ハナタレナソクス さん プロフィール

  •  
ハナタレナソクスさん: 大江戸余話可笑白草紙
ハンドル名ハナタレナソクス さん
ブログタイトル大江戸余話可笑白草紙
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/shortstory_001
サイト紹介文新連載「富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜」開始! 美男と謳われた彼らに待ち受ける運命とは。
自由文「ひじ傘雨」「水波の如し〜忠臣蔵余話〜」「百花繚乱 夢の後 〜奥女中の日記〜」「縁と浮き世の通り雨〜お気楽ひってん弥太郎〜」「一樹の陰一河の流れ〜新撰組最後の局長」「月に叢雲花に風〜吉良義周の生涯」「幕末 閑花素琴〜新撰組はかく闘いし」「ついた餅も心持ち〜寛永寺普請のお江戸草紙」掲載中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供2回 / 365日(平均0.0回/週) - 参加 2011/03/26 11:41

ハナタレナソクス さんのブログ記事

  • お久し振りです
  •  気が付けば、ずっと更新を休んでおりました。それでも訪問くださり、読んで頂いている皆様ありがとうございます。 本人、闘病中につき、もう暫く休ませて頂いておりますが、新連載の原案は固まりつつありますので、もう暫くお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。 [続きを読む]
  • 宇江佐真理先生訃報
  •  大好きな作家の宇江佐真理先生が、7日、乳癌のため北海道函館市内の病院で亡くなられました。 その訃報に、呆然としております。先生の作品は全て読ませて頂いており、最近では、新刊本発売を待ち切れず、雑誌掲載文を読んでおりました。 私を時代小説に引き付けてくれたのも宇江佐先生でした。最初に読ませて頂いたのは「卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」でした。 女性の心理、男性の心理、子どもの…老若 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 73
  • 第五章 疾風 〜山野八十八〜  明治二十九年(1896年)三月 下京区。 尊王攘夷や天誅騒ぎが嘘のように、壬生村は静まり返っていた。そして時代は、目まぐるしく変わり、二本差しが町を闊歩していた頃などなかったかのようであった。 老齢に差し掛かった男は、武士の時代の終焉と共に、時代の推移を肌で感じていた。なぜ郷里の加賀ではなく、京に舞い戻ったかと言えば、己の人生で一番良い時期を過ごしたこの町を忘れ難かった [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 72
  • 第五章 疾風 〜山野八十八〜  「俺は六年振りだ。随分と変わったんだろうなあ」。 「そうか、左之助(原田・十番組組長)は、(江戸へ)戻ったことがなかったか」。 「こんな形で戻ることになろうとはなあ」。 「言うな。これから江戸で敵を迎え撃つ。そのために戻るのだ。未だ負けた訳じゃないさ」。 永倉新八(二十番組組長)の太い声が重々しい。 「ああ。そうだな。江戸で勝って、子が産まれる前には京に戻りたいもの [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 71
  • 第五章 疾風 〜山野八十八〜  さて、長くなったのう。すまぬが茶を貰えぬか。なに、酒とな。酒ならなをありがたい。 後は、誰じゃったかのう。山野、そう山野八十八君か。山野君は、愛嬌があったのう。いつもにこにことして気質も穏やかだったので、皆に可愛がられとった。そうじゃった。黒い薩摩絣と白い小倉袴を好んで、これに高下駄を履くなど大層な洒落者じゃった。 皆、同じ頃に入隊したもんじゃが、思えば、五人の中で [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 70
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜  「それにしてもよ、何も屯所が手薄な時を狙って出て行かなくても良いじゃねえか」。 「土方さんが怖かったのですよ」。 「怖いって、俺は、隊を脱したらどうだと勧めたんだぜ」。 「だ、か、ら。そうしておいて、斬られるとでも思ったのでしょう」。 「馬鹿な」。 「佐々木君の例もありますしね」。 「総司ーっ。俺は佐々木の件に身に覚えはねえ」。 「ははは。でも良かったじゃないです [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 69
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 うかつに近付いて斬られたらと、不安で仕方ないのだ。土方の背の奥には、朱鞘の兼光が刀掛けに掛っている。 「馬詰、将軍警護ご苦労」。 「はい…」。 「新選組はどうだ」。 「は…」。 何を聞いても蚊の鳴くような声、いや、蚊の方がよっぽどしっかりと羽を鳴らしている。柳太郎にしてみれば、何時、士道不覚悟を言い渡されるか気が気ではない。お米のことを言われたら、懸想されて迷惑して [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 68
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 隊を無断で脱したのが分かり、追っ手が掛けられたら、馬詰父子では成す術が無い。信十郎は流石に年の功で、その辺りも慎重に考えていた。 が、そうするうちにも、お米が八木家に姿を現す回数が増え、柳太郎を冷やかす声は日増しに大きくなる。 こうなっては、幹部に知れるのも時間の問題。いや、既に知られているのかも知れない。 その日は、程なくしてやってきた。文久四(1984)年一月十五日 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 67
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 「父上、もはや一刻の猶予もありません。このままでは私は…私は…罰せられます」。 涙声である。 「しかし、身に覚えはないのだろう。だったら…」。 その言葉を遮るように柳太郎が詰め寄る。 「覚えなどありません。第一、あの局長たちが斬られた晩に口を利いたのが最初で最後です。ですが、このまま真であるかのように話されたら、私はあの女子に適いません。野口さんのように切腹などさせ [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 66
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 正月の餅搗きに沸く、八木家の面々さえも、今さっき野口が前川家で腹を切ったのを知らず、それを知らされると露骨に嫌な顔をしていた。 「じきに正月やいうのに、縁起でもあらへん。それにしても新選組はんは荒々しくていけまへんなあ」。 当主の源之丞は、そう言い捨てると口を真一文字に結んだのを柳太郎は、八木家の門に身体を預けながらぼんやりと聞いていた。 そこに、お米がふいに姿を現 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 65
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 「父上、江戸に参りましょう」。 「なんと」。 「江戸には奉公先も数多あると聞き及びます。それに父上ほど書を嗜めば、手習いを教えても良いではありませんか」。 「よし。考えておこう」。 そもそも、この見通しの甘さが父子にはあるのだ。なので、己の腕を考えもせず浪士組に入隊したのであった。 だがそうと決まれば、どれだけ蔑まれようとも、お米との仲を冷やかされようと、一向に気に [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 64
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 「父上。私はもう武士になどなれなくても構いません。一刻も早くここを脱しましょう」。 「しかしだな、我ら父子、行く宛もない」。 在所は引き払っていた。 「ですが、私は先の御所への出陣やら、今回の芹沢局長の件など、怖くてたまりません。切り結ぶなどできそうにもありません。私には武士など到底無理なのです」。 身震いするほど怖いのだ。だが、信十郎は煮え切らない様子である。 「 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 63
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 土方対馬は、歳三と姓が同じなので、対馬と呼ばれていた。姻戚関係はない。その対馬とは、ほとんど同時期に入隊していたが、話もしたこともないが、柳太郎とは正反対に明るい性格で、彼の周りには常に輪ができている。しかもかなりの話好き。柳太郎から見れば、金棒引きなのだ。 「そういうことか」。柳太郎はひとりごちた。どうりで皆からからかわれる筈である。己の知らないところで、いつの間 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 62
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 しかし、何をどうするとそういったことになるのか。柳太郎には全く心当たりがないのだ。 「今日かて、お梅はんがおいやしたから…。ほんまはうちと話したかったんやろ」。 「あのぅ。あなたは何か勘違いをしていませんか」。 柳太郎は重い口を開いた。 「恥ずかしがらへんでおくれやす」。 「いえ、そうではなく…」。 「私はあなたなど好いてはおりません」。そう言いたい思いで一杯なのだ [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 61
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 提灯を持っていないのは、お米の勝手である。そもそも招かざる客なのだ。何故、送らなければならないのだと言いたいところを喉の奥に飲み込んだ柳太郎だった。 「柳太郎はんは、お梅はんを好きなんえ」。 何を言い出すのだ。お梅は芹沢の妾である。 「何を馬鹿な」。 「ほな、ほかに好いたお人はおるん」。 「……」。 「うち、柳太郎はんを好きどす」。 「……」。 「柳太郎はんも、うち [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 60
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 残されたのは信十郎と柳太郎、そして招かざるお米である。柳太郎はお米の存在をないものと思うことにし、大いに盃を重ねていった。 「お米さん、在所は何処ですか」。 流石に年のこうで、信十郎は言葉を投げ掛けるが、「へえ、丹波どす」と短く答えるのみで、次には発展していかず、信十郎も手持ち無沙汰で盃が進む。 気が付けば父子はお米の存在を全く無視して、無言のまま盃を組み交わしてい [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 59
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 「なんや、柳太郎はんに会いに来はったそうどす」。 「うち、柳太郎はんが留守居やって聞いて…」。 俯きながらも上目使いに様子を探り、顔を赤らめているのだろうが、地の黒さがただただどす黒く見えるだけである。 柳太郎は、折角奇麗なお梅と呑んでいただけに、憎々しさが倍増していた。 「柳太郎はんのええ女(ひと)なん」。 こういう時、女は残酷である。お梅とてひと目見れば分かるで [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 58
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜 「そないなこと、言わんといたらええのや」。 お梅はいたずらっぽく笑いながら「一杯だけや」と、催促する。そう押し切られると、皆が角屋で楽しんでいるのだから、自分等とて、奇麗な女子と呑みたいのは男であれば道理。嫌な筈もない。 お梅の絹のような白い肌が、一杯あおるとぽっと桜の花びらのように染まる。柳太郎は呑むのも忘れて、見ほれていた。 「そやけどあんさんら、見かけへん顔ど [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 57
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜  「おばんどす」。 勝手口から女子の声がした。はて? 少しばかり良いが回った柳太郎。同じく少しばかり気も大きくなっている。 「どなたで…お梅さん」。 顔を見せたのは、芹沢の愛妾のお梅であった。 「八木はんとこ行かはったら真っ暗どした。ほしてこっちゃ(前川家)を見たら、灯りが灯っろったさかい、どなたかおるんかと来てみたんや。あんたら、留守居どすか」。 「はい」。 「そ [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 56
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜  「柳太郎、また冷やかされたか」。 耳まで赤くした子息に信十郎は、眉根を寄せる。 「しかし、父上、私はあのような娘とは…」。 「それがいけないのだ。そうやっていつもはっきりとしないから付け入られるのだ。皆、お前をからかって楽しんでいるだけだが、件の娘がその気になったらどうする。もしも、そのようなことになったら隊を追い出され兼ねないのだぞ」。 そうしたらまた、今日の糧 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 55
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜  この父子、父の信十郎(四十六歳)は柳元齋。子の柳太郎(十九歳)は神威齋と号を持ち、書は良くやったものの、帯に短し襷に長しに例えるなら、帯にも襷にもなれない切れ端。継ぎ当てにも未だ足りないくらいのものであった。 隊士として不可欠な剣術も柔術も共に素人であり、刀の差し方さえも覚束ないので、見廻りにも出せず、なら算術は、探索はと、使い道を思案しても、どれもこれも得手はな [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 54
  • 第四章 日和見 〜馬詰柳太郎〜  言われてみれば馬詰君も中々の男前じゃったが、どうにも気が弱く目立たないもんでのう。おお思い出したわい。父親の方が、大変に書を良くやり、号を柳元斎と言っておった。 しかし、父子共に差料の差し方も知らんかったくらいですから、武士ではなかったでしょうな。何故、浪士組に入ろうと思うたのかも分からないくらいでしたな。 しかし、この目立たなかったが故に、後に命拾いするのですか [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 53
  • 第三章 愁傷 〜楠小十郎〜 筆頭局長だった芹沢さんの仇討という名目で急いだのでしょうな。間者か否かの詮議もありませんでしたな。ええ、その時は、真に芹沢さんは長州に殺されたと信じとりました。あれが、土方君たちの仕業だったと知ったのは明治になってじゃった。随分と水臭いと思ったもんです。 楠君の話でしたな。可哀想なことでした。楠木君ひとりくらい見逃してやっても良いものをと思うたもんです。 現に同じく間者 [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 52
  • 第三章 愁傷 〜楠小十郎〜 沖田には、そのまま戻らずに行くように言われていたが、流石に見舞金を懐紙にも包まずに渡すのは失礼だと思い、室内へ入ろうと裏口に廻ったその時、叫び声とも、悲鳴ともいや人の声だろうか、大きな物音に小十郎は踵を返すと、そこには、御倉は斎藤に背を袈裟懸けに斬られ、荒木田は諸子取調兼監察の林信太郎にやはり背面から芋差しに刺され、絶命していた。 小十郎は、腰を抜かさんばかりに驚いたが [続きを読む]
  • 富貴天に在り 〜新選組美男五人衆〜 51
  • 第三章 愁傷 〜楠小十郎〜 「今からですか」。 「そう。直ぐに行った方が良い。私から見舞金だと言ってこれを渡してくれないか」。 沖田は剥き身の一両を差し出すのだった。 「では、支度をして直ぐに参ります」。 幾らなんでも剥き身のままの金子を差し出すのは憚られる。 「いいや、支度はいらないから直ぐに行ってくれないか。そうだ、このまま行ったら良い」。 沖田は良く八木家の為三郎や勇之助らとも遊んでやってい [続きを読む]