千住 さん プロフィール

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千住さん: Interplay
ハンドル名千住 さん
ブログタイトルInterplay
ブログURLhttp://interplay2.jugem.jp/
サイト紹介文創作BL小説Believe in Springを連載中。地味な近親相姦ホームドラマです。弟×兄。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供45回 / 128日(平均2.5回/週) - 参加 2013/01/19 02:31

千住 さんのブログ記事

  • 炎獄7
  •  数日後の日曜日の午後、星一は最寄りの駅まで内山を迎えに行った。「スーツは来てこなかったぞ」「いいんじゃないですか」 内山は薄い青のシャツとグレーのパンツを履いてきていた。駅からけやき並木へと抜ける道を並んで歩く。「付き合ってる人の家族に会うのは初めてだよ。星一のお父さんは仲間みたいだから、まだいいけど」 普通なら殴られに行くようなものだな、と額の汗をハンカチで拭きながら内山がぼやく。「嫌な緊張を [続きを読む]
  • 炎獄6
  •  アルバイトが休みの日の午後、星一がエアコンをかけた自分の部屋で文庫本を読んでいると、ドアをノックする音がした。「星一? 入っていいか?」「どうぞ」 父親が理月の部屋を通って星一の部屋へ入ってくる。和之はお茶の入った湯呑み茶碗を盆に載せていた。自分でお茶を淹れたらしい。星一がローテーブルに腰を下ろすと、和之は星一の湯呑みを前に置いた。「家にお金を入れてくれてありがとう。お母さんが、近いうちに星一へ [続きを読む]
  • 炎獄5
  •  星一が家庭教師のアルバイトを終えて内山の家に帰ってくると、内山は風呂上りの格好でソファーの下に座ってビールを飲んでいた。「スマホを家に忘れていっただろう。着信が来てたぞ」「あ、すみません……」 ローテーブルに置かれていたスマートフォンを、内山が星一へ渡した。メールが二通届いている。母親と晴也からだった。 メールの文面を読んで、星一は考え込むように首を右へ傾けた。「何かあったか?」「弟 [続きを読む]
  • 炎獄4
  •  水曜日の午後、和之が一階の和室で横になっていると、家の電話が鳴りひびいた。 和之以外の人間は、みな外出して家にいなかった。和之は布団から起き上がると、ぼんやりした頭で玄関に設置された電話のもとへ向かった。 和之が電話に出る。自分の名前を呼ぶ声を聞いた瞬間、和之の身体は竦み上がった。「なんの用だ」「声は元気そうだな」 立波理誠は電話口で軽い笑い声をあげた。「君が体調を崩したって、知り合いから聞いて [続きを読む]
  • 炎獄3
  •  星一は、睦美がレジ打ちのパートをしているスーパーマーケットを訪れた。 星一がレジ打ちをする睦美の前にスーパーの惣菜を置くと、睦美は事務的な顔を崩さずに星一へ告げた。「もうすぐ仕事を上がるから、スーパーの裏で待っていて」「わかりました」 星一は清算を済ませた惣菜の袋を受け取ると、自動ドアを出てスーパーの裏手へ回った。 従業員出口の横で星一は母親を待った。駐車場には夕食の買い物をする人々の車が、ひっ [続きを読む]
  • 炎獄2
  •  星一が内山のアパートに泊まるようになって、一週間が過ぎた。 星一は、一週間前に母親へ友人のところに泊まるとメールをして以来、一度も家に連絡をしなかった。その間、メールが来たのは晴也だけだった。 ――お父さんたちも心配しているから、家に帰ろうよ。 自分のせいで自殺しかけた父親は、自宅療養中で家にいる。父親は、家のなかで星一と顔を合わせても、星一を空気のように無視していた。星一も、父親とどう接すれば [続きを読む]
  • Drowning(番外編) ―R-18―
  •  目が醒めた瞬間、見ていた夢が意識から飛び去った。「大丈夫か?」 皆川星一は強ばっていた身体が緩むのを感じた。ソファーで眠っていた自分を、スーツ姿の内山蒼悟が心配そうに見下ろしている。「ここにいるなら、エアコンを点けろって言っただろう」 ティッシュのケースを渡される。星一は、ティッシュペーパーで額の汗を拭った。汗で前髪が額に張り付いて気持ち悪い。「水をいただきます」 星一はキッチンの冷蔵庫を開ける [続きを読む]
  • 炎獄1
  •  カインは主に言った。「わたしの罪は重すぎて負いきれません。今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、私が御顔から隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであれ、私を殺すでしょう。」                            創世記4・13-14  その年の桜は、寒い日がつづいたせいか咲くのが遅かった。大学の入学式を過ぎても桜は旺盛に咲き誇り、キャ [続きを読む]
  • 水を砕くについて あとがき
  •  これで『水を砕く』という話は終わりです。ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。  今回気になることが二点あります。 ひとつめは、「弟×兄」はどうなった……ということです。だんだん「弟×兄」と書くのが自分でも辛くなってきましたが、今後の展開を気長に待っていただければと思います。 ふたつめは、理月と理誠の名前が紛らわしいということです。自分で小説を書いていてもガン [続きを読む]
  • 水を砕く10(最終)
  •  内山のアパートを出ると、外は暗くなっていた。 ふわふわとした心地で、アパートの階段を下りる。建物を出ると、星一は新富町の駅までつづく歩道を歩いていった。 皮のショルダーバッグから、スマートフォンを取り出す。スマートフォンには、非通知の着信が残っていた。星一は顔を照らす液晶画面を覗き込んで、理月の着信だろうかと思った。 星一は理月に空のメールを送った。文面を送ると、理月に嫌がられるような気がした。 [続きを読む]
  • 水を砕く9 ―R-18―
  •  雨木に付けられた頬の痣は、次の日には自分が見ても痛々しい青痣になっていた。 星一は、母親と晴也にその痣がどうしてできたか問い詰められた。星一は、大学の飲み会で酔っ払って喧嘩に巻き込まれたと言い通した。 母親も晴也もそれを聞いて要領を得ない顔をしていたが、自分には酒乱の気があると嘘とついたらますます不審げな顔をされた。「俺はお酒は飲まないほうがいいみたいです」 星一がそう言うと、私の父親に似たのか [続きを読む]
  • 水を砕く8
  •  目を醒ますと、見知らぬ天井が星一の頭上に広がっていた。 身体を起こす。まだ時間が早いのか、部屋は薄暗かった。壁際に置かれた本棚の前に、雑然とPCの雑誌が積み重なっている。ソファーの向かいの巨大なTVを見て、星一はここが内山の部屋であることに気づいた。 星一はぼんやりと昨日のことを思い出していた。内山とワインを飲んで、理月の話をした。途中から記憶が途切れている。いままでビールをいくら飲んでも酔わな [続きを読む]
  • 水を砕く7
  • 「……家のパチンコ屋に、中学生がいるんだって」 晴也が母親とふたりで朝食を摂っていると、母親がためらいがちに話を切り出した。「パチンコ屋に休憩所があるのよ。そこに最近、中学生くらいの男の子がいるっていうんだけど、私は閉店してからしか店に入らないから、その子を見たことがないのよ」 もしかしたらそれ、茅場くんじゃないかな、と睦美はトーストを齧りながら言った。「茅場くんは最近、どうしてるの? [続きを読む]
  • 水を砕く6
  •  頬の痣は青痣になって、よけいに目立つようになってきていた。 母親と晴也に追及されたが、星一は、青痣は大学の階段から落ちたときにできたと誤魔化した。 星一は痣が治るまで頬に大きな絆創膏を貼った。絆創膏も目立つが、痣よりはましだった。  星一は理月に写真を送りつづけた。 六月に入ってからは、あじさいと水の写真が多くなった。星一は、丈の高いガクアジサイの歩道や、滴をまとった蜘蛛の巣の写真を撮って、 [続きを読む]
  • 水を砕く5
  •  六月の最初の土曜日、星一はいつものようにビールを買って雨木のアパートを訪れた。 雨木は憔悴した面持ちで星一を迎えた。「お母さんの具合はどうですか?」「ああ、手術はうまくいった」 先週まではきれいに片付いていた部屋が、今週はコンビニの袋や空のペットボトルなどで散らかっている。遮光カーテンで薄暗い寝室も、ベッドが乱れたままになっていて、衣服が床に散乱していた。「片づけましょうか」「……調 [続きを読む]
  • 水を砕く4
  • 「皆川、ちょっといい?」 部活が終わって体育館を出た晴也は、チームメイトの羽島敬吾に呼び止められた。「おれ、これから塾なんだけど」「俺も塾だよ。ちょっと話すだけだ」 春の霞がかったような夕空が、体育館をうっすらと赤く染め上げていた。一年生が挨拶をしながら晴也たちを追い抜かしていく。「駐輪場まで行こう」 羽島が硬い表情で黙っている晴也をうながして歩きだす。「どうせ茅場のことだろ?」「そうだよ」 羽島 [続きを読む]
  • 水を砕く3
  •  理月に送ったメールには何の反応もなかった。 メールを受信拒否されたり、アドレス変更をされたりした形跡もなかったので、星一は試しにもう一通、大学のとなりにある城址公園で撮った夕暮れの写真を送ってみた。 写真を送ることはできたが、反応はやはり返ってこなかった。 理月に写真を見てもらえただけでも、星一は満足していた。 ついでに、アルゼンチンに行っている理誠にも同じ写真を送ってみた。返事はすぐに返ってき [続きを読む]
  • 水を砕く2 −R-18−
  • 「お前ら、最近どうなってんの?」 昼休み、皆川晴也はバスケット部の松島清之介に校舎の屋上へ呼び出された。 新学期が始まって、晴也は中学三年生になった。晴也は部活の同級生の誰ともクラスが一緒にならなかった。そのことにがっかりしたが、親友だった茅場正と同じクラスにならなくてよかったとも思っていた。「見てのとおり、付き合ってないよ」「露骨に無視してるだろ。空気悪くてやってらんねーよ」 太った腹に両手を当 [続きを読む]
  • 水を砕く1
  • 土を耕しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる。」                            創世記4・12  花の落ちかけた桜が連なる大学の構内を、皆川星一は歩いていた。 大学の講義が終わり、奨学金を申請するために学生課へ行くと、星一は学生課の職員に奨学金の説明会があることを聞かされた。詳しい日程を書いたプリントを手に、学生課を [続きを読む]
  • 熱病について あとがき
  •  『熱病』という話はこれで終わりです。あいかわらずラブや甘さがない本作ですが、ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。  作中に伊藤比呂美さんの詩『雪』から連想した文章があります。冒頭の雪の場面です。 あと、茅場が幼稚園生のころに読んでいた絵本は、ガース・ウイリアムズの『しろいうさぎとくろいうさぎ』です。幼稚園で孤立していた子供が、友達ができるまで先生にいつもこの本を読んでほしいとせが [続きを読む]
  • 熱病10(最終)
  • 「身体がだるそうね。大丈夫?」 夕食のあいだずっと、母親が心配そうに星一を窺っていた。「すこし熱があるようで……」 自分が今日してきたことを睦美に話したら、睦美は怒るにちがいない。星一は、額に貼りついた熱を意識しながら、母親を安心させるように微笑んでみせた。「ちょっと」 睦美は星一を手招きして両親の和室に導いた。また話があるのだろうかと、星一は身を硬くする。 両親の寝室になっている和室 [続きを読む]
  • 熱病9 −R-18−
  •  次の週末の日曜日、星一はいままで一度も足を踏み入れたことのない場所を訪れていた。 南大森。市街の中心地からかすかに逸れた、飲み屋やラブホテルが軒を連ねる一角を、星一はネットの地図で調べたとおりに歩く。 今日は新しく買った黒いコートにグレーのセーター、白いシャツを着てきた。モノトーンの洋服は、以前の服よりも肌に馴染んでいるような気がする。 旅行会社のビルが建っている角を曲がった二軒目に、その店はあ [続きを読む]
  • 熱病8
  •  休日、睦美は和之のかわりに隣の県の理月のもとを電車でを訪れた。 マンションの玄関のドアを開けた理月は、買い物袋を下げた睦美の姿を見て露骨に嫌そうな顔をした。「すこし痩せたわね」「……何しに来た」「一度あなたの住んでいるところを見ておこうと思って」 睦美が狭い玄関で靴を脱いで、部屋に上がる。部屋は築15年のワンルームマンションで、細長いキッチンとユニットバスが並んだ廊下を抜けると、8帖く [続きを読む]
  • 熱病7
  •  バスケットの部活が終わったあと、それまで晴也のことを無視していた茅場が晴也のもとへ近づいてきた。「昨日はごめん」 茅場が頭を下げる。体育館の外はすっかり暗くなっていた。一年生の部員がボールを拾い集めたりネットを片づけたりしている。 晴也は茅場にどう答えればいいか迷っていた。「いっしょに帰ろう」 茅場の誘いに、晴也は頷いた。特に断る理由も見つからない。「今日は塾?」「塾は明日」 今日の予定は空いて [続きを読む]
  • 熱病6
  •  晴也が自分の部屋に入ってヒーターの電源を入れ、制服を脱いでいると、ドアをノックする音がした。「だれ?」「俺だけど」 入っていい? と星一がドアのそとで聞く。晴也は太い眉をひそめたが、手早くグレーのスウェットの上下に着替えてドアを開けた。 星一は、どことなく嬉しそうな表情でマグカップをふたつ持って部屋へ入ってくる。「コーヒー淹れたよ」 星一は晴也の青のマグカップを手渡した。薄めに淹れたブラックコー [続きを読む]