話なんだなーと思って読んでました。主人公の蒼子は、東京で高収入の夫と

  • 「花桃実桃」中島京子

    花桃実桃 (中公文庫)43歳のシングル女子茜は、職場から肩たたきにあい、父親から相続したアパートの管理人になることを決意。昭和の香り漂うアパート「花桃館」は、築20年、全9戸のうち4戸も開き室という。かなり経営が厳しそう。しかも、住人は個性的な人たちばかりで、家

  • 「自転しながら公転する」 山本文緒

    自転しながら公転する(新潮文庫)プロローグで、ベトナムでの結婚式から始まる物語。そこから一転し、茨城のアウトレットモールで働く、都(みやこ)の日常が描かれます。この都がベトナムで結婚するまでの話だなと思って読んでました。32歳の都は母の看病のため実家に戻り

  • 「臨床真理」柚月裕子

    臨床真理 (角川文庫)文庫本では初めて読む作家さんです。ドラマの原作になっていたりする方なので、前から気になってました。まずはデビュー作からと思い、この本を選んだのですが・・・・・ハズレだったかな~。好みの問題だと思いますが。もっと登場人物の内面を掘り下げて

  • 「事故物件いかがですか?」原田ひ香

    事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング (集英社文庫)前回読んだ「東京ロンダリング」の続編です。これ一冊だけでも十分に楽しめる内容ですが、途中から「東京ロンダリング」の登場人物もでてくるので、前作を読んでからの方がより楽しめると思います。事故物件となって

  • 「流星シネマ」吉田篤弘

    流星シネマ (ハルキ文庫)不思議な世界に迷い込んで癒されたいと思ったら、この作家さんをお勧めしたです。都会のヘリの崖の下に住む僕は、「流星新聞」というタウン誌?を発行しているアルフレッドの手伝いをしている。その町の個性的な住民たちとの、関わり合いを織りなすス

  • 「東京ロンダリング」原田ひ香

    東京ロンダリング (集英社文庫)主人公は夫に不倫がばれて離婚し、不倫相手にも裏切られ戻る家をなくしたりさ子。どんな部屋でもいいからと、必死でアパート探しをして、たどり着いた不動産会社から、賃貸物件をロンダリングする仕事を依頼される。様々な事情で事故物件となっ

  • 「もうひとつの評決」小杉健治

    もうひとつの評決(祥伝社文庫こ17-71) (祥伝社文庫 こ 17-71)あまりこの手の作家さんー時代小説とミステリーを書く男性作家ーは読まないのですが、裁判員制度に関連する小説だったので、読んでみることに。出会い系サイトで知り合った女とその母を殺害した罪で裁判にかけら

  • 「かか」宇佐見りん

    かか (河出文庫)「推し、燃ゆ」で芥川賞をとった宇佐見りんのデビュー作です。19歳の浪人生うーちゃんが主人公。うーちゃんが、弟のみっくんに語りかける形で書いてます。かかというのは、うーちゃんの母のことで、夫に捨てられて心を病み、うーちゃんの介護なしでは生きら

  • 「傲慢と善良」辻村深月

    傲慢と善良 (朝日文庫)婚活あるあるとミステリーが入ってるので、それだけでも十分に楽しめる小説ですが、もっと深いところを追求しているので、こんなに分厚い文庫本になったのかなと、推測されます。婚約者、真美が突然姿を消し、架(かける)は彼女から聞いていたストーカー

  • 「シャイロックの子供たち」池井戸潤

    シャイロックの子供たちシャイロックとは、シェークスピアの「ヴェニスの商人」に登場する強欲な金貸し。と、本筋に入る前に説明書きがありました。初めは、あー「ヴェニスの商人」のねーくらいの気持ちでしたが、読み終わって見ると、登場人物全員がシャイロックの子供たち

  • 「あひる」今村夏子

    あひる (角川文庫)楽天ブックスで買ったんですが、薄いし字が大きいしで、びっくり。そういえば、書店で見たときに、上記の理由で買わなかったことを思い出しました。薄い本なのに3話入っていて、一日で読み終えました。しかし、内容は深いです。「あひる」は、「わたし」の

  • 「むらさきのスカートの女」今村夏子

    むらさきのスカートの女 (朝日文庫)本の帯に「何もおこらないのに面白い」と書いてあったので、退屈なのかなーと予想していたんですが、けっこういろんなことが起こってました!語り手の「わたし」は、近所で有名な「むらさきのスカートの女」に、異常と思える執着を見せます

  • 「義経じゃないほうの源平合戦」白蔵盈太

    義経じゃないほうの源平合戦 (文芸社文庫 し 6-4)義経が活躍したことで有名な源平合戦。本作で描かれている、じゃないほうの武将は源範頼です。鎌倉幕府を作った源頼朝は源氏の3男。義経は9男そして範頼は6男。範頼は、母親が遊女だったということから、他の兄弟より軽く見

  • 「風神雷神」原田マハ

    風神雷神 Juppiter,Aeolus(上) (PHP文芸文庫)風神雷神 Juppiter,Aeolus(下) (PHP文芸文庫)史実をもとに、芸術家のこうであったかもしれないシリーズ。今作は、珍しく日本版。俵屋宗達という絵師の物語です。私も名前だけは知っている俵屋宗達。戦国時代から江戸時代初期

  • 「JR高田馬場駅戸山口」柳美里

    JR高田馬場駅戸山口 (河出文庫)少し前に読んだ「JR上野駅公園口」が良かったので、つい買ってしまいました。”つい”と言ってしまったのは、柳美里さんの本、毒が強すぎて読むのが辛くなることがあるからです。高田馬場駅の混沌とした風景が、脈絡もなく、ぎっしりとした文字

  • 「ザ・ロイヤルファミリー」 早見和真

    ザ・ロイヤルファミリー(新潮文庫)馬主一家の波乱に満ちた20年間を描いた長編。語り手は、栗須栄治。栗須は、ビギナーズラックで当てた馬券が縁で、人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の社長山王耕造の秘書となります。山王社長は競馬に夢中で、「ロイヤル」の名が入っ

  • 「そのマンション、終の住処でいいですか?」原田ひ香

    そのマンション、終の住処でいいですか? (新潮文庫)北関東の郊外で、一軒家を借りて住んでいた熟年夫婦が、娘の就職を機に都内のマンションへ移り住むことに。終の住処と決めたマンションの名は「ニューテラスメタボマンション」メタボっていうと、知識の浅い私は、すぐメタ

  • 「まち」小野寺史宜

    まち(祥伝社文庫お25-4) (祥伝社文庫 お 25-4)ちょっとほっと一息つきたいなというときは、この人の本を読みたくなります。今回の主人公は、両親を亡くし、尾瀬の荷物運び・歩荷(ぼっか)を営む祖父に育てられた江藤瞬一くんです。高校を卒業し、祖父から東京にでた方がいい

  • 「罪の轍」 奥田英朗

    罪の轍(新潮文庫)文庫になるのをずーっと待っていた本作。手に取るとやっぱり分厚い! 上・下巻にしても良かったのでは?と思いつつ、読み始めました。時代は1963年、昭和の東京オリンピックが開催されようとしている時です。筆者は、同じ時代背景で「オリンピックの

  • 「死にがいを求めて生きているの」朝井リョウ

    死にがいを求めて生きているの (中公文庫)事故で植物状態となった南水智也を取り巻く人々の、それぞれの物語が各章ごとに語られ、初めはバラバラに見えてやがてつながって行く、という手法をとっています。看護師友里子の章の冒頭「自動的に、運ばれていく」という一文で、心

  • 「彼女の家計簿」 原田ひ香

    彼女の家計簿 (光文社文庫)先日読んだ「三千円の使い方」が面白かったので、同著者の本をまた読みました。似たような表題ですが、ぜんぜんテイストが違って、私はこちらの方が好みです。シングルマザーの里里(リリ)の元へ、疎遠にしていた母から分厚い封筒が届きます。五十鈴

  • 「吾輩はライ麦畑の青い鳥」斎藤美奈子

    吾輩はライ麦畑の青い鳥 名作うしろ読み<『名作うしろ読みプレミアム』を改題> (中公文庫)だいぶ前に読んだ「名作うしろ読み」第2弾です。文芸評論家斎藤美奈子さんが、かつて読売新聞に連載していたコラムを改稿したもので、名作をラストの一文から解説しています。前作

  • 「三千円の使いかた」 原田ひ香

    三千円の使いかた (中公文庫)この本、新聞広告等で、大きく宣伝してますよね。確かに気になるタイトルです。「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」という祖母のことばから始まる、このお話。財テクの話かな?と思いきや、終わってみれば、御厨(みくりや)家の家族の心温まる

  • 読売新聞連載小説「黄色い家」 川上未映子

    読売新聞朝刊に連載されていた、川上未映子さんの「黄色い家」が、最終回を迎えました。主人公花は、インターネットのニュースで、60代の女性が20代の女性を部屋に閉じこめ暴力行為をしたとして逮捕されたことを知る。名前は吉川黄美子。その人は花が20年前に一緒に暮

  • 「夢見る帝国図書館」中島京子

    夢見る帝国図書館 (文春文庫)中島京子さんの小説をもう少し読みたいと思い購入。「小さいおうち」と同様、戦時中の物語でしたが、こちらは、図書館の歴史がよくわかるノンフィクションの要素がかなり盛り込まれています。作家である「わたし」は、上野の国際子ども図書館を取

  • 「小さいおうち」 中島京子

    小さいおうち (文春文庫)中島京子さんの「やさしい猫」という小説を新聞の連載で読んで感動したことを思い出し、同作家さんの本をもっと読んで見ようと思いました。これ、映画化もされているし、直木賞をとった本ですね。昭和初期の戦争に向かう時代を、タキという女中の目線

  • 「シュガータイム」 小川洋子

    シュガータイム (中公文庫)小川洋子が「妊娠カレンダー」で芥川賞をとった後の、初めての長編小説。主人公の「わたし」は、3週間ほど前から奇妙な日記をつけ始めた。一日の終わりに、止まらない食欲に踏ん切りをつけるため、その日食べたものを書き出す作業に没頭する。フレ

  • 「BUTTER」柚木麻子

    BUTTER(新潮文庫)柚木麻子新潮社2020-06-05今、読売新聞夕刊の連載小説が柚木裕子さんで、なかなか面白く、彼女の本を買ったつもりでした。・・・・・家に戻り、よくよく表紙を見ると名前が違う!こちらは麻子さんでした。というハプニングはあったものの、今まで読んだこ

  • 「イマジン?」有川ひろ

    イマジン? (幻冬舎文庫 あ 34-8)久しぶりの有川ひろでした。映画に関わる仕事が夢だった主人公良井良助(いいりょうすけ)。映像の専門学校を出て内定を決めたものの、そこは倒産してしまい、バイトに明け暮れる日々だったが、ある出会いによって憧れの映像業界に。有川ひろら

  • 「空白を満たしなさい」上・下巻

    空白を満たしなさい(上) (講談社文庫)空白を満たしなさい(下) (講談社文庫)NHKで放映されていたドラマ「空白を満たしなさい」があまりにも衝撃的で感動したので、原作も読むことにしました。主人公徹生は数年前に亡くなっていたが、ある日突然生き返る。有り得ない話です

  • 「傑作はまだ」 瀬尾まいこ

    傑作はまだ (文春文庫 せ 8-4)本を読んでるとき、ところでこの本のタイトルは何だったのか?失念していることがよくあるんですが、この本もそうで、最後まで読み、そうだった「きみを知る日」だと納得して本を閉じました。そして表紙を見てびっくり。タイトルは「傑作はまだ

  • 「家族のシナリオ」 小野寺史宜

    家族のシナリオ (祥伝社文庫)前回、川上さんの壮大な本を読んでいささか疲れたので、普通の本が読みたいなと思って購入。この「普通」っていう言葉が、この作家さんにはピッタリだと思います。大きな事件が起きるわけでもなく、極めて平凡だ話なんだけど、いいなと思ってしま

  • 「某」川上弘美

    某 (幻冬舎文庫)「某」というタイトルが新鮮で、これはきっと川上さんらしい不思議なお話なんだろうと期待が膨らみました。確かに物凄く不思議というか、SFと言えばそうなんでしょうけど、何かあらゆるジャンルを超越してしまったような作品です。ある病院で現れた限りなく人

  • 「野良犬の値段」百田尚樹

    野良犬の値段(上) (幻冬舎文庫 ひ 16-10)野良犬の値段(下) (幻冬舎文庫 ひ 16-11)久しぶりの百田尚樹、そして初めてのミステリー作品ということで、十分楽しませてもらいました。誘拐事件がテーマの本作ですが、誘拐されたのは身寄りのない6人のホームレス。ネットを使った

  • 「カフーを待ちわびて」原田マハ

    カフーを待ちわびて (宝島社文庫)原田マハのデビュー作で、本屋さんを物色するたびに気なっていた本です。でも「日本ラブストーリー大賞受賞作」というのが、むしろ引っかかってしまい、自分はついていける話なんだろうかと心配でもありました。読み進めていくうちに、ラブス

  • 「カザアナ」森絵都

    カザアナ (朝日文庫)平安の世の流暢な語りから幕をあけ、「風穴」の存在に言及し、そして一気に近未来へ。日本経済が廃れ、観光革命がおこり観光立国となった日本。主人公の家族が住んでいる町は景勝特区として、欧米の模倣を辞め日本的な家屋に住み、伝統的な暮らしを強要さ

  • 「店長がバカすぎて」早見和真

    店長がバカすぎて (ハルキ文庫)タイトルだけを見て、バカな店長がたくさん出てくる短編集なのかと思ってました。予想はいい意味で裏切られ、ある書店の店長に振り回される、谷原京子という契約社員の過酷なお仕事小説であり、書店員あるあるのエピソードが出てきて、興味深か

  • 「ひと」小野寺史宜

    ひと小野寺史宜祥伝社2018-04-10コロッケを人に譲ったことから不思議な縁が生まれていくという帯文にひかれて読みました。主人公の柏木聖輔は高校生で父を亡くし、20歳で母を亡くし天涯孤独の身となった。お金がないことから、大学も中退し途方に暮れる日々。節約生活をす

  • 「流浪の月」 凪良ゆう

    流浪の月 (創元文芸文庫)凪良ゆうの本はこれで2冊目です。前回「神様のビオトープ」を読んで、世間から理解されにくいマイノリティな人たちを書きたい作家さんなんだなということは、十分伝わってました。そしてこの「流浪の月」は、それをより深く掘り下げた作品だと思いま

  • 「1日10分のしあわせ」

    NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)帯の紹介文によると「全世界で聴かれているNHK WORLD-JAPANのラジオ番組で、17の言語に翻訳して朗読された作品の中から、人気作家8名の短編を収録」とのことで朝井リョウ石田衣良小川洋子角田光代坂木司重松清東直子宮下奈都に

  • 「ヘヴン」川上未映子

    ヘヴン (講談社文庫)いじめをテーマにした話は、読んでいても苦しくなるので、ここ数年読んでないのですが、「ヘヴン」というタイトルと、川上映子さんの小説だとどう描かれるのかな?と興味がわいて、読んでみるとこに。主人公の「僕」は、ある日「私たちは仲間です」という

  • 「さすらい猫ノアの伝説」重松清

    すらい猫ノアの伝説 (講談社文庫) [ 重松 清 ]児童文学なんだろうなと思いつつ、猫の物語なら読みたいなと思って購入。大人も楽しめるということでしたが、やはりこれは小学生向けですね。確かにノアという猫は出てくるんですが、猫のお話でもありませんでした。小学校に「

  • 「国宝 下 花道篇」吉田修一

    国宝 下 花道篇 (朝日文庫)読後、芸の道を究めた主人公喜久雄の生きざまに圧倒されました。そして、前半を読んだ後、失踪から戻ってきた俊介と喜久雄が、跡取り問題でもっとドロドロの展開になるのでは?という私の憶測は、芸にまい進する二人からしたら、なんて浅ましい考え

  • 「国宝 上 青春篇」 吉田修一

    国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)少し前から書店で平積みにされていて、興味はあったものの、見たことのない歌舞伎のお話のようだし、上・下巻かなりの分量なので、購入をためらってましたが、ついに買ってしまいました。吉田修一は面白いと信じて。冒頭、国宝という芸術的なタイ

  • 「常設展示室」原田マハ

    常設展示室―Permanent Collection―(新潮文庫)定期的に原田マハの絵画小説シリーズを読みたくなります。今回は、企画展のように一時的に展示するのではなく、その美術館が保有してる絵画をいつでも見られる常設展示室にまつわる6編のお話でした。いつものように、仕事で海

  • 「文豪はみんな、うつ」岩波明

    文豪はみんな、うつ (幻冬舎文庫)精神科医が有名な文豪たちを診断している本です。私はこの文豪と呼ばれる人たちの本をほとんど読んでいないので、話についていけるかな?と思ったのですが、むしろなんの思い入れもない方が、読みやすいかもしれません。夏目漱石からはじまり

  • 「しろいろの街のその骨の体温の」村田沙耶香

    しろいろの街の、その骨の体温の「コンビニ人間」で衝撃を受け、後に読んだ「地球星人」で落胆しながらも、もう少し読んでみたい作家さんでした。本書は、村田沙耶香さんの生きざまが垣間見え、思春期に抱える様々な問題に、真摯に向き合っている本だなと感じました。主人公

  • 「マークスの山 下」高村薫

    マークスの山(下) (新潮文庫)後編はいよいよ謎が解けてすっきするのかと思いきや、またまた事件が起きたりで、なかなか真相解明には至りませんでした。やっと、キーパーソンであった弁護士林原の取り調べが始まったところから、真実に一歩一歩近づいているという感じ。この

  • 「マークスの山 上」高村薫

    マークスの山(上) (新潮文庫)久々の長編ミステリーで、初めての作家さんということで、なかなか前に進めませんでしたが、上巻を読み終えたところで、やっと事件の全容がわかってきたような感じです。1993年の直木賞受賞作品なので、数々の書評がネットでも見られますが、「

  • 「あちらにいる鬼」井上荒野

    あちらにいる鬼 (朝日文庫)先日瀬戸内寂聴さんが亡くなり、テレビで特集が組まれたりしています。出家してからは、とても慈悲深い方という印象ですが、私は、遠い昔に寂聴さんが瀬戸内晴美だった頃にエッセイ集を読んだことがあり、毒のある人だなーとの印象を持ってました。

  • 「太陽と毒ぐも」 角田光代

    太陽と毒ぐも (文春文庫 か 32-17)「不完全な恋人たちの、ちょっと毒のある11のラブストーリー」ということで、11組の同棲しているカップルが出てくる短編集です。どのカップルも、一緒に暮らしているうちに明らかになってくる、相手の極端な癖に悩まされている。まず、

  • 「ことことこーこ」阿川佐和子

    ことことこーこ (角川文庫)あまり難しい本は読みたくないなというときは、阿川佐和子さんの本をお勧めしたいです。「ことことこーこ」とは、料理好きな母親の影響でフードコーディネーターになった主人の香子と、母親の琴子の名前に由来したレシピ本の名前です。悪い人は誰も

  • 「夏物語」川上未映子

    夏物語 (文春文庫)今、読売新聞朝刊の連載小説が川上未映子さんで、なかなか面白いなと思い、以前から気になっていて作家さんでもあったので、読んでみようということに。やっと読了という感じです。途中、リタイアしようかと思ったりもしました。理由は、とにかく文字がギッ

  • 「とにかく散歩いたしましょう」小川洋子

    とにかく散歩いたしましょうそういえば、小川洋子さんのエッセイって読んだことがないなーと思い、ネットでブックレビューを読んでいると「同郷のフィギュアスケーターを見て流す涙」という文字が飛び込んできました。確か岡山県出身のはず・・・・ということは、このフィギ

  • 「ある男」平野啓一郎

    ある男 (コルク)「愛したはずの夫はまったくの別人だった」というキャッチーな宣伝文句につられている自分が嫌で、一瞬購入するのをためらいましたが、読後は初めの印象とは全く違ったものになっていました。「序」の書き出しがなかなか粋で、この物語の主人公「城戸」という

  • 「新釈 走れメロス 他四篇」森見登美彦

    新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫) 正義の塊のようなお話「走れメロス」を、ちょっと皮肉を交えた内容にしてくれたら面白いだろうなーと、期待して読みました。結果私が想像していたよりも、もっと斬新!森見氏は、京都の大学生の破天荒な生活を題材とした話を書くのが好

  • 「一分間だけ」原田マハ

    一分間だけ (宝島社文庫)犬を飼っている人なら、号泣間違いなしのストーリーです。ファッション雑誌編集者の藍は、恋人の浩介と同棲中。ある取材対象のペットショップで、ゴールデンリトリバーの「リラ」と出会う。まずこのペットショップの現実が描かれているところがショッ

  • 「幸福な食卓」瀬尾まいこ

    幸福な食卓 (講談社文庫)幸せな気分になりたいなと思って読み始めたのですが・・・・。ある朝、お父さんが「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と宣言。そこから始まるこの家族の物語は、とても深刻な問題を抱えてる人たちの集まりで、とても幸福な食卓を囲めているとは

  • 「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」ジェーン・スー

    貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 (幻冬舎文庫)40代になった作者が、これから40代になろうとしている女性に向けたエールとも思えるエッセイ集です。独身で仕事をずっと頑張ってきた作者。さぞかし、エネルギッシュな内容かなと思いきや、そのままの女子でいいんだよと

  • 「ののはな通信」三浦しをん

    ののはな通信 (角川文庫)書簡の往復だけの小説というところに興味を持ち、読み始めました。ミッション系のお嬢様学校に通う、ののとはな。親友同士で手紙をやり取りしていくうちに、二人の気持ちが友情ではなくて恋愛感情だということに気づいていく。同性愛の話だったんだ、

  • 読売新聞連載小説「タラント」

    毎日楽しみに読んでいた、角田光代の新聞小説「タラント」が最終回を迎えました。主人公みのりの平凡な生活から始まったこの小説。終わってみれば、壮大な歴史小説とも思える、深いお話でした。大学の進学の為に状況した主人公みのりは、大学を卒業し結婚して洋菓子店で働く

  • 「百花」川村元気

    百花 (文春文庫)息子の泉は、ピアノ教師でシングルマザーに育てられ、妻の妊娠中に、母が認知症を患っていることを知る。年老いていく母と、新しい命が誕生するまでを同時進行で描き、人生のはかなさと希望を見事に表現しています。記憶を失っていく母には、過去に息子を捨て

  • 「ふたつのしるし」宮下奈都

    ふたつのしるし (幻冬舎文庫)学校の授業についていけないマイペースな温之こと「ハル」と優等生だった「遥名」の物語が、1991年からの約20年間にわたって交互に語られ、震災をきっかけに二人は出会う・・・・再会するという、震災後の恋愛物語あるあるのストーリーですが、

  • 「愛しの座敷わらし」荻原浩

    愛しの座敷わらし 上 (朝日文庫)愛しの座敷わらし 下 (朝日文庫)以前、荻原さんの「逢魔が時に会いましょう」を読んだ時から、いつか読みたいなと思っていたのですが、上・下巻ということもありなかなか読めずにいました。いざ読み始めるととても読みやすく、長さを感じず

  • 「生きるとか死ぬとか父親とか

    生きるとか死ぬとか父親とか(新潮文庫)テレ東深夜でドラマを放送中ですが、なかなか面白くて原作も読みたくなりました。作者のジェーン・スーは、コラムニストでありラジオのパーソナリティでもあります。(純粋な日本人です 笑)本書は、自身の父親との暮らしを書いてい

  • 「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ

    そして、バトンは渡された (文春文庫)ずーっと気になっていた本でしたが、解説の女優さんがあまりにも若く、とっても爽やかな青春ものだとついていけないかなーと躊躇してました。私の心配はハズれ、最後まで楽しく読むことができました。主人公優子は幼い頃に母を亡くし、父

  • 「昨日がなければ明日もない」宮部みゆき

    昨日がなければ明日もない (文春文庫 み 17-15)本屋さんで見つけて小躍りしてしまいました。私の好きな「杉村三郎シリーズ」です。でも今回は、手放しで面白かったとは言えないところもありました。「絶対零度」「華燭」「昨日がなければ明日もない」の3篇です。杉村三郎は離

  • 「サロメ」原田マハ

    サロメ/原田マハ【1000円以上送料無料】原田マハの絵画小説シリーズは、どれもハズレがないなと今回も思いました。しかし、今作は著名な画家ではなく、著名な本に挿絵を描いた人の話です。(私が知らなかっただけですが)時代は19世紀末のロンドン。結核を患いながら画家

  • 「森へ行きましょう」川上弘美

    森へ行きましょう(画像は単行本ですが私が読んだのは文春文庫版です) 川上弘美の本を読むときは、難解なストーリーに気持ちがおいて行かれないように、と覚悟して読むのですが、これはそんな心構えも必要なく、最後までサクサク読めました。1966年生まれの留津とルツ。同

  • 読売新聞連載小説「やさしい猫」中島京子

    読売新聞夕刊の連載小説「やさしい猫」が昨日土曜に最終回を迎えました。いやー、予想以上に面白かったんです。初めての作家さんで、文章は平易、日本に住むスリランカ人と母子家庭の家族との交流から始まり、緩い感じの小説なのか?と、期待せず読んでいたのですが。スリラ

  • 「インフルエンス」近藤史恵

    インフルエンス (文春文庫)帯に「その罪は、私のものですか?」という見出しがあって、読み終えてみると、この言葉の重みがわかる物語でした。構成が凝っていて、作家の「わたし」のもとに手紙が届き、内容は「自分の人生を小説にしてほしい」というもの。「わたし」によると

  • 「地球星人」村田紗耶香

    地球星人(新潮文庫)同作家の「コンビニ人間」を読んだとき、斬新な切り口でもっとこの人の本を読みたいなーと思ったのですが。これは、いくらなんでもやりすぎかな?というのが、率直な感想です。主人公奈月は、自分を宇宙星人だと信じ、一日も早く地球星人に洗脳されて、

  • 「青い目がほしい」トニ・モリスン

    青い眼がほしい (ハヤカワepi文庫)ただでさえ翻訳小説は苦手なのに、ノーベル賞作家のデビュー作ということで、私には敷居が高く難解でした。読み終えたとき、なんだかよくわからなくて、ネットでこの小説の感想が書かれたブログなどを読み、もう一度トライし、やっとこの小

  • 「静かな雨」宮下奈都

    静かな雨 (文春文庫)宮下奈都のデビュー作ということで、新人賞佳作に選ばれた作品です。この佳作というのが、この本にピッタリだなと、大作ではないけれどなかなかいい話でした。主人公の行助(ゆきすけ)は片足が不自由だけれど、それはこの物語には直接は関係ないようにも思

  • 「JR上野駅公園口」柳美里

    JR上野駅公園口 (河出文庫)柳美里の本を久しぶりに読みました。タイトルを忘れてしまいましたが、デビュー当時の同作家の本を読んで、描写が鮮烈で読後救いのない感情に支配されてしまったので、それ以来読めなくなっていました。本作もまた、読後が心地よいとは言い難く重

  • 「琥珀のまたたき」小川洋子

    琥珀のまたたき (講談社文庫)今村夏子の「星の子」を読んだとき、巻末の小川洋子との対談で話題になった本です。確かに、親の身勝手で子供の自由を奪ってしまうところが似ています。「星の子」は実社会のあるあるがつまっていますが、小川洋子の世界は、現実から遠く離れたお

  • 「こちらあみ子」今村夏子

    こちらあみ子 (ちくま文庫)今村夏子の「星の子」を読んで、もっとこの人の本を読んでみたいなと思って購入。予想はしていたけど、それ以上に強烈な本でした。あみ子というお勉強も人とのコミュニケーションもできない女の子が主人公。通常この手の話は、周囲が彼女をどう思う

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