山田昇市郎 さん プロフィール

  •  
山田昇市郎さん: 山田小説(オリジナル超短編)公開の場
ハンドル名山田昇市郎 さん
ブログタイトル山田小説(オリジナル超短編)公開の場
ブログURLhttp://ameblo.jp/yamadanovel
サイト紹介文自作の超短編小説を公開しているブログです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供75回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2011/05/07 13:43

山田昇市郎 さんのブログ記事

  • 怪獣のような石像
  •  暇な時間が出来たので美術館に行ってみた。抽象的な形状の石像ばかりが幾つも展示されていたので私は一つずつの作品の前で歩みを止め、じっくりと時間を掛けながら鑑賞していった。 攻撃的な印象を受ける作品ばかりで私は館内を歩きながら徐々に心が荒んでいくようだと感じていた。しかし、まるで怪獣のようだという感想が脳裏に浮かぶと突如としてすべての石像が怪獣を表していると見えるようになり、私は謎解きに成功したとい [続きを読む]
  • 武器のような石像
  •  暇な時間が出来たので美術館に行ってみた。抽象的な形状の石像ばかりが幾つも展示されていたので私は一つずつの作品の前で歩みを止め、じっくりと時間を掛けながら鑑賞していった。 表面に鋭い突起が幾つも付いていて攻撃的な印象を受ける形の石像ばかりだった。武器になるかもしれないと思ったが、柄になりそうな箇所がないので使い勝手は悪そうだった。ただ、突起がない部分を両手で抱えて投げ付ければ相手に大きな傷を負わせ [続きを読む]
  • 抽象的な石像
  •  暇な時間が出来たので美術館に行ってみた。抽象的な形状の石像ばかりが幾つも展示されていたので私は一つずつの作品の前で歩みを止め、じっくりと時間を掛けながら鑑賞していった。 石像には照明が当てられていたが、館内は全体的に薄暗かった。天井から吊るされている幕で空間が複雑に分岐と湾曲をしながら仕切られているのだが、そうして作られた通路を歩きながら私は自分が同じ場所を堂々巡りしているようだと感じていた。幾 [続きを読む]
  • 建物の限り
  •  「部屋には必ず外があるよね」と弟が言った。「それなら建物にも必ず外があるはずだよ。そうでしょう?僕はいつかこの建物の外側に行ってみたいよ」 兄弟は長い折れ曲がった通路を並んで歩いていた。そこは天井が低い区域だが、彼等は背丈が低いので周りを行き交っている大人達とは違って腰を屈めないまま歩いていられた。 「お前は探検家になるつもりなのか?」と兄が問い掛けた。 「そうだよ。この建物にはまだ人間が立ち入 [続きを読む]
  • 口を閉じたまま
  •  「口を閉じたまま話そう。その方が疲れない」と兄が言った。 「わかったよ」と私は口を閉じたまま同意した。 どうやら夢を見ているらしいと私は考えた。私達は河川敷の公園でベンチに並んで座っていた。兄は先日一緒に鑑賞した映画の感想を話し始めた。その口はしっかりと閉じられていて唇は少しも動いていなかったが、それでいて兄の声は私の耳に届いてきていた。 「面白かったね」と私は相槌のつもりで言った。口は開けなか [続きを読む]
  • 足を浮かせたまま
  •  「足を浮かせたまま歩こう。その方が疲れない」と兄が言った。 また同じ夢だと私は思った。私達は河川敷の公園で向かい合って立っていた。兄の足は地面から少しだけ浮かんでいた。私も足の裏に地面を感じていなかった。身体が浮遊しているようだった。しかし、私は足が地面と接触していない状態で推進力を生じさせる方法が皆目わからなかった。 「どうやって進めばいいの?」と私は訊いた。 「こうだ」と兄は言った。そして、 [続きを読む]
  • 腹の中の美しい石
  •  夜、頬に風が当たったので目が醒めた。瞼を開けたが、辺りは真っ暗で何も見えなかった。水が流れる音が聞こえていた。近くに川があるようだった。どうやら屋外のようだと私は思った。 微睡んでいた意識が徐々にしっかりとしてきた。手を動かすと指に砂が触れた。私は腹部に重みを感じていた。そして、ようやく就寝前の記憶が蘇り、河原で石を食べたのだと思い出した。その石がまだ消化されていないのだった。 それはとても美し [続きを読む]
  • 歩いていく息子
  •  夜、部屋の外から足音が聞こえてきたので目が醒めた。どうやら息子が廊下を歩いているようだと私は思った。しかし、足音がどんどんと遠くへ離れていくので違和感を覚えた。その廊下はそこまで長くないはずなのだった。 奇怪な現象が起きていると考えて胸騒ぎを覚えたので私は目を開けて立ち上がった。室内は真っ暗だったが、そのまま照明も点けずに扉を開けて部屋から出た。しかし、廊下はがらんとしていて人気がなかった。屋内 [続きを読む]
  • 猫は話せなかった
  •  「今日、学校で古文の授業を受けたのだけど、昔の猫は人間の言葉を話せなかったらしいね」と食事中に息子が言い出した。 「ああ。そうだったらしいね」と私は返事をした。古文の授業で習った幾つかの物語における猫の描写を思い出そうと試みていた。 「しかも、昔の猫が人間の言葉を話せなかっただけではなくて昔の人間も猫の言葉を話せなかったらしいね。その当時から人間は猫を飼っていたみたいだけど、言葉が通じない動物と [続きを読む]
  • 一つしか身体がなかった
  •  「今日、古文の授業で『通学』という単語を習ったよ。昔の人間は一つしかない身体で自宅と学校の間を行き来していたのでしょう?」と食事中に息子が訊いてきた。 私は会社で待機している身体の現状が気になったので意識の視野部分だけを転送して確認していたところだった。職場を歩いている部下の姿が見えていた。終業時刻はとっくに過ぎているので何をしているのだろうかと気になったが、息子の発言が聞こえてきたので私は意識 [続きを読む]
  • 睡眠という習慣
  •  「今日、学校で古文の授業があったよ。昔の人間には睡眠という習慣があったようだね」と食事中に息子が言い出した。 「ああ。そうだったらしいね」と私は返事をした。そういえば、自分も古文の授業で睡眠という習慣を初めて聞いた時には驚いたものだと思い出した。まるで動物のようだと感じたのだった。 「先生が夢というものについて説明してくれたけれど、僕はよく理解できなかったよ。昔の人間は頭がおかしかったのかもしれ [続きを読む]
  • きっと下半分
  •  「今日、古文の授業で『眩しい』という単語を習ったよ。昔の人間は太陽を見れなかったのでしょう?」と食事中に息子が訊いてきた。 「ああ。そうだったらしいね」と私は返事をした。『眩しい』という単語をかなり久々に耳にしたような気がした。学校を卒業してから一度も使用していなかったかもしれなかった。もっと実用性が高い知識を授けるべきではないだろうかという考えが浮かび、私は学校教育に対して不満を抱いた。 「太 [続きを読む]
  • 太陽眼鏡
  •  休日にふらりと立ち寄った古道具屋で太陽眼鏡という品物を見つけた。暇潰しとして使えると店主から勧められたので購入してみた。 店を出てから河川敷の公園に行き、ベンチに腰を下ろして眼鏡を装着した。よく晴れていて風がないので冬にしては暖かくて快適な日和だった。そして、私は陽光が眩しくなくなったようだと感じた。 太陽の方に目を向けてみると虹のような色彩の複雑な模様が太陽から噴き出てくるように見えた。その模 [続きを読む]
  • 高速眼鏡
  •  砂漠に敷いたビニールシートの上に仰向けに寝転がり、恋人と手を繋いで星空を眺めていた。私達は高速眼鏡を着けているのだが、その効果で空全体がかなりの速度で回転しているように見えていた。流れ星などは速過ぎるので視認できていなかった。 かなりの速度で回転しているように見える星々が一向に地平線に落ちていかないという矛盾のせいで私の脳は常に混乱を抱える羽目になっていた。そのせいで目眩に襲われたので私は眼鏡を [続きを読む]
  • 白い月の白い光
  •  夜、私は砂漠に敷いたビニールシートの上に仰向けに寝転がり、恋人と手を繋いで星空を眺めていた。巨大な白い月がゆっくりと地平線から出てこようとしていて空がそちら側から明るくなっていた。 「月が出てきて星が見えなくなってきたね。そろそろ街に帰ろうか?」と私は提案した。すぐ近くの道路に自動車が停めてあるのだった。 「そうね」と恋人は答えた。 それで、私達は立ち上がってビニールシートを畳んだ。その間も巨大 [続きを読む]
  • 月の底
  •  柔らかな砂の中を落ちていっていた。身体が大量の砂に埋もれているようだったが、どういうわけか私はその重量を感じていなかった。それに、息苦しくもなかった。なぜ自分は死なないでいるのだろうかという疑問が脳裏を過り、どうやら夢を見ているらしいと推察した。 しかし、意識は覚醒しなかった。相変わらず肉体が砂の中をするすると落下していっていると感じていた。かなりの速度で足の方から落ちていっているようだった。全 [続きを読む]
  • 月の空
  •  身体が空中に浮いていた。私は目を開けているつもりだったが、何も見えていなかった。それに、何も聞こえていなかった。なぜ自分は落ちないでいられるのだろうかという疑問が脳裏を過り、どうやら夢を見ているらしいと推察した。 しかし、意識は覚醒しなかった。相変わらず肉体が空中に浮かんでいるようだと感じていた。今にも落下し始めるのではないかと心配して全身の筋肉を強張らせていた。ひどく緊張しているせいで私は夢を [続きを読む]
  • 月の海
  •  身体が液体の中を漂っていた。息苦しさはなかった。私は目を開けているつもりだったが、何も見えてはいなかった。ここはどこなのだろうかという疑問が脳裏を過り、どうやら夢を見ているらしいと推察した。 しかし、意識は覚醒しなかった。私は液体の中を漂流し続けていた。或いは、身体はずっと同じ地点に留まっていて周りの液体だけが動いているのかもしれなかった。全身を撫でていく液体の感覚が心地良いので私は夢を見ている [続きを読む]
  • 漂着した大男
  •  夜、枕元で会話をしている二人組の声が聞こえてきたので私は意識が覚醒した。かなりの早口だったが、発音が明瞭なので言葉の内容は聞き取れていた。 「ほら。大男が倒れているよ。海から流れてきたのかな?」 「ああ。そのようだね。この浜辺は本当に色々な物が打ち上がるね」 「この大男は死んでいるのかな?」 「死んでいるだろう。顔色が悪いよ。それにしても大きいな。できれば骨を標本にして博物館に飾っておきたいとこ [続きを読む]
  • 数百年が経っている
  •  夜、枕元で会話をしている二人組の声が聞こえてきたので私は意識が覚醒した。かなりの早口だったが、発音が明瞭なので言葉の内容は聞き取れていた。 「この身体は生きているのかな?」 「僅かだけど、呼吸はしているよ。脈拍もある。これは生きているよ」 「しかし、随分と顔色が悪いな。腐っているのじゃないか?まるで死体みたいだよ」 「まだ当分は死なないだろうと思うよ。なにしろ数百年もこの状態を維持しているのだか [続きを読む]
  • 新鮮な食材
  •  夜、枕元で会話をしている二人組の声が聞こえてきたので私は意識が覚醒した。かなりの早口だったが、発音が明瞭なので言葉の内容は聞き取れていた。 「鹿や牛は食べた草を自分の血肉に変えるけど、彼等に比べると我々の身体はとても単純だよね。なにしろ食べた肉を自分の血肉に変えるのだからね。芸がないと思わないか?」 「そうかな?そこは単純でも構わないだろう?食事中は色々な味が感じられて楽しめるけど、僕の舌は内蔵 [続きを読む]
  • どんどんと入っていく
  •  夜、枕元で会話をしている二人組の声が聞こえてきたので私は意識が覚醒した。かなりの早口だったが、発音が明瞭なので言葉の内容は聞き取れていた。 「ほら。この腹を人差し指で押してみなよ。どんどんと入っていくよ」 「本当だ。どんどんと入っていくね。腕まで入っていくよ。まるで際限がないみたいだ。どれだけ突っ込めるのかな?気になるね。どこかに長い棒がないかな?」 「ここに箒があるよ。これを突っ込んでみようじ [続きを読む]
  • 頭を膨らませる
  •  夜、枕元で会話をしている二人組の声が聞こえてきたので私は意識が覚醒した。かなりの早口だったが、発音が明瞭なので言葉の内容は聞き取れていた。 「まったく膨らまないね」 「膨らむわけがないよ。君は鼻と口を塞いでいないじゃないか。しっかりと塞いでおいてから耳から空気を吹き入れたら膨れるはずだよ」 「鼻と口を塞いだら息苦しくなって目が醒めるのじゃないか?」 「耳から空気を入れるから息苦しくなるわけないよ [続きを読む]