火消茶腕 さん プロフィール

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火消茶腕さん: なんとなくショートショート
ハンドル名火消茶腕 さん
ブログタイトルなんとなくショートショート
ブログURLhttp://hikesichawan.blog.fc2.com/
サイト紹介文創作ショートショート。主にSF、ファンタジー、ホラー風味。その他恋愛など。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供41回 / 365日(平均0.8回/週) - 参加 2011/07/29 16:00

火消茶腕 さんのブログ記事

  • 告知
  •  突然目の前に天使が現れ、告げた。「驚かないでください。私は大天使ガブリエル……」「ガブリエル!?」 私は驚愕した。「ガブリエルって、聖母マリアの前に現れたあのガブリエル?」「そうです」 天使がうなずいた。「私はマリアに受胎告知をした、その大天使ガブリエルの部下です」 その一言で私は拍子抜けした。ああ、部下。 しかし、部下といえど天使には違いない。私はすぐにひざまづき、精一杯へりくだって聞いた。「 [続きを読む]
  • 羨望
  • 「こんばんは」 私は玄関の戸を開け、奥に向かってあいさつをした。 その声を聞きつけて出てきた彼女は、案の定、私を見て、何の用?という顔をした。「この度は、うちの人のせいで、そちらの旦那様が大変な目に会われた、と聞きまして」 私は深々と頭を下げた。「それでお詫びと言っては何ですけど、せめてもの償いとして、つまらないものですが、これをどうぞ」 と言って、私は菓子包みを差し出した。「あ〜ら、わざわざ、ま [続きを読む]
  • 朗報
  •  トイレ掃除でお困りの奥様に朗報! そんな宣伝文句に目を留め、私はある商品の記事を読んだ。 なるほど!これなら、トイレ掃除も楽になるかもしれない。 私は早速その薬品を注文した。 使ってみると効果てきめん。あれ程言ってもするのを拒んでたのに、今では必ず夫は座ってする。 夫に毎回盛っている薬は、小をしようとすると、大も出てしまう様になる薬なのだ。 おかげで、便座の周りはいつもきれいで、爽快。 最初の内 [続きを読む]
  • 鑑定
  • 「実は、ショウタのDNA鑑定をしたんだ」 出し抜けに夫がそう言った。 私は突然のことに固まってしまい、ただ驚いた顔で彼の顔を見つめた。「そうしたら、ショウタは俺の子で間違いなかった。疑ってすまない」 深々と頭を下げた。 私は驚いた声で言った。「えっ!」 それを聞き、直ぐに夫は顔を上げた。面白いほど動揺している。「えっ、てなんだよ?えっ、て」 私に詰め寄ってきた。 私は否定した。「えっ、て言ったんじゃ [続きを読む]
  • 降霊
  • 「それで、お望みの人と、お話することができたでしょうか?」 霊媒師を務める私は、降霊を終え、客である女に聞いた。「はい」 女は青ざめた顔で言った。「やはり、彼は、私が交際を断ったのが原因で命を断ったと。事故ではなかった……」 女はハンカチを目に当て、涙ぐんだ。 しかし、その瞳の奥に浮かぶ優越感を私は見逃しはしなかった。  やはり、あの受け答えで良かったか。  この商売は、事前の調査と、相手の心理の [続きを読む]
  • 教訓
  •  早朝、私は旦那様を起こさないように、そっとベッドを抜け出し、朝食の準備をする。  最初にお味噌汁の準備にかかる。私、特製の出汁が入ったペットボトルを冷蔵庫から取り出す。 だいぶ、減ってきた。また足さなくちゃ。旦那様は、この出汁を使ったお味噌汁が大好物なのだ。  もちろん、ご先祖様の教訓に従い、これを補充するのは、旦那様が家にいない時だ。見られたら、きっと私も旦那様に捨てられてしまうに違いないから [続きを読む]
  • 命令
  • 「それでは何なりとご命令ください」 彼女がそう彼に言った。さんざん苦労し、ようやく手に入れた、高性能の美少女型アンドロイドだった。   彼は言った。「何なりとご命令ください」   高性能アンドロイドは即座に意を汲み取り、片足を上げた。「靴を舐めなさい」   男は歓喜の内にひざまずいた。終わり [続きを読む]
  • サンタが街にやってくる
  • 「えっ?!サンタってお母さんだったの?!」 私は目一杯驚いた声で叫んだ。「だめだよ〜、そんなんじゃ」 お友達のマイカちゃんが言った。「わざとらしすぎ〜。知ってたことがバレバレ。声はもっと抑えて、びっくりした顔しなくっちゃ」「そう?さっきみたいのじゃ駄目?」「だめだめ。いくら大人たちが、私たちはなんにも知らないと考えてたとしても、そろそろバレる頃かなあ、とは内心思ってるんだから。”あれ?もう知ってた [続きを読む]
  • そういうこともある
  • 「自殺した者は、本来の寿命が来るまでの期間、我々悪魔の奴隷とならなければならない。昔からそう言い伝えられていただろう?」 自ら命を絶った女に悪魔が言った。 悪魔の言葉に女は驚いた。「何だ、信じていなかったのか?まあ、お前のような年齢の女は奴隷ではなく、我々悪魔の花嫁になるのだがな。さて、お前と俺の婚礼だ。もう既に準備はできている」 ニタニタと笑う悪魔に女は尋ねた。「もう準備ができているというのなら [続きを読む]
  • 試される時
  • 「君は自制心が強いから大丈夫だよね」 介護の苦労を見かね、その薬をくれた友人の言葉が頭に響いた。 それはそれは香ばしいカレーの匂いが、投薬後の彼女のおむつから漂っている。 私はそれを取り替えるのを、前以上にためらった。終わり  [続きを読む]
  • 雑記 SF?
  •  私はある資格を持っているのですが、2年に一度、12月31日時点に居住している都道府県に届け出を出すよう、管轄省庁から言われます。  今回もその旨の通知があり、届けを出すのは来年の一月なので、忘れないようにと通知をボードに張っていました。 そして、いつものことなので、その通知は碌に読んでおらず、そのため、しばらくは気づかなかったのですが、ある日、その中に奇妙な一文を見つけました。 そこにはこう書かれ [続きを読む]
  • 父帰る
  •   僕が二度目に父を失ったのはこんな初冬の日だった。 一度目に失った時は、僕はまだ小さくて、何も覚えていない。 その代わり、父が帰ってきた時のことは鮮明に覚えている。それもこんな初冬の日だった。 もう、何が理由だったか覚えていないけれど、その時、僕は部屋で一人泣いていた。多分、父親がいない子と言うことで、いじめられていたのだと思う。 母親は僕を一人で育てるために、遅くまで仕事をしていて、僕は家に一 [続きを読む]
  • 万霊節
  •  人々と共に懸命に祈りを捧げている母親に、幼い息子が聞いた。「お母さん、どうしてそんなに一生懸命祈ってるの?」 顔を上げ、母親は言った。「今日は万霊節だからよ」「万霊節?」 息子が聞いた。「そうよ、今日は万霊節と言って、死んだ人のために祈る日なの」「どうして今日そうするの?」「なぜ今日お祈りするのか、お母さんにも分からないけど、昔からそう決まっているのよ」 息子に正直に答えた。「祈ると良いことがあ [続きを読む]
  • 仁義なき戦い
  • 「勝った!」 長かったロボット同士の戦いも、ようやく決着がついた。相手ロボットは行動不能となり、肩辺りから一筋煙が出ている。「これで終わりだな?それじゃあ、俺の良いようにさせてもらう」 俺は妻に言って、俺の家政婦用ロボットに、玄関のスリッパを直に廊下に置くように命令した。いちいち、スリッパ立てにスリッパを入れるようにロボットに命令するなんて馬鹿げている。すぐに履けないじゃないか。 俺のスリッパをス [続きを読む]
  • コーヒールンバ
  • 「お前はこいつと浮気しているんだろう?俺は知っている!」 ヒワタシが俺を指差した。突然のことに俺は驚いた。全く身に覚えがない。「な、何を根拠にそんな?私はヘンミさんとそんな関係になったことは一切ありません。誤解です!」 フミコさんが怒りを含んで叫んだ。「根拠?根拠はあるぞ。これだ」  そう言って、ヒワタシは歯をむき出し、それを指差した。 そこには大分黒く染まった歯が並んでいる。「最近、俺はコーヒー [続きを読む]
  • 女か虎か
  • 「私の何が悪いのでしょう?」 女が高名な占い師に聞いた。「どういうことですか?」 占い師が尋ねた。「実は私は、裁きの庭の、あの扉の奥に座った事があるんです」「あの、片方には虎がいるあれですか?」「そうです。突然、王の命令で、否応もなくあそこに連れて行かれました。婚約者のいる身だったのに」 女が少し涙ぐんだ。「それはお気の毒に。しかし、この国で王の命令は絶対ですからね」 占い師が憐れみの表情を示した [続きを読む]
  • ホームビデオ
  •  大型液晶テレビに、ホームビデオの映像と思われるものが映し出されていた。画面の中で幼い男の子が庭を駆け回っている。それを追いかける女性。場面は変わって、運動会だろうか?男の子をおんぶして、男性が懸命に走っている。 それを若い男が、ソファに両膝を抱えて座りながら、じっと見ていた。 映像はまだ続く。海水浴。どこかの田園風景。スキー。 男の子を中心に、男性と女性がかわるがわる現れて、多く笑顔で男の子の名 [続きを読む]
  • 妻のために、あるいは永遠の花
  • 「奥様のために?」 インタビュアーが博士に聞いた。「ええ、そうです。誰のためでもない。妻に使うために発明しました」 博士は答えた。 低コストで、尚且つ半永久的に遺体を保存する方法を、博士は開発した。その処置を施された遺体は顔色も良く、まるで眠っているようにしか見えない。そして、いくらたっても腐敗して崩れることはない。ずっと生前の姿のままだ。  そのため、遺体をわざわざ土に埋葬することはせず、ガラス [続きを読む]
  • ありがたい人
  • 「じゃあ、そこに座ってくれる」 ハマグチさんが側の椅子を示した。私は素直に指示に従う。「上着取ったほうがいいかな?」 私は彼女に尋ねた。 ここ一月ほど、私はひどい肩こりに苦しんでいた。 機械を使ってマッサージしてみたり、痛み止めを塗ったり、貼ったり、飲んだりしたが、駄目。 柔軟体操や筋トレも、色々毎日欠かさず試してみたが、肩の痛みと重苦しさが取れることはなかった。 いい加減嫌になっていた頃、友達が [続きを読む]
  • 渚にて
  • 「待ってくれとおっしゃるなら、どうぞ、この羽衣を海に漬けてください」 天女が衣を男に渡した。「天の羽衣は塩水に弱いのです。海の水に浸せば、きっと溶けて無くなってしまうでしょう。そうなれば、私はもはやどうやっても天に帰ることは出来ません。諦めが付きます。一生あなたとここで暮らします」 男は手の中にある羽衣とじっと見つめた。いつ見ても美しい。初めてこれが目に入った時から、男はずっと心を奪われていた。  [続きを読む]
  • 指輪物語
  • 「結婚指輪ですが、中指に合うように輪を広げようと、小指に合うように輪を縮めようと、手間と経費にさほど違いはありません」 店の者が答えた。「では、どちらでもよいと?」 女が聞いた。「強いてあげれば、内側に掘った文字は、サイズ変更で横伸びするか縮むかするので、掘られている文字が、見にくくならないようにする方が良いかとは思いますが……」 女は指輪に掘られた文字を確かめた。二人のイニシャルがそこにある。文 [続きを読む]
  • 未必の故意
  •  反射的に引き金を引いてしまった猟師は、背中に冷たい汗が流れるのを感じた。 ついさっき、地面から一匹のミミズが出てきた。  ミミズか、と思っているとそこにカエルが現れ、そのミミズを食べた。 カエルか、と思っているとヘビが現れ、そのカエルを食べた。 ヘビか、と思っているとそこへキジが飛んできて、そのヘビを食べた。 キジ?キジだ! 気付くと鉄砲を構え、撃っていた。案の定、キジは玉に当って死んだ。 ミミ [続きを読む]
  • 蜘蛛の糸
  • 「有名だから、勿論、あなたも、”蜘蛛の糸”の話は知ってるでしょうけど……」 男を前にして女が言った。「私、子供の頃聞いたあの話を、ふと思い出して分かったの。ああ、自分はカンダタだって」「地獄というのは私の心。そこでうごめいている罪人たちは、みんな私自身。そんな様々な醜い心を持った私が大勢いる中で、たとえば蜘蛛を助けようと考えるような、私の中のいくらかマシな私に、糸が垂れて来た」「私はそれにすがって [続きを読む]
  • 郷土愛
  • 「生まれ育ったこの町が好きなの。だからここのために何かできないかと思って」 男の問いに女が答えた。「実は、この地域には古くから伝わる話があって、それは全国的にも有名なものなのだけれど、そっくりな話が他のところにもあるらしくって、どこが発祥の地なのか、揉めてるらしいの」  女は一時中断していた作業を再開し、話を続けた。「私は難しいことは分からないから、どこの土地がその話の場所として、もっとも説得力が [続きを読む]
  • 三年寝太郎
  • 「パパ、退院おめでとう。はい、これ」 今は四つになるランが私に何やら紙を渡してきた。「ありがとう。何かな?」 受け取って見ると、そこには人の顔らしきものがクレヨンで描かれていた。「お父さんの顔だそうよ。上手く書けてるでしょう」 妻が私に言った。 私はもう一度渡された絵をよく見た。確かに、男の顔のようだ。ただし、両方の目は直線で描かれている。どうやら私が眠っていた時の顔のようだ。「それにしても、 [続きを読む]