尾道貴志 さん プロフィール

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尾道貴志さん: 掌の小説
ハンドル名尾道貴志 さん
ブログタイトル掌の小説
ブログURLhttp://garakutakan2012.blog.fc2.com/
サイト紹介文掌に乗るほどの短編小説です。
自由文文豪 川端康成の「掌の小説」 現代版です。
不定期更新。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供13回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2011/07/20 18:05

尾道貴志 さんのブログ記事

  • 出発
  •  「ねえ、パパ、地球って丸いの?」 「そうだよ、ユタ、地球は丸いんだ」 「ふーん」 「どうしてだい?」 「うん、これ!」 「なるほど・・地球儀か」 「でも、この下にいる人たちは落っこちちゃうよ」 「はは、大丈夫、地球には引力っていうのがあって、落ちたりすることはないんだよ、それに地球には『上』も『下』もないのさ」 「ふーん」 その時・・晴れた空で「カチッ」という大きな音が響いた 次の瞬間・・ 日本 [続きを読む]
  • 終演
  • 真冬の夜澄んだ空には満天の星人々は新年へそれぞれの想いを胸に空を見上げていた。その時夜空に輝くオリオン座が静かに姿を消した・・青く光るシリウスも静かに姿を消した・・北極星も天の川も静かに姿を消した・・夜空を彩るすべての星々が静かに姿を消した・・・そして・・空は今までに見たことがないくらいの明るい光に包まれた・・・人々は何が起こったか分からず顔を見合わせた。やがて・・・空から世界中に響き渡るような大 [続きを読む]
  • エール
  •    凍えて澄み切った夜空に冴えた満月が煌々と輝いていた。 残業を終え、青年はやるせない想いを持て余しながら空を見上げる。 (あーあ 最低の一日だったなぁ・・・) 一日を振り返ればそれは朝の不運から始まった、彼の乗っていた通勤電車は人身事故のためにストップ、乗客は満員の車内で一時間近く缶詰めになった。肉体的な苦痛に加え、青年はこの日携帯電話を忘れていた。  ようやく会社に着くも連絡なしの遅刻だ・・ [続きを読む]
  • イニシエーション
  •  小学校4年生の頃、僕らの楽しみの一つに銭湯があった。 町に五時のサイレンが鳴り響くと遊びに夢中だった僕らは一度解散をする。 「じゃあ、スポットな」 雄ちゃんがいつもの時間を指定する。 「OK!」 僕と達也は親指を立てる。 「オレ、少し遅れるかも」 勝っちゃんが言った。 「どうした?」 「いや、ちょっとね」 僕らはその表情から悟った、勝っちゃんは今日やる気なのだ・・ 「待ってるぜ」 雄ちゃんが目 [続きを読む]
  • 小さな「イニシエーション」
  •  小学校4年生の頃、僕らの楽しみの一つに銭湯があった。 町に五時のサイレンが鳴り響くと遊びに夢中だった僕らは一度解散をする。 「じゃあ、スポットな」 雄ちゃんがいつもの時間を指定する。 「OK!」 僕と達也は親指を立てる。 「オレ、少し遅れるかも」 勝っちゃんが言った。 「どうした?」 「いや、ちょっとね」 僕らはその表情から悟った、勝っちゃんは今日やる気なのだ・・ 「待ってるぜ」 雄ちゃんが目 [続きを読む]
  • 「秋の童話」
  • 最悪の一日・・・目覚まし時計が壊れて寝坊した。全力で駅まで走ったけど目の前でドアは閉まった。そうそう、お弁当も見事に忘れたし、ついでに今日が締め切りの宿題も。夜中の二時までかけてやったのに・・・あっ、それが悪かったのか。返された英語のテストは史上最低の点数だった。体育は大の苦手の水泳、しかも記録会。よりによって男子も一緒なんて・・・わたしは果たして泳いでるのかそれとも溺れてるのか。憧れのタカシ君に [続きを読む]
  • 「童話」
  • 最悪の一日・・・目覚まし時計が壊れて寝坊した。全力で駅まで走ったけど目の前でドアは閉まった。そうそう、お弁当も見事に忘れたし、ついでに今日が締め切りの宿題も。夜中の二時までかけてやったのに・・・あっ、それが悪かったのか。返された英語のテストは史上最低の点数だった。体育は大の苦手の水泳、しかも記録会。よりによって男子も一緒なんて・・・わたしは果たして泳いでるのかそれとも溺れてるのか。憧れのタカシ君に [続きを読む]
  • 僕たちの挑戦!
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 「僕たちの挑戦」 あとがき
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 「僕たちの挑戦」
  • あとがき 僕が小学生の頃、まだまだ子供の楽しみは限られていました。今と違ってゲーム機もパソコンもありませんでしたし、テレビも一家に一台、チャンネル権は大人が握り、見たい番組もなかなか見ることが出来ません。でも、そうした時、子供は必死になって自分で楽しみを見つけていきます。  僕の父はなぜだか野球嫌いで、僕は小学校六年生になるまで生の試合観戦はもちろんテレビ中継でさえ一度も見たことがありませんでした [続きを読む]
  • 約束(再掲)
  •  君とは旅先で出会った。 大学二年の夏。 静かなペンションの読書ルームで君は本を読んでいた。 僕は何とはなしに声をかけた。「天気がいいのに出掛けないんですか?」 君は少し驚いたように答えた。「ええ」 君は心臓の病気を抱えていると言った。 僕は驚いた、なぜって・・僕も同じ病気を抱えていたからさ。「名前は?」「まひろ、あなたは?」「僕は優一」 僕らは意気投合した。 ペンションのテラスで、パラソルの中、 [続きを読む]
  • サービス
  • 駅前の商店街を抜けると景色は一変し閑静な住宅街に・・その先の桜並木が続くなだらかな坂を登りきった所に「聖海学園中学校」がある。誰もが知る名門の進学校だ。校門に向け足を進める数知れぬ受験生たち・・すでに合格発表の掲示はされている時間だ、風に乗り微かに歓声らしき声が聞こえてくる。「ママ、何でそんなに心配そうな顔してるの?」「何でって、心配なのは当たり前でしょ・・」「僕が落ちるわけないじゅない、模試でも [続きを読む]
  • 静かな贈り物
  • 某国 国防省「どうだ、交渉の進捗は?」「予断を許さぬ状況です」「開戦もやむなしか・・」「そんな生易しいものじゃありません!」「どういうことだ?」「核ミサイルの発射を仄めかしています」「世界が終わるぞ!」「やつは本気です・・言わば世界を巻き込んでの自爆テロかと・・・」「手はないのか?」「大統領がホットラインで対峙するとのことです、それが最後の・・」日本 とある病院の一室「先生、息子の状態は?」「残念 [続きを読む]
  • 招待状
  •  駅のホームに降り立ったのは彼女ひとり。列車が走り去ると秋の凍てついた風が顔をかすめる。誰もいないベンチに腰を下ろす。バッグから一枚の封筒を取り出しあらためて広げてみる。  招待状  尾島早智子 様   来る11月30日    秋祭りにご招待いたします。         片品村 村長 三日前に郵便受けに届けられていた。 捨ててしまおうとしたがそれをとどまったのには彼女の心の奥底にある思いがあったか [続きを読む]
  • ターミナル
  •  神無月 秋は微かな気配からその姿をしっかりと現し、道行く人々のコート姿が色づき始めた街路樹に自然と溶け込んでいる。 「だいぶ寒くなってきたな」 勇二はすっかりと黄昏た空を見上げながら家路を急ぐ。 『お誕生日おめでとうございます 美味しい鍋が待ってます』 妻からのメールをもう一度読み直す。 こんなに早く帰れるのは久しぶりだ、今日は二人の子供たちと家族そろって食卓が囲める、勇二はささやかな幸せに感謝 [続きを読む]
  • 黄昏
  • 黄昏に染まる如月の空海辺の小さな公園は身を切るような寒さに凍てつきながら茜色の光に沈もうとしていた。ウッドデッキのベンチに二つの影が背中を合わせている。一人は少年一人は男共にうつむき互いの存在などまるで無いかのようだ。沈黙の時間が続き、空の赤みが紫色に変わる頃、背中越し、同時についた溜息で二人は合わせるように顔を上げた。「結局ダメだったじゃないか!」「・・・」「この三年間やりたいことも我慢してずっ [続きを読む]
  • 「膨張」 −夏の夜話−
  • 夏休み満天の星空の下バンガロー横の芝生にふたつの影「パパ、すごい星の数だね」「ああ、きれいだろう、山の上は空気が澄んでいるからな」「いっぱい星があって、手がとどきそう」父親は好奇心に満ち溢れた息子の目をチラリと見やると、嬉しそうに、そして満足そうにうなずいた。「ねぇ、パパ、星に行けるかなあ、ぼく、星に行ってみたいんだ」「そうだな、でも、どの星もとっても遠いんだよ」「どれくらい?」父親はまた嬉しそう [続きを読む]