福元早夫 さん プロフィール

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福元早夫さん: パワースポットうそきの滝自然公園
ハンドル名福元早夫 さん
ブログタイトルパワースポットうそきの滝自然公園
ブログURLhttps://ameblo.jp/hayaofukumoto/
サイト紹介文うそぬきの滝自然公園にある植物を通して、自然とは何か、生きる事は何かを追求しています。
自由文 鹿児島県加治木町にある、パワースポットうそぬきの滝自然公園には近年日本各地より、様々な方が訪れるようになりました。公園にある植物を通して、自然とは何か、生きる事は何かを追求しています。ご覧になって頂き、生きる力にかえて頂ければ幸いです。


著書
1985年 小説集 「工場」
1991年 小説集 「家」
1994年 小説集 「蒸気機関車を降りてから」
    (いずれも編集工房ノア刊)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供382回 / 365日(平均7.3回/週) - 参加 2012/04/28 22:37

福元早夫 さんのブログ記事

  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十五作大相撲物語「……ナスビの花と親の意見は、千に一つも仇はないとことわざにあるが、ナスビの花には,無駄な花がない。それと同じで,親が子にする意見には,間違いが無いものよ」小学校の6年生になったタケルに、祖父がこういった。夕食前だった。南九州のこの地から出た力士がいた。タケルは大相撲が好きになった。子ども仲間でも、相撲をとってよく遊んだ。 神社の境内で、地域の [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十四作子牛物語 タケルは祖父とジャガタを植えることになった。ジャガイモのことである。ジャガタライモの略称で、1598年にジャガタラから渡来したからこの名があるそうである。ジャガタラは、現在のインドネシア共和国の首都であるジャカルタの、古い呼び名である。近世そのころの日本では,ジャワ島の意味に誤解していたそうである。 オランダ船がジャワから積んできた貨物に、このジャ [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十三作サツマイモ物語「……カラのイモはとても育てやすい。それに、おいしい。おなかもいっぱいになる。琉球でも作れないものか」こういって、唐(から)のイモを沖縄へはこんできたのは、野国総管だった。 江戸時代のはじめのころのことであった。琉球から使者となって、中国大陸へおくられた野国総管は、そのとき、日本ではまだ作られていなかったイモを見つけた。 「……琉球は毎年のように [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十二作文章教室物語 名古屋の運送会社で働いている兄ちゃんから、現金書留がとどいた。親への仕送りだった。返事の手紙を書かなければならない。祖母はタケルに便箋と鉛筆をもたせてから、ならんで机がわりの食卓に座りこんだ。 「……ひと筆、申しあげます」祖母が目をとじていう。つぎのことばが出てこない。また、一筆申しあげますと同じことをいう。咳をしてことばを絞りだそうとする。頭 [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十一作ヤマイモ物語「……山にウナギを捕りにいこうや」 祖父がこういって、山クワをかついだ。タケルは麻袋のアンペラを手にした。竹の子を掘りにいくときの格好だった。 山道を登って行く。さらに道のない雑木林をかきわけていく。静寂のなかで、タケルは自分の吐く息が聞こえる。枯れ葉を踏む足音と合唱する。祖父と二部合唱である。 「……おお、おったぞ、これじゃ、これじゃ。太かウナ [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第十作収穫祭物語 祖父と祖母のまとまった現金収入は、秋の米の収穫だった。馬のアオが春に耕した田んぼに、家族で植えた稲が、黄金色にみのった。掛け干しの天日乾燥をすませて脱穀する。米俵を農協へ供出して、一等米や二等米などと評価される。それに基づいて、現金が渡されてくるのだった。そのお金を手に、祖母は1年に1度の、まとまった買い物をするのだった。 「……昼めしは手持ったか [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第九作乗馬物語 「……アオ、運動に行くぞ。食べてばかりしておってら、病気になるからな」 タケルは祖父が育てたニンジンを馬のアオに与えて、口にくつわをはめてから、うま屋から引きだした。「ヒヒーン、ヒヒーン……」メス馬のアオがいなないた。機嫌がいい。大好物のニンジンと、久しぶりの外出である。 アオの仕事は、田植え前の田起こしと代かきが主だった。それから秋になって、稲刈り [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第八作運動会物語 戦争がおわって10年がすぎていた。秋になって田んぼの稲刈りがすむと、運動会だった。タケルは楽しみであったり、苦手だったりした。足がはやくなかったから、短距離走がおそい。かわりに障害物競走や長距離走が得意だった。 祖父につれられて幼いころから山道を歩いたり、狭い田んぼのあぜ道を走ったりしたせいだった。足が早いのは、遺伝だと思っていた。たしかに、親が早 [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第七作新聞少年物語 「……5時じゃっど、タケル、もう起きんか。一番列車がいまにくるぞ」 囲炉裏に火を燃やして、茶をのみながら祖父が声をかけてくる。土間に降り立った祖母は、カマドでみそ汁をつくっていた。眠い目をこすりながらタケルは、井戸水をくみあげて顔を洗う。愛犬のベルが寄ってきた。  中学生になったタケルは、新聞配達をはじめた。欲しい物がった。バリカンとゴム長靴だっ [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第六作名古屋物語  タケルがこの地をはじめて遠く離れたのは、小学校の6年生だった。冬休みである。祖父と二人で、鹿児島駅から急行列車に乗った。名古屋へむかった。そこには兄ちゃんが待っている。再婚していった母の弟である。「……汽車に乗りこんだら、もう名古屋についたようなもんじゃ」祖父がほっとしてこういってから、列車が走り出して、祖母が手づくりした弁当を広げた。高菜の漬け [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第五作無病息災  六年生になってから、タケルは選ばれてソロバン部にはいっていた。郡部の大会が近づいていた。暗くなるまで練習がつづいた。読み上げ算、見取り算、暗算と、商業高校の教師がやってきて特訓した。得意だったから、タケルは苦痛ではなかった。幼いころから、祖父がはじく五つ玉のソロバンを見てきたからだった。 「……腹がへったなあ」学校の帰り道だった。ひとりごとをいいな [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第四作俳優志願「……大根役者とよく人が言うが、芸の下手な俳優を、あざわらっていう言葉なんじゃ」ハクサイとミズナを、鶏肉で煮込んだナベにハシをのばしながら祖父がいった。ダイコンも入っている。「役者に年なしとことわざにありますが、役者は年をとった役でも、若い役でも、それらしくうまくやりますなあ。ほんとうの年がわからん、いつまでも若い」祖母がハクサイをハシでつまんで、ご [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第三作桜島紀行 「……島デコンと、ワラと換えてこんか。ミカンもよかね」 祖父がこういう。 タケルは自転車の荷台に広い板を敷いて、そこに稲のワラを高く積み上げて、町中を港へむかってペタルをこいでいった。桜島大根が桟橋に並べられている。ミカンの甘酸っぱい匂いが、潮風に吹かれている。うまそうである。喉がゴックンと鳴った。  タケルは中学二年生だった。この地の加治木と桜島は [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第二作貧乏物語 中学生になってはじての遠足は、錦江湾だった。潮干狩りである。学校から須崎浜海岸まで、長い列になって歩いていった。中学校は町の三つの小学校が合流していたから、新学期の交流会のようなものだった。目のまえに桜島がどかんと腰をすえている。入江は潮がひいて、遠浅になっている。貝をさがした。「……どっさり掘ってこい」こういって祖母が持たせた大きな布袋が、いっぱい [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二部・第一作 初恋物語  冬の寒いときだった。子牛をうま屋から連れだして、祖父と稲田を耕した。畑にするためだった。そこからは、うそぬきの滝がみえる。水神様をはじめに、滝にやどる天の神や山の神たちが、野良仕事をはじめたタケルを見守っていた。 寒くなって、滝つぼやそこからの流れで遊ぶことはできなかった。アユをはじめに淡水魚たちも、川の流れをくだって錦江湾へともどっていった。海 [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第十一作タニシ捕り 「……よか日和でよかった。走ったか、何番じゃったか。怪我をせんように走れよ」 学校の秋の運動会の、昼食のときだった。祖父は焼酎の小さい瓶をそばにおいて、タニシにハシをのばしていた。「……あわて走らんでもよか。あぶないと思うたら、人にゆずってやれ」タケルの競技など祖父はどうでもよかった。焼酎で顔を赤くして、タニシに箸をのばしつづけていた。タニシを食べるため [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第十作カニ捕り「……あわてふためくことを、カニの穴はいりというが、カニは人の足音を聞くと、一目散で巣穴にもぐりこんでいく。忙しい。見ていておかしいのじゃ」カニの白身を酢醤油につけて、ハシで口にしながら祖父がいった。夕食のときである。カニの甲羅をわって、ハシでつつきながら祖母が応じた。 「口の中でぶつぶつ言う人がおりますが、カニの念仏ですなあ……」「そうよ、捕らえてカゴに入れ [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第九作ナマズ捕り「……田植えがすんで、これでやっとひと息つけるな。どこの田んぼも、早苗が並んだ。この後は、天の神様たちの仕事じゃ。夜が明けたら、水神様に手を合わせにいく」 焼酎を手にした祖父がこういってから、ナマズの白身をうまそうに口にしている。好物のエビに、祖母がハシを伸ばしていく。囲炉裏の火が赤く燃えて、祖父と祖母の顔を照らしている。神棚にまつられた大黒様も嬉しそうで [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 連作連載小説」神への道第八作ドジョウ捕り モッコを手に持って、ドジョウを捕りにタケルはでかけた。もう片方の手には、水バケツである。広大な水田は、春に植えた稲が、膝の高さに生い茂っている。夕日をあびて青々とかがやいている。用水路は、うそぬきの滝からの水の流れである。水の神様の贈り物だった。そこにはドジョウやメダカがどっさりいるのだった。 モッコの語源は、持ち籠からきていると祖父からきいた。竹で網のよ [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第七作ウナギ捕り「うそぬきの滝には、ウナギの大きいのがいるそうだな。家族が好きでねえ、女房が欲しがるんだよ……」 タケルが中学生になったあるときのことだった。体育の教師が、運動場でこういってきた。夏休み前のあつい盛りだった。それからしばらくして、タケルは水バケツに見てくれのいいウナギを3匹ほど泳がせて、持って行った。奥さんと子どもが顔をだしてきた。「あら、でっかいわ、おい [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 神への道第六作 コイのつかみ捕り 水中メガネを額にはめて、パンツひとつでタケルはうそぬきの滝へ行った。滝つぼは水面が濃い緑色をしている。足をつけると、冷めたい。潜っていくと、さらに冷えている。はじめは水面で泳いで遊んでいた。  天の神をはじめに、水の神や山の神などの、自然界の神々がやどるこの滝は、錦江湾から流れをさかのぼってきた淡水魚たちの、天然の水族館である。はじめに寄ってきたのは、メダカの群れ [続きを読む]
  • 連載小説連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第五作 フナのつかみ捕り うそぬきの滝からの流れは、鈴玉川とよばれている。川の流れには、急流があちこちにある。水の流れる音は、さらさらではない。チリン、チリン、と鈴がころがっていく音である。金属に似た音がする。それで鈴玉川の名がつけられた。錦江湾へとむかって、チリン、チリンと流れていく。 フナの仲間たちは、音楽を楽しんで暮らしていた。鈴の音は、心を癒してくれる。泣き叫ぶ幼 [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第四作 アブラハヤ捕り 田んぼの用水路には、ハヤのほかにもいろんな魚がすんでいた。タケルは路傍の小川を追いかけていった。うそぬきの滝の流れをくだってきた淡水魚たちが、楽しそうに泳いでいた。狙うのはハヤである。タケルは手でつかまえてやろうとする。すばしこい。逃げる、早い。網を仕掛けても、ひょいとからだをくねらせる。「あばよ、子どもにつかまってたまるものか」こういって、ひょいと [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第三作 モッゴ捕り うそぬきの滝からの川の流れには、モッゴがたくさん泳いでいた。ゆるやかな流れで、すいすいとからだをくねらせて、仲間たちと遊んでいた。タケルは小学校の高学年になっていた。モッゴを捕るのは楽しかった。こんな面白い遊びはどこにもなかった。夏になってモッゴたちは、アユのように大きくなっていた。 「……あのモッゴたちを捕ってやろう」 タケルはフライパに油をひいた。米 [続きを読む]
  • 連載小説 「神への道」
  • 「連作連載小説」神への道第二作 アユ捕り 春になると、アユが海から川をさかのぼっていく。桜島山がどっかりと腰をおろした錦江湾から、大群をつくって上流へ泳いでいく。川面にアユの背びれが、銀色に光っている。太陽に反射してキラキラ輝いている。うそぬきの滝の清流へむかって、すいすいと泳いでいく。そこは淡水魚たちにとって、神への道だった。滝には自然界の神々がすんでいる。 「……アイのイオを、捕りに行かんとな [続きを読む]