natsu さん プロフィール

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natsuさん: フィリポゥスキーをつれて来い
ハンドル名natsu さん
ブログタイトルフィリポゥスキーをつれて来い
ブログURLhttp://blog.livedoor.jp/natsu_0117/
サイト紹介文モノローグ方式の物語です。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供10回 / 365日(平均0.2回/週) - 参加 2013/08/31 11:21

natsu さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • マッシュルーム ガールズ
  • あたしの目の前に3人の女がいる。  左にいるのがマリーさん。本名は麻里絵。うつむいてテーブルの上を見つめている。 あたしより3つ上だから27。明日の朝結婚式をあげる。いま夜の10時。 いいのか?   きれいな顔だなあ。彼女の妹たちや幼馴染みのあたしにとっては、... [続きを読む]
  • 根性花見をしよう
  • この街でも桜がほころび始めた。   3月いっぱいで、ゼミの講師の奥田先生が九州の大学に行くことになった。 送別会をしよう。ついでに花見をしよう。と言うことに当然なった。   神戸は花見の名所がないので苦労するが花見だ。        今日は全国的に晴れだ... [続きを読む]
  • ベテルギウスの夜
  • あつ子さんは約束を守った。   親父の入院が長引きそうで、親父が家のことがなにもできない。というので,ばあちゃんちに行くしかないか、という話になった時に彼女が『あたしがやります。』と言ってくれたのだ。    しかし、親父が入院しているからといっても毎日彼女に来てもらうわけにはいかない。おれの飯の支度や、パンツの洗濯までしてもらうわけにはいかない。 あつ子さんは、『いいよ、毎日でも。』と言ってくれた [続きを読む]
  • レンズの彼方
  • 小学校の朝は早い。今日はさらに早い。       今日は運動会なのだ。従って『場所取り』のお父さんが並んでいる。                               ちなみに、まだ朝の8時だ。運動会の開会式が10時なのにすでに長蛇の列である。        みんな心得ていて折りたたみ式の椅子を持参して長期戦の構えだ。これだけは、俺も持ってきた。        去年、『朝一番のカメラ位置取り』 [続きを読む]
  • 山極氏の転職
  • 山極氏は悩んでいた。 義父から、家業の電器屋を継いでほしいといわれているのだ。     山極氏は銀行員だ。 高校を卒業して、当時は相互銀行といった地元の銀行に就職した。諸事情があって大学に進学できなかったからだが就職先が銀行、ということで親は喜んでくれた。 その後、世界を舞台に大企業相手のマネーゲームをするようなエリートコースとは無縁の『地域の銀行屋さん』として、銀行というより、どちらかというと信 [続きを読む]
  • 山下さんの退院
  • 海に向いたこの病院の談話室。南側の背の高い窓の前、冬とは思えない暖かい日差しの中で、山下さんが座っている。  彼の前には、中学生くらいの男の子が座っている。山下さんの子供だろうか。見舞いらしい。 テーブルの上には、小さな紙袋。なんだろう。ケーキか?    缶コーヒーを買って、談話室の少し離れたテーブルに座ると、しかし少年はすぐに立ち上がって、固い表情のまま談話室を出ていった。      続けて [続きを読む]
  • 鬢の毛が跳ねる
  •  髪の毛が跳ねた。  ちくしょう、今からプレゼンなのに。      さっきトイレでネクタイが曲がってないかのチェックまでしたのに。   トイレから出てきた時、廊下ですれ違った山下君に『広瀬さん、髪の毛跳ねてる』と、呼び止められた。 彼女も、今回のプロジェクトのメンバーだ。珍しく化粧しているらしいが、目元が黒い。最近、終電続きだったからな。わるい。   『え?どこ?』 『ほら、』と言って、手で教えて [続きを読む]
  • 完成しないメニュー
  • 『最近はテレビで、料理番組ばっかり見ているんだ』 秋になった空が涼しそうに晴れている。背の高い窓から乾いた陽の光が暖かく差し込んでくる。 『人気の店を特集するのはいいけど、料理を食えない人間に、あんなうまそうな肉を見せるのはひどいな。』  先日胃の手術をしたので、いま絶食中である。点滴の瓶を下げる背の高いハンガーをこうして談話室にまで連れてこないといけない。 邪魔だ。     『見なきゃいいじゃな [続きを読む]
  • ガラス瓶の部屋
  • 亡くなった祖父の店には、ガラス瓶の部屋がある。茶色い瓶が多いが、透明な瓶もある。青い瓶もある。広口の瓶で蓋もガラス。大きさはいろいろあるが、大体10cmくらいの高さだ。そうした瓶が数十個、透明なガラスの棚に5段ほど並んでいる。ひさしぶりに店に来て、そんな部屋でひとりで座っている。かわいた瓶が外の信号のひかりを映して窓辺で鈍く光って動かない。 部屋は、扉に面して西側に大きな引違い窓があり、その外には、か [続きを読む]
  • オーダーができません
  • 『こちら、ワインリストになります。』胸に変なソムリエバッジをぶら下げたお姉さんが、ワインリストを机の上に置く。もちろん塚原さんの前にも置く。『うん、僕はシャブリのクルミエール・クリュにしよう。山崎さんはどうする?』なんだよ、それ。フランス語をローマ字読みしてようやく見つけたシャブリなんとかはグラスで1000円もする。    たけえ。『あ、それじゃあ塚原さんと同じものを…』というと、『あはは、それじゃつ [続きを読む]
  • 猫を飼うまで
  • 麻亜子が、白猫を拾ってきた。日曜日の夕方、玄関先で『あー』という声がする。麻亜子の声だ。なにをしてるんだろう。 俺がいつも家にいるとは限らないのでうちの玄関は中に人がいても鍵を掛けるようにしている。『玄関とは鍵を開けてはいるものだ。』ということを麻亜子に教えるためだ。だから、今年から彼女に鍵を持たせるようにした。我が家の安全を考えると、こんなセキュリティホールみたいな奴に鍵を持たせるのは、自殺行為 [続きを読む]
  • 桜の樹の下で
  • 亜希子との待ち合わせはいつも桜の樹の下だ。小学校の時から、そうしてきた。『おはよー。』『遅いよ。』『なんでこんなに早く行くのよ。』『お前が、朝一番に人に会う約束があるからだろう。』『早いよー。』桜の樹が朝日を受けて暖かそうだ。春には葉っぱが、桜餅に巻くのも薄いほどに柔らかそうだったのに、夏の日差しで、すっかり緑色が濃くなって、固くなった。その葉っぱが、秋になって陽の当たるところから黄色く赤く、色づ [続きを読む]
  • 手の込んだ夕食
  • 『じゃあ、お父さん。火だけは気をつけてね。』『うん…』『まったく、なんで毎週こんな田舎に。』ハッチバックを開けて、荷物を下ろす俺に声をかけてそれでも聡美の奴は、車を降りて小さな段ボール箱を運んでくれる。『大体2日しかいないのに、こんな鍋まで運んでくるなんて。』俺が先週、通販で買ったフォンデュ鍋をつまみ上げる。高かったんだぞそれ。と思うが値段のことは言えない。俺が持っている段ボールの中には、もっと高 [続きを読む]
  • きれいに空に雲がない
  • きれいに空に雲がない。空気が深くて、空が高い。いつもは水蒸気の彼方にいて遠い山並みがびっくりするくらい近い。山襞の陰がはっきり見えて、尾根に届く光も明るくてつまんない、いつもの山が立体的に見える。そんな気持ちのいい朝に、あたしはスーツ姿で走っている。ちくしょう、なんで忘れたのかなあ。今日はだんなに、どうしてもあれを渡さないといけないのに。あ、もう『元だんな』か。とにかく、忘れたから、『ちょっと取っ [続きを読む]
  • 子午線の街
  • シルバーウィークだ。だから、帰省した。っていうよりも、久しぶりにあいつに会いに帰ってやるんだ。高校までは同じ学校で、大学もお互い地元の海の街だったから高校生の時はなんとなく放課後に、そして20になっても夕方に時間をつくって会うことができた。でも、今年、あたしが卒業したのに、あの馬鹿は留年したもんだから、あたしだけ就職して子午線の街に配属されることになった。実家がある海の街とは、西に500kmくらい離れ [続きを読む]
  • まわれ右
  • 麻亜子が回っている。年長さんになった彼女は、来月の中旬に体育祭がある。少し早過ぎやしないか?とも思うのだが保育園の園庭では、狭くて体育祭が出来ないので、近所の小学校の校庭を借りる。そのスケジュールの関係らしい。季節感もなにもあったもんじゃないが、そんなわけで、いま彼女の保育園では、体育祭のための練習をしているらしい。といったところで、保育園児だから、細かな式次第など練習したところで、すぐに忘れてし [続きを読む]
  • 真昼の穴
  • その店は床屋だ。観光で食べているこの街の、少し街外れにあるこの通りには『地球の歩き方』の地図を読み間違えた人か普通のツアーなら、名所をめぐる1日しかないのに不思議と1日時間が空いてしまった、貧乏ツアーの客しか来ない。それでも、交通量が少ないくせに広い坂道の両側にプラタナスの並木が並んで,木陰を作る。その奥の商店街の外壁は、低く、長く真っ白に照らされている。しかし、その床屋に入ると、よどんだように暗い [続きを読む]
  • 金魚鉢の中の花火。
  • 遠雷のような音が響く。『あ、上がった。』窓の外を見ると、500円玉くらいの赤い花火がぱあっと広がって、鉄錆色の黄色い火花を散らしながら、ゆっくりと落ちていく。『おー。』といいながら、俺は冷やした安い白ワインを口に含む。どん、という発射音が遅れてやってくる。『なんかさあ。』『うん?』『贅沢だよね。』芙美子が6Pチーズをかじりながら言う。うん。ここは、俺達の部屋で13階にある。この窓からは、夏に3回ほど開かれ [続きを読む]
  • 夏のアイス
  • 『あー、つまんないなー。』と、あつこさん。カップに入ったチョコミントアイスを舐めながら言う。『なんで?』と、聞くと『雨だから。』、と。まあな。梅雨が、夏のすぐ手前になってまた、雨を散らす。台風はこの街には来ないが、暖かい風と、水を送り込んできた。外に出ると、耳の穴の中まで女神が舌をさし込んでくる。だから陸上部のあつ子さんは、毎日雨の放課後をもてあましているわけだ。もちろん、トラックに出られなくても [続きを読む]
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