草木栞 さん プロフィール

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草木栞さん: かみつれ
ハンドル名草木栞 さん
ブログタイトルかみつれ
ブログURLhttp://kamitsure87.blog.fc2.com/
サイト紹介文草木栞です。 オリジナルBL小説を書いています。 よろしくお願いします。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供183回 / 365日(平均3.5回/週) - 参加 2013/10/06 15:15

草木栞 さんのブログ記事

  • 晴れた朝
  •  常盤が目を覚ますと、淡雪はまだ眠っていた。もう朝になっている。日差しが温かそうだ。自分もあれから随分寝てしまったのだと気付く。 動こうとするけれど、淡雪に服を掴まれていて動くことが出来ない。どうしたものかと考えていると、淡雪もぼんやりと目を覚ました。 目をぱちぱちさせて、はっとしたように常盤を見ると、さっと顔を赤くした。「起きたなら放してくれないか?」「…ごめんなさい」「よく眠れたか?」「はい… [続きを読む]
  •  そこは、薄暗くて狭い所だった。寒くて不安で、何処からかすすり泣くような声が聞こえてきた。1人ずつ居なくなり、また連れて来られる。自分の番はすぐにやって来る。人間が何人かで話をしている。うんざりした声。もう1人も同じ調子で言葉を返す。イライラした人間の手は怖くて、噛み付いた。すると、怒鳴り声を上げながら蹴り飛ばされる。怒りの感情が流れ込んでくる。怖い… 同じ部屋で布団を敷いて寝ている淡雪が、苦しそ [続きを読む]
  • 町外れの家3
  •  夕食を口に運ぶ常盤に続いて、淡雪もスープを一口飲む。「美味しいです」と言う淡雪に、「毒でも入ってると思ったか?」と常盤が聞くと、淡雪は一気に顔を曇らせた。どうも正解だったらしい。 「僕は、人間に捕まって…それで…」 淡雪は、ばらばらになってしまった家族を探していた。しかし、人間に騙されて何処かに連れて行かれてしまったらしい。「其処には、僕みたいな人が何人か閉じ込められていたみたいです。1人ずつ何 [続きを読む]
  • 町外れの家2
  •  常盤が溜め息を吐いて部屋を出て行っても、淡雪が顔を上げることは無い。土と草のにおい。それから雨の音。強く降っているようだ。まるで、外に出てはいけないと言われているように。 暫くすると部屋に人の気配がして、小さな淡雪を覆うように毛布が掛けられた。「俺が怖いか?」優しさを感じる声ではない。淡雪が正直に頷くと、溜め息を吐く気配がした。「お前に何かをするつもりは無い。疲れた身体で雨に濡れるよりはいいかと [続きを読む]
  • 町外れの家1
  •  慣れない山の道を散々歩き回って、やっと開けた所に出た。よく晴れていた空には雲が広がり、空気も冷たくなり始めている。日が落ちてくれば、もう暗くなるばかりだ。 何とか山からは下りることが出来たようだが、迷って歩き回っているうちにすっかり体力を消耗してしまった。それでも淡雪はふらふらと歩き続ける。すると、小さな家を見つけた。大きな庭がある。緑色の庭。畑なのだろうか。そう思いながら見ていると、後ろから声 [続きを読む]
  • 常盤
  •  大分身体の自由も効くようになり、表で来るかもしれない人を待つ。そうしていれば、迎えに来てくれるのではないかと思って。 椅子に座り、午後の日差しに淡雪がうとうとしてきた頃、誰かがやって来た。知らない人間の男性だった。その人は、淡雪に気付いて口を開いたように見えたけれど、何かを言うのを待つことも無く、淡雪は逃げ出してしまった。 彼は、兄と同じにおいがした。土のにおい。大地と共に生きている人のにおい。 [続きを読む]
  • 兎と癒しの山7
  •  「燈火様、今日は此処で淡雪と寝てもいい?」「淡雪が良いなら」「燈火様も」「私も?…構わないかい?」燈火の問い掛けに、淡雪は頷く。それを見て、「布団持って来る」と、朝日は部屋から出て行った。 「可愛いだろう?あの子は」視線を戻すと、燈火は青年の姿に戻っていた。「私の宝物なんだ」燈火は目を細め、微笑んでいる。兄もそうだった。彼も、いつも優しい目をしていた。宝物のような時間だった。此処に来る間、誰かの [続きを読む]
  • 兎と癒しの山6
  •  道具を片し終えた朝日に、「ゆっくり休んでね」と言われると、独りになることが途端に心細くなる。留まってほしいと思い、立ち上がろうとする朝日の手を掴むと、不思議な顔をされる。 「ごめんなさい。あの…」「どうしたの?」「あの…もう少し…」「傍にいてほしい」と言ってもいいだろうかと考えて口籠っていると、朝日は淡雪に顔を寄せて「一緒に寝る?」と聞いた。 「1人は寂しいから」頷くと、頭を撫でられる。そうする [続きを読む]
  • 兎と癒しの山5
  •  食事が終わり、淡雪は朝日と向き合っている。「脱いで」「恥ずかしいです」「身体拭けない」「自分で…」「痛いのに?」進まない会話が続く。確かに腕を上げるのは痛いが、あまり知らない人に裸を見られるのは、どうしても恥ずかしい。朝日は淡雪の身体を拭こうとしているだけなのだけれど。 淡雪は、自分の白くて年よりも幼い身体を気にしているのだ。しかしその思いは届かず、朝日はふわふわと湯気の立つタオルを構えている。 [続きを読む]
  • 兎と癒しの山4
  •  料理が並ぶと、食事が始まる。温かい料理が嬉しくて、淡雪は手を止めることなく食べ続ける。ふと気づくと、2人に見られていた。ふっと笑われて恥ずかしくなる。 「美味しいかい?」「…はい。凄く」「そうか。良かったな」後半の言葉は、燈火の隣に座る朝日に向かって言ったようだ。燈火は、朝日の頭を撫で、撫でられた朝日は嬉しそうにしている。朝日が笑っているところを始めて見た。幼く見える淡雪よりも、朝日は更に幼い。 [続きを読む]
  • 兎と癒しの山3
  •  淡雪が次に目を覚ますと、辺りは暗く、ぞっとするほど静かだった。恐ろしく思うけれど、勝手のわからない場所で、明りが何処かももわからない。身体を動かすと、前よりは辛くないような気がした。 せめて明るい所へ行きたい。誰か居ないだろうかと身を捩り起き上がろうとすると、細い明りが入って来て、朝日が顔を見せた。ふっと明かりが点いて、辺りが明るくなり、ほっとする。 「起きた?」安心したような、不安を含んでいる [続きを読む]
  • 兎と癒しの山2
  •  「燈火様」朝日に呼ばれて、燈火は声のする方へ視線を向け、身体を少し屈める。「淡雪は、常盤の弟?」「そんなことは、何も言っていなかったけどな」「違うのかな?」「淡雪が勘違いしてるのかもしれない」「…そうだったら…」目を伏せる朝日を見て、燈火も困惑を顔に浮かべる。淡雪の身体に付いた傷は、新しいものばかりではなかった。火傷のようなものもあり、明らかに付けられたものだ。 酷い傷を負い、置き去りにされ、此 [続きを読む]
  • 兎と癒しの山1
  •  夕焼けが迫る、山へと続く道。深い影の中に、男は、黒い塊を見つけた。ボロボロのゴミか何かにしか見えなかったのだけれど、どうもそうではないらしい。持ち上げてみると、確かに温かい。動物だ。かなり弱っているようだけれど、まだ息をしている。 男は、両手に納まってしまう程小さなその動物を、服に血が付くことも構わずに抱えて歩き出す。このままにはしておけば、野生の動物に襲われるかもしれない。そうでなくても、ぐっ [続きを読む]
  • 祈りの声、願いの形
  • ファンタジーを書きます。いつまで続くかわかりませんが、出来るだけ長く続けたいと思っています。続き物ですが、タイトルを小まめに変えてみる予定です。カテゴリは「ファンタジー・SF」の中の『祈りの声、願いの形』になります。和風ファンタジーを目指します。既存のファンタジーや伝承、民族研究などは、あまり調べていません。参考程度です。私の都合のいいような設定にしていますので、その点はご理解いただけたらと思います [続きを読む]
  • 更新について。
  • 皆様こんばんは。もう2月になりますね。寒いですね。これからは花粉も飛んでくるらしいですね。花粉症でない私にはいまいち実感のない話ですが。これからの更新の話をします。1年間くらいは、今迄よりも更にゆっくり、不定期に更新していきたいと思います。1週間おきになるかもしれませんが、調子が良かったら次の日にも更新できるかもしれません。時間も、朝にはならないかもしれません。それから、もしコメントを書いて頂いた [続きを読む]
  • あとがきなど-冬の話-
  • 暑い夏が終わり、寒い冬が来ました。夏で満足するつもりで作った話でしたが、もう一つの視点でも書きたくなり、ならば冬にと、どんどん長くなってしまいました。もう少し書くことが出来そうですが、これで終わりにします。真冬に温かい話をと思い書きました。大きな毛布のような、作りたてのココアのような、安心できる居場所のような、そんなものを目指していました。今回だけでなく、いつもそうであればと思っています。今回も読 [続きを読む]
  • バレンタインの話8
  •  「そうだ。お前にプレゼント用意したんだ」「え?そうなの?」「食事御馳走してくれるって言うから、俺も何かと思って…。何か渡すタイミングずっと逃してた」「嬉しいな。何?」「明日でいいか?今日はもう眠い」「うん。楽しみにしてるよ」 俺の為に敷いてくれた布団に入り、2人で話をしている。「もうちょっと」と言って潜り込んできた真澄は、「涼さんが寝たら戻る」と言っていたから、朝には隣には居ないのだろう。 懐か [続きを読む]
  • バレンタインの話7※
  • このページには、軽い性的な表現があります。閲覧の際は注意してくださいますよう、お願いいたします。 キスを重ねているうちに、手が服の中に入って来て、肌を撫でる。「真澄…駄目」「あんまり大きい声出さなきゃわかんないよ。親はテレビ見てる時間だし、妹は多分起きてられなくてもう寝てる」それでもと思う俺に、真澄は「心配しないで」と言う。「ちょっとだけで我慢するから。今度会ったらいっぱいしよう」同意し辛い提案に [続きを読む]
  • バレンタインの話6
  •  真澄の部屋に行くと、「とりあえずこっち」と、ベッドの中まで引っ張られる。懐かしい部屋の中を見回す余裕も無いままに布団を掛けられて、抱き締められてしまえば、逃げることも出来ない。「真澄…」「大丈夫。誰も勝手に入って来ないから」真澄のにおいのする布団の中は温かく、抜け出す気など直ぐに溶けてなくなってしまう。 「雪がさ、降ってよかったと思ったんだ」「どうして?」「涼さんに来てほしいと思ってたから」「え [続きを読む]
  • バレンタインの話5
  •  真澄の家に着くと、挨拶もそこそこに風呂に入れられた。久しぶりに会った真澄の妹は、こちらを窺いつつも真澄の雪を払おうと手を伸ばしている。仲の良い兄妹で羨ましい。俺にも、もし兄弟が居たら、仲良くすることが出来ただろうか。真澄達のように、大切に思い合うことが出来ただろうか。それとも、やっぱり上手くいかないのだろうか。一人っ子の自分には、きっと永遠にわからない。 真澄の母親は、色々と世話をしてくれようと [続きを読む]
  • バレンタインの話4
  •  食事を終えて、外に出ると、世界が変わっていた。比喩とか、そういうことではなく、本当に。店に入る前と後では、見える景色が全く違う。真白だ。会計の時に「凄い雪ですよ」と言われたけれど、まさかこれ程とは。 思っていたよりも雪は多く降ったようで、今も大粒の雪が降り続いている。「ああ、積もってる。こんなの久しぶり」「そうだな」「電車止まってるかも」調べてみると、やはりどの交通機関も軒並み麻痺している。タク [続きを読む]
  • バレンタインの話3
  •  此処は、それほど広くないレストランで、かしこまった服を着る必要は勿論無い。でも、なんとなくそうしたくなるような雰囲気の店だ。 真澄と初めて来た店で。外で会うのは此処が初めてだった。俺も真澄も緊張していたことを覚えている。真澄は、緊張していただけではなかったのだと、後で聞いた。 2回目ともなると、もう緊張は無い。店の人は親切で、一つ一つ丁寧に教えてくれる。だから、何の心配も無く食事を楽しむことが出 [続きを読む]
  • バレンタインの話2
  •  仕事が終り、時間に遅れないように駅に着いた。すると、真澄は本当に待っていた。自分の方が早く着くと思っていたのに。 「真澄」「ああ、涼さん。お疲れ様」「いつから居たんだ?」「ちょっと前からだよ」真澄の家の最寄駅。此処に来るのは、本当に久しぶりだ。家庭教師を辞め、就職して以来だから、それ程前ということはないけれど、今駅は改装していて、それだけで記憶に有るものとは印象が大分違う。 「行こうか。ちょっと [続きを読む]
  • バレンタインの話1
  •  「レストランで食事をしたい」と言われた。しかも、代金は全て払わせてほしいと言われて、これはバレンタインのプレゼントのつもりなのだと思った。2月ももう終わってしまうけれど、忙しくて結局あまり会えなかったから。 学生の時、アルバイトで家庭教師をしていた。その時の教え子と恋仲になった。俺は社会人だけれど、相手はまだ高校生。付き合い始めた時はまだ中学生だった。 最初は、ぼんやりした、やる気の無い、つまら [続きを読む]
  • お正月の話5
  •  「初詣は明日行こう。天気も良さそうだし」「はい」「夕ご飯一、久しぶりに緒に作ろうか。何がいい?」「えっと…」「思い浮かばないなら、買い物しながら考えようか。それまでゆっくりしよう」「はい」春が来たような笑顔。直ぐ触れることの出来る場所にいてくれる。抱き締めると名前を呼ばれるから、それに応える。 「好きだよ。滴」頷いて抱き返してくれる手は、自分のものよりも小さい。身体も、包み込んでしまえるようだ。 [続きを読む]