無知の不知

当時の僕はなにも知らなかった。お酒の種類も、飲み方も、お勘定の仕方でさえ知らなかった。だからバーで「なににする」なんてこと聞かれても僕は答えられずに、結局、カシスオレンジやジントニックやカルーアミルクみたいな定番のお酒しか頼めないのだ。

壊れたものは直らない

僕にとって元彼はずっと元彼なのだ。 今日そのことを実感した。●マサルがまた東京に来るというので一緒にお酒でも飲もうとなった。都内の某県の郷土料理が食べられる料亭で僕とマサルは地酒を飲みながらその土地の料理を味わっていた。いただいた日本酒は辛口であったがすう

見えない幸せ

一限のある日は必ずアキトの家に泊まる。理由は至極簡単で自分の家から大学へ向かうよりも、断然近いからである。一限の日は7時10分の電車に合わせて支度をしなければならないがアキトの家からなら8時数分の電車で間に合う。アキトは今年28歳で年相応の落ち着きとたま

近況報告

忙しかったです。新しい恋人が出来たり、自分とは本当に合わない人がいるんだと学んだり、自分のブログを見返して涙ぐんだり(今さっき)、悩みも多いけれど、これもきっと幸せの一つなんだろうなあと思います。無い物ねだりをしたくもなるけど美味し

隠れていたもの隠していたもの

「最近どう」そんな定型文から会話は始まった。「普通。そっちは？」「普通。」ビールとハイボールを飲みながら僕とマサルは答える。かつて恋人同士の二人の間は、居酒屋の騒音で遮られているようだった。そう、僕は昔々マサルが好きで、マサルは僕のことが

時間が止まった部屋

10時50分、僕は今サークルの部室にいる。といってもそこにいるのは僕だけであたりは静寂に包まれている。サークルがある建物の一階は食堂や購買があって昼時にはそこそこ騒がしくなるが2階から上は学生の出入りは少なく閑散としている。その2階に僕が所属するサークルがあっ

終わりが終わる

夏の終わりというのは、なんてあっけないものなんだろう 若者のすべて - フジファブリックhttp://www.youtube.com/watch?v=IPBXepn5jTA8月31日22時14分もうあと2時間もしないうちに9月になってまだ暑さは残るけど夏は、もう終わる時計も太陽も夏の終わりを惜しむことなく時

仄かに昏い中で

仄かに昏い中でずっと手を繋いでいた心の臓はずっと高鳴ってて夢の世界に潜ることも許してくれない繋いだ手の境い目が分からなくなって二人一緒になって同じ夢なんか見たりして朝なんてこなくていいって少しだけ、少しだけ

嫌いだった

真っ直ぐな言葉を歌うJ-POPが嫌いだった僕はひねくれていた真っ直ぐな歌詞のJ-POPが嫌いだった君が好き、愛してる、ありがとう、前向きに生きよう、そんな素直で真っ直ぐな言葉が嫌いだった今思うと僕は憧れていたんだと分かる拒絶されるのを何より

夕暮れの

夏が始まった。20回目の夏。2013年も早くも下半期に入った。そして8月。夏だ。夏の外はあんなにも騒がしいのに僕は少し淋しさを感じる。夏の夕暮れ。伸びる影。オレンジに包まれる町。どれもこれも淋しさを助長させるものばっかりだ。多分終わるのが怖いのだろう。昼間の騒々