hit4papa さん プロフィール

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hit4papaさん: 暇つぶし雑記
ハンドル名hit4papa さん
ブログタイトル暇つぶし雑記
ブログURLhttp://hit4papa.blog.fc2.com/
サイト紹介文ミステリ/純文学/SF/ビジネス/ノンフィクション国内外問わずなんでも読みます。
自由文ほぼ読書記録。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供75回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2012/12/16 00:34

hit4papa さんのブログ記事

  • 【本】藤野可織『爪と目』-確かに純文学ホラー
  • 不倫の末に妻の座を手に入れた女性が、継子の視点から縷々、語られていく。母親ではない<あなた>の日常が、<わたし>の幼い目から、赤裸々にされていくのだが、主体から見えない部分まで<わたし>の語りに表れてくるのは、違和感がつきまとう。長じた<わたし>が過去を振り返る中で、出来事を再構築したと考えるべきなのだろうか。純文学ホラーなる冠で注目された本作品。終始心の奥底が見えなかった<わたし>だけに、ラスト [続きを読む]
  • 【本】磯崎 憲一郎『終の住処』-物語としてツマラナイ
  • 三十を過ぎて結婚した男女。結婚そのものが義務教育のごとく、なすべきことぐらいの意識しかない二人にとって、当然の帰結は仮面夫婦だ。子をなしながら、冷たい関係を続け、主人公の男性は女性遍歴を繰り返す。些細なきっかけで、「次に妻が彼と話したのは、それから十一年後だった」はお寒い限り。不幸な生活を予兆するような不思議な出来事等、ブンガクの香りがちりばめられているが、感動も学びもなく、心をえぐるような痛さも [続きを読む]
  • 【本】伊藤たかみ『誰かと暮らすということ』-素敵な作品集
  • 東京杉並区の下井草に暮らす、カップル、夫婦に焦点をあてた短編集。会社員の同期の男女が付き合いへと発展するお話が軸となっているが、それぞれの短編に登場する人々には直接の接点はない。何か大きなきっかげがなくとも、人というのは、誰かとつきあったり、いさかいをしたり、いたわり合ったりするもので、そんな心の動きがすんなりと読み手に伝わってくる。孤独は誰かといても感じるものだけれど、日々のちょっとした気づきで [続きを読む]
  • 【本】麗羅『桜子は帰ってきたか』-良質なミステリ
  • 週刊文春1983年 国内4位1945年 終戦。安東桜子は、亡き夫真琴を恩人と慕うクレとともに、満州からの脱出を図るべく、朝鮮へ向かっていた。途中、三人の女性を行動をともにした桜子とクレだったが、日本への船路を目前として離ればなれになってしまう。36年後、日本を訪れたクレは、桜子が帰国していないことを息子の真人から聞かされる。が、桜子と乗船した女性達のうち、ひとりだけは、日本に辿りついていたのだった ・・・サン [続きを読む]
  • 【本】麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』-相変わらず破壊力抜群
  • 亡き女優を偲のび二十年ぶりに孤島に集った男女に起こる惨劇。真夏に降る雪の中の密室殺人で幕を開ける。事件発生へのテンポが緩慢で、読者を置いてきぼりにさせるくらいに衒学的であり途中まで欠伸が出る。怒涛のクライマックスへといきたいところだが、これはミステリというより、不条理な世界へようこそ!ダークファンタジーへ誘われてしまう。テーマ?のアイデンティティへの問題を深読みしてしまうと、混乱の極みに陥るだろう [続きを読む]
  • 【本】金城一紀『対話篇』-内省的なほろ苦さを感じる
  • 親し人を死に誘う運命を負った青年「恋愛小説」、余命いくばくもない大学生が同級生に依頼した復讐殺人「永遠の円環」、離婚した亡き妻との思い出を探る旅「花」の三作品が収録された短編集。著者の長編作品は、逆境を跳ねのけるスカッとした逞しさが印象的だが、この短編作品は内省的なほろ苦さを感じる。タイトルの対話とは、それぞれの短編の主人公と、物語を紡ぎだすもう一人の登場人物との関係性を表しているのだろうか。映画 [続きを読む]
  • 【本】本多孝好『MISSING』-引き続き読み続けていきたい作家さん
  • デビュー作「祈りの海」を含め、死にまつわる作品5編が収録された短編集。ミステリタッチだが、それほど謎めいてはおらず、胸があつくなるほどのせつなさを感じることはない。死をテーマにしているものの、きれい事だけで終わらせていないのは、著者の作品ならではだろう。作品の中では、年上の従姉との交流を描いた「瑠璃」が好み。男女の成長に伴う心の変遷が、ノスタルジックな感慨を呼び起こす。『MOMENT』から入った読者とし [続きを読む]
  • 【本】阿部和重『プラスティック・ソウル』-タイトル負け
  • Jブンガクなるもの(?)の代表作家に祀り上げられた著者の、初の連載小説。雑誌編集者からゴーストライターの競作を依頼された男と、その周辺を描いているのだが、主人公の暴走するがごとき妄想で、物語の始まりも終わりもない。アイデンティティの問題は著者の他の作品の根底に見て取れる。しかし、本作品は書き連ねることの苦痛しか感じることしかできなかった。いくつかの印象的なシーンも、上手く活きておらず、ドラック漬け [続きを読む]
  • 【本】長嶋有『エロマンガ島の三人』-ゆるゆるの旅,
  • タイトル作は、雑誌の企画”エロマンガ島でエロマンガを読もう”で現地(実在するそう)を訪れた編集者ら三名のゆるゆるの旅が描かれた短編。観光地としては楽園とは程遠い島だが、そこにくらす人々精神的な豊さが、これまたゆるゆると表現されている。ゆるゆるの中に小さなざわめきを感じるのが著者の作品。本作品もB面ともいうべき同時収録作「青色LED」で明らかになる。長編「パラレル」に登場する顔面至上主義者が主役の「ケー [続きを読む]
  • 【本】吉田修一『元職員』−痛快ですらある
  • バンコクを訪れた主人公は、そこで出会った日本人青年から、美しい娼婦を紹介される。べたつく熱気の中、ワケあり主人公と娼婦の乾いた交情が描かれた作品なのだが、安易な友情や恋愛物語に昇華しないのが吉田修一流だろうか。アジアの旅で感じる、かの地からも見た日本人に対する突き刺さるような冷ややかな視線が、細やかな動作の中に上手く表現されている。すったもんだの挙句、これまでの出来事にツバを吐きかけるような、独特 [続きを読む]
  • 【本】今野敏『隠蔽捜査』-シリーズものとしての以降の展開が楽しみ
  • 警察小説では概ね敵役のキャリア官僚が主役という本作品。明晰な頭脳で事件を一刀両断といった現実離れしたものではない。主人公は、東大至上主義、権力志向ぷんぷんで、正論ばかり振り回す魅力が乏しい男だ。しかし、読み進めるうちに、主人公なりの一貫した正義感が明らかになり、その変人ぶりがいとおしくすらなってしまう。警視庁を揺るがす報復殺人。そして、息子のドラック吸引の発覚。幾重にも輻輳する困難に、敢然と立ち向 [続きを読む]
  • 【本】吉田修一『怒り』-本作品のテーマは
  • 東京八王子で発生した殺人事件。現場に残されたのは「怒」の血文字。冒頭からぐぐっと引き込まれてしまうが、場面は変わり3人の謎の男を中心に3つのストーリーが描かれ、群像劇の様相を呈していく。彼らと殺人事件の関わりは?三者三様の心の闇が垣間見えるものの、上巻ではそれぞれが交錯することはない。実在の殺人事件を想起させることから、結論は自ずと明らかなようだが、はてさてどうだろう。3人の男の周辺、そして事件を [続きを読む]
  • 【本】月村了衛『黒警』-主人公の今後の活躍に期待大
  • タイトルからは、タフでクールな警察官が主役のドラマを想起させますが、さにあらず。上司からはなじられ、同僚からはおちょくられ、離婚した妻からは慰謝料の滞納を責められるという、警察官としてはふがいない男が主役。女性を見殺しにした過去の贖罪として、嫌々ながら関わった事件を端緒に、主人公の生き方が変わっていく。警察上層部と癒着した暴力組織を、黒社会のネットワークとつるんで一矢報いようと決意するのだ。なにせ [続きを読む]
  • 【本】吉村萬壱『ヤイトスエッド』-背徳感がつきまとう,
  • ひとの性的な欲望と精神的な卑しさをぐつぐつと煮立てたような6短編が収録されている。一貫して(悪い意味でななく)厭な作品を発表している芥川賞作家だが、本作品集はかなり不快感が嫌悪すれすれまでつのる。表題作は、行いの悪い女性にお灸をすえる怪人にまつわる話で、これが一番まともだ。汚辱に魅入られていく女性を描いた「不浄道」は、食事の前後では読むことができない。読んでいるとどうにも著者と共犯のような背徳感が [続きを読む]
  • 【本】吉田修一『横道世之介』−忘れられない物語
  • 長崎から上京し、大学生活を送る横道世之介の一年間を描いた青春小説。チャランポランで、真直ぐで、間が抜けていて、図々しくて、憎めない、世之介は、愛されるとはいかないまでも、いつまでたっても懐かしい存在だ。本作品は、平々凡々で、大きな事件など起こりはしないけれど、忘れられない物語となっている。世之介と彼をを取り巻く人々のその二十年後が、所々で挿入されるという構成のなせるワザだろうか。(金言)「大切に育 [続きを読む]
  • 【本】西村賢太『苦役列車』−このイタさはクセになる
  • 中年の腹を裂いてはらわたを覗き見たような気にさせる作品。私小説であるから、著者の西村賢太は、すなわち主人公の貫多なんだろうが、よくもまあ、ここまで惜しげもなく(?)自身をさらけ出せるものだ。ちらりとやっかみや悪意が頭をかすめても、それを封じ込めるのがあるべき大人だが、それをドロドロと吐き出すイタさに、むしろ潔さを感じた。古式ゆかしい文体が、作品世界をいっそう負のオーラで包み込み、匂い立つようなもの [続きを読む]
  • 【本】麻耶雄嵩『翼ある闇』−恐ろしいものを読んでしまった
  • 素封家の豪邸で起こる連続斬首殺人事件。挑むは探偵木更津悠也。ドロドロの人間模様の中で展開される不可能犯罪は、昭和初期の探偵小説のようではあるが、二転三転(さらに転々)する真相には唖然茫然だ。衒学的ともとれる書きっぷりに惑わされ、あり得ないというツッコミする事すら忘れてしまった。どこまでも大きくなる風呂敷は、畳んでいるのやら、ほったらかしているのやら。探偵役の度重なる交代劇もさることながら、「メルカ [続きを読む]
  • 【本】長浦京『赤刃』−「新感覚の剣豪活劇」とは言いえて妙
  • 徳川家光の治世、六人の凄腕辻斬り集団を追う、掃討使 小留間逸次朗の活躍を描く時代劇。主人公は、行き場を失った武士たちの鬱勃とした思いにシンパシーを感じながら、満身創痍で闘い続ける。本作品は、漢と漢、剣と剣といった正統派のヒーローものではない。主人公の勝ちゃなんでもアリアリの戦法は、肩すかしすら感じるシーンが度々で、「新感覚の剣豪活劇」とは言いえて妙。カーチェイスならぬホースチェイスあり、命からがら [続きを読む]