野鶴善明 さん プロフィール

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野鶴善明さん: 風になりたい
ハンドル名野鶴善明 さん
ブログタイトル風になりたい
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/noduru
サイト紹介文投稿した小説やエッセイです。純文学系の書き手です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供56回 / 365日(平均1.1回/週) - 参加 2011/02/20 13:38

野鶴善明 さんのブログ記事

  • 去りゆくものたちよ
  •  消えていく 失せていく 俺の心から 逃げていく 去りゆくものたちよ 夏の光がつらぬく 八月の路上 強すぎる光は毒さ 心の奥で なにかがはじけた そばにいるお前を 抱きしめようとは思わない もうお前を愛せない やり直すのは 時間の無駄さ そこに意味など なにもありはしない 出逢ったことも 抱きしめあったことさえ お笑い種だと 吐き捨ててしまえばいい もうお前を愛さない  焼けつく暑さが  うんざり [続きを読む]
  • フランスへ厄介払い(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第366話)
  •  上海へ里帰りしている家内の姪が友達と遊びに出かけるというので繁華街まで送っていった。我々夫婦はその足で買い物をする予定だった。姪っ子は高校二年生だ。  タクシーに乗っていると、姪っ子は友達に電話を掛ける。ふだん、家の中で姪っ子は内弁慶全開で騒いでいるのだが、友達へ電話する時は、華やいだかわいらしい声を作る。お人形さんのような声だ。 「あなた、この声をどう思う?」  家内が訊いてくるので、 「かわいい [続きを読む]
  • 落ちるシャッター(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第364話)
  •  勤め先では倉庫のシャッターが時々落ちた。  倉庫の出入口に取り付けたモーター付の自動巻き上げ式のシャッターだ。わりと広い倉庫なのでシャッターが十数台ある。危ないったらありゃしない。ひと巻きのシャッターがまるごと、人の一メートル横にどすんと落ちたこともあった。頭の上に落ちでもしたら、たいへんだ。あんな重いものに人間が耐えられるわけがない。下手をすれば死者が出てしまうかもしれない。  以前、倉庫のシ [続きを読む]
  • 寿司は握れるのか?(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第362話)
  •  アメリカへ移住した家内の姉夫婦とその娘が上海へ里帰りして我が家に滞在している。今は、僕、家内、お義母さん、義姉夫婦、家内の姪の六人で暮らしている。僕以外はみんな上海人だから、家のなかは上海語が飛び交う。にぎやかだ。あまりにもうるさいので喧嘩でも始まったのかとリビングまで様子を見に出たら、みんな興奮しておしゃべりに興じていることが何度もあった。とにかく、みんな大声でよくしゃべる。  一緒に食事をし [続きを読む]
  • かげろう
  •  ぼくのこころに生まれた 青い 透明な ほっそりとした かげろうの幼虫 あなたを想うと 幼虫は ことりと動く のどもとが つまりそう 息が苦しくて 幼虫が 寝返りを打つ 透明な尻尾が ぼくの白い心臓を そっとくすぐる 誘われるのは やわらかなめまい あなたのことしか 考えられなくて あなたの横顔ばかり 思い浮かべて 夕霞のような うすいさびしさが あたり一面に折り重なる これが恋なの? それとも  [続きを読む]
  • きれいに暮らしたいなら
  •  まだらな夕映えが 硬いビルのガラスに 照り映える 夕立の後 墨を含んだちぎれ雲 強い風に踊りながら 西へ北へ 吹き飛ばされ 家路を急ぐ人たちは 地下鉄の入口へ 週末の約束に 華やぐ恋人 心を削る仕事から 解き放たれ 安堵を浮かべた勤め人  この世は  存在の地獄か  はたまた  現象の天国か 存在は 仕組まれた罠を 突き破り 自由の歌を 謳歌できるだろうか 現象は 騒がしい宴のなかで 悟りの享楽 [続きを読む]
  • こころを月に浮かべれば
  •  こころをそっと 月に浮かべて こころの音を聞いてみる じっと耳をすませて 深くふかく息を吸って 細くほそく息を吐いて だれかがいつも 僕を呼んでいるはずなのに 忙しさにまぎれて つい置き去りにしてしまうから  僕は  僕の望むことを  しているだろうか  憎むことばかり  やってはいないだろうか  間違ったことを  正しいことだと  思いこんでは  いやしないだろうか  うぬぼれた人の知恵は   [続きを読む]
  • ぶりっ子甘えん坊作戦(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第356話)
  •  家内の親戚の集まりに出た。おじさんの還暦を祝うために、上海郊外のレストランに集まってみんなで食事したのである。ただ、食事して祝いの言葉をかけるだけなので、日本のように赤いちゃんちゃんこを着せたりすることはない。  僕の隣には、家内の従弟の夫婦が坐った。三十歳過ぎの彼らは結婚して六年ほどになる。子供はまだいない。  彼らは先月沖縄旅行をしたとのことで、食事しながら日本のことなどを話をしたのだが、途中 [続きを読む]
  • 無錫紀行2017
  •  無錫の太湖へ行ってきた。 遊覧船に乗って湖のなかの島へ。 巨大な老子の像があった。 小一時間で島のなかを散策した。天気がよくて気持ちよかった。 菖蒲や紫陽花がきれいに咲いていた。 無錫小籠包  終わり  [続きを読む]
  • ぽかぽか
  •  こもれ陽が まぶしいね よく晴れた いい天気 お天道さまは にこにこ 青い空が 唄ってる 君を抱くと いい心地 ふんわり 雲を抱くみたい ぽかぽか ぽかぽか 芝生に寝転がって ふたりでぽかぽか 現象していようね 味付けのりの 封を切って しそおにぎりに ぺたっとはる しあわせなのは ふたりでいるから おしんこも おいしいね むつかしいことは 考えない かなしいことも 今日は思わない ぽかぽか ぽ [続きを読む]
  • 鏡のなか
  •  わたしの手は あたたかいですか それとも 冷たいですか あなたの心がわからない 夕暮れの駅 人混みのホーム 送ってくれる いつもの帰り道 手をつないでいるのに どうしようもなく さみしくて あなたの瞳は なにを見つめているの? 心の奥には だれが映っているの? 急行電車が すべりこんでくる このままでいるのが つらいから わかれてください 思わず そう言ってしまいそう そばにいて 髪をなでてくれ [続きを読む]
  • 三峡下りの死体(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第353話)
  •  三峡下りは中国の数ある観光名所のなかでも特に有名なものだ。  重慶から観光船に乗って長江の上流を下る。三峡の渓谷は長江の両側に険峻な山が連なりとても神秘的だ。  家内は二十数年前、一九九〇年代の初めに行ったことがあるそうで、とてもきれいでよかったと言っていた。僕は残念ながら、テレビで何度も見て一度行きたいなと思いながらまだ行けないでいる。  ある時、上海在住の日本人のおじさんたちと一緒に酒を飲んで [続きを読む]
  • 或る駐車違反(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第351話)
  •  上海のとある道端に車が駐車してあった。普通の乗用車だ。フロントガラスには張り紙がしてある。 「警察の同志のみなさん。  私は子供を幼稚園へ送ってきます。五分で戻ってきます。  お願いですから駐車禁止違反切符を切らないでください。  ご理解をお願い致します」  子供を送ってさっと帰ってくるから大目に見てねという気持ちはわかる。  しかし、やはり警察は駐車違反切符を切り、フロントガラスに張り付けた。運転免 [続きを読む]
  • 上海大腸麺を食べに行った(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第350話)
  •  家内と一緒に上海大腸麺を食べに行った。  上海市内の老西門付近にある地元では知られた店だそうで、店はきたないが味はうまいという典型的な名物ラーメン店だった。  大腸麺の店は道路沿いに面した建物の半地下にあった。上海は昔の西洋式建築があちらこちらに残っている。この店が入っている建物も昔風の作りで、道路沿いは半地下式になっていた。その半地下の店舗に中二階を作り、中二階に八席、一階に五席のテーブルを設 [続きを読む]