あじろ圭 さん プロフィール

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あじろ圭さん: あじろのあじと
ハンドル名あじろ圭 さん
ブログタイトルあじろのあじと
ブログURLhttp://ajiroajito.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナル小説ブログ。恋愛小説「なのなのな」更新中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供71回 / 365日(平均1.4回/週) - 参加 2013/11/23 15:13

あじろ圭 さんのブログ記事

  • 第3章 トイレの紙さま(4)
  •  ケータイで他のクラスや部活の後輩たちとやり取りして得た情報を整理すると、七美は血まみれでトイレの床に倒れているところを発見されたという話だった。どうやら刃物で切り付けられたらしい。七美を発見したのは、PC教室のとなりにある化学実験室で授業を受けていた生徒だという。授業中にトイレに行って凄惨な現場を目撃しまったとかで、ひどいショック状態でやはり病院に連れていかれた。「まさか、学園の中で襲われるなん [続きを読む]
  • 第3章 トイレの紙さま(3)
  •  午後の授業はすべて取りやめになった。迎えに来た保護者に連れられ、生徒たちは沈痛な面持ちで下校していった。 何者かによって生徒が襲われたという事だけで詳しい事情を聞かされなかったが、それまでには情報を交換しあって、襲われたのはC組の相馬七美、新校舎昇降口脇のトイレ付近で倒れていたらしいといったことが知れわたっていた。 七美と特に仲のよかった聖歌は、襲われたのが七美だと知ってショックを受け、迎えにき [続きを読む]
  • 第3章 トイレの紙さま(2)
  •  窓から流れ込んでくる雨の匂いを含んだ空気に眠気を誘われる。重くのしかかってくる瞼をおしのけようと顔の筋肉をあちこち動かしてみても、動かせば動かすほどかえって気怠さが増していく。 潔く負けを認め、目を閉じてからどれほどの時間が経っていたのだろう。突然入った校内放送の大音量に、空は叩き起こされた。 寝ぼけた頭に、放送の内容はすぐには理解できなかった。まるで外国語のようにしか聞こえない。後で富岡校長が [続きを読む]
  • 第3章 トイレの紙さま(1)
  • 「待って、七美!」 山下聖歌を振り切り、相馬七美は廊下を駆けていった。長い髪が背中で軽やかに揺れ、制服の裾が舞う。後を追う聖歌、先を行く七美とは、さながら空中で戯れるモンシロチョウのようだった。可憐な二人がとまるのは美しい花と決まっていそうだが、飛び込んでいった先は男子トイレだった。 本来の目的そっちのけで、七美は男子トイレの小便器を眺めまわしていた。女子トイレにはないものだから物珍しくて仕方ない [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(11)
  • 「死んだ人を悪く言うのは悪いことだと思うけど……津田沼校長って相当嫌われていたのね」 奈穂から聞いた津田沼校長の話は大体が玲子から聞いたものと同じだった。秘書らしく、奈穂は言葉を選んで津田沼校長をあしざまに言うようなことはなかったが、言葉の端々から嫌悪感だけは十分に伝わってきた。「悲しんでいる人が誰もいないの。先生たちも生徒も口に出しては言わないけど、津田沼校長が死んでよかったと思ってる。そういう [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(10)
  •  放課後、空は校長室を訪れた。 津田沼校長が亡くなってから一週間、教頭の富岡征二が新校長になると決まったので、メルマガに載せる富岡教頭のプロフィールを秘書の新井奈穂から教えてもらうためだった。 しかし、校長室のドアは閉まっていた。 いつもなら校長室のドアは大きく開かれていて、中に入ると机に座っている奈穂が笑顔で迎えてくれ、もう一つのドアの向こうにいる校長に取り次いでくれる。 津田沼校長が亡くなった [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(9)
  •  舞に別れを告げ、空と陸は事務室へと急いだ。昼休みは残りわずかしかない。 鍵が事件解決の鍵だと陸は言い、事務室でどんな風に管理されているのかを知りたがった。 昼休みの時間を利用して各種手続きを行う生徒たちで、事務室はごった返していた。「陸くんじゃないの」 事務室に入るなり、目ざとく陸に気づいた浅見幸子が笑顔で話しかけてきた。 事務員受けは自分の方がいいからと、陸は海のふりをやめていた。 陸の名前を [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(8)
  • 「美術室の鍵?」 海のふりをした陸にむかって、美術部長の石橋舞は眉をひそめてみせた。先輩たちに一目置かれている海に化けた方が何かと都合がいいからと伊達メガネで変装した陸と空は、高等部三年の教室を訪れ、美術部長を教室の外に呼び出した。事件前日の部活の様子などを尋ねた空にはいい顔をしなかった舞だが、海に化けた陸には愛想がよかった。「事務室のキーボックスに戻したけど?」「でも、なかったって。僕のクラス、 [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(7)
  • 「石膏像、みんな壊れてしまいましたね」 陸の視線はすっきりとした棚の上に向けられていた。心なしか、棚もそれまで抱いてきた石膏像を失って寂しそうにみえた。「残念だね。僕はニケ像がお気に入りだったんだけど、それも粉々になってしまった。地震などで倒れてきたりしたら危ないから、デッサンし終えた後はきちんとしまっておくようにと普段から美術部の生徒たちには言ってきたんだけどね。あの日、僕は体調崩して早退してし [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(6)
  • 「なんだ、今日はこれだけか?」 ドアの前に集まっている生徒の数の少なさに目をむいて驚きながら、市川は美術室のドアを開けた。だが、市川に続いて教室に足を踏み入れたのは陸だけだった。 陸の後を追おうとした空だが、視界の隅に校長が倒れていたという場所が入ってきた途端、足が動かなくなってしまった。石膏像に押しつぶされていたという凄惨な現場を見てしまったような気になったのだ。「空!」 陸に名前を呼ばれ、現実 [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(5)
  • 「ねえ、陸。陸が犯人だとしたら、校長を殺して逃げていく時に美術室の鍵を閉めていく?」 陸の返事はすぐにはなかった。「密室トリックを思いついたら、閉めていく。そうでなかったら、閉めねえな」「どうして?」「なんでわざわざ閉めなきゃならねえんだ?」 逆に陸が空に質問を投げかけた。「さっさと逃げたほうがいいに決まってんじゃんか。現場を事故にみせかける細工はしたんだから。まあ、海みたいな鋭い奴には見破られる [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(4)
  •  正門をくぐるとまず最初に出会う人間、それが警備員の小野和彦だ。正門右脇にある小屋の小さな窓口から顔を覗かせ、小野は登校してくる生徒たちに挨拶をする。生徒たちも、登下校時には小野への挨拶を欠かさない。 小野は六十代ぐらいの男性で、小柄で小太り、絹のような見事な白髪の持ち主だ。いつ見かけても優しい笑顔を浮かべているので、警備員というよりは近所の子供たちを気にかけている親切なおじいちゃんといった感じの [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(3)
  •  海にとめられたからといって、事件に無関心でいられる空ではない。むしろ、事故かもしれなかったのが殺人事件だなんて言われたものだから、かえって好奇心に火がついてしまった。 事件を解決してメルマガの記事にしよう――海には内緒で、空は陸の協力を得て事件を探り始めた。 新聞によると、津田沼昭夫校長の死亡推定時刻は、木曜日の午後七時半から八時ごろ。七時には校内を見回っている校長の姿が何人かの生徒に目撃されて [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(2)
  •  新校舎の屋上から見渡せる旧校舎前のテニスコートに、今は数台のパトカーが停まっていた。赤色灯が無言で点滅し続けていて、正面玄関からは刑事らしい人間があわただしく出入りしている。「教頭先生が呼んだんだ」 背後からした声の主は海だった。海が授業を抜け出して屋上にくるのは珍しい。この頃では誘っても断られてばかりだった。さすがに今日は海も授業どころではないのかもしれない。 屋上のフェンスに身を投げ出すと、 [続きを読む]
  • 第2章 女神の死の抱擁(1)
  •  金曜日はただでさえ集中力が薄れるというのに、昼休み直後の午後の授業ともなるとまるで身が入らない。授業の始まる前から眠気に襲われ、うつらうつらしていると、けたたましいサイレンの音に、一瞬にして目が覚めた。 クラスメートたちが我先にとサイレンの聞こえてくる窓へと駆け寄っていく。弾かれたように空も席をはなれ、爪先だって窓の外を覗き込んだ。 ちょうど、大きく開かれた正門から救急車が校内に滑り込んでくると [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(5)
  • 「まさか、、本当に何かが出たって話が核になっているなんて言わないわよね?」「そのまさかさ、空。トイレには何かが出たんだ」 さらっと言ってのけられる方がかえって恐怖をかきたてられる。空はごくりと唾をのみこんで海を睨みつけんばかりに見据えた。「昔のトイレは和式が主だった。実際に、便器に隠れていた男が女性に乱暴するという事件もあったくらいだ。トイレという場所はひとりきりになれて無防備になる空間だ。もとも [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(5)
  • 「イエスの場合は? 処女懐胎とか復活だとか一切信じちゃいねえけど、たくさんある奇跡話は全部作り話か?」 陸は、キリスト教系の学校に通っている人間とは思えない暴言を吐いた。 空は思わず周囲を見渡し、先生たちがいないのを確かめた。「そもそも、聖書自体がフィクションだ。核となる事実はあるだろうけど、そっくりそのままを事実や史実としては受け入れられない」「遺体がなくなっていたって話が死人が復活したってこと [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(4)
  • 「陸の怪談もまんざら作り話ってわけではなさそうだけど」 これには、怪談を創作した張本人の陸が一番驚いて、海を凝視していた。「まるっと作り話だぜ」「でも、八角の間で気味の悪い思いをしたっていうのが土台になっているんだろう」 うなずく陸。「人間、何が怖いって、正体のわからないものが一番怖いんだ。何だか気味悪いというのでは怖いので、何故だろうと考える。恐怖の理由がわかると怖さは半減するんだ。時には、偽の [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(3)
  • 「どういうこと、海」「八角の間に関する怪談はいくつもバリエーションがある。それらを個別の怪談としてカウントすると、学園の怪談は七つどころか、十以上あることになる。陸の知っている七つ目の怪談はどうせ八角の間の怪談のバリエーションじゃないのか」「そうなの、陸?」 空は陸を振り返った。無言なままなのは変わりないが、陸の口元はへの字に曲がっていた。「なんだよ、せっかく空を怖がらせてやろうと思ったのに」「な [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(2)
  • 「俺さ、七つ目の怪談知ってるぜ」 涼しい顔で陸はさらりと言ってのけた。「空は?」 首を激しく横に振ってみせた空の怯えた表情に満足したかのように陸はニヤっと笑って、「なんだ、知らねえの? 知っててわざと六つしか紹介しなかったのかと思ったぜ」「怪談で学園案内をしようと思いついた時知っていた怪談は、骨格標本、八角の間、開かずの部屋、トイレの怪談の四つだけ。血を流すマリア像と美術室の動く石膏像の話は取材し [続きを読む]
  • 第1章 怪談のタネ(1)
  • 「怪談で学園案内か。空にしちゃあ、面白いこと考えたじゃないか」「でしょ? 四月のメルマガは新入生歓迎の内容と決まっているんだけど、さすがに毎年毎年『入学おめでとうございます』『学園へようこそ』と言い続けてきてマンネリ化もいいところ、かといって他にネタがあるわけでもなくて、学園に伝わる怪談を紹介することにしたの」 目を輝かせながらメルマガを読んでいる御藏陸の反応は星野空の予想通りだった。この春から高 [続きを読む]
  • プロローグ
  • ================================================================聖パトリック学園 中等部・高等部メールマガジン 20xx年4月号================================================================新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。在校生のみなさん、進級おめでとうございます。今年は桜の開花が遅れたため、満開の桜に見守られての入学式となりました。お天気にも恵まれ、胸のすく思いで新生活のスタート [続きを読む]
  • あらすじ
  • 動く石膏像による圧迫死、トイレでの変死……聖パトリック学園に伝わる怪談を彷彿とさせる奇怪な事件が次々に発生。怪談の呪いか、はたまた殺人事件か。幼馴染トリオ、星野空、御藏海・陸の双子兄弟は、事件を追ううち、二十年前にも奇妙な事件が発生していたことを知る。R−15事件現場について残酷な描写があります。 [続きを読む]
  • 【雑記】109
  • ネタ帳というものがありまして、お、これは小説の題材になるかもしれないとおもったものを書き留めています。このネタ帳にあるネタをすべて小説という形にするまでは死ねない、と思う今日このごろですが、ふと、何歳まで生きたら書ききれるのかと思い、ネタ帳にあるネタの数を数えてみました。その数、煩悩を超える109。1年に1作しか書けないペースだと、あと109年生きないといけないわけで。そんなの無理。今の年齢+10 [続きを読む]