シイタダナカ さん プロフィール

  •  
シイタダナカさん: 8のつく日はショートショート
ハンドル名シイタダナカ さん
ブログタイトル8のつく日はショートショート
ブログURLhttp://8noshortshort.seesaa.net/
サイト紹介文8のつく日にオリジナルのショートショートをアップします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供25回 / 365日(平均0.5回/週) - 参加 2013/03/01 01:50

シイタダナカ さんのブログ記事

  • あっても気づかないこと
  • 紅の夜は時を止める力がある。時が止まるということは全てが止まるということ。紅の夜のなかで動けるものはいない。紅の夜はどれくらいの頻度であるのかって?3年に1度かもしれないし、毎晩あるかもしれない。少なくともそれは突然始まり、突然終わる。そして我々はそれが始まったことすら分からず、ただただ止まり、終われば再び動き出す。どれくらいの時間が止まっているかって?愚問だなそれは。紅の夜には、時という概念はな [続きを読む]
  • かんしゃく虫
  • かんしゃく虫…人憑き科妖精目科学名…リトルポネシスオコオコ この虫は人間に憑き、対象は乳幼児から老人まで。神主や住職、修験者には憑かず、乳幼児に憑きやすい。また、2歳〜3歳児にかんしゃく虫が取り憑かいた場合、変態し、イヤイヤ虫となる場合が多い。大人になるにつれ影響は小さくなるが、ごくたまに壁や机を叩く、大声をあげるなどの症状を引き起こす。一定時間放置すれば離れるが、油を注入すると活性化する。大人の [続きを読む]
  • タバコの煙
  • 渋谷のモヤイ像で待ち合わせ。早く着きすぎてしまった。モヤイ像の脇には広々とした喫煙スペースがある。煙草を吸わない身としては副流煙を避けるべく、モヤイ像は見えるが喫煙所から少し離れた場所で連れを待つ事にした。やることもないので暇つぶしにスマホをいじっていると、タバコの匂いが強くなった。辺りを見回すが、喫煙者達は行儀良く喫煙所でタバコを吸っている。―しょうがない。場所を変えるか。モヤイ像を背に歩き出す [続きを読む]
  • チョコレートと神様
  • 俺は何もかもついてなかった。必死に努力しても、その努力は徒労に終わる。何をやるにしても全てがちぐはぐになって、結局何もできない。そんな俺でも何か一つは成し遂げられるはずだと思い、近所にあるお稲荷様に願をかけることにした。7日間、毎日お参りをし油揚げをお供えする、だから俺を変えてくれと。ピンチは五日目にやってきた。その日は吹雪だった。冷たい風と雪が横殴りで襲いかかる。そんな中でも俺はお参りにいった。 [続きを読む]
  • 改装中最後
  • もう何回降りたのだろうか。葛西に続いて、エスカレーターを降り、顔をあげると、そこは草原だった。遠くには牛が草をはんでいる。もうろうとした意識が覚醒し、何かを告げている。そうだ、この景色は、夢で見たあの景色だ。「ねえ、葛西君。ここは」「やっと、やっと出れたよ!前田さん」「ねえ、聞いて。ここは現実じゃない。ここは私の夢なのよ。あのフロアで見た夢と同じなのよ」「何言ってるんですか。ここは現実ですよ。とい [続きを読む]
  • 改装中21
  • 「まず、この世界で動いているのはエスカレーターだけですよね。それ以外の時間は全部止まっているんだと思います。現に時計も携帯も止まっていますし。それに自分も前田さんも眠くはなるけど、お腹は減らないし、トイレにだって行かなくても平気だし。でもエスカレーターだけは動いている。つまりエスカレーターは時間が止まっていない。時間が止まっている空間にいても何も起きないんじゃないですか?だって止まっているんですよ [続きを読む]
  • 改装中20
  • 目が覚めると葛西がいた。ちょっと涙ぐんでいる。「よかった。このままずっと目を覚まさないのかと」「私、どれくらい寝てたの」「わかんないです。自分も寝てたから。でも少なくとも15時間以上はたってるはず。だって銀河の英雄伝説を全部読んだから」「キル・ヒアイスが死んだの何巻だっけ?」「ええと、3巻です。全11巻で、最後まで残ってるのはミンツユリアンだけっていう、まぁそれはいいとして、心配したんですよ。ほんとに [続きを読む]
  • 改装中19
  • さっきの草原だ。空が絵の壁に地平線が書かれているフロア。これは夢なんだわ。夢の中にいることが気づくと世界が変わった。空は本物の空になり、壁は消え、床の人工芝は本当の草原になった。風が気持ちいい。飛んでみよう、と思ったが飛べない。夢で気がつけば何でもできるって、インターネットに書かれていたのに。「ここは夢じゃないから飛べない」葛西がいた。真顔の葛西。「じゃあここはどこなの?」「狭間の狭間。狭間にいる [続きを読む]
  • 改装中18
  • 「ふふっ、ふふふふっ。あははははは」前田さんが突然笑いだした。「そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」「だって、だって真面目な顔して、変なポーズして、ザ、ワールド、そして世界が動き出すっておかしいでしょ。あはははは」「変なポーズじゃなくて、これはヨジ立ちというんです」「そうなの。それで世界は動きそうなの?」腕にはめている時計を見てみるが相変わらず止まったままだ。「だめですね」「そっか」沈黙に耐え [続きを読む]
  • 改装中その17
  • 目が覚めると、右斜め前に葛西君がいた。彼は足をクロスさせ、若干ひねりをいれつつ前屈みで、右手をうつむいた顔に、伸びた左腕はほぼ水平という姿勢をとっていた。「ザ、ワールド。そして世界は動き出す」低めの声でそういうと足はクロスさせたまま、顔をあげ胸をはると同時に右手は開いたまま(しかも複雑な形で)腰の後ろへ、左手を前方、薄暗い店内に向け指を指した。「ねえ、何してるの?」「これはヨジの奇妙な冒険に出てく [続きを読む]
  • 改装中 その16
  • エスカレーターに乗っている。無限に続くエスカレーター。ときおりシャッターの閉まったフロアがすぎていく。そこにいるのは私?なんで泣いているの?出られないから?それとも1人だから?無限に続くエスカレーターが突然終わった。あたりは草原。空が絵の、建物の中に作られた人口の草原。壁には地平線が書かれていて、山羊がいて牛がいた。彼らは壁の中で草を食べている。フロアの中は私だけ。遠くの牛がゆっくり近づいてき、壁 [続きを読む]
  • 改装中その15
  • 女は本を読み終わって男に話しかけた。「砂漠の結晶面白かったわ。まさかあんなオチだとは。教えてくれてありがとう」「自分もひさびさに西野圭吾読んでますけど、面白いですね」「でももう疲れちゃった。どうやったら出られるのかしら」「うーん、なんともですね。でも、本読み放題も悪くないですよ。精神と時の部屋みたいで」「そういうのあったわね。ボールオブザドラゴンだっけ。懐かしいわ」そういうと女はあくびをした。「眠 [続きを読む]
  • 改装中その14
  • 「前の」とか言って、何を聞き出そうとしているんだ俺は。女性と一緒だからって、しかも可愛いきれいな女性と一緒だからって、いきなり彼氏の事とか聞き出そうなんて、何を考えているんだ。こんな変な状況で。彼女が俺に話してくれるのはこんな変な状況で相手が俺しかいないからだ。うわー彼女よばわりしちゃった。うわー。相手はなんとも思ってない相手はなんとも思ってない、相手はなんととも思ってない。よし。なんだっけ、お勧 [続きを読む]
  • 改装中 その13
  • エレベーターの前で本を読んでいる男と女。男はあぐら座り、女は体育座りだ。店内の明かりは消えている。彼らがいるエレベーホールだけに明かりがついている。女が一息ついて携帯の時間を確認する。「やっぱり時間が進んでない。読み放題もいいけど、さすがに疲れたわ」男も一息つく。「そうですね。前田さんは何冊読んだんですか?」「私?五冊くらいかなぁ。西野圭吾と坂井孝太郎をがっつり」「西野圭吾かぁ。最近読んでないなー [続きを読む]
  • 改装中 その12
  • 「まいったな、これじゃあ何時かわかんないな。ここに来た時間で止まってる。そちらの携帯は何時で止まってます?」「私?ちょっと待って」女は鞄から携帯を取り出した。「私もここに来た時間で止まってるわ。18時半ね」「自分のは20時13分。えっと、俺、葛西って言います」「あ、ごめんなさい。名前言ってなかったわね。私は前田と言います。私ずっといたけど、絶対2時間以上たってる」「そう言われましても」「絶対、たってるん [続きを読む]
  • 改装中11
  • 「あのっ、大丈夫、ですか?さっき泣いてたみたいですけど」「ええ、さっきはごめんなさいね」「えっと、あ、これが例のエスカレーターですね。」男が扉からはなれると、扉はゆっくり閉まって、ガシャンと音がした。「このエスカレーター、がんばれば降りれるんですよね?」「ええ、でも止めた方がいいですよ」「ちょっと確かめたい事があるんで、ここに居てもらってもいいですか?」「嫌よ、ひとりにしないでよ」そう言うと女は泣 [続きを読む]
  • 改装中10
  • まいったな。こっちの向こう側は下りエスカレーターがあるはずなのに。そう思いながらシャッターに沿って歩いていると、突き当たり2メートル手前に扉があった。扉のフレームでシャッターが途切れている。とりあえず扉を押してみるが開かない。取っ手はなく、半円の輪っかがついている。輪っかの下の鍵を回すとガチャリと音がした。再び押してみると、開いた。薄暗い店内に、廊下の明かりが差し込む。その明かりの中に女性がいた。 [続きを読む]
  • 改装中 その9
  • 何を言ってるんだろう、シャッターの中の人は。「ごめんなさい、うまく理解できないんですけど」「ですから、あなたがエスカレーターで昇った8階のシャッターは、僕からみると反対側。つまり、このシャッターの向こう側には下りエスカレーターがあるはずなんですよ」「でも、ここには上りエスカレーターしかないわよ」「だから予想外と言っているではないですか」「じゃあ、どうしろっていうのよ」思わず声を荒げてしまった。そん [続きを読む]
  • 改装中その8
  • ガッシャンと反対側のシャッターがなった。あっちには下りエスカレーターがあるはずなのに。きびすを返すと反対側のシャッター側からくぐもっ声が聞こえた。「あの、いますか?」さっきの女性の声だ。「ちょっと待って下さい」早足でエレベーターの前を通り過ぎ、シャッターにたどり着いた。「少し予想外の事が起こってます。そちらのシャッターはさっきまでいたシャッターと変わりありませんか?」「変わり?ないわよ。貼り紙は相 [続きを読む]
  • 改装中 その7
  • 「えと、上りを頑張って降りたけど、それでも8階だったってことでいいんですよね」やや間があって返事がきた。向こうも私と同じように事態を飲み込めていないのだろう。「そうなの。私ビックリしちゃって。」「エスカレーターの手すりに隙間はないですか?」「隙間って?」「手すりと壁の間です。覗くとぞっとするやつ。もしあるば下の様子がわかると思うんですが」私は立ち上がり、エスカレーターみた。「ないわ」「じゃあ逆に昇 [続きを読む]
  • 改装中その6
  • 「さっき降りられないって言ってましたけど、もうちょっと詳しく教えてくれませんか。ええと、下りのエスカレーターがないんでしたっけ」「そうなの。昇りしなかいのよ」良かった。落ち着いたみたいだ。女性の涙というのは非常に困る。泣いてる間はどうしたらいいかわかんないし、ましてやシャッターごしの初対面の女性なんてなだめることもできない。せめてシャッターが開いてたらよしよししてあげるのに。って俺は何を考えている [続きを読む]
  • 改装中その5
  • 降りても降りても八階なのよ。もう疲れたのよ私。誰かきて助かったと思ったのに中からも降りられないなんて、もう嫌よ嫌。昔っから私はそうなのよ。あっちゃんに好きって言っても振られるし。ごめん、彼女がいるんだ。知らないよそんなの。あっちゃんだけじゃない。たっくんにも振られたしムサシくんにも振られたし、シンジにだって、マサキにだって振られたわ。やってもやってもダメなのよ。みんなみんな彼女がいるなんて。もっと [続きを読む]
  • 改装中 その4
  • 「そこに誰かいませんか〜?」「いるわ。でも降りられなくて困ってるの。あなたは?」問いかけに答えてくれたのは若い女性の声だった。「あ、良かった。こっちも降りられなくて困ってるんです。そっちにはエスカレーターがあるんですよね」「ええ。でも下りのエスカレーターはないの。上りのエスカレーターを逆走してみたけど、ダメなの」「下りのエスカレーターがないんですか?」「何回も言わせないでよ!」急になんなんだ。どう [続きを読む]
  • 改装中 その3
  • もう、どうしよう。疲れちゃった。昇りエスカレーターを逆走してみたものの、降りても降りてもそこは八階。途方にくれてシャッターを背に座り込んでいると、いきなり、シャッターがガッシーャンと鳴った。「きゃっ」年甲斐もなく思わず叫んでしまった。「もう、なんなのよ」怒りにまかせてシャッターを蹴ると、カシャンと控えめな音がフロアに響いた。するとまたシャッターが鳴った。シャンシャン、シャンシャンと誰かが叩いている [続きを読む]
  • 改装中 その2
  • よし、今日は早く仕事が終わったから本屋に行こう!いきつけの本屋は駅ビルの8階にある。1人エレベーターに乗る。エレベーターから降りると本屋は真っ暗だった。背後でエレベーターのドアが閉まる。明かりはエレベーターの前にだけついている。 なんだ。今日やってないのかよ。行ってしまったエレベーターの下ボタンを押すが反応しない。連打もだめ、長押しもだめだ。しゃあない。エスカレーターで降りよう。暗くてよく見えない [続きを読む]