sorakaze さん プロフィール

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sorakazeさん: 空風瞑想
ハンドル名sorakaze さん
ブログタイトル空風瞑想
ブログURLhttp://www.sorakaze.com
サイト紹介文本当の自分自身に目覚める空風瞑想。悟りや啓発、意識の覚醒を実現する瞑想についてのブログ。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供142回 / 365日(平均2.7回/週) - 参加 2013/05/10 11:49

sorakaze さんのブログ記事

  • ウロボロスの回廊 第8章(3)
  •  僕は固唾を呑んで蓋の動きを見守った。蓋が開いたカプセルの中には女性が仰向けで横たわっていた。口には白いチューブが差し込まれている。女性はウッと苦しそうにうめいた。 白いチューブが口から自動的に抜けていく。チューブが抜け終わると、とたんに女性は苦しそうに咳き込んだ。 そして、目を開けた。ハルさんなのか。長い髪の毛が顔を覆っていてよく見えない。女性は天井を見て、何度も大き [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第8章(2)
  •  手を伸ばして、ハルさんのカプセルに触れる。金属の冷たい感触が、僕の手に伝わってくる。何の動きもない。 またひとりに戻った。これが僕に与えられた現実だった。 しばらくすると、呼吸が楽になり、手足も自由に動かせるようになった。次第にこの身体の感覚にも慣れてきた。 僕はフラフラしながらも立ち上がって、隣のカプセルを見た。ハルさんはきっと近くまで来ているはずだ。まだ希望を捨て [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第8章(1)
  •  僕はあの浮遊感覚になり、それから勢いよく静寂の暗闇の中を落ちていった。ハルさんの存在は感じられない。 落ちていく先に光の輪が見えた。そしてその光の中を通過した。その先はまた闇の世界だ。振り返ると目の前にあの光る輪があって、僕はそこから離れていく。 僕はあの輪から出てきたと分かった。前を向くと、最初に見た強烈な光を放つ光源がある。あれが生体への入り口だ。 ハルさんはどう [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第7章(4)
  •  そうだったのか…。僕はそんなことも知らずに、ハルさんの期待を裏切ってしまった。バカなことしたのかもしれない。 いま、あの世界では人間も亜人間も滅亡した状態だ。それはそれで、自然なことなら仕方がない。だけど、それは僕の失敗なのだ。 きっと人間には生きる意味がある。少なくとも生きる意味があると知っている生物だ。愚かで欠陥のある生物だけど、生きることで、どこかにたどり着こう [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第7章(3)
  •  僕はあの見慣れた公園に立っていた。そして、目の前にはハルさんがいる。あのリクルートスーツを着ている。ハルさんは目を閉じてベンチに座っていた。 前とは全く逆の立場にいるようだ。それにしても、これは夢なのか、仮想現実なのか。それとも現実なのか…。 僕は気持ちよさそうに目を閉じているハルさんを見つめた。これが仮想現実かどうかなんて、どうでもいい。「ハルさん」 僕は声をかけた [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第7章(2)
  •  小さな機械音だけがいつまでも小部屋に流れて、それ以外のことは何も起こらない。 ハルさんの自我はこれで消失してしまったのか。そう認めなければならないのか。カプセルを見ても、何の変化もなかった。ただ、冷たい金属の光を放っているだけだ。 どうすればいい。 僕は小部屋の片隅に腰を下ろした。こんな状況になるなんて、考えてもいなかった。インストールが停止してしまうなんて。 何だか [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第7章(1)
  •  ハルさんのインストールが始まる。[インストール中…] 9番のパネルにはそう表示されている。まずはハルさんのインストールを待たなければ。待っている時間が長く感じる。 部屋の中はかすかな機械音がするだけだ。銀色のカプセルに特段の変化はない。どちらがハルさんなのかも分からない。 僕は部屋の片隅に座って、時折、パネルに目をやって表示を確かめる。 ふと、自分の両手の手のひらを見た [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第6章(4)
  • [前に十人目の亜人間が起動しなかったと言ったのは…][あれは、君のことだ…][人間のプログラムをみだりにマシンで起動してはいけない…][亜人間は人間からそう命令されている…][人間は生体にこだわったんだな…][だけど、私はそのプログラムを起動しに行った…][そうしなければならない事態だと判断したからだ…][そして君を深い眠りから覚まして、そしてここまで連れてくる必要があった…][君は厳 [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第6章(3)
  • 「ハルさん、それって、成功の確率はどのくらいなんですか」 やはり成功率は気になる。人工知能なら、そのくらい簡単に計算しているはずだ。[確率とか、聞かないでくれ…][分かっていることは、やるしかないということなんだ] 僕は気まずい気持ちになった。「あっ、すみません…。そうですよね」 僕は小さくため息をついて下を向いた。そうだ、今からそれをするのはハルさんなんだ。[まあ、気持ち [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第6章(2)
  •  これはハルさんなのか。「ハルさんなんですか」 僕は思わず声を上げた。[そうだ。私だよ…] 僕の声に答えて、そう画面に表示される。これは何かの通信なのか。「ハルさん、大丈夫なんですか」 僕がそう聞くと、[大丈夫だ。結構ダメージがあって、回復に時間がかかった…] 画面で交信できるらしい。「ハルさん、どこにいるんですか。ここはどこなんでしょう」 僕はハルさんに聞きたいことでいっ [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第6章(1)
  •  僕は薄暗い部屋の中で途方に暮れた。こんなところで、幽霊のように過ごすことになるのかと思うと、調子に乗って暗闇の中を落ちていったことが悔やまれた。 そこに行ってはいかん、という声は、このことに対する警告だったのか。今となっては戻る術も分からず、助けてくれる誰もいない。 ハルさんはきっと時間移動の中で壊れてしまった。きっとそうだ。闇の中に散ってしまったのはそのサインだろう [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第5章(3)
  •  僕は目を閉じるハルさんを見た。僕も目を閉じた。僕は公園の光の暖かさ感じて、風の音を聞いた。それがだんだんと遠くになっていく。心の中は静まり返っていった。 僕は離れた所から、二人がベンチで座る姿を見ていた。太陽の日差しに照らされて、二人はそこで死んだように動かない。僕は無感情でそれをただ見ていた。 そして、その光景はぼやけて薄れていった。僕は心の中の静寂に戻された。小さ [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第5章(2)
  •  ああ、ハルさん。おかえりなさい。これは幻なのか。僕は心の中でそう呟いた。 まるで当たり前のように、ベンチの隣に笑顔で座っているハルさんを見て、だんだんと実感が湧いてきた。「無事…だったんですね」 僕はやっとそう言うことができた。「ああ、心配だったか」 ハルさんは、あははと笑った。「笑い事じゃないんですけど…。でも、無事で良かったです」 僕がそう言うと、ハルさんは、心配 [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第5章(1)
  •  ハルさんは大丈夫だろうか。あれから半年が経った。僕は相変わらず、毎日公園通いだ。あのベンチでハルさんを待っている。 あの消え方からすると、またダメージがあるのかもしれない。心配になる。 それにしても、あのとき、僕は何かを見た気がした。その瞬間に強引に意識が浮上した。何を見たのか、思い出せない。 だけど、それを見た衝撃だけが残っていて、それが心の中でくぼ地のような痕跡に [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊
  • SORAKAZE BOOKS 11冊目の本が出版されました。「ウロボロスの回廊」SFファンタジー小説です。新宿御苑を舞台にして、平穏な日常を送っていた「僕」が、ある女性に会ったことから想定外の非日常へと生活が変貌していく物語です。ブログには掲載していない「あとがき」を追加しました。 ウロボロスの回廊 (SORAKAZE BOOKS) 新宿御苑を舞台にしたSFファン [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第4章(4)
  • 「うん、そうだ、あの話をしなければならなかった」 ハルさんはそう言って話し始めた。「君のデータを解析して面白いことがわかった」 カチッと 音がした。それに構わず、ハルさんは話し続ける。「君のデータの中にゴーストの痕跡を見つけたんだ。ゴーストは検知水準を超えたとことにいるから、捕まえることが不可能。前にも話したと思うが…」「たとえ運良くそれらしいコードを検知したとし [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第4章(3)
  • 「あっ、ハルさん」僕の顔もほころんだ。生きていたんだ。「突然消えたから、心配してましたよ」そう言って、僕は思わずベンチから立ち上がった。「…時空接続ポイントにロック。安定度良好」「…影響値40で強制離脱」「…あとはこちらの判断でアウトする」「すまんな。例の通信だ」 ハルさんはそう言って、僕の顔を見て笑った。「ハルさん、大丈夫だったんですか」 僕がそう言うと、ハルさんは、 [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第4章(2)
  •  ふと、誰かが僕を見ている気がした。あたりを見回したが、公園には誰もいない。 僕はぼんやりと公園の景色に目を向けながら、更に考えてみた。もし可能性があるとしたなら、この時間の流れの外側に行けばいいんだ。 時間の輪の、この世界の構造を超えて。うーん、それはちょっと飛躍し過ぎか。そんなこと現実味がないしな。 時間軸を行き来することはできるかもしれないけど、さすがに時間そのも [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第4章(1)
  •  ハルさんが消えてから、三ヶ月が過ぎようとしていた。それでも僕の日課は変わらない。毎日、公園のあのベンチに向かった。そして、一日そこに座ってハルさんを待つ。 もしかすると、あのまま死んでしまって、もう会えないとか。そんな悲観的な考えが度々頭をよぎる。 こうしていると、また、あの時間が夢だったのではないかと思えてくる。時折、見せていたハルさんの笑顔が幻のように、その印象だ [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第3章(5)
  •  ハルさんは怪訝な顔で僕の話を聞いている。「まあ、そう君が言うなら。前は中途半端になったしな。でも、亜人間はそういうことはしない。そうする意味がわからない。本当のところ、言葉は悪いが、バカげたことだ。私が知っている原種の人間のデータでも、そんなことしなかったようだぞ。君は同じ原種の人間だけど、変なことに興味があるんだな」  音が三回鳴った。「それなら、逆にやる価値 [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第3章(4)
  •  僕は腕組みをして眉間にしわを寄せ、足元を見つめた。これは僕には荷が重いことだぞと思った。ハルさんは僕の話に答えてはくれるが、何というか噛み合っている感じがしない。 それに、話の全体像は何となく分かったが、それの解決方法は指の先にも引っかかってないじゃないか。 まさに目に見えない幽霊を探すようなものか。…それにしても、幽霊か。そんな言葉をハルさんは使うんだな。 僕はその [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第3章(3)
  •  僕はハルさんから目をそらして足元を見た。いったいここで何を喋ればいいか分からない。人類の絶滅を避けるとか、今の自分にはそもそも現実味がない話だ。 プログラムと言われても、ピンと来ないし。そもそも人間にプログラムなんてできるのか。「それは、人間の個人的なエゴを超えていくような何かが新しい人間には必要ということですかね」 ハルさんの目に視線を戻して、思いつきで、そう言って [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第3章(2)
  • 「何となく、分かりました。そういうことなら、僕では役不足かもしれないけど、何か役に立てるのであれば…」 そうは言ったが、ハルさんの話への理解は追いつかないし、僕の中の疑問は収まるどころか、深い混沌の中に落ちていくようだった。「では、私からの説明を聞いてくれ」 そう言ってハルさんは話を続けた。「人間と亜人間についての話だ。この二つのプログラムには違いがあるが、一番の違いは [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第3章(1)
  •  公園で起こった出来事は夢ではなかった。突然、僕の日常に割り込んできた非日常の場面。まだ、僕はそれをどう理解すればいいか分からない。それでも、毎日公園には行くようにした。いつハルさんが戻ってくるか分からない。 ハルさんの話はとんでもない内容だが、何となく無視してはいけない気もする。現在の僕には関係ない未来の話だけど、彼女の存在が話に現実感を与えている。 ところで、なぜ、 [続きを読む]
  • ウロボロスの回廊 第2章(3)
  •  人間は遠い未来に絶滅してしまうのか。自分には実感がわかなくて、何か、人事みたいに思える。「それと、私が時間を超えてここに来ることだけども、」 ハルさんは話を続ける。「時間を超えていく方法は発明されたが、過去に長くとどまることができないんだ。過去を変えることはできない。過去を変えようとすると、時間との摩擦が起こる。余り長く留まって、過去に影響を与えてしまうと、その摩擦で [続きを読む]