海つばめ さん プロフィール

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海つばめさん: わたしの小説新潮日記
ハンドル名海つばめ さん
ブログタイトルわたしの小説新潮日記
ブログURLhttp://greenlute.blog130.fc2.com/
サイト紹介文小説新潮の感想を中心としたブログです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供12回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2010/11/11 21:31

海つばめ さんのブログ記事

  • 小説新潮2017年8月号「棲月 隠蔽捜査7(最終回)」(今野敏)
  • 「棲月(せいげつ) 隠蔽捜査7」 今野敏 久々に隠蔽捜査シリーズを取り上げます。今回のシリーズも例によって、事件を中心に竜崎の私事が同時並行ですすんでいきます。 今回の事件は、サイバーテロとリンチ殺人事件です。同時並行ですすむ私事は、主人公である大森警察署長・竜崎伸也自身の人事異動と長男・邦彦のポーランド留学です。 物語は、はじめに大森署管内を通っている私鉄の運行システムがダウンしたことから始まり [続きを読む]
  • 小説新潮2017年5月号「月と林檎」(伊藤万記)
  • 「月と林檎」 伊藤万記 この作品は、今年度の「第16回女による女のためのR−18文学賞」で友近賞を受賞した作品です。R−18文学賞は、第10回までは「女性が書く、性をテーマにした小説」でしたが、第11回からは「女性ならではの感性を生かした小説」と主旨を変更しています。 また、友近賞というのは、芸人の友近さんが選考委員に加わり、同氏が推した作品に贈られたようです。たぶん特別賞のようなもので常設の賞で [続きを読む]
  • 小説新潮2017年4月号「つはものの女」(永井紗耶子)
  • 「つはものの女」 永井紗耶子 今月号で最も好ましく感じたのがこの作品です。この作品は2016年10月号に掲載された「いろなぐさの女」の連作となりました。前作にも惹かれるところがありましたのでシリーズ化はうれしい限りです。 はじめに、作品の理解を助けるために、登場する大奥での役職について簡単に触れておきます。御年寄(おとしより)大奥の万事を取り仕切る事務方のトップ。幕府の老中に相当。国でいえば内閣官 [続きを読む]
  • 小説新潮2017年3月号「硝子のコルセット」(第6回)(千早茜)
  • 「硝子のコルセット」 千早茜 「西洋の女性がコルセットをしなくなったのは1920年代。・・・それまでの千年近く、コルセットは当たり前のものとして着られていた」「セクシャリティによって色などが決まってくるのは19世紀からです。それまではファッションを享受できる階層の装いは男女共に華美」等々、この作品は青柳服飾美術館を舞台に、西洋の服飾の知見がふんだんに散りばめられ、私には全くの未知の世界です。一気に [続きを読む]
  • 小説新潮2017年1月号「見えない再会」(藤田宜永)
  • 「見えない再会」 藤田宜永 この作品は前作(「恋物語」小説新潮2016年5月号)の連作となったようです。作者と同年齢男性の過去の恋をモチーフにして、老齢期に入った男性のこれからの生き方を描く作品群になるように思います。 今回の作品は本誌1月号の巻頭小説でした。主人公の平間聡介は、大卒後製糸会社に就職し総務副部長を最後に定年退職し、再雇用の子会社も昨年65歳で退職している設定です。部長や取締役には昇進し [続きを読む]
  • 小説新潮2016年12月号「白馬の王子」(長崎尚志)
  • 「白馬の王子」 長崎尚志 今月号でもっともハラハラドキドキさせられた作品です。 倉持彩子(あやこ)が危うく轢き殺されそうになったところから物語は始まります。間一髪、通りすがりの青年が突き飛ばしてくれたおかげで彩子は命拾いをします。青年は“わざと轢こうとしたみたいでした”と警察に行くことを勧めます。 彩子は55歳。応対した2人の巡査が色めき立つほどの美人です。半信半疑の巡査ですが一応目撃者の青年に話 [続きを読む]
  • レビューと感想
  •  いつも拙い文章にお付き合いくださる皆さんにお礼いたします。 このブログは毎月の小説新潮の中で印象に残った作品を気の向くままに感想を書いています。月刊誌で毎月30作近い小説を読んでいきますので、1か月のブランクがある間にストーリーがあやふやになるのを防ぐために備忘録程度にあらすじを書きとどめている場合がほとんどです。 私の中ではレビューと感想は多少意味合いが違います。自分の価値観を元にコメントを発 [続きを読む]
  • 小説新潮2016年10月号「男と女」(桜木紫乃)
  • 「男と女」 桜木紫乃 この作品はシリーズの6回目となっています。シリーズは主人公で看護師の平原紗弓(さゆみ)と、ほとんど紗弓の“扶養家族”状態となっている夫の信好(のぶよし)が北海道の地方都市で慎ましい生活をしている日常を描いたものです。 今回の作品は当直アルバイトに転職して間もない紗弓が老人病棟で出会った入院患者の七重(ななえ)ハマ子から頼まれた口述筆記の手紙を主題としたものです。 紗弓は初めて [続きを読む]
  • 小説新潮2016年9月号「円環世界」(澤村伊智)
  • 「円環世界」 澤村伊智 今月号の特集は「謎とサスペンスの迷宮」と題し、本作品は特集の一作品として収録されていました。今回この作品を取り上げるのは、読後のやり切れなさが一番印象に残ったからです。 ミステリーやサスペンス小説ではハッピーエンドは少なく、割り切れなさを残し読者にどうあるべきだったかを考えさせる結末が多いものです。この作品はその典型だと思います。 主人公は吉川理人(りひと)。高校を3か月で [続きを読む]
  • 小説新潮2016年7月号「カンパニー」(最終回)(伊吹有喜)
  • 「カンパニー」 伊吹有喜 この作品は2015年4月号から連載され、いよいよ今月号で最終回となりました。これまでに2回感想を書いていますが、最終回もやはり取り上げます。 物語は、リストラ要員となった43歳の青柳誠一が縁もゆかりもないバレエ団に出向するところから始まります。加えて妻からは突然の離婚通告です。 青柳は大企業の組織に守られて、可もなく不可もなく今日まで仕事をこなしてきたというところでしょう [続きを読む]
  • 小説新潮2016年6月号「水曜日はロードショー」(藤岡陽子)
  • 「水曜日はロードショー」 藤岡陽子 この作品は、1年前(2015年6月号)の「木曜日の憂鬱」が連作となって復活したのでうれしくなりました。前作も心に残った作品でしたので、このシリーズ化は大歓迎です。1年の間隔を空けて続きが読めるのは、目まぐるしく時が過ぎていく今日にあって、知る者だけが知る至福の時間です。 今回の主人公は松下和音30歳。大学病院に入職して9年目の看護師です。同期が主任に抜擢されたり [続きを読む]
  • 小説新潮2016年5月号「恋物語」(藤田宜永)
  • 「恋物語」 藤田宜永 今月号の特集は、「青の時代―大人のための青春小説」として、9編の作品が収録されていました。作品は大きく分けて、現在を青春時代ととらえて展開している作品と、過去の青春時代を回想している作品に分かれていました。 私が今回の特集でもっとも好いと感じた作品は、「恋物語」(藤田宜永)です。この作品は、65歳の主人公・日野昭二郎の現在をとらえた“青春小説”です。 ストーリーは、昭二郎がた [続きを読む]
  • 小説新潮2016年4月号“編集長業務6年間お疲れ様でした”
  •  今月号の編集後記によると本誌編集長は6年間同職を務められ、このたび異動となったとのことです。6年間の長きにわたりお疲れ様でした。 私が本誌を約30年ぶりに再読するようになったのは2010年1月号からで、このブログを始めたのは同年5月号からですので、ほぼ同じ時を編集者と読者の関係であったことになります。 この間で一番思い出深い編集後記は2011年5月号です。東日本大震災の1か月後に書いたと記されて [続きを読む]
  • 小説新潮2016年3月号「北海タイムス物語」(第6回)(増田俊也)
  • 「北海タイムス物語」 増田俊也 物語は平成2年の北海タイムスの入社式から始まります。平成2年といえばバブル景気の真っただ中です。主人公は早稲田大学新卒の野々村巡洋(じゅんよう)です。 さて、その野々村には毎回ハラハラさせられます。野々村は大学受験も就活も恋人との関わりもすべてフワフワしています。自分を見つめることができていません。まさにバブル景気の気質を反映しています。 大学は一浪して早稲田大学に [続きを読む]
  • 小説新潮2016年2月号「アンクランプ」(第14回)(谷村志穂)
  • 「アンクランプ」 谷村志穂 この作品は、2015年1月号から連載され、今月号で14回の連載となっています。 物語は、1999年に日本で最初の脳死による肝臓移植手術を行うところから始まり、その後1984年に遡ります。この年に来日したドクター・ゲイゼルの講演に感銘を受けた若き佐竹山行蔵(こうぞう)、古賀淳一、加藤凌子が渡米しゲイゼルの下に師事し、臓器移植を学び、1997年に帰国し、1999年の臓器移植 [続きを読む]
  • 小説新潮2016年1月号「邯鄲(かんたん)の島遥かなり」(第4回)(貫井徳郎)
  • 「邯鄲(かんたん)の島遥かなり」 貫井徳郎 この作品は2015年10月号から始まり、12月号までが第1部「神の帰還」、1月号からは第2部「人間万事塞翁が馬」となっています。 時は明治の御一新になった頃です。舞台は「神生島(かみおじま)」という島でたぶん架空の島です。私は勝手に(東京都・伊豆七島の名前が似ているので)神津島か、八丈島あたりをイメージして読んでいます。 この島には、一ノ屋家に美形の男子 [続きを読む]
  • 小説新潮2015年12月号「瀬戸内GGオールスターズ」(日野俊太郎)
  • 「瀬戸内GGオールスターズ」 日野俊太郎 今月号で心に一番響いた作品です。主人公の大竹は自分がエリート講師として爺さん講師のリストラ評価のために合宿に派遣されるものと臨みますが、実は、教務本部長のねらいは大竹に人間教育のできる真の講師となってもらうために派遣したものでした。当初は爺さん講師にダメダメ評価を下す大竹でしたが、爺さん講師のスキルに敗北感を味わいます。その後、大竹が教育とは何かに気づく物 [続きを読む]
  • 小説新潮2015年11月号「眩(くらら)」(最終回)(朝井まかて)(その3)
  • 「眩(くらら)」 朝井まかて 今月号(2015年11月号)で心に触れた作品の3作目は「眩(くらら)」(朝井まかて)を取り上げます。この作品は2014年12月号から始まり、今月号の12回目で最終回を迎えました。 皆さんは葛飾応為(おうい)と言う名の浮世絵師をご存知ですか。応為は葛飾北斎の三女で名は「お栄」と言います。この作品は葛飾応為の半生を描いたものです。応為の作品は10作ほどしか現存していないよ [続きを読む]
  • 小説新潮2015年10月号「家族旅行」(桜木紫乃)
  • 「家族旅行」 桜木紫乃 この作品は2015年7月号から、およそ3か月毎にシリーズで掲載されている小説です。今回で第2回目の作品です。 主人公は紗弓(さゆみ)36歳、看護師です。夫・信好は映写技師です。しかし信好はほとんど無収入で公募脚本に応募し続けているフリーターです。ただし、自分の立場をわきまえ“主夫”を分担し、常に心優しく紗弓に接しています。紗弓は純粋な信好に惹かれて結婚しましたが、現状や将来 [続きを読む]