佐倉愛斗 さん プロフィール

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佐倉愛斗さん: 渇き
ハンドル名佐倉愛斗 さん
ブログタイトル渇き
ブログURLhttp://loveandautumn.blog.fc2.com/
サイト紹介文愛と恋と性を主題に細々と書いています。様々な性の人がいます。短編多数掲載。
自由文毎週火曜21時更新『青嵐吹くときに君は微笑む』現代|恋愛|LGBT|高校生×大学生
不定週木曜21時更新『佐久間姉弟の事情』現代|恋愛|近親相姦|弟×姉|R18
その他短編を気まぐれに更新中
Twitter→ https://twitter.com/abnormalize111
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参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供47回 / 365日(平均0.9回/週) - 参加 2012/09/21 15:08

佐倉愛斗 さんのブログ記事

  • 青嵐吹くときに君は微笑む 23
  • 「何それ、聞いてないんですけど」 滴が隣で拗ねた声を出す。「だって、最近気付いたんだもん」「うーわ、お兄ちゃん鈍感。そりゃ私が振られるわけだわ」「えっ、まさか兄妹で三角関係?」と母が急に笑い出した。「あんたたち最近仲がいいとは思ってたけど、とんでもないことしていたのね」 あーおかしい。と母のツボに入ったようでしばらく笑っていた。人の恋路を笑うとは如何に。 記憶の小波の向こうで華麗に舞う渚先輩の姿は [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 22
  • 「何、どうしたの?」 お手洗いから戻った渚先輩は、腫れた頬を押さえる俺を見てうろたえていた。「どういうことなのかちゃんと説明しなさい。男同士で付き合ってるってどういうことなの?」 母の言葉が胸を突き刺して、風穴が空いたように呼吸が苦しかった。今にも泣きそうな母を見ていると、渚先輩がしてきた経験の重さが、苦しさがほんの少しだけ分かった気がした。これが、同性愛者の宿命なのかもしれない。「零くん、まさか [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 21
  • 「お邪魔します」 はいはい、いらっしゃい。といつもより化粧が濃い母が扇田さんと渚先輩を迎える。 冬の日曜日。今日は快晴で雲一つない。白んだ空に白鷲が一羽飛んでいた。「まあまあ、美人さんじゃないの。零ったらもうっ」「ママちょっとは落ち着いてよ」 滴に釘を刺されても母さんは浮かれていた。いつも一緒に遊んでいる友達が来るとしか言っていないのにここまで勘違いされると、やはり世間一般のバイアスというものは恐 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 20
  •  渚先輩が身体を固くするのが分かった。先輩は静かにマグカップを下ろす。「我が母上はお兄ちゃんの『彼女』に会いたがっています。さて、どうしましょう」 どうって……と俺は考えを巡らせた。正直に両親に打ち明けて、受け入れてもらえるだろうか。「僕は、零くんと滴ちゃんのご両親なら、仲良くしたい。でも、怖いよ。また、拒絶されるのが」 小さく、ゆっくりと絞り出すように紡がれた言葉。冗談なんて言っていられないとい [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 19
  •  あけましておめでとうございます。 あの日からというもの、俺は渚先輩の家に何度も通っています。たまに妹もついてきますが、好きだった人と実の兄がいちゃついているのを見せつけられるのはキツイと来る回数を減らしています。扇田さんは不定期にご飯を食べにやってきます。渚先輩が言うには、彼女は家出同然の状態で一人暮らしをしているので、給料日前になる、もしくは料理するのが面倒になると食べにくるらしいです。渚先輩 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 18
  •  朝食は結局近くの喫茶店でモーニングを食べていた。コーヒー一杯分の値段でトーストとゆで卵がついてくる。さすが喫茶店王国だ。「あーもーむかつくから小倉も付ける!」「あたしも!」 ガールズはぶりぶり怒りながらトーストにマーガリンとプラス百五十円で小倉あんをつけてかぶりついていた。「渚先輩、食べられますか」「あっ、うん。大丈夫。ごめんね、ご飯作れなくて」 真っ青な顔で俯く先輩の手を俺は握った。嫌な汗で濡 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 17
  • 「よう、ナギ。元気そうじゃねーか」 その男は覇気に満ちた、長身の、鬼のような身体つきの男だった。逆立った髪とえらの張った顔。強靭な肉体がスーツに包まれていることが分かる。そして、微かに煙草の苦い香りがした。「敦(あつし)さん。おはようございます」 渚先輩は敦と呼んだ男から目をそらす。何か言いたそうで、何も言えない。そんな顔だ。「今月の生活費、それとちょっとしたクリスマスプレゼントだ」 膨らんだ紙袋 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 16
  •  それが夢だと気付くのは、覚めてからだ。 小さな男の子が膝を抱いて泣いている。「どうしたの?」と話しかけても泣くばかりで、俺は抱きかかえて家に連れ帰った。 汚れた足を拭いて、痣だらけの体に湿布と包帯を巻いて、暖かいご飯を食べさせ、柔らかいベッドに寝かせた。 しかし、俺は貧しかった。今日食べるためのなけなしの食事を与えてしまい、腹が鳴っていた。ベッドも他にないから、床にタオルを敷いて寝た。 どこから [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 15
  • 「本当に泊まっていっていいんですか?」「うん、こんな雪だし、クリスマスを一人で過ごすのは寂しいから」 目を伏せながら食器を洗っている先輩は言った。 彼の睫毛の先が小さく揺れて、食器を拭く手が気付いたら止まっていた。 本当にこの人と両想いになれたんだ。そう思うだけで、大声で叫びたいような、身体全体を暖かな毛布でくるまれたような心地がした。「お兄ちゃんのどこがいいんだろ。あんなもっさい万年ベンチ男なの [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 14
  • 「レズ? ホモ? どういうこと?」 滴は酒本先輩と扇田さんを交互に見て、それから俺に戸惑う瞳で助けを求めた。「あっちゃー。もしかしてナギちゃん言ってなかったの? ごめんね」「いいよ。いつかは言わなきゃ、って思っていたし」 酒本先輩は息を整えると、俺たちの方に向き直った。「僕は同性愛者。男の人が恋愛対象なの。滴ちゃんが僕のこと好きだって知ってた。知っていたから言えなかった。本当にごめんなさい。それで [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 13
  •  ダイニングテーブルにつくと、何故かお皿が四人分用意されていた。「あれ、今日は四人なんですか?」「うん、もうすぐ着くと思うよ。バイトしてから来るって言ってた」 勢いでキスしてしまった先輩は意外とケロッとした顔をしていて。意識しているのが俺だけのようで何か寂しい。いや、本当に俺の煩悩どうにかしよう。「メリークリスマース!」 女性のけたたましい声と共にリビングのドアが開く。真っ赤なワンピースに黒いベル [続きを読む]
  • あけましておめでとうございます
  • こんばんは、佐倉愛斗です。新年あけましておめでとうございます。少し長めのお正月休みをいただいて、また創作活動開始です。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。現在決まっている今年の予定です。アンソロジーひとつ目はAmayo anthologyさま雨の降る夜をテーマとしたアンソロジーです。甘々両片思いBLを書きました。糖度15%くらいの甘さです。甘いです。こちらは1月中に発行予定と伺っています。次は百人一首アンソロジー「 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 12
  •  やってきましたクリスマスイブ。滴は「今日はアイドルのどの人が誕生日でー」なんて言っているが、世間一般ではイエスキリストの誕生日前日である。そしてこの国日本ではクリスマスは恋人たちが集う日になっている。世界でかなりの人が信仰している宗教の神みたいな人の誕生日にそれはアリなのだろうか。ともかく、恋人たちが集う大切な日に酒本先輩と共に過ごせることが嬉しくて俺は浮かれていた。「パーティーって何着ていけば [続きを読む]
  • 2016年振り返り
  • こんばんは、佐倉愛斗です。2016年もあと少し。今年の振り返りを少しばかりしていきます。1月まずはやっぱり成人式!大人になりました!まだまだクソガキだけどね!サイトでは「Vanilla」を連載していました。初めての長編ドキドキ。140字SSも精力的に書いていましたね。体調面ではメニエール病という耳の病気をしました。初めてERに入りましたよ。流石1月。喉に餅を詰まらせたおじいちゃんが担ぎ込まれてました。ジャニーズWESTさ [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 11
  •  酒本先輩がバスケ部から姿を消したのは夏の大会前の練習試合の後からだ。 梅雨明けの湿気を帯びた熱気の中、近くの高校の部員がやってきて試合を何度も繰り返した。その日、先輩方のドリンクを用意しながら試合を見学していた俺は、巨人の中で一人華麗に舞う酒本先輩のことを何度も目で追っては手を止めていた。 なんて美しいのだろう。 この人に近づきたい。話したい。名前を呼んでもらいたい。見つめられたい。 そのとき、 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 10
  •  昼間、母お手製のコロッケ乗せオムライスを食べていると、スマートフォンが震えた。 母からの行儀の悪いとの小言を受け流して画面を開くと滴からオムライスを食べている酒本先輩の写真が送られてきた。「いいでしょー」 今日の酒本先輩は前髪を上げてポンパドールにしていた。スプーンいっぱいのとろけるオムライスを頬張りながらカメラを上目遣いで見る先輩は、それはもう最高に可愛らしかった。「ざんねんでしたー」 俺も対 [続きを読む]
  • 書店委託販売が始まりました
  • こんばんは、佐倉愛斗です。Twitterではすでに報告しましたが、なんと、僕の本が書店に並びました!【取扱開始】佐倉愛斗さんの小説取扱始めました。LGBTの恋愛等をテーマの短編集。 pic.twitter.com/Lxi2Xbfz8F— †特殊書店★BiblioMania† (@BiblioManiaY) 2016年12月17日書店作家かぁ……ふふふ。ひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございます。僕の本を置いてくださったのは、名古屋・栄に最近引っ越して [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 09
  • 「お兄ちゃん何着ていこう!? 甘めのワンピースだと狙いすぎ? でもズボンじゃ可愛くないし……うーん、もう分かんないよう!」 今日は酒本邸訪問の次の土曜日。LINEで酒本先輩とのデートを取りつけた妹の滴は朝から騒がしかった。 そして俺はインフルエンザで寝こんでいてすっかり忘れていたが、酒本先輩は男性とお付き合いするタイプの人間だった。いや、男女両方いける可能性もあるが、そうじゃなかった場合、滴は問答無用 [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 08
  • 「滴ちゃん、いいもの見せてあげるからこっちおいで」 先輩お手製のマドレーヌをこたつで食べ終わるころには、コンサートDVDも終わっていた。わーとかキャーとか叫んでいたドルオタ二人が十周年の感動的なコメントに泣いていたが、みんなこんな感じなのだろうか。情緒豊かすぎだろこの人たち。 先輩は宝箱のようにリビングのこたつ横の引き戸を開ける。「これって」「うん、僕の秘密基地」 滴は感極まってその部屋に吸い込まれ [続きを読む]
  • LGBTアンソロジー2「虹のカケラ」
  • こんばんは、佐倉愛斗です。寒くなってきましたね。背筋が伸びて鼻の奥がスッとするこの寒さが好きです。オリオン座を眺めるのが日課となりつつあります。ではまずは謝辞を。LGBTアンソロジー「prism」の完売、そして重版ありがとうございます。たくさんの方に手に取っていただけてとても嬉しいです。まさか重版することになるとは思わなくて嬉しい悲鳴です。今月中旬から末あたりに届くと思いますので、入荷した際にはまたTwitter [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 07
  •  食後、酒本先輩は滴をこっちこっちとリビングの戸棚に呼んだ。俺は雪の六角模様が描かれたこたつの中に入る。戸棚の上の男二人に挟まれた先輩の写真。あれがどうにも引っかかったが、目の前には木製のお皿に乗ったマドレーヌをいただくことにした。これも手作りなのだろうか。「開けてみて」 観音開きのその戸を開けると、滴はひゃあん、なんて奇声を上げていた。「なになに」「お、お兄ちゃん、歴代コンサートのDVDどころかフ [続きを読む]
  • 音楽の神様
  • 「お姉ちゃんはさ、なんでまだ吹奏楽やっているの?」 その日はやけに月が大きく、夜空の守り神のような夜だった。 必要最低限のもの以外段ボール箱につめて、殺風景になった妹の部屋にはもうカーテンすらない。月明かりが私たち姉妹をぼんやりと照らしていた。「なんで、ってそりゃ、好きだからだよ」「高校ではやれなかったくせに?」「やれなかったから、だよ」 私は明日旅立つ妹の肩を抱いた。 私は小学校から吹奏楽の道に [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 06
  • 「これって」「マンションじゃなくて、億ション?」 コンサートを終えた翌週末。俺と滴は酒本先輩の案内で先輩の自宅に来ていた。 目の前には高くそびえる高層マンション。層だけじゃなくて絶対家賃も高いやつ。俺と滴は寒さとは別の何かで震えていた。「さあ、入って」 エントランスにカードキーをかざしてエレベーターに乗り込む。割と上の方の十四階で止まる。 アルコープを歩いて角の部屋に案内される。「そんなに広くない [続きを読む]
  • 青嵐吹くときに君は微笑む 05
  • 「いやー、もうっ最高! 最高だったね、相原君!」 大規模なコンサートというものは規制退場といって、座席ごとに順番に退場する。最後の方だった俺たちがナゴヤドームを出たのは二十三時近く、今は二十四時間営業のファミレスで夜食に近い夕食を取っていた。 酒本先輩は今日のコンサートの内容についてあれやこれやと語っていた。うんうんと相槌を打っているとなんだか夢みたいで、この人とずっとこうして話していたいと願って [続きを読む]
  • Vanilla ice cream
  • 「北原さん、お腹空いた」 シャルと呼ばれた少年、愛実(つぐみ)はあの小さなアパートに来ていた。壁には雑多に段ボールが詰まれ、小さなテレビとくたびれた紺色の布団のかけられたパイプベッドがあるだけの小さな部屋。シャルだったころと全く変わらない、薄汚れた安心感のある部屋だ。「ああ? 真琴のとこのチビに作ってもらえよ」「絢介のご飯も美味しいんだけど、たまにはパパと食べたいなー」『チビ』『絢介』と呼ばれてい [続きを読む]