おのにしこぐさ さん プロフィール

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おのにしこぐささん: Small field, small grass+
ハンドル名おのにしこぐさ さん
ブログタイトルSmall field, small grass+
ブログURLhttp://smallfieldsmallgrass.blog.fc2.com/
サイト紹介文おのにしこぐさの小説ブログ。おもにBL作品を扱っています。連載を開始しました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供170回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2012/04/09 09:31

おのにしこぐさ さんのブログ記事

  • バニラアイスと本当と (10)
  •  目当ての本棚に辿り着き、資料にする本を探しながら、青木は相槌を打つように問い返した。小林は資料探しに興味はないのか、青木の隣で本棚を覗きこむだけだ。「なにがって全般的にだよ。イケメンで勉強できて教授の覚えもいいとか最強だろ普通に」「はあ? イケメンとか言うなよ、気持ち悪ぃな。っていうか、おまえなんにもわかってねえな。俺は勉強ができるんじゃなくて、きちんと勉強してんの。教授の覚えがいいのも努力の結 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (9)
  •  横目でさりげなく隣を窺えば、耳を赤くさせて田村がうつむいている。こんなに緊張し、戸惑っているのに、手を振り払うことができない田村の可愛さに青木はたまらなくなる。 どうして、こんなに田村は罠にかかりやすいのだろう。 だめだよ、と青木は心の中で言う。そんなふうに油断しちゃだめだよ。もっときちんと警戒しなよ。どこに、どんな悪い人間がいるか、わからないんだから。 ──だから、今日はここまで。 何事も焦っ [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (8)
  • 「は!? ちょっ、なに」 慌てて田村が振り払おうとするより早く、強引に引っ張って自分のダウンジャケットのポケットに突っ込んだ。ずっと肩が触れるか触れないかの距離で歩いていたのが、そのせいでぐっと近づく。「なんだよ、離せよ!」 ぐいぐいと田村は手を引いたが、もちろん青木は手を離さなかった。「なんだよって。すごく冷たくなってるよ指先。俺も指先冷たいし。こうしていたら、ぬくまるだろ。いいじゃん」「よくな [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (7)
  • 「なに買ったの」 帰り道、青木は隣を歩く田村に問いかけた。 結局、田村の行きたい古本屋には行くことができて、田村は喜色を隠しきれず、時間をかけて何冊か文庫本を選んで買っていた。他にも映画パンフレットのたくさん置いてある店であれこれ昔の映画トークで盛り上がり、歩きつかれて駅横のチェーンのコーヒー屋でひと休みして、それから帰ってきたところだった。 冬は日が沈むのが早い。最寄りの駅に着いたころには空は真 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (6)
  •  それで、青木は大切に温めていたカードを切ることになった。 初めて会った日のことを告白した。田村は覚えていないと言ったけど、それも嘘だ。彼がずっと気にしていたことはもう分かっていた。予定が狂ったな、と思う。計画ではもっとゆっくりじっくり時間をかけて距離を縮めて、甘やかして可愛がって、いっぱいいっぱいなった田村から「なんで?」と尋ねさせて種明かしするつもりだったのに。 なんとかギリギリで田村を引きと [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (5)
  •  長い夏休みのあいだ、当たり前だが田村とは全然顔を合わせることがなくて、彼の眼差しを感じることも、彼の唇を目の当たりにすることもなく、そのあいだにとうとう青木は自覚した。 自分は、田村のあの頑なな唇をこじ開けたいと思っている。唇がせき止めている感情を暴きたくてたまらなくなっている。そして、暴かれたその感情は自分にだけ向けられているべきだと思っている。 青木は有言無言に関わらず、これと決めたことは実 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (4)
  •  実は青木は入学式をさぼっていて、そろそろオリエンテーションの時間かと大学構内に足を踏み入れたところ、どうやら少し出遅れてしまったことに気がついた。遅刻かな、と思いつつも悠然と、人の流れも絶えたあとに指定の教室のあると思しき校舎に辿り着き、入り口付近に貼られた案内図を覗きこんだところ、隣から声をかけられた。 着慣れていないのが一目でわかるスーツ姿の小柄な少年。 全身から緊張が溢れていて、新入生だと [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (3)
  •  想像だけで充分に胸がうずく。けれど、こんな街中でそんなことをしたら、本気で田村は嫌がるだろうし、怒るだろうし、もう帰る!と言い出しかねないので、青木はやめることにした。するとしたら、人気のない夜の住宅街で、だ。 誰も見てないよ、と囁いて、こうしていたら暖かいだろ?と言い募ったら、きっと田村は羞恥と戸惑いに震えながらも手を振り払えなくなるに違いない。だから、それは帰り道の楽しみにとっておくべきだっ [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (2)
  •  田村は目の前で食後のバニラアイスを食べていた。小柄な見かけによらず、けっこう彼はよくものを食べる。普段はムッとつぐまれている唇がおいしそうに食べものを食んでいく様子は見ていて楽しい。青木にとってはそれこそが甘いもののように、田村を前にして食後のコーヒーを味わっていた。「うまい?」「ん。普通にうまい。……食う?」「田村が、あーんしてくれるなら」「馬鹿かおまえ」 そう呆れ顔を見せた田村は、店に入る前 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と
  •  いつも田村はきゅっと唇を真一文字に結んでいる。 表情を変えてなるものか、と言わんばかりに白けた顔をして、そっけない眼差しで周りを眺めている。 なんか不機嫌そう、と誰かが言うのを青木は耳にしたことがあった。不機嫌そう、真面目そう、つまならさそう。うん、確かにそう見える。そう見えるけれど、本当は違うことを青木は知っている。彼はなるべくそういうふうに見せているだけだ。感情を表に出さないようにして、隙も [続きを読む]
  • 次回予告
  • すっかり花粉の季節に突入してしまいましたね。今年もノーガードで勝負に挑む気満々の今日このごろ、皆様いかがお過ごしですか。私はだめです。すでに勝負に負けつつあります。さておき、一ヶ月更新ナシで広告が表示されてしまう前に、次回予告を出しておきます。◆バニラアイスと本当と 50話くらい?クラスの真ん中で何事もスマートにこなす青木耀史は、ようやくクラスメートの田村公章と両想いになった。が、関係を他人に知られ [続きを読む]
  • 拍手御礼
  • こんばんわ。ラーメンと嘘と完結後、拍手コメントへのお返事です。カオレさますいません〜!ラブ持ち越しです(笑)いや、書いていてどうしても田村が素直になってくれなくて。田村編はここが限界です、となりました。確かに青木、努力家ですね〜。確信犯の努力家。しかし、いまいち報われているんだか、ないんだか…。そんな青木くん編は、もちろんかなりハンティングしてますw ぜひ青木編もお楽しみに!MNさまいつもありがとう [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (あとがき)
  • このたびは「ラーメンと嘘と」をお読みいただき、ありがとうござます。ひとまず終えました。ほっとしています。自分でも、構成も展開も完成度的にはいまちだなあ、と思っているのですが、なかなかいい収まりどころも見つからず。とりあえず田村が可哀そうかわいいからいいか〜ということで、そのまま公開させていただきました。お楽しみいただけたなら、良いのですが。さて、青木×田村というカップリング。「自意識の犬」のスピン [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (58)
  •  ──どうして、こんな男がいるのだろう。 そらせずに彼の目を見返せば、ずきりと心臓が痛んだ。 嘘つきで、意地悪で、まっすぐで眩しくて、ずるい。 ……おまえみたいになりたいと思ったわけじゃない。ただ、どうしてこんなにも違うのか、いつも思っていた。いつも遠くから、陽のあたる場所を眩しく眺めていた。近付けば近付くほど苦しくて泣きたい気持ちになった。 この感情はなんなのか。そんなものはきっと最初から明らか [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (57)
  • 「……だっ、て、いつも嘘ばっかり。い、一度も言わなかったじゃないか、入学式のときのこと。ずっと、知らないふりしてきたくせに」 言いながら、苦しく熱く喉が震える。 校舎裏とはいえこんな大学構内で泣くなんて最悪だ。今さらこんな些細なことを引っ張りだしてまた青木の前で泣くなんて最悪だ。そう思うのに、身体が固まって動けない。 ふとぬくもりが肩に触れた。気づくと青木が一歩近づいて、田村の肩を抱き寄せていた。 [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (56)
  • 「ひと目につきたくないんだろ? 理由は理解できないけど、おまえがそうしたいなら、俺はそうするよ。今日はわざと声をかけたけど、するなっていうなら二度とクラスで声をかけない。俺にはわからないって田村は言うけど、俺は田村のことわかりたいと思っているよ。おまえの気持ちに寄り添いたいと思っている。……でも、田村はそうじゃない。田村のほうこそ俺のことをわかってない。わかろうとしていない。信じようともしない」「 [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (55)
  •  おまえを見るたびに不思議に思う。 どうして、俺はおまえみたいにならなかったのだろう。光のあたる場所で、舞台の真ん中で、たくさんの友人に囲まれて、いまどきのスタイル、清潔感のある髪型、さわやかな笑顔、流行りの話題、飽きさせない話術。……別に今の自分を後悔しているわけじゃない。羨ましいわけでも憧れているわけでもない。ただ不思議なんだ。なぜ自分はそうじゃないんだろう。どうして。 なぜ、こんなにも、おま [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (54)
  • 「逃げるなよ、田村」 反射的に振りほどこうと腕を跳ねあげたが、思いがけず強い力に捕えられ、田村は彼から離れそこねた。歴然とした腕の力の差に、カッと腹の奥から熱い感情がこみ上げる。「ちょっ、なんだよ! 離せよっ!!」「嫌だよ、離さないよ。なに逃げてるの。またひどいことされたいの?」「っ、んなわけあるか!」「だったら話の途中で逃げないでよ。俺から逃げ出さないで」「おまえが……っ」 怒りのまま怒鳴り返そ [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (53)
  •  決めつけるような言葉に驚いて顔をあげた。「田村は素直だけど、素直じゃない。嫌だけど、嫌じゃない。そうだろ? ずっと見てたから、俺にはわかるよ」「────」 目を見開く田村の視界のなかで、青木が一歩距離を詰めてくる。ぼう然としていて、ゆっくりと自分のほうに伸びてくる手を田村は制止することができなかった。 熱い青木の手のひらが、冷え切った田村の手を掴む。「わかってるよ。田村にとっては、この状況が嫌な [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (52)
  • 「今から。それで、賭け、終わりにしていいよ」 思わず田村はぽかんと彼を見返した。青木がにっこりとほほ笑み返してくる。 賭けを、終わりにする? 今さら、なぜそんなことを言う。先週、部屋を出て行ったことで終わりになっていたんじゃないのか。「嫌?」 相変わらず青木らしい聞きかた。急激に苛立ちが湧きあがって、田村は青木を睨み返した。「い、嫌に決まってるだろ! だいたい先週ので終わりだったんじゃないのかよっ [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (51)
  •  青木たちがわいわい騒ぎながら連れだって、教室の出口へ向かう。「……飯、行くか」 ようやく城崎に声をかけて、城崎からは「ああ」と低く短い返事だけがあった。 青木たちは大体いつも広い第一食堂へ行く。田村と城崎も第一に行くことのほうが多かったが、今日はできれば避けたい。「なあ、今日、第二行かねえ?」「あ? ……ああ、いいよ」 理由を聞かれなかったことにほっとした、そのとき。「ああ、そうだ。悪い、──田 [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (50)
  •  ──もういい、わかったよ。帰りたいんだろ? 帰っていいよ。 青木の声を思い出すと、胸がつぶれるように苦しくなる。 その直前に信じられないようなことをされ、悔しくて恥ずかしくてひどい思いをしたのに、それよりもっと鋭く胸の奥が痛みに叫びをあげている。 でも、これでよかったんだ、と田村は思う。青木のほうから見放されて、よかったんだ。これでもう悩まないでいい。人の目を気にしたり、疑ったり、苦しい思いをし [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (49)
  •  ……中学のとき、短い期間だが、いじめにあったことがある。 学校ではそれが?いじめ?であったとは認識していなかっただろう、と田村は思う。大きな問題になる前に終わったということもあるが、?それ?があまりにも巧妙に行なわれたから。まるで同級生同士の遊びの延長のようにみせかけた?からかい??いじり。 しかも田村を?いじって?きた中心人物は、教室でも一目置かれているようなクラスメートたちだった。スポーツが [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (48)
  • 「……もう、いやだ。こんなの」「どうして」「……馬鹿にされたくない」「馬鹿になんてしてない」 言いながら、青木の手が田村の頭を抱え、指を後ろ髪に絡めるようにして撫でてくる。その手は優しい。さっきまで田村を苦しめていた手がどうして今はこんなに優しいのか、田村はわからない。……いや、わかりたくない。「馬鹿にされていると思いたくない。考えたくない。……もう、疑いたくない」「俺はそんなことしないよ」「…… [続きを読む]
  • ラーメンと嘘と (47)
  • 「だから、言ったでしょ。ひどいことするって。田村が俺から逃げようとしたから、ひどいことしたんだよ」 平然とそんなことを言い放つ。悔しくて、自分が情けなくて、腹が立った。「そんなに俺のこと馬鹿にして楽しいのかよ! こんなことまでして……っ」「馬鹿にしてない」「してるだろ!」 大声で言い返したのが引き金になって、感情が溢れだす。「お、男の手で、簡単にいっ、たとか、は、やい、とか、どうせ気持ち悪いとか思 [続きを読む]