清水長崎 さん プロフィール

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清水長崎さん: しあわせはどこにある
ハンドル名清水長崎 さん
ブログタイトルしあわせはどこにある
ブログURLhttps://blogs.yahoo.co.jp/simizunagasaki
サイト紹介文しあわせとかなしみをテーマにオリジナル小説を書いています。趣味でです。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供60回 / 365日(平均1.2回/週) - 参加 2012/12/06 17:28

清水長崎 さんのブログ記事

  • 草木の命と心と
  •                  その一 ハルとアキは、高校時代に同じ部活で大の友だちだった、そして卒業してからもときどき会ってきた。 その日、外は晴天で、入道雲がたくさん並び、蝉の声が鳴り響いていた。昼前、アキがハルの家にやってきて、久しぶりに二人は会って近況を語り合った。 ハルは母の話をした、アキは何度も遊びにきて泊ったこともあったから、おばさんのことはよく知っている。でもいまハルが話すことは [続きを読む]
  • 草木の命と心と(つづき)
  •                 その三 ハルは一冊の画集をもってきて、アキの前に置いた。「母はゴッホの虜になった、暇があったら図書館に行って、画集を見たり本を読んだりしていたの。もちろんすばらしい、きれいな絵がたくさんあった、それでも謎のある絵もあった、それはわからなくてもよかったんだけど、いつかわかりたいと思っていたの。謎がある絵は、夜空がある絵だとはわかっていたの」「そう」 ハルは画集の、ある [続きを読む]
  • 夜空に月と星と雲と
  •                  その一      夜、フェリー・ターミナルの前の公園で、少年と老人が話をしていた。少年はベンチに座って、その前に老人が立っている。「どうした、坊、元気ないみたいだな」「うん、ぼくは元気なんかないよ、ひとりぼっちのかわいそうな子どもだよ」「そうか、それはつらいな」「おじいさん、平気な顔だね、こんなぼくを見て同情しないの?」「まあ、坊のような人をたくさん知ってい [続きを読む]
  • 夜空に月と星と雲と(つづき)
  •  少年は縁側に置いている『15輪のひまわり』を見た、絵がこんなにも語りかけている。初めてその絵を見る思いだった、きれいだけではない、いろんな意味が込められている。「きのうの夜空は、どうじゃったかのう?」「きれかった、初めて見たんだ、星がすごかった、あんなにたくさんあるなんて、知らなかった」「そうか、よかったのう、今夜も見れるよ」「うん」 少年はうれしそうだった。 ここは街灯が少ないからもっとたくさん [続きを読む]
  • おもしろい
  •                     その一 アサとサトは高校時代の同級生で、卒業してからもよく会っていた。部活で3年間いっしょに汗を流した、お互いの家に泊まりに行って家族とも親しくしていた。 気が合うのか、二人っきりて話をしてゆっくり過ごした。 昼はドリップしたコーヒーを飲み、夜は数種の酒を飲んだ。久しぶりに会うその日のために用意した、少しだけだったがいい銘柄のものを味わった。 アサはニヤリと [続きを読む]
  • おもしろい(つづき)
  •               その三  酒は二人とも強かった。だが酔う前にはこの話も少しはしたが、酔ってからはしなかった、そこはわきまえていた。「“この世”だけで人間の一生を考えると、いろんな“無理”が出てくる。“理不尽”や“苦しみ”、“かなしみ”も尽きることがない」「おまえは、やさしいからなあ」「“次の世”を考えると、それらが緩和できる、がまんできるようになる」「そして、“次の世”は二つあるんだな [続きを読む]
  • 誰と?
  •                 その一 高校時代の友だちと年に一度、一泊の泊まりがけで会っている。部活でいつもいっしょにいて、仲が良かった四人が、卒業してからもよく会っていた。結婚してからも、正月二日に家族で集まった。子どもたちが中学生になってからは中断していたが、還暦を機会にまた集合するようになった。     いつもアッという間に時間が過ぎてしまう、「今度はゆっくり飲もう」と言って別れる。 まあ [続きを読む]
  • 誰と?(つづき)
  •                その三 おれは誰と一緒に考えてきたんだろう? 神か? いや、おれは神が何たるものか知らない。おれの理想の人間か? いや人間じゃないようだ。誰だ? 自然か? 自然が近いかもしれないなあ。草や葉の緑色、野の花の黄色、いつもそのきれさに感動する。タンポポの黄色、ヒマワリの黄色、鮮やかだ。そして緑色も黄色も、太陽の日差しを浴びると格別だ。どうして、あんな色がつくられるのか?  [続きを読む]
  • 戦う
  •                    その一 会社の寮の談話室に、トコが一人、テレビも付けずにぼんやりイスに座っていた。先輩がトコの肩をポンと一つ叩いて、横に座った。並んで座った二人の前には小さいテーブルがあり、そんなイスとテーブルがテレビに向ってぐるりと半円状に並んでいた。「どうしたの、元気ないわね」「はい、ちょっと落ち込んでしまって」「どこに落ち込んだの?」「どこにって?」「どこじゃなくて、何 [続きを読む]
  • 戦う(つづき)
  •  あたしは貧しい人たちのことを思うとき、心がやさしくなる。そんなとき、幸せを感じる。同じように、自然の中にいると心がやさしくなる。緑の草木、色とりどりの野の花、そして青い空と青い海、その自然の営みのふしぎを思う、感謝や喜びを覚える。 野原に座って、寝そべって、目の前の草花を見る。緑がきれい、どうしてこんなにきれいなんだろう。花の色の、あまたの原色のきれさと鮮やかさはどんなに褒め称えても尽くすことは [続きを読む]
  • 傍らに
  •                 その一「ずっと見てきたんだが、いいなあとよく見ていたつもりだったんだけど、気づかなかった」「そうか」「いま初めて気づいたんだ、“ひまわり”は花びらが落ちた、そしてしおれた花だったんだ」「そうだよ」「へっ、何だかなあ、おれ、笑っちゃうよ、いや、自分にだ、見てたんだけど、見てなかったんだな。へっ、世間も甘く見ていたんだ、きれいなものしか見ていなかった、事実を見ていなかっ [続きを読む]
  • 傍らに(つづき)
  •                  その三「疲れているようだな」「疲れました、この世はかなしいことばかりです、もう十分です、もうおれはいっぱいいっぱいです、もういいです」「安らぎはないのか?」「あなたの絵です、おれの安らぎはあなたの絵を見ることです、そしてあなたの人生を思いうかべることです」「そうか」「おれは昔からずっと、きれいだなあと見ていました。でも、あなたが描いた“夜空”が青色だとわかってから [続きを読む]
  • 貧しい人の中で最も貧しい人たち
  •                   その一「どうしたの? 元気ないみたいよ」「疲れちゃった、人との付き合いに疲れてしまった」 還暦を過ぎたおばさんと、三十路を過ぎたハルが、小さいテーブルを挟んで向き合ってイスに座っている。「そんな疲れる人のことは考えないの」「でもねえ」「うっちゃってしまうの」「できないのよ、それが」「できるさあ、人の心の中の容量は決まっているんだから、何でもかんでも入れておくこと [続きを読む]
  • 貧しい人の中で最も貧しい人たち(つづき)
  •               その二 社員食堂のフロアで、二人は話をしてゆっくりとひと時を過ごしている。広い空間に二人だけいるのは、いいものであった。「幸せはどこにある? ないと思う? どこにもないとしたら、それはかなしいことよ。そんなかなしいだけの人生じゃないと思う。どこかにある、そう思っていいと思うの」「そうね」「この世はかなしいことが多いのね、それは誰かがわがままをするから、かなしむ人がいるわ [続きを読む]
  • 貧しい人の中で最も貧しい人たち(つづき)
  •                    ☆『オーヴェールの教会』 カンヴァスのまん中に、はみ出んばかりに大きく教会が描かれている。しかし、それは教会の裏側である。 ゴッホは画家になる前に、教会から離縁状を突きつけられた。放浪の身になったゴッホは、それでも遠くに教会を見続けた。近寄れなかったが、心はずっと神を向いていた。 追い出されて、いまはじめて教会の前に来た。しかしやはり正面には立てない、だから裏 [続きを読む]
  • 天国の切符
  •                     一 二人は、あるファースト・フードの店で顔見知りだった。片方は老年の男で、もう片方は青年の男だった。みすぼらしい服装の老年は一階建ての広い店内のあちこちに座り、車イスの青年は決まって奥の端に車イスのまま陣取っていた。 二人ともほぼ毎日午前中にいた、それも三時間あまりぼんやりと過ごしていた。いつも青年が早く来ていて、帰るのは老年が先だった。 その日は朝八時ごろ [続きを読む]
  • 天国の切符(つづき)
  •                    二 その店舗は歩道に面していた、全国規模のチェーン店である。二人は名前も聞かないし、個人情報(?)も聞くこともなかった。それでも気軽に話ができた。 窓の外の歩道にはバス停があって、待っている人が見える。「いいか、人間を見てみろ、ここにいる人でもいい、窓の外を歩いている人でもいい。顔を見ればわかる、どんな人か、だいたいはわかる、いい顔も、そうでない顔もだ。まあ、 [続きを読む]
  • 天国の切符(つづき)
  • ☆ 「たぶん、生きることは“一日”が単位だろう、だがなかなかそこまでは思い切れない。それでおれは“一年”にしているんだが、“一日”を目指している、“一日”を大事にしようとしているんだ。ただ、若い人は十年、二十年先を夢みる、それはそれでいいと思っているよ」                ☆「一日のうち、自分のことより貧困に窮している人のことを考えたら、その日は“○”だ。その日、生活に必要のないお金を [続きを読む]
  • ぞうさん・3
  •                   一 朝から雨が降っていた、休日の一日、チヨはアパートで一人のんびりしていた。昼過ぎて、「トントン」とドアを叩く音がして、「こんにちわ」と女性の声がした。 チヨがドアを開けると、会社の同僚のノブだった。顔と名前はよく知っているけれど、あいさつをするぐらいで話をしたことはなかった。年も同じぐらいで、いい印象ももっていた。「ごめんなさい、突然伺って、前もって話しておけ [続きを読む]
  • ぞうさん・3(つづき)
  •                 二 それからノブは、時間をみつけてはチヨのアパートに遊びにくるようになった。そしてチヨに“ぞうさん”のことをもっと話してくれと頼む。チヨはノブの熱意がわかる、だからできるだけ(自分が考えていることを)話してあげたいと思った。 チヨはいつも明るく話す。「みんな、どうしてお金を貯めるの?」「将来のため?」「自分の将来のためでしょう、貧しい人たちの今はどうなの? どっちが [続きを読む]
  • 伝える
  •                  一 夜半、下町の公園の隅に、一軒のラーメン屋台が小さな明かりを灯している、端に吊り下げている提灯に【ぞうさん】と屋号が書かれている。いわれはすぐにわかる、店主が童謡の『ぞうさん』の話をするからだ、それも独特の解釈を披露する。 よく客から聞かれる。「どうして、『ぞうさん』なんですか?」「まあ、『ぞうさん』の詩が好きだからなんだけどな」 客がもっと話を聞きたいようだっ [続きを読む]
  • 伝える
  •                  一 夜半、下町の公園の隅に、一軒のラーメン屋台が小さな明かりを灯している、端に吊り下げている提灯に【ぞうさん】と屋号が書かれている。いわれはすぐにわかる、店主が童謡の『ぞうさん』の話をするからだ、それも独特の解釈を披露する。 よく客から聞かれる。「どうして、『ぞうさん』なんですか?」「まあ、『ぞうさん』の詩が好きだからなんだけどな」 客がもっと話を聞きたいようだっ [続きを読む]
  • 伝える(つづき)
  • ぁ悒鼻璽咼法爾猟蹇米鷓遏法 このなぞは明白だ、そしておれは二作目を絶筆と思っている。これを『ひろしま美術館』が所蔵している、そこへ見に行くのがおれの夢なんだ。ァ慇鰻醋襦併綽?搬次法 ゴッホの夜景は格別だ、メッセージの宝庫だな。夜、晴れた空には月と星とそして雲が、深い青色を背景に大劇場を披露する、ゴッホの独壇場(どくだんじょう)だ。Α悒▲襯圈璽羯殻を背景にしたオリーブ園』 これも夜景だ、そして夜空の [続きを読む]
  • 伝える(つづき)
  • ぁ悒鼻璽咼法爾猟蹇米鷓遏法 このなぞは明白だ、そしておれは二作目を絶筆と思っている。これを『ひろしま美術館』が所蔵している、そこへ見に行くのがおれの夢なんだ。ァ慇鰻醋襦併綽?搬次法 ゴッホの夜景は格別だ、メッセージの宝庫だな。夜、晴れた空には月と星とそして雲が、深い青色を背景に大劇場を披露する、ゴッホの独壇場(どくだんじょう)だ。Α悒▲襯圈璽羯殻を背景にしたオリーブ園』 これも夜景だ、そして夜空の [続きを読む]
  • ぞうさん・2
  •                一 下町の公園の片隅に、一軒のラーメン屋台が小さな明かりを灯している。店主と客が一人、おでんの鍋から上る湯気が暖かさをかもし出していた。ほろ酔いの客が、強いて明るい声を出した。「タッつぁん、また話を聞かせてくれ」「どうした、何か嫌なことでもあったのか?」「まあな、打っちゃってしまえばいいとわかっているんだが、どうにも打ち払えないんだ、タツつぁんの話を聞いたらなくしてし [続きを読む]