野鶴善明 さん プロフィール

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野鶴善明さん: 風になりたい
ハンドル名野鶴善明 さん
ブログタイトル風になりたい
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/noduru
サイト紹介文投稿した小説やエッセイです。純文学系の書き手です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供41回 / 365日(平均0.8回/週) - 参加 2011/02/20 13:38

野鶴善明 さんのブログ記事

  • 詐欺各種(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第342話)
  •  日本にもいろんな詐欺があるが、中国の詐欺も様々だ。  広州では繁華街に母と娘の二人連れの詐欺師が現れる。服装はごく普通の格好をしている。 「先生、パンを買うお金がありません。パンを買うお金を恵んでもらえませんでしょうか」  娘のほうが声をかけてくるが、もちろん詐欺だ。乞食を装い、お金を騙し取る手合いだ。  もしもこちらがお金を恵んだりしたら、次からつぎへといろんな理由を繰り出して、もっとふんだくろ [続きを読む]
  • 椿ほころぶ日曜日
  •  冷たい朝だね 目が冴えるね 天気予報は 気温が上がらないって 温かいコーヒーでも 淹れようか 君との暮らし 平凡な日曜日の朝 なんの予定もない朝 のんびりしてるのが いちばんだね  君がベランダに置いた  鉢植えの椿の蕾が  ほころんだよ  なんだか  かわいいね いつしか僕は 君に頼るばかりになって 探し物があると すぐに呼んでしまう 僕は整理整頓が 苦手だから いつも出張に 行ってばかりで  [続きを読む]
  • 貿易統計からみた中国経済の減速
  •  中国の税関当局が発表した2016年の中国の貿易総額は、輸出が前年比7・7%減少、輸入が前年比5・5%減少という厳しいものとなった。中国経済の減速を裏付けるデータだ。 個人的な実感としては、2016年3月から5月頃が一番厳しくて、その後は徐々に持ち直してきたかなという気がする。もちろん、持ち直したとはいってもほっと一息ついたというだけで、厳しい状況であることには変わりない。 ヤフーニュースに載って [続きを読む]
  • 徐福☆伝説 〜日本人の先祖?(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第341話)
  •  徐福は司馬遷の『史記』に出てくる方士。方士は、仙人になるための修行をしてその術を行なう者のことだ。  秦の始皇帝に「東の海の向こうに蓬莱山という素晴らしいところがあってそこに不老不死の薬があります。陛下のためにその薬を取ってごらんに入れたいのですが、ついては援助していただけませんでしょうか」と話をもちかけ、資金を得て船を造り、三千人の若い男女を従えて東の海を目指して出航した。『史記』は、徐福は東 [続きを読む]
  • 野仏
  •  山道のかたわらに 野の仏 おさない白菊が咲き乱れ 遠い虚空に 樵の音が谺(こだま)する み空を見上げて 野の仏 夢見るようなまなざしが 風の歌を 見つめている  生きるから  悲しい  生きるから  嬉しい  生きているから  躓いて  生きているから  笑顔が咲く  そんなすべてを  乗り越えた時  こんなわたしにも  なにかが  見えるように  なるのでしょうか  たしかななにかが  見えて [続きを読む]
  • 闇夜
  •  肌を刺す闇 なにもかもが凍てつく 果てしない闇 伸ばした腕の 先さえも見えない 憎しみを 煽り立てているのは誰? 強欲のギターをかき鳴らし 街も 空も 海さえも 毒のメロディーで 埋めつくそうとするのは 愛を 凍えさせているのは誰? 怨みのマリンバを打ち鳴らし 夢も 望みも 祈りさえも 黙りこませようと 腕づくでおさえこむのは 奪いつくそうとする悪意は 人々を焼き払う 働き盛りの男たちは 戦場に [続きを読む]
  • 日暮れて道遠し(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第340話)
  •  雲南省昆明で語学留学していた時、七十代後半の日本人のおじいさんに出会った。人間のできたあたたかみのある老人だった。  彼は外国人向けの漢語学習班の初級クラスにいた。僕は彼と同じ教室で発音の基礎から漢語の勉強を始めた。  実は、おじいさんは僕が入学した半年前から留学を始めていて、初級クラスを受講するのは二回目だという。彼の教科書には書き込みがびっしりとしてあった。受験生でもここまではなかなかしない [続きを読む]
  • 硬貨ですみません(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第338話)
  •  今はもう少なくなったけど、広東省広州では店員が「硬貨ですみません」と謝りながらコインを渡すことがしばしばあった。  一角(一元の十分の一の単位)、五角、一元は硬貨と紙幣の両方が流通している。上海では当たり前にコインを使うから紙幣の一元札は少ないけど、今でも広州では一元札のほうが主流だ。広東人の感覚では、コインはおもちゃのようでしっくりこないようだ。  そういえば、二〇〇一年に初めて中国へ来た時、辺 [続きを読む]
  • トランプの米大統領選勝利について
  •  トランプ氏がアメリカ大統領に決まった。 大手マスコミの報道や世論調査ではヒラリーが優勢ということになっていたが、蓋を開ければトランプの圧勝だった。 トランプの物言いは本音をストレートに吐くのでわかりやすい。それがいろんな物議も醸し、誹謗中傷や人格破壊攻撃まで受けたわけだが、それをはねのけての勝利だった。トランプは喧嘩慣れしているうえに、喧嘩に強いのだろう。「1%対99%の戦い」ということがよく語 [続きを読む]
  • 上海蟹の季節(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第337話)
  •  秋は上海蟹の季節。上海蟹は蒸して食べる。 九月頃から雌は卵を持ち始め、十月くらいになると腹のなかは卵でいっぱいになる。蒸して柿色になった卵はおいしい。雄は十一月がいちばんいい。精巣のねっとりとした食感がたまらない。 日本人は「上海蟹」と呼ぶけど、中国人は「大閘蟹(ダージャーシエ)」と呼ぶ。もちろん、大閘蟹にもいくつか品種があり、蘇州の陽澄湖で養殖したものがいちばんいいとされるそうだ。この蟹は足の [続きを読む]
  • 銀杏並木
  •  銀杏並木 あんたを抱きしめた アメリカへ行くなら 行っといで 夢があるなら もぎとったらええやん 恋散る 夜風 御堂筋 銀杏並木 うちはもう泣かへん 会うは別れの始め そう言うし 独り暮らしも そのうち慣れることやし 夢散る 慕情 御堂筋 銀杏並木 なんでこんなに好きなんやろ 毎日そう思ってたんや 寝ても覚めても あなた三昧 ええ夢を見させてもろたわ 恋散る 夜風 御堂筋 銀杏並木 あんたを抱き [続きを読む]
  • 我が友 吟遊詩人よ!
  •  過去を謡(うた)うのは 勇気がいることなんだぜ 男の未練や後悔 躓いた夜を 思い出したくもない恥を さらけ出して くだらない男の見栄を 脱いで 剥ぎ取って 裸の心になって 確かめて 確かめて 今の自分を 確かめて あんたが教えてくれたのは 男は 己のみじめさに 打ちのめされても それでも 生きていくってことさ 捨て去って 捨て去って 今の自分さえも 捨て去って あんたがいつも謡うのは 男は 暗闇 [続きを読む]
  • 夢の残り火
  •  あした この街 離れるよ 想い出巡りの旅は終わった 懐かしくて 逢いたくて 霧煙る街まで戻ってきたけど 何もかもが変わったんだね 自転車の波に追い越されながら 君を送った並木道は プラタナスがすっかり消えて まっさらの広い道路になった 想い出の店も何処かへ消えた 君が突然泣き出した 竹の香りが漂う公園 お父さんが反対してる 別れたくないと泣きじゃくってた あの日のベンチに見知らぬふたり  あった [続きを読む]
  • 花は愛されるために
  •  ねえ君 闇は いくらつんばんでみたところで 闇でしかないんだよ 窓を開けてごらん 季節の花が揺れている うららかな陽射しに さやかな月の光に やさしくそよぐ風に  物言わずたたずむ朝露に 花は 愛されるために 咲いている 人の命も きっとおなじ 命はどれも みんなおなじ 君だって 愛されるために 生まれてきた 季節の花々が 愛されるように 悲しみの数を かぞえるくらいなら 愛された数を 指折り  [続きを読む]
  • 旅暮らし
  •  さびしいから旅をするのさ わかってくれる誰かに 出会いたくて旅へ出るのさ 若い頃は この国はどうしようもない なんてうそぶいていたけど ただ強がってみせてただけなんだ ほんとうは心が空っぽだったんだよ せつないから旅をするのさ わかってあげられる誰かに 出会いたくて旅へ出るのさ 若い頃は サヨナラだけが人生だ なんてうそぶいていたけど 自分を決めてしまうことが 怖かっただけなんだ ほんとうは臆病 [続きを読む]
  • オルゴール
  •  夜の待合室 誰もいない駅 裸電球がわびしく灯る 君はオルゴールを膝に抱えて 僕は切符を握りしめて 翼の折れた天使が歌う 哀しい調べ 別れのメロディー 愛になるようでならなかった恋 大切なものを見ようとしなかったね オルゴールはささやきかける ガラス窓の外 白けた闇の底 貨物列車が駆け抜ける レールが軋む 風が軋む 心が軋む 窓の木枠がことこと鳴り すきま風がスカートを揺らした 君はオルゴールを巻 [続きを読む]
  • とおりゃんせ
  • 夢から醒めたらとおりゃんせここを過ぎて悲しみの町自分の影につまづいてくちずさむ祭りの後 とおりゃんせ  とおりゃんせ   とおりゃんせ恋から醒めたらとおりゃんせ星が流れる悲しみの町あこがれ ときめき消え失せてうずくまる祭りの後 とおりゃんせ  とおりゃんせ   とおりゃんせ 崩れた思い出 そっとつまんで ため息のうえに 積み上げる 砂より もろいのは愛 生きるのが怖いと 識(し)った夜 とおりゃん [続きを読む]
  • コスモスが咲いたから
  •  それにしても秋の風 ぼくの心を吹きぬける 荷馬車はごろごろごっとん 石畳の道を走ります ぴかりきらきら光るのは 教会の十字架 祈りの鐘が響きました 気持ちのいい秋の風です 人影もまばらな 軽便鉄道のちいさな駅 丸太を積んだ貨車が 引き込み線でちょいとうたた寝 陽射しを浴びてほほえむのは 薄桃色のコスモスたち ホームの植えこみに仲良く並び ゆれるように さざめくように ぼくはきみの笑顔を思い浮かべ [続きを読む]
  • コーヒーハウス
  •  日曜日の昼下がり ぶらりと入ったコーヒーハウス 軽やかな午後の陽ざしが 窓の外の常緑樹を揺らして 君の顔にまだらな影が落ちて 隣の席は若い夫婦 よだれかけをつけた赤子が つぶらな瞳を光らせては テーブルをたたいてはしゃいだり じっとなにかを見つめたり この世へ生まれ落ちてきたことを喜ぶ 無邪気さが この世界の謎を解こうとする 好奇心が たゆたう時間をかき混ぜるから カップを口へ運ぶ手がふととまり [続きを読む]
  • 透きとおる波を踏みしめながら
  •  透きとおる波が 白い渚に寄せては返す パールグリーンの海風が 僕の胸を吹き抜けて 椰子林を吹き抜けて 南国の海の波が 足を洗って去ってゆく 砂にまみれた心も洗ってくれる はがれ落ちるのは 僕の怠惰 碧(あお)い海の向こうへ 旅してみようと思った日のこと 覚えているかい? やみくもなまなざしで 水平線を睨みつけた時のこと 人は知らぬ間に 意気地なしになってしまうから たまにはこんなふうに 旅の初心 [続きを読む]
  • 丸見え式トイレ(連載エッセイ『ゆっくりゆうやけ』第327話)
  •  中国の田舎へ行けばまだまだあるけど、一昔前の中国のトイレは丸見え式のものが多かった。 壁沿いのところに溝を流してあって、前後の仕切りだけついてある。大の用を足す時は、その溝に跨ってする。前後の人は見えないけど、横からは用を足している姿が丸見えだ。 僕がその丸見え式のトイレで初めて用を足したのは、雲南省の田舎のバスターミナルだった。二〇〇一年のことだ。「ここでウン×をするのか」 話には聞いていたけ [続きを読む]