おのにしこぐさ さん プロフィール

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おのにしこぐささん: Small field, small grass+
ハンドル名おのにしこぐさ さん
ブログタイトルSmall field, small grass+
ブログURLhttp://smallfieldsmallgrass.blog.fc2.com/
サイト紹介文おのにしこぐさの小説ブログ。おもにBL作品を扱っています。連載を開始しました。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供170回 / 365日(平均3.3回/週) - 参加 2012/04/09 09:31

おのにしこぐさ さんのブログ記事

  • バニラアイスと本当と (33)
  •  縛るつもりなんてなかったのにな、と青木は思った。 そもそもそんな趣味はないから、用意があるわけでもなく、結局、前回と同じようにベッドの上で、脱がしたシャツで手首を縛ることになった。しょせんネルシャツで結んでも、力任せに手首をねじればすぐに取れるようなものだ。だけど、もちろん青木は田村に手首に集中させる余裕を与えたりはしなかった。 乱暴に掛け布団を床に落とし、強引に抱え上げた田村の身体をベッドの上 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (32)
  • 「っ!」 ぐっと田村の手が青木の胸を押しやろうとする。「……ダメなの?」 青木は聞いた。 乱暴にはしたくなかった。初めて触れたときのように、強引にはしたくなかった。 もっとずっと、優しくしたい。 甘くとろけるように、気持ち良くしたい。「嫌なの?」 耳元で直接尋ねながら、やわやわと内腿を撫でる。肝心な場所には触れず、その際を指先でなぞるようにして、この先に青木が望んでいる行為を示す。 田村の声は小さ [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (31)
  • 「…………ん、っ」 とろりと舌と舌が絡みあった瞬間、田村の身体がびくりと震え、反射的な動きで身体が逃げ打った。両腕をしっかりと掴んでいるから、そんなものは無駄な抵抗で、逃れるのを許さず、青木は口の中でくちゅくちゅと音をたてるように舌を吸い上げた。「ぁ、……は、……ん、……ん」 キスの合間に甘い吐息が洩れ、鼻についたような掠れた声がこぼれる。 ずっと拳を握っていた田村の手がなにかに縋るように青木の肩 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (30)
  •  そういうところも可愛いと思うけれど、と見つめていると、ようやくその眼差しに気づいて、田村はムッと顔をしかめた。「なんだよ」「いや、本当に好きなんだなあ、と思って。映画? っていうかSFか」「……どうせオタクだよ。なんか悪いかよ」 急に決まりが悪くなったように視線をそらして、不機嫌そうな──青木の耳には拗ねたように聞こえる声を出す。「いや、悪いんじゃなくて、可愛い」「は!? おまえ、なに言って…… [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (29)
  • 「とりあえず、トム・クルーズ見ようか。あ、そうだ。映画にはポップコーンとコーラかと思って、ポップコーンも買ってあんの。飯食ったばかりだけど、開けとこうぜ。普通の塩味だけど、キャラメルとかフレーバーが良かった?」「キャラメルはないだろ」「そう? キャラメル、意外にうまいよ。バニラアイス好きって言ったわりに、田村ってあんまり甘党じゃないよな」「嫌いじゃないけど、甘いもんって食べすぎると気持ち悪くなんね [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (28)
  •  きみを、どうしようか。 部屋に閉じ込めて、逃げられないようして、泣くまで愛してあげようか。 それともなにもしないで、きみの不安をあおって、心を縛りつけようか。 ……どっちにしろ、自分には彼を泣かせることしかできないようだ。どうして、こんなふうに思うんだろう。どうして、こんな残酷な気持ちになるのだろう。 ただ、好きなだけなのに。 玄関先に立つ田村を見たとき、青木は一瞬、本気で悩んだ。 唇を真一文字 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (27)
  •  田村が、会いたいと言ってくれればいいのに、と思う。 好きだ、と言ってくれればいいのに。 だが、そう思うのは幻想で、言わないのが田村であり、言えない田村のことが好きだというのも間違いなく事実だ。 せいぜい田村が言えるのはこのぐらい。 ──?炒王?、いつ行く? そのうち行こうと約束した、おいしいという噂の炒飯の店のことだ。 ねえ、それって俺に会いたいって言ってるの? あの電話以降、俺とふたりで会って [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (26)
  •  そのあいだ、青木は新入生と楽しく会話していた。 初めて顔を合わせて緊張しているひとの口を割らせるには、自分のことを打ち明けるのが良い手法だ。自分たちはこうだった、と話をして、きみたちはどうしたい、今までどうだったと尋ねる。そうすると、相手がここまで話しているのなら、自分も同じように話してもいいと思えてきて、口が開きやすくなる。 聞きたいこと、なんでも聞いていいよ、と言ったら、そのうち明るい髪色の [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (25)
  • 「そう、わかった。じゃあ、いいや。また、連絡するね」 そう言い放って、青木は通話を切った。 口調は柔らかかったが、一方的だった。きっと田村のほうはもっと青木が強引にねだり、押しきってくると思っていただろう。だが、青木はそうしなかった。 こういうやり方は賢くない、というのはわかっている。優しくしておいて、不意に冷たくする。甘やかして、急に突き放す──そんなやり方はDVと一緒で、意図的にやるのはあから [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (24)
  • 「そういや、良かったよな。中島、大学、辞めずに済んで」「……ああ、まあ」「俺も詳しくは聞いてないけど。とりあえず同級生のままでいられてよかったっていうか」「…………まあ、そうだな」 なぜか城崎は言葉をにごした。 年明けに中島は家庭の事情で大学を辞めるかどうかを迷っていた時期があったらしく、それに関わって城崎が説得かなにかをしたようだった。青木も、年末から中島の様子が少しおかしいことには気がついてい [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (23)
  • 「……あれ、青木」 休み中、図書館に本を返しに大学に寄ったら、珍しく中島に遭遇した。 天気のいい日で、来る入学式のためにサークル勧誘のための立て看板を設置する学生の姿もちらほらと見かける昼下がりの大学構内の一角ですれちがったのだった。 珍しく、というのはこの春休みのあいだ、彼はだいぶバイトを入れて忙しくしていたからだ。中島の隣に城崎がいたが、気にせずごく自然に青木は、よお、と手をあげた。「おお、半 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (22)
  •  朝から奥の奥まで探るような濃厚なキスをしたくなったけれど、青木はほんの軽く触れるだけのキスに留めた。本当に一瞬触れるだけのキスをして、間近で顔を覗けば、もう泣きだす一歩前。精一杯の理性で身体を引きはがし、なんでもないふうを装って、青木はまたベッドに横になった。「あーあ。そんなに怯えられると、さすがに傷つくなあ。……でも、俺、本当に昨日はなにもしてないよ。あのキスだけ。それ以外は田村が嫌がることは [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (21)
  •  羽毛布団の上に掛けてある毛布を引っ張って、田村の方に押しやると、さすがに寒かったのだろう端っこを掴んでずるずると引き寄せて抱え込んだ。さすがに自分がどんな格好をしているのかはもう気がついていて、それに田村は真っ青になっているのだった。 下着とアンダーシャツ一枚の格好。 全裸じゃないんだから別に大したことないのに、と青木は思うが、田村はそう思っていないのは明らかだった。 毛布を抱えて、真っ赤な顔で [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (20)
  •  気持ちいいキスを交わしたばかりの青木の身体はほんのり熱を持ち興奮して、どちらかといえば今からが本番の勢いで、どうやって田村の身体をいただこうか、と心をはやらせていたところだったのだが。「……信じられない。今からだったのに」 そんな囁きとともに耳朶にキスを落としたが、田村はわずかくすぐったそうにしただけで目を覚まそうとはしなかった。 しばらくそのまま田村の身体を胸の中で抱きとめて、青木は深く息を吐 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (19)
  • 「なんで。おかしくないよ。好きな子がこんなに近くにいるんだよ、キスしたいと思うのは普通のことだよ。ね、田村、キスしたい」「ふ、ふつうじゃない。俺、男だし」「知ってる。でも関係ない。俺は田村にキスしたい。ダメならダメって言って。イヤなら俺を突き飛ばして」 本当は強引にキスをしてもよかった。だけど、こうして青木のアプローチに困って、腕の中で泣きそうになって震えている田村が可愛くて、青木はわざと言葉でね [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (18)
  •  青木が手を伸ばし、そっと田村の肩に触れた途端、びくりと身体を震わせて田村はその手を払いのけた。本人が思っているよりアルコールが回っているのだろう、勢い身体がかしいで、田村は背中のベッドにもたれかかった。「ほら、ダメじゃん」 その身体を支えようと青木は手を伸ばしたが、田村は手を振り回してそれを拒んだ。「やめろ、触るな。おまえ、距離近いんだよ」「あのね。距離が近いっていうのは、こういうことを言うの」 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (17)
  • 「二次会、田村、来てくれないしなあ」「誰が行くか、カラオケなんて」「誰がって、小林と向井と、中島と──」「行ったメンバーを聞いてるわけじゃねえよ」 もちろんわかっているけれど、とまでは言わずに青木は笑って、田村のグラスにビールを注ぎ足した。 そういえば、二次会では中島がちょっと沈んでいたな、と思い出す。人との付き合い方に悩んでいるふうだった。きっと相手は城崎だろう、とさすがに青木も想像がつく。自分 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (16)
  •  なにを考えて聞いてるのかな、と思いつつ、自分のことを聞いてくれることに青木はまず満足した。二人きりでこういう時間を過ごすのはいい傾向だ。「なに、田村は全然飲まないの?」「未成年だぞ。普通は飲まないだろ。……それに、あんまり飲める感じしないし」「緊張してるとすぐ酔いが回るらしいよ。一気に飲むのも良くないし。こんなふうにさ、気の置けない相手と気安く飲んで、少しずつ飲むのに慣れていけばいいよ」「……気 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (15)
  • 「それだけ? …………つーか、今、一晩寝かすって言った?」「言ったな」「今日食えないのかよ!」 田村が突っ込んだ。笑い出したくなったけれど、青木はこらえて、まるで今それに気づいたふうを装った。「あー、そうだね。食えないね。一晩寝かして食べられるのは明日の朝。──朝ラー?」「…………青木、おまえ」「明日、日曜で良かったな。明日の朝、ゆっくりと朝ラーできる」「────」 田村は返す言葉も失って、あっけ [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (14)
  • 「どうかした?」「……飲み物、持ってきた。あと、菓子、ちょっと持ってきた」「酒?」「酒? いや、ジュースとお茶」 まったく田村らしい。冷やそうか、と言って、スーパーの袋を受け取った。ジュースを冷蔵庫に収める入れ替わりに、中からビールを取り出した。「飲む?」「未成年」「いや、知っているけど。飲まない?」「……でも、未成年」 そういえば、クラスの飲み会でも田村は飲んでなかったか、と思う。もちろん未成年 [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (13)
  •  ──おまえが言うと嘘っぽいよな。 真面目なふりをして授業を聞きながら、青木は考える。どうやら自分の言葉は嘘っぽく聞こえるらしい。小林が言うように田村も考えているのだろう。彼は基本的に青木のことを信じていない。まあ、確かに嘘ぐらいは簡単につけるし、今までもついてきたけれど。 どうしたら、信じてもらえるかなあ。 そう考える青木の脳裏に浮かぶのは、田村の泣き顔だ。唇を噛んで、涙をこらえる顔。思い出して [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (12)
  • 「……なんだそれ」「あのセンセー酒好きだし、絶対参加するし。まあ、打ち上げの参加が評価に関わることなんてないけどさ、参加しておいたほうがいいよ。っていうか、センセーにもうクラス全員参加するって言っちゃったし、来ないとまずいんじゃないかなあ」「…………」 絶句、とまではいかないが、田村は黙り込んだ。 さすがに青木のやり口をもう学んでいて、最終的に青木がどんな手段をとってでも、田村を参加させる気である [続きを読む]
  • バニラアイスと本当と (11)
  • 「あいつら、またつるんでるな」 と小林。青木は肩をすくめるだけに留めて、行こうぜ、と外へ促した。誰が誰と仲良くしていようが、その片方が田村でないかぎり青木はまったく興味がないが、小林は始終そんなことを気にしている。「あいつらも、打ち上げに呼ぶのか?」「当たり前だろ。クラスの打ち上げだぞ」「クリスマスは来なかっただろ。来ないんじゃねえの、今回も」「あれは有志だし、今回は教授呼ぶから来るんじゃねえの。 [続きを読む]