やぴ さん プロフィール

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やぴさん: 空想を枕に
ハンドル名やぴ さん
ブログタイトル空想を枕に
ブログURLhttp://chimame-3.blog.so-net.ne.jp/
サイト紹介文オリジナルBL小説 
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供225回 / 365日(平均4.3回/週) - 参加 2011/05/23 01:30

やぴ さんのブログ記事

  • 伯爵の策略と誤算 12
  • 雪がちらつく通りを急ぎながら、ランドルフはふと胸騒ぎに襲われた。明日の予定は急遽変更になったものの、家庭教師としての初日はまずまず。ダニエルも案外すぐに打ち解けてくれ、伯爵夫人のこちらに対する反応も悪くはない。不安に思うことなどひとつもないのだ。それなのになぜ、こんなにも嫌な予感しかしないのだろう。帽子屋が見えて、角を曲がる。大通りを一歩入ると、閑静な住宅街だ。主に中流家庭以上の出身者で、医者や弁 [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 11
  • 「ダニエル、先生とはうまくやっていけそうか?」お父様がそう訊ねるのは、この日何度めだろうか?ランドルフ先生が帰ってから、そればかり気にしている。きっと先生が少し不機嫌だったからだ。先生は明日の授業が中止になって、気分を害してしまったんだ。「はい。お父様」ダニエルはそつなく答え、きのこのスープをたっぷりとすくい上げて口に運んだ。今夜の晩餐はダニエルの好物ばかりだ。きのこのスープにサーモンのパイ包み焼 [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 10
  • 授業初日、まずは生徒との関係作りから始めることにしたランドルフは、ダニエルの寄宿学校での生活についてあれこれ質問した。もちろんフランシスに頼まれている情報収集も兼ねていたが、今後の授業方針を決める上でも重要なことだった。ダニエルは記憶力に優れていて、細かい作業が得意なようだ。話していて感じたのは、人の顔色を伺う癖があるということ。自己評価も低いし、自分の魅力にも気付いていない。整った顔立ちをしてい [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 9
  • 「それで?報告すべきことがあるのか?こっちはそうそう暇でもないんでね」さっきまで暇だとぼやいていたフランシスは、たかだか調査員のくせにやけに偉ぶったコールに向かって訊ねた。でかいのは図体だけにして欲しいものだと、無遠慮に身体を眺めまわす。コールは黒い眉をぴくりとも動かさず、熱い紅茶をひと口飲んだ。静かにカップを置き、すうっと息を吸う。いかにも報告をするから黙って聞けという姿勢に、フランシスは優美な [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 8
  • フランシスは図書室の窓から外を眺め、物憂げな溜息を吐いた。「あーあ、退屈だ。ランドルフのやつ、今頃アニーと……」ランドルフは無事にダニエルの家庭教師に採用された。それは喜ばしいことだが、あの男は仕事に徹し過ぎる。せっかく兄弟水入らずでの生活が始められるのに、しばらくは別々に暮らさなければならないなんて、自分が蒔いた種とはいえ、不満だ。ランドルフは昔からブラッドリー家に自由に出入りしていた。父のお気 [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 7
  • グリフィス邸を出ると、ランドルフは少し寄り道をして買い物を済ませ、しばらく仮住まいするアパートへと戻った。「いったいここで何をしている?というより、どうやって入った?」当然のように居間のソファに寝転ぶフランシスを見て、ランドルフは顔をしかめた。人に面倒を押し付けておいて、よくもまあ。「つれないこと言うなよ、ランドルフ。もちろん、ここへは下にいるミセス・マーフィーに案内してもらったのさ」フランシスは [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 6
  • 突如目の前に現れた新しい先生は、フランクリンの言うように優しそうだった。けれど、僕の第一印象はきっと最悪だ。だって、先生が来ていることを知りながら居眠りしていたんだから。でも僕が目を閉じたときは、まだ先生になるとは決まっていなかったから、僕は悪くないよね?「起こしてしまって悪かったね。せめて自己紹介をして帰った方がいいと思ったんだ」「いえ」ダニエルは反射的に首を振った。やっぱりうっかり眠ってしまっ [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 5
  • 「それでは、明日からさっそく授業を始めます」最終面接が済み、ギャヴィン・ランドルフは無事ダニエル・グリフィスの家庭教師として採用された。もちろんランドルフは不採用になるなど微塵も思っていなかった。履歴書は完璧。牧師の息子で後ろ盾もある。しかもブラッドリー家との繋がりも気付かれていない。アルバート・グリフィスの目は節穴だ。あの日――ブラッドリー伯爵の葬儀の日――確かにランドルフはフランシスといた。二 [続きを読む]
  • お知らせ
  • こんにちは、やぴです。全国的に起こってる通信障害、うちもです。先日スマホに変えたばかりですが、早速役立ってます。直り次第更新しますね。いつになるやら…… [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 4
  • 居間の大きな暖炉の上の壁には、ダニエルの兄ウィリアム・アンドリュー・グリフィスの肖像画が掛かっている。一〇歳の頃のものと、大人に成長した現在の姿を描いたものと。もちろん、成長した兄の姿はこうなっているであろうと想像して描かせたものだ。双子の妹をモデルにしているという話もある。アンディ。家族はみんなそう呼ぶ。けれど、ダニエルは『みんなから愛されたアンディ』を知らないから、気安くそう呼べない。キャサリ [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 3
  • 二週間後、ロンドン。グリフィス家、タウンハウス。ダニエルは両親とともに遅い朝食の席に着き、今日は何をして過ごそうかと陰鬱な面持ちでトーストにかじりついた。ここ数日で確信したのは、学校にはもう戻れないということ。そう考えただけで、叫び出しそうになる。勉強は嫌いではなかったし、友達との付き合いもそこそこうまくやっていたのに、お父様はこれからどうするつもりなのだろうか?詳しい理由を知らないお母様はどう思 [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 2
  • 「お父様はブラッドリー伯爵と親しかったの?」ダニエル・グリフィスは親子間の気詰まりな空気を少しでも和らげようと訊ねた。父が寄宿学校に訊ねてきてから今まで、自分の置かれている状況はわからないまま。見知らぬ他人の葬儀に連れてこられた理由も、この後どこへ向かうのか、今後学校へ戻れるのか、すべては父の言葉次第。「同級生だった。あいつはこんなに早く亡くなっていい男ではない」それは、父アルバートがフェアハース [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 1
  • 一八九×年、冬。ウィックフィールド、 ブラッドリー伯爵家所領「こんな事を口にするのは不謹慎かもしれないが――」フランシス・ブラッドリーは思ったことを口にせずにはいられない質だ。たった今、父親の眠る棺が土の中に埋められたばかりでも関係ない。こと、子供の頃から一緒にいるこの男の前では、特に。ギャヴィン・ランドルフは忠告するように目を細めた。「では、やめておくんだな」黒衣を纏った人々の後ろ姿を眺めながら [続きを読む]
  • 伯爵の策略と誤算 登場人物紹介
  • <登場人物>ダニエル・グリフィス (14) フランシス・ブラッドリー (23)ブラッドリー伯爵ギャヴィン・ランドルフ (24) フランシスの秘書アルバート・グリフィス (47) ダニエルの父 グリフィス伯爵マーガレット・グリフィス (45) ダニエルの母ウィリアム・グリフィス(故人) ダニエルの兄キャサリン(27) ダニエルの姉 キングスベリー公爵夫人アンディ・スタンレー(27) 事務弁護士※登場 [続きを読む]
  • 今後の予定など
  • こんばんは、やぴです。みなさまご無沙汰しております。お盆真っ最中ですが、いかがお過ごしですか?あたしはもちろん仕事です。忙しいし、今月いっぱいはシフトがいつもよりも遅い時間に設定されてて、帰ったら食べて飲んでバタンきゅーです。←これって死語かしら!?というより、人間関係がキツイです。せめて表面上はうまくやろうよ!ってダメな考え方ですかね!?さて、次のお話ですが、ちょこちょこ書き進めています。書き始 [続きを読む]
  • 近況など
  • こんばんは、やぴです。ご無沙汰しております。皆さまいかがお過ごしですか?なんだかめちゃくちゃ暑くないですか!?しかも急に土砂降りとか来るし…。とにもかくにも日常が忙しい。仕事には慣れたんですけど(もう四か月経ちますし)、以前のように休憩時間を自分の為にフルに使えないという欠点が…。前は完全ひとりで休憩出来て、その間に創作なんかしてたんですけど、今はガヤガヤ五月蠅い休憩室でご飯食べなきゃだし、大抵誰 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 100
  • ヒナがこの国に来て三年と半年が経とうとしている。最初は言葉がわからず、一年ほどはほとんど喋らずに過ごした。一年が過ぎた頃、ようやくジャスティンと会話が出来るようになった。アダムスのおかげだ。何人か入れ替わりで家庭教師が雇われたものの、ヒナと相性が合ったものは他にいなかった。言葉が通じても心は通じ合わなかったのだ。ヒナはアダムスに会った瞬間この人なら大丈夫と思った。アダムスはヒナがたどたどしくしか喋 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 99
  • 今夜は気分が良かった。その理由は色々あったが、何はともあれヒナが目的を果たした。すべて計画通りとはいかなかったが――そもそも、これまでヒナのすることで計画通りに事が進んだことなどないのだから、すべては想定内という事だ。後々問題は出てくるだろうが、それはまたその時に対処すればいい。食事を終えデザートを食べるため居間へ移動した直後、ジャスティンはジェームズに呼ばれ廊下に出た。どうやら訪問者は実家の人間 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 98
  • ミスター・アダムスは母親が家で待っているからと言って、晩餐には参加せず帰って行った。旦那様のご厚意により、お土産をたっぷりと持って。エヴァンは空になった食前酒のグラスをテーブルに置き、食事の始まりをシモンに告げた。今夜のシモンはごきげんだ。客を迎えていつもよりも忙しいというのに、時折ハミングしている。理由はヒナが誰も想像しなかったことをやってのけたからだ。こっそりその姿を見るだけだったはずが、気付 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 97
  • 「せめてひと言くらい前もって言えなかったのか?」憮然として訊ねれば、相手も憮然とした表情で返事をする。「急だったもので」急と言ったわりにはあまりに用意周到だったようだが、ジャスティンにそれを指摘する気はなかった。本来、公園のどの場所も誰もが自由に立ち入ることが出来る。一時的に封鎖していたとは言え、立ち入った者を咎めることは出来ない。逆に監視の目をくぐり抜けてあそこまで侵入したことを褒めてやるべきか [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 96
  • 着替えを済ませたスペンサーは、トビーを連れてバーンズ邸へと向かった。トビーは行きたくないと駄々をこねたが、二人して呼び出しを受けたのだから仕方がない。そう、これは招待ではなく呼び出しだ。きっと、無断で計画に加わったことを責められるに違いない。出掛ける少し前の事だ。玄関で靴の埃を払っていると、バーンズ邸からだという使いの者がやってきた。見たことのない顔だったが、いかにもあの屋敷にいそうな面構えだった [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 95
  • 予定の時間を過ぎても戻って来ないヒナを心配して、ジャスティンは書斎と玄関を行ったり来たりしていた。いい加減鬱陶しいと思い始めたのか、ホームズがいかにも執事然としたいで立ちで玄関広間を陣取り、ひとつの咳払いで主人を追い払った。ジャスティンは渋々定位置に戻り、帰宅するヒナを待った。ジェームズとパーシヴァルは面倒を避けるように、早々に退散している。あの二人は主人が使用人を躾けることが気に入らないらしい。 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 94
  • 帰りの馬車の中はとても静かだった。ヒナとカイルは疲れてうとうとしていたし、アダムスは今後のことを思い意気消沈していた。ヒナがやってしまったこと、それを誰も止められなかったこと、これが問題にならないはずない。もちろんヒナは、裏で色々な人が自分のために動いてくれたことをちゃんと理解している。本当は手なんか振っちゃいけないこともわかっていた。でもそうしなきゃ気が済まなかったのは、次にいつおじいちゃんに会 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 93
  • 「誰も止めなかったのか?」ヒナの帰宅に先んじて報告を受けたジャスティンは、無駄な質問だと思いつつも訊かずにはいられなかった。訊ねた相手は、ウッドワース・ガーデンズに送り込んでいた偵察隊の一人、確か名前はアボット。公園の北西エリアに部外者を入れないように配置していたのだ。「そう報告を受けております」目を伏せて主人の次の言葉を待つアボットは、まるで自分が怒られでもしているかのように小刻みに震えている。 [続きを読む]
  • ヒナおじいちゃんに会いに行く 92
  • ヒナはそもそも、今日おじいちゃんに会うのだという実感がなかった。だから生け垣の向こうに人の姿が見えても、それが自分の祖父だとは思いもしなかった。遠過ぎて顔は見えないし、ぞろぞろと連なる一行がアリの行進のようで、散歩をしているようには見えなかったからだ。「ヒナ!あれっておじいちゃんなんじゃない?」隣でカイルが興奮気味に声を上げる。スケッチブックで口元を隠してはいたが、なかなかの大きな声だった。「そう [続きを読む]