SET さん プロフィール

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SETさん: 降雨決行
ハンドル名SET さん
ブログタイトル降雨決行
ブログURLhttp://voice1985.blog109.fc2.com/
サイト紹介文サイト付属ブログ。小説の感想を中心に、音楽や映画や漫画などの感想も。ネタバレなしがほとんどです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供50回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2011/01/25 21:50

SET さんのブログ記事

  • 〔本感想〕 賢くはたらく超分子―シャボン玉から未来のナノマシンまで 有賀克彦
  • ◆ 集中力にやさしいページ数の、超分子・ナノ技術入門本。 ナノマシンという言葉を初めて聞いたのはゲームでした。 メタルギアソリッドという90年代に全世界でヒットしたソフトなのですが、テロリストの基地に潜入する主人公の健康状態が、血液中に注入されたナノマシンによって監視・維持されているという使われ方でした。 超分子は、分子が他の分子を選択的に見分ける仕組みを応用しようとする研究分野。ただそこにあるだ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 イギリス東インド会社 軍隊・官僚・総督 浜渦哲雄
  • ◆ 株式会社がなぜインドを統治していたのか? 1600年に特許状を得てから、インドの大反乱(第一次独立戦争)が致命傷となり1874年に解散するまで。 いまの株式会社に親しんでいる身からすれば、株式会社が独自に宣戦を布告する権限を持ち、政府に植民地統治を委任されている状態というのは、まったく想像しにくいものでした。これまであまり上手く理解できていたとは言えません。 しかしこの本はそんな状態の人間が読ん [続きを読む]
  • 〔本感想〕 皇帝のかぎ煙草入れ【新訳版】 ジョン・ディクスン・カー
  • ◆ 状況証拠がそろった状態から、殺人犯に仕立てられた人間を救い出すことはできるのか。 夫ネッドの浮気が原因で離婚したあと、近くに住むトビイと親しくなり、ついには婚約したイヴ。 けれどある夜、婚約者トビイの父が撲殺されます。おり悪くその夜は、まだイヴとの復縁をあきらめきれないネッドが、合鍵を使って部屋に侵入していたところでした。 恐怖と不安に押しつぶされ声を出せずにいたイヴは、結果的に、「寝室に前夫 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 太宰治の辞書 北村薫
  • ◆ 大学生だった「私」も、中学生の母親に。『六の宮の姫君』『朝霧』では文学談義のあおりを受け、隅へ追いやられていた「私」が、きちんと帰ってきていて嬉しい。 17年ぶりに出たという、『円紫さんと「私」』シリーズの最新刊。このシリーズは大学生の「私」の生活と、「私」が生活の中で出会った謎について、落語家の円紫さんが解き明かす、というものでした。シリーズを追うごとに「私」の学年が上がっていき、就職し、こ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 朝霧 北村薫
  • ◆ 文学議論で主人公の「私」の反論が弱々しいのがとても残念 「私」が日常に落ちている疑問点を拾い上げ、知り合いの落語家・円紫さんが解決。その結末を受けて変化していく「私」を描いたシリーズ5作目です。 これまでは「私」の生活の延長線上に文学や落語があったのですが、この巻では「私」が、文学・落語の雑談をするための存在になってしまいました。「私」より文学が先に立つ、それはあるていど仕方ありません。彼女は [続きを読む]
  • 〔本感想〕 ソラリス スタニスワフ・レム
  • ◆ 人知を超越した存在とのSF邂逅譚。前半はホラー風味。SFホラーな前半 異変が起きた惑星ソラリスのステーションへ、送り込まれた心理学者・ケルヴィン。 ステーションで待ち受けていたのは生きている人間の歓待ではなく、機械音声のみ。気味の悪いステーション内部をおそるおそる探索したケルヴィンは、生き残り・スナウトと出会う。スナウトもなにやら尋常ではない様子で……。 と、こんな具合なので、話の導入部を読め [続きを読む]
  • 〔本感想〕 六の宮の姫君 北村薫
  • ◆ 芥川龍之介と菊池寛の友情 大学生の「私」が持ち込んだ謎を落語家・春桜亭円紫が解決するシリーズ4作目。 今回は趣向が変わり、文学部の「私」が設定した卒論のテーマ、芥川龍之介にまつわるあれこれがメインになります。 突然ですが、好きなウェブ小説にこんな一節があります。私の書くものは、そのものでは何の価値もない。私は、島田仁、という偉大な作家の物語の材料に過ぎないのだ。みな、父の人生を読み解くために、 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 マヤ・アステカの神々 土方美雄
  • ◆ 生け贄をささげることによって「第五の太陽」を維持しようとしたアステカの人々血を求めるマヤ・アステカ文明圏の神々 アステカ帝国の中心都市テノチティトランは、コンスタンティノープルやローマといった各都市に滞在したスペイン軍の兵士たちから見ても、比類のないほどすぐれた都市だったようです。いっぽうでアステカは大量のいけにえを必要とする祭祀を行い、スペイン人はその祭祀に接して「邪教徒」として攻撃します。 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 秋の花 北村薫
  • ◆ ラストシーンから始まる 大学生の「私」と落語家の円紫さんが謎を解決していく、シリーズ3作目。今回は短編集ではなくひとつの長編です。 今までは人が死なない話でしたが、この『秋の花』では「私」の近所に住んでいる高校三年生が、学校の屋上から転落して亡くなってしまいます。事故とも自殺ともいえない状況。大学生活も残すところあと一年と少しとなった「私」の前に、少しずつ謎をとく鍵がそろってきます。 円紫さん [続きを読む]
  • 〔本感想〕 夜の蝉 北村薫
  • ◆ 三十になっても、五十になっても、「おねえちゃん」。 人は死なないけれど、悪意はずっしりと重たい。「私」が持ち込むそんな謎に対するのは落語家・春桜亭円紫。論理はすっきりと、明かされた結末に言いようのない後味の悪さを残して、謎を解決します。 表題作『夜の蝉』はその典型で、「私」の姉が誤解の連鎖によってさんざんな目に遭ってしまうお話です。 この話では、円紫による解決前に「つるつる」という落語が披露さ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 脱貧困の経済学 飯田泰之、雨宮処凛
  • ◆ ぼんやりした議論もあるけれど、具体的にひとつひとつの提言を検討していく部分は面白く読める。 経済学者の飯田さんと反貧困活動家の雨宮さんの対談本。2009年出版。 対談なのでどうしてもお互いに気遣いあった議論になってしまい、特に中盤はインターネットで拾い読みできる程度の話です。ありがちな世代間対立の再生産・当事者たちの思いを雑然と斟酌する話になってしまっていて、焦点がぼやけています。 ただ、反貧 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 戦争論 クラウゼヴィッツ著、淡徳三郎訳
  • ◆ 戦争がもつ不確実性は「豊かな可能性」に読み替えられやすいとクラウゼヴィッツは指摘する。鬱屈した現状を脱出し「賭け」に出たがる人間が増えれば危険性は高まる。 第二次世界大戦開戦直前の1938年、イギリスの首相チェンバレンは、ミュンヘン会談のあと「世界平和を保った英雄」として自国民に迎えられた。 しかしいまその行動を評価する人間はおそらく多くない。ミュンヘン会談に臨んだヒトラーは、チェコスロバキア [続きを読む]
  • 〔本紹介〕 agnea 兵器たちの戦場【上下合本版】 甲野直次
  • ◆ 海洋国家・青陽と、隣国トウサとの2か月に及ぶ戦いを、一兵卒たちの視点で切り取ったナイフ/アクション長編。 ホームページのアクセス数がほぼ死んでいるので、小説過去作を電子書籍にしていく作業を始めました。 というわけで今回は、自作宣伝レビューをさせていただこうかと思います。すみません! この小説は海洋国家・青陽と、隣接するトウサ国の戦争を描いた現代アクション作品です。どの国がどの国なのかは読めばす [続きを読む]
  • 〔本感想〕 考えるノート 佐々木直彦
  •  精神医学・心理学に、メタ認知と言う用語がある。簡単に言えば、自分を一段高いところから認識する能力のことだ。歴史番組などで活躍する脳科学者の中野信子氏はこの用語を好んで使い、歴史上優れた事績を残した人々はこの能力が非常に高かったと分析する。 また、最近精神疾患の治療に用いられる認知行動療法では、自分がなぜその状況を恐れているのか、なぜその状況に怒りを爆発させてしまうのか、シートに書き出すという作業 [続きを読む]
  • 〔漫画感想〕 calm 斉所
  • ◆ 同じ時間や同じ場所を共有している人たちも、それぞれの人生をそれぞれに生きているあらすじ ある日、立花凪(なぎ)の働いている会社に、借金の取り立て人がやってきます。片方は年のいったおじさんで、もう一人はボディーガードのような若い無表情男・飯塚環(たまき)。 彼らの目当ての社長は不在で、二人の帰り際、凪は、環が落としたライターを拾い、手渡す。 乱雑に受け取られたライター。 そのささいな一瞬で、交わるこ [続きを読む]
  • 〔漫画感想〕 青猫について(1) 小原愼司
  • ◆ 戦後間もない街を放浪し、仇を求めて刀を振るう少女「人斬り青猫」。きょうもならず者たちを斬って斬って斬りまくる。 戦後間もない街から街を放浪、仇を求めて刀を振るい、害意を向けてくるならず者たちを片っ端から斬り捨てる少女。ついた異名は「人斬り青猫」。 過去に縛られ、毎朝、恐怖の叫びとともに目を覚ます彼女は、きょうも火男(ひょっとこ)のイレズミをした男たちを捜し、斬って斬って斬りまくる。 主人公の青猫 [続きを読む]
  • 2016の10冊(レビューリンクつき)
  • 今年も終わりですね。来年もよろしくお願いします。草野心平 / 草野心平詩集◆ 草野心平の多様な詩世界に没頭できる一冊『死んだら死んだで生きてゆくのだ』ってすごく好きな言葉ですね。ハンナ・アーレント / イェルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告◆ 強制収容所への移送に尽くした男。悪意を持って悪事をなす、そんな既存の概念では扱いきれない犯罪が、ユダヤ人哲学者の手により分析された一冊キース・デブ [続きを読む]
  • 〔本感想〕 空飛ぶ馬 北村薫
  • ◆ 日常ミステリだけれど、ミステリ以外の描写もきちんとされているので、謎をほったらかしにしておいても読める。 『日常の謎』の先駆けといわれるのをときどき目にする北村薫、そのデビュー作にして『円紫さん』シリーズの第1作。 落語好きな女子大学生・「私」が、大学卒業生のインタビューを介して中年落語家・春桜亭円紫と知り合う。 彼女をインタビューの場に誘った大学教授が子供のころに悩まされた『織部の霊』。喫茶 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 ペネロペおねえさんになる アン・グットマン
  • ◆ 他人の間違いにちょっとだけ寛容になれる絵本 電子図書館で、普段なんとなく恥ずかしくて借りにくい絵本を読んでみました。シリーズ1〜14まで読んでの文章です。 ペネロペはよく間違えるうっかりやさん。日曜日に幼稚園に行く支度をしたり、おかあさんと買い物に行ってはぐれてしまったり。けれど何度失敗しても、「でも、だいじょうぶ」。ちょっとだけ工夫して、間違いを楽しんでしまう。 ペネロペが考えるときは選択肢 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 帰化人 古代の政治・経済・文化を語る 関晃
  • ◆ まだ日本列島と朝鮮半島の境目があいまいだった時代、海を渡ってやってきた先進的な人々がいた。 『彼らのした仕事は、日本人のためにした仕事なのではなくて、日本人がしたことなのである』(12ページ) 『古事記』と『日本書紀』の古代部分の記述は信用できないものとし、他の資料から多角的に検証した著者が、帰化人の事績をまとめた本です。 朝鮮半島に朝廷の間接統治領・任那が存在していたと思われるころからすでに、 [続きを読む]
  • 〔本感想〕 家庭用事件 似鳥鶏
  • ◆ 日常ミステリ短編集。相変わらずいざこざに翻弄される主人公・葉山。妹・亜理紗の意外な事実も明かされ、思わず過去作に手を伸ばした1冊。 表紙を担当するイラストレーターが代わり、表紙だけでも楽しめる水彩風から、さっぱり目を引く当世風(?)になった、シリーズ7冊目。ちょっと味気ない。 過去感想はこちら。 今回はタイトル通り、主人公・葉山の家族が中心の話が二編収録されています。不正指令電磁的なんとか的を外 [続きを読む]