甲姫 さん プロフィール

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甲姫さん: 聖女ミスリア巡礼紀行
ハンドル名甲姫 さん
ブログタイトル聖女ミスリア巡礼紀行
ブログURLhttp://seijo.ky-3.net
サイト紹介文架空の大陸を舞台にしたシリアス・ハイファンタジー。
自由文「だからこそ、生きているっていうのは、それだけで手放しがたいんだろう」

死ぬ間際の青年の前に少女が現れた。彼女は命を助ける見返りに旅の供になって欲しい、と青年に取引を持ちかける。

R-15を意識して書いてますのでご了承ください。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供191回 / 365日(平均3.7回/週) - 参加 2011/12/20 03:43

甲姫 さんのブログ記事

  • 四 - h.
  • 「どうした、タバンヌス」 リューキネの髪を結い終えたらしいエランが、振り返った。「ベネフォーリ公子殿下がお呼びです。エラン公子、セリカラーサ公女ご両名にお伝えしたいことがあるそうで」「わかった。すぐに向かう」 目配せされた。その意図を汲み取り、セリカはカップに残る茶をひと思いに飲み切る。食器をなるべく静かにまとめて、使用人に手渡した。「ごちそうさまでした。リューキネ公女殿下、席を立ってもよろしいで [続きを読む]
  • 四 - g.
  • 「三つ編み四本でいいか」「お願いしますわ。セリカ姉さまはそこに座って、お茶とお菓子でもどうぞ……姉さまと呼んでもよろしくて?」 彼女の上目遣いでの問いに内心では「気が早いのでは」と思いながらも、構わないわ、と頷いておいた。 それにしても、まだ昼食を消化し切っていないというのに菓子を勧められるとは思わなかった。茶だけでもいただこうと、セリカは座布団を引き寄せ、絨毯の上に腰を掛ける。 四角 [続きを読む]
  • 四 - f.
  •  ぶわっと紺色の布がなびく。エランが素早く首を巡らせたのである。 青灰色の瞳が、激しい怒りに燃えていた。冷たく燃えるという現象が可能なら、こう見えるだろう。 思わずセリカは立ち竦んだ。「おい、気色悪い冗談は止せ。この口は戯言(たわごと)しか吐けないようだな、リュー?」 あろうことか青年は少女の愛らしい口の両端に親指を突っ込んで――先ほど頬をつねった時とは比べものにならないほどの勢いで左右に引っ張っ [続きを読む]
  • 四 - e.
  • 「んまあ、ひどい! ちょっとしたお戯れではありませんか」 リューキネと呼ばれた少女は眉根に皴を刻み、唇を震わせた。怒り方までさまになっているというか、可愛らしい。たとえセリカが真似したかったとしても、到底できそうにない。「そうか。私はてっきり、急に体調を崩したのかと」「ご心配ありがとうございます。今日は気分がいいんですのよ」 彼女は得意そうに鼻を鳴らし、頬をつねる手を優しく握った。「ならいいが、無 [続きを読む]
  • 四 - d.
  •  セリカはしばしの間、公子の言葉を咀嚼した。(遠くを見ていて一緒じゃないのが怖い、って家族として足並みが揃わないことへの不信感? それとももっと別の意味が?) 子供の言うことだ、鋭い洞察眼で深いことを言っているのかもしれないし、的確な表現が出て来なくてこの言葉で代替しているだけかもしれない。 足並みが揃うかどうかなんて話は、そもそもこの兄弟にとってはあまり意味を持たないような気がする。皆個性の強い [続きを読む]
  • 四 - c.
  •  リスをのせた掌が、幼児の顔に寄せられた。 アダレムは一瞬の逡巡を見せたが、すぐに毛並への欲求に屈して手を伸ばした。おそるおそる、頭から撫でている。彼が「ふわあ! ほんとにもふもふです!」などと感心している間、セリカは小声で問う。「何をしたらそんなに仲良くなれたの」「別に何もしていない。数日前だったか、私がベンチに横になって昼寝をしている間に、そいつに足蹴に……景色の一部と認識したかは [続きを読む]
  • 日常にもどり
  • ました。しかし鼻孔? から喉が痛いれす。多分帰りの飛行機でうたたねした後くらいから始まったので、何かを誰かからいただいたのかもしれない。そして多分速攻で野郎にもうつしてしまいました(ごめんよ)マスクどこにやったか忘れたーので、加湿器全開にして頑張る。 [続きを読む]
  • 四 - b.
  • 「おはようございます、アダレム公子」「おは、よ、ございましゅ」 五、六歳くらいの男児はごにょごにょと挨拶をする。続けてこちらの腹までしか届かない小さな身体を折り曲げて、正式な礼を繰り出した。つむじが見れるかなとセリカはよくわからない期待をしたが、頭頂部はターバンに隠されていてそれは叶わなかった。「ほんじつは……いかが、おすご――おすごしで」「いいのよ、かしこまらなくて。ここはくつろぐ為 [続きを読む]
  • 四 - a.
  • 一晩かけて心身ともによく休んだ後だと、己が昨夜エランディーク公子にどれほどの醜態を晒したのかを改めて理解できた。 顔を合せづらい。が、幸いと今日は偉い人からのご指示がない。好きにくつろいでいてくださいとの通達を受けただけで、何の予定も組まされていないのだった。 結婚式は明日だと言うのにこんなにのんびりしていいのだろうか。そう思いながらも、セリカはバルバティアを連れて気晴らしに庭園の中を散策する。  [続きを読む]
  • 次回更新は4/7を狙います
  • そういえば最近カクヨムにもミスリアを転載してます。ブックウォーカーなんたら賞の読者選考が五月頭には終わるというので、これはもう最終章まで急いでうpった方がいい気がしてきました。読者に評価していただけるかどうかは別として。幸いなことに、投稿がめっちゃ楽です。あとは4/6が誕生日なのでそれまで浮ついて過ごす所存です(おい代わりと言ってはなんですが、ちょっと前に書いた140字小説でもどうぞ。黒赤本編の進行を [続きを読む]
  • 朗読動画に挑戦
  • http://www.nicovideo.jp/watch/sm30956216そういうわけで、よかったら観ていってねwたった2分半の動画を組み立てるのに1時間かかったのですけど。やっぱ動画師ってすげーな、という結論に至ります。 [続きを読む]
  • 三 - j.
  • 「ならお前は、逆の立場だったら助けなかったのか」「た、助ける! 当たり前じゃない! たとえムカつく相手でも、命の重さは変わらないわ」 目を合わせない為にこの体勢に甘んじていたのに、思わず身を引き剥がしてしまった。結局は間近で見つめ合う形となる。「それが答えだ」 見つめ返す瞳は静かで、目立った感情を映していなかった。「つまり、まだ怒ってる……んですよね」「別に。そんなことは言っていない」 [続きを読む]
  • 三 - i.
  • (こんな姿、誰にも見られたくないのに……何でよりにもよって、あんたが) 羞恥で頬に血が昇る。顔を逸らそうとするも、視界の中に動きがあったので中断する。 青年が己の帯を解いていた。ヌンディーク公国の伝統的衣装は、腰を何周か回って巻く、幅広い帯を使用する。彼はそれを手で平らになるよう整えてから、差し出してきた。「何の、真似よ。汚れる……」 情けなくて泣きたくなる。今度こそ顔を逸 [続きを読む]
  • いいなーやってみたい、を堪える人生
  • なんでも広く浅く興味を持ってしまうのも考え物よな。お絵描きとか音楽制作とか歌ってみたとか。全部中途半端にやってみたくなるwそんでもって最近は仕事も新しいことを学ばなければならなくて(幸せ気が多いな、ほんと。こんなさまざまな「やってみたい」を削って、残った気力を執筆にチャネリングするのが私の日々の戦いですwwとりあえず黒赤次回更新は3/30に予定しています。あと2記事で三話が終わるはずです。長くてすみ [続きを読む]
  • 三 - h.
  •  頭が展開に追いつかない。 何故自分は逆さに吊るされているのだろう。この木の樹皮には何故人面が浮かんでいるのだろう。何故、どうして、根幹に人間の頭よりも大きな目玉らしきものがあるのだろう。 目玉がギョロリとこちらを凝視している。瞼らしきものが恍惚と細められた。 笑い声がする。 化け物からではない、これは自身の喉から発せられているものだ。溢れんばかりの恐怖がこうして発散されているのだ。 視界が揺れた [続きを読む]
  • 三 - g.
  •  まだ何も始まってもいないのに、終わってしまったのだろうか。特別な絆は無理でも、せめて良好な関係でありたかったのに――気まずいままでこれから数十年を過ごすことになるのかもしれない。最悪、破談になって国に追い返される可能性だってある。(どうしてあんなこと言っちゃったの) 隠されたものを暴きたい欲求か。あれは熟考しない内にうっかり出てきた言葉だったのだろう。 落ち着いて省みれば、目に見えぬ秘密にそこま [続きを読む]
  • 三 - f.
  •  行き方は憶えていなかったが、数歩後ろを無音で歩くタバンヌスが時折「ここは右です」「階段を上がってください」とヒントをくれるので、難なく自室に到着できた。しかも運良く誰ともすれ違わずに。 部屋の入り口で、送り届けてくれた男性と会釈を交わす。「主に代わってご挨拶いたします。『良い夜を』」「……ありがとう。『あなたも』って、伝えてくださるかしら」「謹んでお断りいたします。では」 瞬間、射る [続きを読む]
  • 三 - e.
  • 「さあ」 返答はそっけない。青灰色の瞳が警戒するように細められた。 ――そんな、他人事のように言わなくても。(他人事じゃないわ。あたしにとっても、あんたにとっても。そうでしょ、『婚約者』さま) 鼻息荒く、拳を握り締めた。(踏み込んでやる) 自分にはその権利があるはずだ。(秘密に怯えて暮らすのはまっぴらごめんよ。気まずいし、周りにもきっと陰で笑われる) あの様子だと、少なくとも他の公子たちは布の下に [続きを読む]
  • 三 - d.
  • 「あれを天へと続く道だとすると、人は光の上を歩けるのか?」「魂に重さは無いんでしょう。歩けそうなものだけど」「だとしてもだ。神々は本当に人間に会いたいのか。人間を見捨てたんじゃないか」 突拍子もない話に、セリカはしばし呆気に取られた。 神々の意図について深く考えたことはない。この大陸を創りたもうた偉大なる存在はとうの昔にどこか遠くへ去っているというのが、一般的な認識なのである。「捨ててはいないわ。 [続きを読む]
  • 三 - c.
  • 「ほら」「ん、ありがと」 手渡された笛は意外と重くなかった。(でもやっぱり鉄らしく、冷たい) セリカは指穴を求めて筒状の楽器を手の中で翻した。それから、穴の位置に合わせて指の広げ方をざっくり決める。 ついさっき見たばかりの姿勢を思い浮かべ、真似た。 いざ笛を持ち上げてみると―― ――最初に思っていたほど、表面が冷たくなかった。正確には、指穴付近にほんのりと温もりが残っているのである。数秒前まで人肌 [続きを読む]
  • 三 - b.
  • (ルシャンフ領って、どんなとこだろ) 街道も通らないような未開の地と父が説明した気がする。聞いた時は鵜呑みにしたが、今になって考えてみれば、どうにも想像が付かない。未開の地に領主が任じられるだろうか。 ぐるりと展望台を回って塔の逆側からの景色を眺めに行くと、そこには強固そうな防壁があった。 背後では山が続く。月明かりに照らされる稜線は壮大で、異なる世界のように美しい。美しくて、どこか恐ろしい。 肌 [続きを読む]
  • 黒赤人物紹介
  • ミスリアは登場順でしたが今回は関係性がややこしいので、違う整理の仕方をします。アルシュント大陸では母違いの兄弟がいる場合は母の苗字をも名乗る風習があります。ゲズゥ・スディル・クレインカティ、リーデン・ユラス・クレインカティ、のように。王族公族はほぼ全員がこれに該当しますね(ゼ大公は妃をひとりしか取っていない、つまりママさんひとりで五人産んでますw 兄・姉・セリカ・弟・妹)。ヌン国の皆さんは全員正式 [続きを読む]