福元早夫 さん プロフィール

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福元早夫さん: パワースポットうそきの滝自然公園
ハンドル名福元早夫 さん
ブログタイトルパワースポットうそきの滝自然公園
ブログURLhttp://ameblo.jp/hayaofukumoto/
サイト紹介文うそぬきの滝自然公園にある植物を通して、自然とは何か、生きる事は何かを追求しています。
自由文 鹿児島県加治木町にある、パワースポットうそぬきの滝自然公園には近年日本各地より、様々な方が訪れるようになりました。公園にある植物を通して、自然とは何か、生きる事は何かを追求しています。ご覧になって頂き、生きる力にかえて頂ければ幸いです。


著書
1985年 小説集 「工場」
1991年 小説集 「家」
1994年 小説集 「蒸気機関車を降りてから」
    (いずれも編集工房ノア刊)
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供382回 / 365日(平均7.3回/週) - 参加 2012/04/28 22:37

福元早夫 さんのブログ記事

  • 蒸気機関車を降りてから 連載第5回
  • 連載小説小説集「蒸気機関車を降りてから」蒸気機関車を降りてから(連載第五回)       (五) 「エリート」のある今津は、工場から二キロメートルばかり北へいった、この市のほぼ中心部にあたる。ぼくたちは自転車にのると、今津までの道を、競輪選手になってとばした。 野々村はつねに先頭を奪いたがり、渡辺が奪い取ろうとすると、車体を倒して邪魔をし、ぼくが出ていくと、長い脚足を突きだして蹴とばそうとし [続きを読む]
  • 蒸気機関車を降りてから 連載第四回
  • 連載小説小説集「蒸気機関車を降りてから」蒸気機関車を降りてから(連載第四回)       (四) 「帰りにいっぱいやろう」といったのは堀川だった。尊敬すべき先輩のあそこに無礼なことをしたので、そのつぐないをしたいと、堀川は勝手な口実をかんがえだし、渡辺を誘うと、二つ返事だった。指を丸めてにっこり笑った。 そうなると話は簡単だった。ぼくたちは急いで通勤服に着替えると、いつもより入念におめかしを [続きを読む]
  • 蒸気機関車を降りてから (連載第三回)
  • 連載小説小説集「蒸気機関車を降りてから」蒸気機関車を降りてから(連載第三回)  (三)  ぼくは頭にシャンプーをしみこませ、うつむいて髪を洗っていた。ヘルメットをかぶって仕事をしていても、髪の毛は粉塵をいっぱい吸いこんでいる。痒くてかゆくてたまらないのだ。 目をとじ、歯をくいしばって掻きむしっていると、後ろのほうからぼくのあそこをいじわるしている。堀川の奴にちがいない、と思った。 爪先でポン [続きを読む]
  • 蒸気機関車を降りてから (連載第二回)
  • 連載小説小説集「蒸気機関車を降りてから」蒸気機関車を降りてから(連載第二回)  (二)  仕事を終えて風呂にはいるとき、自分が牛や馬とおんなじだ、と感じるときがある。終業のサイレンが鳴って更衣室へ走るときの解放感、油と汗に汚れた作業着を脱ぎ捨て、素っ裸になって風呂場へ走るときの解放感、タイムカードを押して工場の門を出るときのあの解放感、そこにぼくは動物的な本能にひたっている自分を感じるのであ [続きを読む]
  • 息子の友だち(連載第六回・最終回)
  • 連載小説・小説集「工場」から息子の友だち(連載第六回・最終回)  (六)  市場の中は、むこう側からこちら側へ、こちら側からむこう側へと、生活や家庭のにおいを背負ったおびただしい人々が、忙しく押し流されている。女たちがほとんどだ。 その流れにながされていきながら、ふっとわたしは、下浦を振りかえってみた。下浦はすこしうつ向きかげんにして歩いていく。そのせいか、八十キロちかい大きな身体が、その後 [続きを読む]
  • 連載小説 「息子の友だち」
  • 連載小説・小説集「工場」から息子の友だち(連載第五回)       (五) 「で、どんなん、こっちの方は。工場の仲間は、みんな元気か」 下浦が話題をかえてきた。下浦は自分の苦しい心の中を、わたしにむかっていくらかでも吐き出したことによって、気持ちがおちついたみたいだ。 顔にすこし赤みがさしてきて、目のかがやきがやわらいできた。いぜん、職場で野球チームをくんでいたとき、ピッチャーと四番打者をや [続きを読む]
  • 連載小説 「息子の友だち」
  • 連載小説・小説集「工場」から息子の友だち(連載第四回)       (四)  家へ帰るとわたしは、上の息子の首ねっこをつかまえ、そばにあったプラスチック製の野球バットを振りあげた。「ごめんなさい、おとうさん、ごめんなさい」 と、息子は泣き声でいう。その声をききながら、息子はわかっているのだ、とわたしは思う。  なぜわたしが、バットを振りあげなければならないのか、息子はわかっているのだ、と [続きを読む]
  • 連載小説 「息子の友だち」
  • 連載小説・小説集「工場」から息子の友だち(連載第二回)       (二) 「……ホルモンが食いたくなってきたなあ、久しぶりに」 起きるとわたしは洗面所にたち、鏡にうつったはれぼったい自分の顔を、手で撫でながら妻にいった。 目のまわりや頬ははれぼったいのに、顎はげっそりとそげおちている。夜勤のときは体力の消耗がはげしいから、体重が二キロちかく減少する。  妻は台所にたっている。子どもが多 [続きを読む]
  • 連載小説 「息子の友だち」
  • 連載小説・小説集「工場」から息子の友だち(連載第一回)       (一)  クミを自転車のまえの座席にのせ、団地のなかをしばらく走り、団地をぬけてすこしいったところで、「……あっ、タカダくんや」 と、クミが叫ぶようにいった。  見ると、カバンを手にさげた高田君が、高田君のくせで、肩をすぼめるようにして前を歩いていた。「ほら、おとうさん。見てみ、やっぱりタカダくんや」 クミは、ハンドルを [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第十四回・最終回)       (十四) 「おとうさん、見て……」 叫ぶような声で健一がわたしを呼び止め、ジャンパーを引っぱってきた。「ほら、お母さんや」 見あげると、五階のベランダから、妻がこちらを見おろし、手を振っていた。胸に久美を抱いている。傍で、小さな顔が半分だけのぞいているのは、次郎にちがいない。 「……健ちゃん」 電気炉の、出鋼の場面 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第十三回)       (十三)  健一はすっかり満足しきった顔で、凧をあやつっている。空を高く見あげた顔が、冬のかすかな日差しを浴びて輝いてみえる。「さあ……」ともういちどかけ声をかけ、両腕にわたしは力こぶをつくった。 両手に強くこぶしをにぎりしめたせいか、なんだか、製鋼工場で仕事をしているときの気分が、すこしよみがえってきた。電気炉での、溶解期、 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第十二回)       (十二)  深海の魚のようだった自分が、そのうちわたしのなかで、背中に矢を受け、捕えられてしまった野生の小動物のような気持ちにかわってきはじめた。 ついほんのいましがたまで、山岳地帯を自由に跳びまわっていたあの、カモシカのような気持ちになってきたのである。もう逃げることはできない。 「さあ、もういちど大きく息を吸いこんで」 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 凧 (連載第十一回)       (十一)  畳針のような太くて長い針を、何本か医者は用意していた。うつ伏せになったわたしの右手の甲には、造影剤の注射針が突き刺さってきており、左腕は血圧計がしがみついてきていた。 もうわたしは、がんじがらめだった。すっかり捕えられ、これから刃物を、内臓まで深く突き刺されるのだ。  医者はさきほどの麻酔のきいた部分に針を突きつけ、さきほどと同じ要領で、 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第十回)       (十)  健康なときのたしは、腎臓が体内のどこにあり、どんな働きをするものなのか、全く知らなかった。 入院生活のはじめのうちは、安静と食事療養が主だった。そのうち全身の浮腫みがすっかりひいていくと、採尿と採血の検査がつづき、いちどに数種類もの薬を飲まなければならなかった。 入院生活をひとことでいうならば、投薬とその検査といえるか [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第九回)       (九)  広場のずっとむこうの、老婆と孫娘は、いつまでたっても凧をうまく揚げることができずにいた。老婆は手をたたいいて、孫娘の力走を声援するのだけど、凧はすぐ背後で、風車のようにくるくる舞うばかりだった。  ほほえましいともいえるその光景を見ていて、ふとわたしは、健一や次郎や久美は、祖父母をもっていないことになるな、といまさ [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第八回)       (八)  凧をいっしょけんめいあやつっている健一の、満足しきった笑顔を見つめていて、無意識のうちにわたしは、そこに、幼いころの自分を重ね合わせていた。やがて健一は、六歳になろうとしているのだった。  五歳のとき、わたしは母と離別した。父が戦死したせいだった。太平洋戦争で父が戦死していなければ、わたしだって、父親とふたりして、 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第七回)       (七)  こころなしか風が、勢いをつけてきはじめたように思える。こちらの変化した気持ちのせいかもしれない。このぶんだと、凧が風にうまくのってくれるにちがいない。「……さあ、いくぞ」 とわたしはかけ声をかけ、ピッチャーの投球を待つキャッチャーのように、いちばん低い姿勢で両手に凧をもち、さらに威勢のいい風がこちらにむかって吹きつけて [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第六回)       (六)  ひと月なかばの入院生活で、わたしすっかり快復したはずだった。循環器系統は、すべて正常ということだったはずなのだ。だのになぜ、退院して家庭生活をはじめてからというもの、血圧が高くなってしまったのだろう。わたしは思案していた。  退院するとき、高血圧と風邪には充分に気をつけろ、と医者はいった。いわれたとおり、食事は極力 [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第五回)       (五)  こわれものは、わたしだけではなかったのだ。健一はもっと脆弱だったのだ。そのことをすっかり忘れていた自分にわたしは腹をたて、声をださずに心でとがめたててから、ふたたび明るい声でいった。「なぁんや、健ちゃん、糸と枯れ草が、けんかしてるやんか」 糸に雑草がからんで、幾重にももつれこんでおり、このぶんだと凧はうまくあがってくれ [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第四回)       (四)  わたしが仕事を休めば、替りに誰かが、連続勤務の代勤を強いられるからといった、そんなものではもうなかった。どうやらわたしは、意地を張って工場の現場に立つことで、自虐的になっていたのかもしれない。 鉄をつくる工場の現場で働く男たちには、どこかそんなところがある。わたしに限ったことではないのだ。だから、定年満期を待ちきれずに [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第三回)       (三)  健一はまだ、めそめそしている。妻は洗濯場とベランダを、忙しくいったりきたりしている。ぷりぷりしているみたいだ。足が怒っている。スリッパが床を叩いて歩く。 ある朝、洗面所の鏡で、そこに写しだされた自分とむかい合って、わたしはこのうえなくおどろかされた。  顔全体がおそろしくむくんでいる。目が糸のように細くなり、もうほ [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第二回)       (二)  ついさきほどまで、わたしは炬燵にこもって丸くなっていたのだった。この真冬の寒空に、凧をあげに外へでていくだなんて、そんな気分にはとうていなれなかったのである。 健一はわたしをさそいだすのをあきらめると、弟の次郎と連れだって、手にビニール製の凧をつかんで外へでていった。  妻は朝から洗濯物にかかりっきりで、もうとっく [続きを読む]
  • 連載小説 「凧」
  • 連載小説・小説集「工場」から凧 (連載第一回)       (一)  やっと風がでてきた。凧をつかんで待ちかまえていたわたしの両手に、巻糸をしっかりとつかんで、同じようにまちかまえていた幼い息子の緊張が、いよいよ確かなひびきをつたえてきはじめた。 息子とわたしをつなぎとめている細い麻糸が、風にしなって生きもののようにおどりあがり、すぐさまピーンと張りつめた。いまだ、わたしは叫び声をあげた [続きを読む]