koma さん プロフィール

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komaさん: komaの こまごまひとりごと
ハンドル名koma さん
ブログタイトルkomaの こまごまひとりごと
ブログURLhttp://blog.goo.ne.jp/amakara2010
サイト紹介文「子育て甘辛ホンポ」からブログ名を変更しました。子育てだけでなく自分育てもしたいです。
自由文小学生男子ふたりの母です。子育てエッセイから自分の趣味まで、いろんなカテゴリーの本を書く気分で綴っています。よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供104回 / 365日(平均2.0回/週) - 参加 2012/09/18 12:06

koma さんのブログ記事

  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(リュシラ 3) 天馬はひとところにそう長くとどまらない。 カイルとリュシラがリドを見たのは、昼間に一度、そして夜に一度だけである。 だが、その夜の一度がすばらしかった。なにしろ数頭の天馬が群れていたのだから。 群れがいると教えてくれたのはやはり子どもたちで、夜につどっているのを見たことがあるという。 なんと彼らは、親たちが寝ついたところを見計らって家を抜け出したら [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(リュシラ 2) 実際にあとをつけたのは、その数日後である。 たまたまカイルも非番だったので、夫婦ふたり、足音を忍ばせながらついていった。 少年たちは無言でどんどん進んでいく。 せっかく連れ立って出かけるのだから、おしゃべりでもしながら楽しく歩けばいいものを・・・リュシラは余計なことで気をもんだが、横にいるカイルも徹底的に無言なので、男なんてこんなものだと思い直した [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •          星の下の晩餐会(リュシラ 1) 何やら外が騒がしい。 リュシラは刺繍していた手を休めて外を見やった。 日光がよく差し込む窓ぎわの作業台は、リュシラが手芸をするときの指定席だ。 手元が暗いと仕事がまったくはかどらないので、家の中で一番日当たりのいい場所を選んでいる。 その席からは前庭がよく見渡せるのだが、いまその庭先で、少年たちが言い争いをはじめていた。「ディーが先に足を使ったん [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •          星の下の晩餐会(ディー 5) うつらうつらしていると、カイルに肩を叩かれた。 予定よりずいぶん早い。用事を切り上げてきたんだろうか。 リュシラが近づき、声をかけてくる。「ただいま。ラキスは?」 ぎょっとして飛び起きた。 自分も落ちそうな勢いで井戸の中をのぞきこんだ。 大騒動になった。 縄梯子を投げおろしたカイルが、あっというまに暗がりの水中に消える。 浮かんでくるのもあっという [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(ディー 4) 関係に変化が起きたのは、その夏がもうすぐ終わろうとするころである。 はじめて子どもたちだけで留守番を任された日のことだ。 顧客の葬儀に夫婦で参列することになったが、遠方だったので子どもを連れていくと動きづらい。 半日程度、ふたりで待たせておいてもいいだろうというのが、カイルの意見だった。 リュシラはそれほど楽天的ではなかったが、ふたりだけで過ごせば少 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(ディー 3) 遊ぶことが義務ではないと明言してもらえたので、正直ディーはほっとした。 もちろん夫婦がそれを望んでいるのは明らかだったので、そうできないことを心苦しく感じるときもあった。 だが、できないものはできない。そのうちできるようになるとも思えない。 とりあえず、最低限の世話だけでもやるようにしようと心がけてはみた。 高い所にある物を取ってやったり、熱い鍋から [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •          星の下の晩餐会(ディー 2) カイルは、ディーの祖父の弟にあたる人物だった。 刀鍛冶だが、村人の注文に応じて鎌や鍬や蹄鉄などを作ったりもするらしい。 妻とふたりの時間を持ちたいから、徒弟たちと住み込んだりせずに職場と家をわけているのだと、真面目な顔で説明してくれた。 リュシラのほうはお針子だったが、村の娘たちに刺繍を教えたりもしているようだ。 ふたりとも農業で生計をたてているわ [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •          星の下の晩餐会(ディー 1) ディーがその家に連れてこられたのは九歳のときだった。 その夏、父が急な事故で命を落とした。 母はとっくの昔に他界している。 彼の引き取り先を決めるために親族会議が開かれたが、争議の中心は誰が引き取り手になるかということではなく、誰が家業の跡を取るかということだった。 代々続く家業を担う家だったのだ。  大人たちが言い争っている大広間の片隅で、彼は長 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •          星の下の晩餐会(カイル 3) そうは言っても、それでは完全に人間かと問われると肯定できないものがある。 三人で川べりに行ったときのことだ。 カイルは子どもをとなりにすわらせながら釣り竿を握り、じっと獲物を待っていた。 子どもはクッションの上で膝を抱えて、水面近くまでおりてくる鳥たちを、うれしそうに見ている。 視線の先にいるのは、翡翠色の宝石みたいなカワセミだ。 目にもとまらぬ速 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(カイル 2) 乳の問題は、リュシラが手仕事で得た報酬を、そっくり村の女性に渡すことで解決した。 何カ月もかけて仕上げた大きなタペストリーを、領主に買い取ってもらったばかりだったのだ。 腕前の確かさが気に入られ、リュシラは領主御用達のお針子のひとりとして仕事を受けていた。 とくに刺繍はいつもすばらしい出来栄えで、収入だけでなく彼女の生きがいにもつながっている。 その [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •         星の下の晩餐会(カイル 1) 非番の日にはいつも決まってそうするように、その日、カイルは川で魚を釣っていた。 夏の日差しがきらきらとはじける澄みきった川面。涼やかな水音に、暑さを忘れさせてくれる心地いい風。 対岸の木立にはあざやかな緑があふれ、流れに向けて差しのべられた枝々では、小鳥たちが楽しげにさえずりあっている。 ふだん彼が身をおいているのは、燃えたぎる炉や真っ赤な鋼の塊、そ [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •             あとがき ここまで読んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。 まえがきにも書いたように、35歳くらいのときに作ったお話でした。  それから十数年。「もういい、これで完成だわ」と思ったのが去年の夏のことです。  沼地のシーンからラストにかけての展開は、自分ではアニメ映画のイメージがあって、なんとなく映画館の大きなスクリーンを連想していました。 ほら、ジブリのアニメ [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(最終回) 光は汚泥を吹き飛ばし、青灰色の闇を、濁流を吹き飛ばした。 すさまじいまでの強さですべてを断ち切り満ちあふれ、広がった。 混然一体のかたまりとなった汚泥と闇が、白銀の輝きとぶつかりあい、虹色の火花を散らして混じりあいながら流れ去る。 濁流に取り込まれていたあまたの命が、叫 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回         出会いの窓は南の塔に(第60回) 前方がわずかにかすみ、青灰色のこまかい粒子のようなものが、わたしの行く手に幕となっておりてくる。 雨・・・?  掌を差し出してみたが、ぬれる感触はどこにもなく、まるで霧雨のようだ。 城の中庭に雨がふっていた日のことを、思い出した。 小雨にけむる夕暮れの中庭。雨の向こう [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回         出会いの窓は南の塔に(第59回) ──青灰色の濁流の中を流される。 もみしだかれ、押しつぶされそうになりながら流されていく。 長い時間・・・いったいどれくらいの間、流され続けているだろう。 それでも意識だけは細々とつながり、いつのまにか考えることさえもできるようになっていた。 彼がいなくなったのちの日 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第58回) 魔物の巨体をみつめながら、わたしは、どうしてここに生き物の気配がまったくなかったのかを理解していた。 すべての生き物が内部に取り込まれてしまい、僕にすらなっていないのだ。 もともと棲みついていた魔物も魔物狩りに来た流れ者たちも、鳥や動物にいたるまで、すべて。 ここにはも [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回         出会いの窓は南の塔に(第57回) 天幕の間にたたずんでいたわたしの耳に、ふっと小さな声が聞こえてきた。 池を背にして立ちつくしたティノが、うつむきながら歌を口ずさんでいる。 虚しい会話をかわすよりも、歌のほうがずっと心を落ち着かせるにちがいない。 ふしぎなことに、順調に森を歩いていたときの鼻歌よりも、 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第56回) あのときと同じように、わたしはいま崖の淵に立って、下を見下ろしている。 足元の数歩先は、ほとんど垂直に近いごつごつした岩肌。 隙間のところどころから細い幹がななめに突き出し、しだいに傾斜をつけながら森の木々の間に落ち込んでいく。 さらに先まで目をやれば、見渡せるのは村落 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第55回) 魔法炎が同じく霧のように広がり、触手の霧をなめつくして火花を散らした。 こんな状況でも、剣士たちは冷静さを保ちながら、急所を探して魔物の全身をさぐっているように見えた。 だが闘いが長引くにつれて、見上げる兵士たちの間に明らかな動揺がひろがりはじめた。 魔法炎の勢いはいま [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第54回) そのとき遠くで号令が響き、数えきれないほどの矢がいっせいに宙を横切った。 援護射撃かと思ったが・・・たしかに援護の一種なのかもしれないが、わたしが期待したものとは大きくちがっていた。 矢の雨は、炎を避けて別方向に逃げようとした魔物を、剣士のほうに追い返したのだ。 荒れ地 [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第53回) どれくらいの間、そうして立ちつくしていただろう。 外が静まりかえっているのに気がついたのは、ずいぶんたってからのことだ。 わたしは垂れ布を押し上げて、ふらふらと天幕から出た。 兵たちの姿はひとりも見えない。野営地ではなく討伐の現場に行ってしまったのだろう。 遠い場所なの [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第51回) 天馬の上で次に目を開いたときには、大木の光景はとっくに通り過ぎてしまっていた。 顔をあげた先には、はるか遠くだと思っていたレントール川の流れが見える。 眼下には冬枯れの木立が続き、いったん上昇したリドの下降が再びはじまっていた。 木立の間にいくつもの天幕が散っているのが [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第50回) それらは二本足で直立していたが、腕にあたる部分に腕はなく、人外のものである青黒く幅広い何かに、すべて生えかわっていた。 しかもさらなる変形を求めるように、大きく伸び縮みをくりかえしている。 僕たちは後ろを見せた状態で縛られていたので、同じく人外に変形してしまった顔面はち [続きを読む]
  • 80年代前後の少女マンガで育った主婦が、今頃書いたファンタジー
  •                                      第1回        出会いの窓は南の塔に(第49回) リドは出会ったときと同じように、窓の向こう側に登場した。 ただし登場のしかたは、鎧戸に体当たりしてくるという荒っぽいものだったが。 姿もかなりちがっていた。 純白の毛並みは痛ましいほど色艶をなくし、戦場からそのまま飛んできたことを示す泥と土ぼこりで汚れきっている。  そ [続きを読む]