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いにしへの月 http://ugetu99.blog.fc2.com/

時代小説好きな管理人が、趣味で書き綴る三文小説処です。

義理と人情の時代、純粋な恋の物語を表現すべく、日々努力していきたいと思っています。

聖 さくま
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2013/06/13

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  • 終焉

    誰もいない部屋で、私はため息を一つつき、立ち上がった。すべて終わった。今日、私は15年間余り暮らしたこの家を、出て行く。すでに荷物はまとめてあった。小さなカバン一つにすべてを詰め込んで、私は静かにドアを出た。振り返れば、15年余り暮らした家が、私を見送っている。さようなら。小声で誰にともなくつぶやいた声が、ふわりと風に乗って消えた。悲しいことなど何もない。これでいいのだ。細い道を歩きながら、...

  • ある男が薬を作った話

    ある男が薬を作った話 ついに完成した。 私の長年の研究の成果が今、ようやく形となったのだ。 容器のなかの半透明の液体を目の前に掲げ、私はこれ以上ない充足感に満たされていた。 この液体は、なんと惚れ薬なのだ。 これを飲めば、最初に目にした相手をどうしようもなく好きになってしまう。効果は超強力で、わずかに舐めた程度でもそのすさまじい効力から逃れることはできない。 くっ、と思わず笑いが込み上げる。なぜ...

  • てぶくろの話

    てぶくろのお話ある日、車の中を掃除していた私は、シートの下から薄汚れた毛糸のかたまりをみつけた。丸まった黒いそれを開いてみると、それはちいさなてぶくろだった。今はもう高校生になって、すっかり無口になってしまった息子が、まだ小学校の低学年だったころのものだろう。彼はてぶくろをよく失くしたものだ。新しいのを買っては失くし、毎週毎週その繰り返し。はじめのうちは叱ったこともあったが、あんまり年中失くすもの...

  • 理不尽のお返し

    ありがとうございました、と頭を下げる。が、相手は返事はおろか目も合わせずに、そしてそれが当たり前のように無言で去っていく。 でもそれならまだいい。電話で会話をしながら、「お弁当は温めますか」などのこちらの問いかけにもまったく反応する気もなく、小銭を放り投げて帰っていく人も少なくない。 いくらアルバイト店員であろうと、話しかけたら返事くらいはしてもら...

  • 140字小説

    通りかかった城の中庭のベンチで彼を見かけた。彼はそよ風に髪をゆらし、うつらうつらしている。声をかけようとして、やめた。疲れているのだ、寝かせておいてあげたい。黙って通り過ぎる。が、数歩戻って周りをちらと確認すると、その唇にそっとくちづけた。とたん、かっと頬が熱くなった。私はなにも見ていない。あれはただ、この目に映っているだけの光景だ。けれどもそれが、こんなにも私の心を激しく揺さぶり、絶望が胸にひろ...

  • http://ugetu99.blog.fc2.com/blog-entry-15.html

    ホラーってむずかしいあるサイトさまのお題にそって、ホラー小説を目指してみました。ホラー系って読んだことないので、かなり無謀だったかな~と今になって思う私。ホラー小説とは、読み手に恐怖をあたえる内容のもの、と某所の説明にあったけど、書いてみるとなかなか恐怖にはたどり着かないのね。恐怖かぁ。うーん、むずかしいなぁ。...

  • 無名画家の絵

    無名画家の絵 岩本和夫は、ふとした気まぐれから、百貨店のイベント会場で開いている絵画展をひやかしてみる気になった。絵画なぞにはまったく興味はなかったが、このまま帰ったところですることもない。 それに――。 和夫はごそごそとズボンのポケットをさぐった。 手にふれる紙片の感触は、たしかに先ほど街頭でもらった無料チケットのものだ。 無料ならば、日ごろ縁のない芸術に触れてみるのも悪くはあるまい。どうせ時間...

  • http://ugetu99.blog.fc2.com/blog-entry-13.html

    うーん…更新しました。といっても、以前某サイトさまにアップしたお話です。でも、今読んでみると、どーもいまいち。ありえんだろ、その展開、と自分でツッコみたくなる…(汗)...

  • 飛燕の剣

    飛燕の剣 もはやこれまでか――堀口(ほりぐち)伝(でん)右衛門(えもん)はそう覚悟した。 相手方は十人ほどで、冷水流剣術を極めた伝右衛門にとってはさしたる数ではないはずだった。が、一人、非常に手強い男がいた。名を片平(かたひら)風雪(ふうせつ)という。父は片平(かたひら)雪(せっ)斎(さい)といって、もともと伝右衛門とは剣術を競い合う仲であったが、十年ほど前の藩のお家騒動が起こる前に病死している。その後、藩の...

  • http://ugetu99.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

    更新!某所に掲載した、しょーもない習作をアップしてみますた…。まあ~せっかく書いたんだしね。なんだかわけわからん話ですが、練習ってことでごめんなさいまし。...

  • ナ ギ

    こめかみから生ぬるい汗が伝い落ちる。 だがそれは、じりじりと照りつけるこの盛夏の日差しのせいではなく、今、わが眼子がうつしだしている緊迫の事実によるものだ。 我の前に男がいる。その腕に女をかかえて。「弓を捨てろ。さもないと女を殺す」 男の手に握られた短刀が、細いうなじにあてられる。静寂のなかに己の鼓動ばかりがはげしく耳をうち、胸の焦りを自覚せずにいられない。それでもなお躊躇する我に、男はにたり...

  • http://ugetu99.blog.fc2.com/blog-entry-9.html

    久しぶりに書きましためずらしく、少し長めのお話に挑戦してみました。やや甘めのコミカルなところを目指していますが、やはり時代物はむずかしいですね。勉強不足で理解度が今ひとつ……申し訳ない>< 適当に流していただけるとありがたいです。個人的には時代考証よりもストーリー優先の話が好きなので、自分もその姿勢で、と思っています。……なんて、エラそうにすみません。実はかなり適当です><今回は三話までアップ。四話以...

  • 縁談話 三

    翌日、道場へ行くと、左門が道着に身を包んで小十郎を待ち構えていた。昨日の話の通りにさっそく稽古をつけてくれるつもりらしい。まずは手合わせを、と言われるがまま向かい合わせに頭を下げれば、構えるやいなや小十郎は一瞬で面にぴしりと打ち込まれていた。動きが見えないほどのその速さに唖然としていると、ふむ、と左門はなにやら得心したようで、まずは自分の攻撃をよけろと言った。 それから暫くの間、うんざりするよ...

  • 縁談話 ニ

    その晩、小十郎は志乃と美代に、左門との縁談話がまとまらなかったことを告げた。「それは残念でしたね。けれど仕方のないこと、だれのせいでもありません。そのうちにまた良い話が来るでしょう」 いくぶん気落ちした様子で志乃は言った。が、哀しくも不運に慣れてしまっているせいか、どこかでこうなる事を予感していたのかもしれなかった。「だれのせいでもない、はたしてそうでしょうか。父上が不始末を起こさねば、美代...

  • 縁談話 一

    夫の持田久兵衛が亡くなって早二年がたつ。志乃は今日、久兵衛の墓に参って、久方ぶりの吉報を告げた。 娘の美代に縁談話がきているのだ。相手は坪内左門という男で、美代よりもひとまわりほど年かさのやもめである。一度は妻をもらったが、流行り病により数年ほど前に亡くなってしまったそうで、それからは独り身を通しているとのことだ。 美代はこの正月で17になった。本当なら左門のような年配のやもめよりも、もう少...

  • http://ugetu99.blog.fc2.com/blog-entry-5.html

    遅ればせながら…レスでございます!!このようなところへお越しくださるかたがいらっしゃるとは夢にも思わず、気が遠くなるほど放置しておりましたぁ!!大変申し訳ありませんっ!!>Tさまコメ、ありがとうございました。拙い作品ですが、お読み下さり、大変うれしいです。日頃、なかなかまとまった時間がとれず、次作も滞りがちではありますが、少しづつでも書き続けたいと思います^^また、サイトのご紹介、ありがとうございま...

  • 花里

    花 里 東の空が未だ濃い藍色を残す朝まだき。はるかに見える山々の際が白々とかすみはじめるまでには、いま少しの間があった。廓(くるわ)は夜の賑わいが嘘のように、今はしっとりとした静寂に包まれている。 ふと、かすかな衣擦れの音を感じ、花里は深い眠りの底からそろりそろりと目覚めはじめた。 激しい閨事に疲れ果てた昨晩、そのまま崩れるように寝入ってしまった花里は、朧朧とする頭を軽く振って重い上体を起こした。...

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    Coffee Break「小説家になろう」さま及び「アルファポリス」さまにはお世話になっているのですが、一応自サイトでも掲載しようかと思い、このようなページを作ってみました。とはいえ、こちらに手を入れていると時間が際限なくとられてしまって、なかなか他の用事が進みません^^;サイトを作る前に創作をしたほうがいいのではないか、いあ、サイトのほうが先ダロと、日々葛藤しています。ともかく、更新はかなり遅めになりますが...

  • 雨のあと

    雨のあと 琴の稽古からの帰り道、ふいの雨に降られたサヨは、通り端の家の軒下に身を寄せていた。 わずかに湿り気を帯びた髪や肩を軽く手拭きで叩きながら、通りを小走りに急ぐ人々を眺めていると、ふと今朝方の出来事が胸を衝いて思い出される。 サヨは呉服屋を営む加賀屋与兵衛の次女である。先日、与兵衛の方から姉のリツへと持ち出した縁談がようやくまとまったと、サヨは今朝初めて母から知らされた。 姉の婿となる千吉...

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