古石 さん プロフィール

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古石さん: きらいだから溺れる
ハンドル名古石 さん
ブログタイトルきらいだから溺れる
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/g_sec/
サイト紹介文オリジナルの小説(短篇)を載せています。 マニアック派ホラー、ミステリなど。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供54回 / 365日(平均1.0回/週) - 参加 2012/10/24 00:20

古石 さんのブログ記事

  • 『グルーミー・マム』-2(短篇ホラー)
  • *残酷な描写を含みます。ご了承ください。グルーミー・マム -2「……クソ。そもそも、なんで、入って来れたんだよ…」「……え…?」 どことなく切羽詰まったような、蒼白な貌が、こちらに向けられた。 ……ぴちょん。「ここはいつだって閉ざされてる。出られないし、入れない。入れないんだ、誰だって。それなのに――」「な、何言ってるんだ…?多分、鍵が…」「見てみろよ。鍵なんか、最初から掛かってない」 …ぴちょん。  [続きを読む]
  • 『グルーミー・マム』(短篇ホラー)
  • グルーミー・マム  夕闇の中に、その古びたマンションはぼんやりと浮かび上がっていた。周囲には、ひんやりとした空気が漂っている。四階建てのこの建物の中に、エレベーターはどこにも見当たらない。代わりに、赤錆に塗れた鉄階段を踏みしめると、奇妙に歪んだ表面が、体重を掛ける反動に合わせて、軋んだような音を立てた。 しばらく上って行くと、暗闇に包まれた廊下が姿を現した。見上げると、天井に [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-16
  • 16「……きみが、碑石直季くん?」 声を掛けられた、と思うと同時に、直季は立ち止まった。 見ると、見知らぬ男が、こちらに向かって笑みを浮かべていた。「その貌。ヒドイなあ。顔を合わせたことがあるかもしれない仲なのに」まるで心の中を見透かすかのような言葉が、放たれた。「倉持センセイの葬式で…」「…は?」 葬式、というワードに、一瞬何かが思い出されそうな気がした。しかし少し考えてみても、自らのどの記憶の [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-15
  • 15 静寂が、辺りを包んでいる。 呻るようなヒーターの低い可動音が、途切れることなく、この冷ややかな空間に充満しているが、誰も気にする者はいない。無造作に扉が開かれると、冷気とともに、数人の男が部屋の中に入って来た。彼らが淡々と用意された壇上に付くと、わずかに喧噪が生まれたが、それもまた到底、この纏わり付くような静寂を乱すほどのものではない。 壇上には、四人。その中の一人が、小声で彼の仲間に何かを [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-14
  • 14  夢を見ていた。 辺り一面に、真っ白な霧が漂っている。背後から抱き締めてくる黒い腕。分厚いコートに遮られて、互いの体温など通さぬ筈なのに、自らの体は異様な温かさに包まれている。 生温いものが、耳朶に触れた。 振り返らずとも、それが人の唇だとわかり、何とも言えぬ感慨に思わず身を捩ってしまう。 いつから二人でここに立ち竦んでいるのか、まったく記憶にない。しかしすでに足は棒のようで、思わぬ疲労 [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-13
  • 13 空調機の緩やかな温風が、冷たい鼻頭をゆったりと撫で付けている。壁時計は、現在時刻と温度、そして湿度を淡々と表示している。もうそろそろ放課後に差し掛かろうとする刻限。普段通りの教室、授業風景……。……聞いた?阪上が、霧の中で悪魔見たって……。そんな噂が静かに教室に広まり出した時、直季は拳で激しく胸部を打たれたような衝撃を受けた。 当人の言葉はなく、単なる噂には過ぎない。真相を知るには、本人に訊 [続きを読む]
  • 『盲目の』(短篇ホラー)-2
  • 盲目の -2* ううん……焦れったいって、こういうことを言うのかなあ。 どれだけ近くにいようとも、決して声が届かないんだ。ああ、手を伸ばすことはできるさ。だけど、絶対に触れることはできない。……触れちゃ、いけないんだ。〈彼〉に……。おれはそいつを求めていて、そいつもおれを求めている。互いに、互いが必要な存在なんだ。それなのに……。 そりゃあ、何度もその体に触れたいと思ったさ。でも……それをしたら、すべ [続きを読む]
  • クズ家(51)
  • ちょっと猟奇的な一家と、その飼い猫の記録。葛湯(クズユ)一家、略してクズ家。僕   … 拾われてきた黒猫。日々逃亡のチャンスを狙っている。51  ある日のお父さんへのメール 件名 お疲れー 同僚C   ??2018/2/20 23:59To: 葛湯 なぜか、うちに大量にキャットフードが送られてきた。猫なんか飼ってねえのに。なぜだ。 というわけで、あんたにやろうと思う。ク [続きを読む]
  • 『盲目の』(短篇ホラー)
  • 盲目の *  あの時は……そう。まるで、吸い込まれそうな気がしたっけ…。 湿った夜気。茂った叢。暗い湖……。嫋やかに揺れる水面に唇を合わせた時、何とも言い難い昂揚に体が打ち震えて……。 でもその瞬間……すべてが終わることを、同時に、自覚したんだ…。ぐっとこちらに顔を差し出す〈彼〉に向かって、その口元に唇を触れた瞬間……すべては終わってしまった……。そうして、瞬く間に昂揚は解け、ゆっく [続きを読む]
  • 『滅裂』(短篇ホラー)-6
  • 滅裂 -6  現実かも悪夢かもつかぬ空間に、博は一人佇んでいた。 突如訪れた激しい耳鳴りに頽れそうになって、慌ててその場に踏ん張る。しかしようやくすると、それが耳鳴りではなく、どうやら蝉の鳴き声であることに気付いた。 周囲はいやに明るかった。降り注ぐ日差しのあまりの眩しさに、掌を目の前に翳してしまうと、薄っすらと目元に影ができ、細まった瞼をゆっくりと開くことができるようになった。 少し離れた頭上 [続きを読む]
  • 『滅裂』(短篇ホラー)-5
  • 滅裂 -5「……どういう…ことですか」『その前に確認だけど……ひょっとすると、君は……』言いながら、声はまた小さく咳込んだ。『今から十数年前に、〈あのロッカー〉で何があったのかを知っている。……違う?』「それは……僕でなくても、知っていると思います。当時は、記事になって――」『記事には、ロッカーに詰め込まれていたモノについて、〈動物のようなもの〉とだけ記載されていた。さらに事件の仔細については一切触 [続きを読む]
  • 『滅裂』(短篇ホラー)-4
  • 滅裂 -4 布団を跳ね除けると同時に、枕元のスマートフォンを耳に押し当てていた。 べったりとした汗が体中に滲み、呼吸は異様に乱れている。スマートフォンは押し黙ったまま、何の音も吐き出してはいない。あれ、と思い、端末を耳から離しながら音にじっと耳を傾けていると、不意にそれが通話の着信音ではなく単に時計のアラーム音だと気付いた。一瞬の逡巡。瞬きとともに、汗が睫毛を伝って、滑り落ちた。寝ぼけた脳が、ゆっく [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-12
  • 12 霧深い日の校舎は、昼間でも薄暗い。正午時の休憩時間。外では、夜明け前から降り出した土砂降りの雨が、続いている。「――ねえ。直季くん」 階段の踊り場の一角で、食べ終えた弁当箱を仕舞い掛けていると、直季はふと声を掛けられた。 見ると、一人の女子生徒が、目の前に立っていた。「…明松(かがり)さん?」「いつもここで、お弁当食べてるよね。二人で。寒くないの?」 二人で。 それが誰を指しているのかを、す [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-11
  • 11「ここね、パスタがめちゃくちゃ美味しいんですよ。フランチャイズチェーンでもないし、知る人ぞ知るって感じですかね。初めてこの町に来た時に、目に付いて、何となく入ってみたお店なんですけどね。ね。ほら、食べて。美味しいでしょ。さすが、イタリアン料理専門てのを、名乗るだけはある」 かちゃかちゃと皿をフォークとスプーンで鳴らしながら、パスタを啜る口元は赤い。 一旦フォークを休ませると、男は勢いよくメイン [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-10
  • 10 殆どの灯りが消された校舎の外で、三黒は一人佇んでいた。腕時計は現在21時53分の時刻を示している。 右手には懐中電灯、もう片方の手の指先に、まだ柄の長い煙草を挟んで、目前を揺蕩う煙とも霧ともつかぬ灰色の靄をぼんやりと見つめている。 白い煙を吐き出しながら、しばらくそうしていたが、ふっと気が付いたように煙草を口に銜え、空いた手を寒そうにポケットに滑り込ませた。冷たい外気に触れている体はしっかりと冷 [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-9
  • 9「今年は、ボーロ・レイにしようか」 …ボーロ・レイ?どことなくぼやけた、灰色の空間。薄暗い電灯だけが灯る、寂れたリビングの一室。「何それ?」「ケーキだよ、ポルトガルのクリスマスケーキ」 座り慣れたしなやかなソファ。心地よくはないが、悪くもない。薄白く発光しているテレビ画面を正面に、いつからか、二人並んで腰掛けている。「クリスマスケーキ…?」直季はまるで男の言うことがわからなかった。「何?何の話… [続きを読む]
  • 霧の街(ミステリ)-8
  • 8 教諭・倉持敬の葬儀は滞りなく行われる手筈だった。 クラスの列に交じって会場に着くなり、そのあまりに異様な空気と、参列者の多さに直季は仰天した。葬儀は、倉持敬の親族関係者、直季の通う学校の全生徒、職員、そして数年前まで倉持が在籍していた隣校の職員、さらには彼が担当していたクラスの生徒らが皆参列するという大規模なものだった。 会場の隅には、明らかに部外者と思われる人間もちらほら見受けられた。一応は [続きを読む]
  • シークレット・リンクのご案内
  • 閲覧いただきありがとうございます。そういえば、今年は記念小説書かなかったなア…と、思いまして遊び心ながら、サイト内のどこかにシークレット・リンクを設置致しました。?鍵など付いておりませんので、リンクを探し出すことの出来たすべての方に、読んでいただけるようになっております。日頃から駄文を閲覧くださるすべての方への感謝御礼と、筆者自身の遊び心を、ふんだんに詰め込んだ作品ページとなっております。「そもそ [続きを読む]
  • 『滅裂』(短篇ホラー)-3
  • 滅裂 -3 暗闇の中に博は立っていた。 見上げると、遥か頭上の方に、薄暗い蛍光灯が一つぽつんとぶらさがっていた。 それ以外に辺りには何もない。纏わりつくような深い闇が漂っているだけである。ここはどこだろうと考える間もなく、ゾワリと背筋に悪寒が走った。 誰かに凝視されている…。それも、厭に上の方から……。「……どうした」 笑いを含んだ声がした。 低い吐息。まるで嘲笑するような……。「どうした………どう [続きを読む]
  • 違和感(短篇ホラー/改稿版)
  • 違和(感)…まわりのものと合わなくて、しっくりしないこと。なんとも言えぬ、いやな気分。違和感 蝉の死骸が、縁側の木目の中にぽたっと落ちてきた。 時刻は未だ夕刻すら廻っていないというのに、家の中はぼんやりとした薄闇に満ちている。畳の上に置かれた二つの盆提灯の灯りが、数センチ開かれた襖の隙間からわずかに漏れ出している。「暑いですね」「そうですね」 少し離れた庭の木の上で、じいじいと蝉が鳴いている。 ぼ [続きを読む]