新田生まれのおいしい野菜 さん プロフィール

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新田生まれのおいしい野菜さん: アイラブ桐生
ハンドル名新田生まれのおいしい野菜 さん
ブログタイトルアイラブ桐生
ブログURLhttp://ameblo.jp/saradakann/
サイト紹介文毎朝掲載の連続小説です。全3部構成の長編。 
自由文生まれ育った織物の町、桐生市を舞台に、1970年代から
80年代にかけての青春を描きました
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供176回 / 365日(平均3.4回/週) - 参加 2011/12/05 05:48

新田生まれのおいしい野菜 さんのブログ記事

  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (58)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (58) クマタカ  『いい匂いがするなぁ・・・・』恭子の胸で、思わずたまが目を細める。たまが嗅いでいるのは、イイデリンドウの花の匂いではない。清子よりもはるかにふくよかな恭子の胸は、何とも言えないいい匂いが漂っている。『たまらんのう・・・』たまが、ニタリと目をほそめる。  ハクサンイチゲの純白のお花畑を縁どるように、イイデリンドウの紫の花が咲き群れている。& [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (57)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (57) 稜線の花園  2日目。快晴の朝がやってきた。いよいよ飯豊本山から大日岳への稜線歩きがはじまる。この行程が今回の最大イベント。雷雨の去った爽やかな朝の景色の中を、2人が歩きはじめる。  飯豊連峰は日本海からわずか50kmしか離れていない。そのため。世界でも有数の豪雪地帯になっている。想像を絶するほど降り積もる雪が、飯豊連峰の特色ある地形を形つくる。その証 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (56)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (56) 銀河のど真ん中  「用意がいいねぇ。本かつお節に削り器まで持参してくるとは本格的だ。 恐れ入ったねぇ。 やっぱり三毛猫のオスは、待遇が違う」  かつお節を削るいい香りが、山小屋の中に充満していく。匂いに誘われて、ヒゲの管理人が顔を出した。「大事にされているんだな、おまえ。たいしたもんだ」たまの顔を覗き込む。『折角ですから、管理人さんにも、おすそ分けで [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (55)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (55) 三国の山小屋  「おっ、珍しいねぇ。美人が2人も登場するとは、今日はいい日だ。 三国の山は初めてかい。2人のお譲ちゃんたち」  山荘の前でひげの管理人が早くから2人の到着を待ち構えていた。薪割の手はさっきから、ずっと止まったままだ。そのためせっかくかいた汗も乾きはじめ、寒ささえ感じている。久しぶりに聞く山での人の声に、たまも清子の胸ポケットから眠た [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (54)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (54) 夏まで残る雪渓  潅木の道をようやく抜ける。地蔵山からやってきた道と合流すると、三国岳へむかう尾根を伝う道に出る。このあたりから、所々、足元が崩れた痩せ尾根になっている。霧がすこしづつ濃くなってくる。 滑らないよう注意しながら、恭子と清子が痩せた尾根の道をすすんでいく。およそ30分。急峻な三国岳の上り口へ到着する。  「清子。ここから先が、今日一 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (53)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (53) プロラクチン受容体のはなし  登山口から歩き始めて2時間。下15里、中15里、上15里の3つの急坂をそれぞれ無事に乗り越える。すすむにつれて周囲に、大きなブナの木が増えてくる。  灌木の中に、ウドやタラの芽が見える。可憐な花をつける高山植物が、ちらほらと姿を現してくる。眺望が開けはじめてくる笹平・横峰の広場に、ようやくの思いで2人が到着する。清子 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (52)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (52) 下15里、中15里、上15里 3つも続く、15里の道 『なぁ聞けよ。清子。オイラの話を。ひどいんだぜ、市のやつ。 夕飯の時。旨そうなかつお節が出てきたんだ。 かつお節はおいらの大好物だ。何も考えず、オイラも食いついちまった。 今から考えれば、それが間違いのもとだった。 食った途端。あれよというまに、眠たくなってきた。 アノやろう。かつお節に睡眠薬を混ぜたんだ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (51)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (51) 飯豊山登山口  小春が登山口のある川入まで、2人を送っていく。川入から山頂の神社まで、往復で30キロあまり。健脚なら早朝の2時頃から登り始めて、その日のうちに往復することもできる。しかし。初心者の清子に無理は禁物ということで、たっぷり余裕をみた。その結果。2泊3日という山あるきの行程になった。  「くれぐれも無理しちゃダメよ。 なにか有ったら迷わず引 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (50)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (50) 登山前の、ノーパン姉妹  「かつては女人禁制のお山であったと、市奴姐さんから伺いました」  「知っているよ。 そのむかし。女人禁制の掟を破って入山した女がいる。 怒った山の神が、石に変えてしまったという伝説は、有名さ。 飯豊山へはじめて登山したのは、会津女子高出身の猪股なんとかという18歳の女。 安心しな。女人禁制は昔の話さ。 山頂の神社まで行き、山上 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (49)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (49) 幅1m足らずの県境の道 「飯豊山へ登る?。いいねぇ、行っといで。 幅が3尺の登山道が、延々、7キロ以上も続いている。 行ってみる価値は充分にあるよ。行っといで、行っといで」 市が「いいところだよ」と清子の背中を押す。飯豊山は、山岳信仰の山。越後、会津、出羽の3国の境にそびえたち、3国を見下ろす山でもある。山から生まれた水は、阿賀野川、荒川、最上川となり、3国の [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (49)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (49) 会津の初夏 木々の葉が新緑から深い緑に変わる。山藤や桐の花が咲くと、会津に夏がやってくる。川霧が発生するのもちょうどこの頃から。梅雨までの短い間。会津はひとときだけ、初夏の色彩に染まる。 「市さんが引き取ってくれたのか。それはまた好都合。 駅前だし、喜多方からのバスの便もいい。 チョコチョコ遊びに来るのに、ちょうど手頃な場所だ」 「チョコチョコ来られるほど、 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (47)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (47) 嘘のつけない女の子   芸事の稽古におわりはない。芸妓でいる限り、生涯にわたり芸を磨く。タイコや小鼓(こづつみ)、大鼓(おおつずみ)などの鳴物。日本舞踊。常磐津や清元、長唄などの技術を身につけていく。 稽古は各地の見番(組合)が主催する。組合から稽古代の補助が出る。そのため芸妓たちは1ヶ月、1万円程度の稽古代でこれらを習うことができる。稽古は1分野あたり、 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (46)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (46) 会津の盆踊り  「8月13日から16日まで、毎年、盆踊りがひらかれる。 東山温泉を流れていく湯川の上に、盆踊りの櫓が組まれるの。 会津磐梯山の唄に合わせて、市民も温泉客も輪になって、一晩中踊りを楽しむ。 東山温泉の女将や芸者衆も、おおぜい参加する。 会津の盆踊りは、夏の忘れられない最大のイベントになるのよ」 「会津の盆踊りと、小春姐さんと恭子さんのパパが、どこ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (45)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (45) 野口英世記念館 猪苗代湖の東海岸に、観光客があつまる施設がいくつもある。猪苗代町出身の細菌学者、野口英世の記念館もそのひとつ。 生家をはじめ、遺品や資料などが展示されている。乳児期。火傷を負った囲炉裏も、見学することができる。門出に『我志をなさねば二度とこの地を踏まず』と決意を刻んだ床柱も、そのまま残されている。 ちかくに、野口英世の遺髪を納めた「誕生地の [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (44)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (44) たまの暴走 「大和屋酒造の弥右衛門の長女、恭子といいます」 風呂敷包みを差し出しながら、恭子が最高潮の緊張を見せている。 「くれぐれも失礼がないように。と、何度も念を押されました。 これは、わしからだと言って渡してくれ。 そう言われ、こちらのものを預かってまいりました」 風呂敷から出来てきたのは、今年仕込んだ最上級のカスモチ原酒の特選品。豊潤で濃厚な味が、カス [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (43)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (43) 恭子がやって来た それから数日後。午前9時ぴったり。小春のマンションの電話が鳴りはじめた。『たま。約束通り、10代目がお電話をくれたようです』たまと遊んでいた清子が動きを止める。隣室の様子に耳を澄ます。 「清子。喜多方の恭子さんというお嬢さんから、お電話です」 小春に呼ばれた瞬間、清子はすでに、弾かれたように部屋を飛び出している。『いつの間に出来たのですか? [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (42)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (42) こだわりのラーメン  清子とたまが、ラーメン店の2階に落ち着いたのは、午後の1時過ぎ。ひっきりなしだった客の動きに、ようやく陰りが見えてきた。「もういいよ。ありがとう。疲れただろう」そう言われたとき。すでに2階のテーブルに、あふれるほどの料理が並んでいた。 「カツ丼でしょ。カレーでしょ。八宝菜でしょ。 ラーメンも有るけど、餃子に野菜炒めまで並んでいます。  [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (41)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (41) にわか看板娘  浴衣に赤いたすき、姉さんかぶり。さらに人気ラーメン店の前掛け姿。いきいきと動き回る清子に、客席のあちこちから、立て続けに声がかかる。評判を聞きつけ、遠くから朝ラーメンを食べに来たはずの人たちが、笑顔がさわやかな看板娘の登場に、当初の目的をすっかり忘れている。店の中が、ザワザワと色めきたってきた。 「お嬢さん。記念写真をいっしょに撮ってくだ [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (40)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (40)恭子の隠れ家 ラーメン店がひしめいている喜多方の街とは言え、すべての店が朝からラーメンを提供しているわけではない。準備中や、仕込みで忙しそうなお店の前をいくつか素通りしたあと、恭子の足が、行列の見える一軒のラーメン屋へ向う。 『清子よ。 朝の9時を回ったばかりだというのに、もう店の前に、行列が見えるぜ。 朝からラーメンを食う連中がこんなに居るのかよ。 いった [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (39)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (39) 恭子と清子と日傘  「この足袋。意外と履きやすいわねぇ。これ、サイズはいくつなの?」 「9文半、です」 「9文半?。センチに直すといくつになるの?」 「22.5 cmです。その上のサイズは23.0cmで、 9文7分と呼びます」 「へぇぇ。専門的な呼び方があるんだねぇ。 で、さぁ。なんでこはぜが5つもついているの。 足首の部分が深くなっているから履きやすいけど、裏地の様子も [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (38)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (38) 朝からラーメンが食べられる街 清子の前に姿を見せたのは、セーラー服を着た17歳の少女。真っ白の靴下に、真っ赤な鼻緒の下駄が鮮やかだ。たまの姿を見た瞬間。 「うわ。この子が、噂のたまかいな。 本当や。着物を着た女の子の懐にきっちり収まっているなんて、なんとも 可愛いところがあるやんか。 お前。三毛猫のオスなんだってねぇ。・・・ へぇぇ。そう言われてみれば、なに [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (37)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (37) 蔵と酒とラーメンの街 喜多方は、福島県会津地方の一角にある街。名水に恵まれた喜多方市には、おおくの酒蔵が密集している。白壁のうつくしい、「蔵のまち喜多方」として知られている。はじめてこの街を訪れた人は、たくさんの蔵の姿に思わずの懐かしさと、郷愁を覚える。そんな素朴な趣が、この街のあちこちを彩っている。 たくさんの蔵は、観光のためにつくられたわけではない。蔵 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (36)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (36) 清子の日記 深夜の布団の中。清子が、電気スタンドを引き寄せる。ついさっき、12時の時報がなったばかりだ。腹ばいになった清子がノートに向い、書き込みを始める。 『おい。何やってんだ、清子・・・』口に何かを咥えたたまが、のそりと姿をあらわす。『よっこらしょ』わざわざ遠回りの道を選び、清子の背中へのぼってくる。『何書いてんだお前、さっきから』清子の手元を覗き込む [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (35)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (35) たまの綱渡り 「さぁて。すべての準備が整いました。 それではそろそろ、覚悟を決めて、綱渡りとまいりましょうか、 うふふ。たま」 清子がニコニコ笑いながら、たまの首筋をなでている。『冗談じゃないぜ、まったく。人ごとだと思って、呑気だな清子は・・・』目の前でふわふわと揺れている、綱渡りの細い紐を見つめながら、たまが額から一筋、脂汗を流している。 「ちょっと待て。 [続きを読む]
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (34)
  • 赤襟の清ちゃんと、三毛猫のたま (34) 猫じゃ猫じゃ 「おい。誰だァ。お座敷に猫なんか連れてきたのは!」 突然の大きな声に驚いて、たまが正気に戻る。音楽に乗ってうかれているうち、つい我をわすれて、かごから顏を出していた。小春姐さんの三味線に乗り、裾をはだけ、汗だくで踊っていた清子がはっと気づいて立ち止まる。あわててかごを振り返る。 「おっ。三毛猫やないか。ほお〜、可愛い顔をしておるやないか、こいつ [続きを読む]