あじろ圭 さん プロフィール

  •  
あじろ圭さん: あじろのあじと
ハンドル名あじろ圭 さん
ブログタイトルあじろのあじと
ブログURLhttp://ajiroajito.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナル小説ブログ。恋愛小説「なのなのな」更新中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供83回 / 365日(平均1.6回/週) - 参加 2013/11/23 15:13

あじろ圭 さんのブログ記事

  • 小説家になろうへの移転
  • 「小説家になろう」に作品を徐々に移していきます。理由は、あちらですと縦書きで読むことができるからです。私は縦書きで書いているので、読んでいただく時も縦書きで読んでいただきたいと思いました。もちろん、横書きで読んでいただいても構いませんが、自分で言うのも何ですが、文字がつまっていて、横書きだと読みにくい。。横書き用に改行も試みてみましたが、めんどくさい、縦書きで書いたものを横にして改行だとうまくいか [続きを読む]
  • あとがき
  • いろいろなものを試みた作品でした。思いついてから構成を考えて、書いて、校正して……。数年はかかってしまった作品です。必ずしも満足のいく出来とはなりませんでしたが、八割型の出来で手放すのがよいとどこかで聞いたことがあるので、手放すことにしました。読んでくださいまして、ありがとうございました。 [続きを読む]
  • エピローグ(3)
  • 腰かけている机の上を、空はそっと撫でまわした。聖歌と話す時はこうして机の端にちょこんと腰かけたものだった。たわいもない話で盛り上がっていた放課後や昼休み。聖歌の笑顔を二度と見ることはできない。「トイレはどうなんだ?」 陸に話題をふられ、海は再び話し始めた。「死体は薬品を使って骨にされた。その処理をどこで行ったと思う?」「トイレか……」 少しの間考えてから陸が答えた。「死体を処理した液体を下水に流し [続きを読む]
  • エピローグ(2)
  • 「石膏像の位置が変わっていたことから津田沼校長の犯罪に気づき、殺された。まるで今回の事件みたいだな。もっとも、今回の事件の犯人は市川先生だったけど」「もしも津田沼校長が殺されていなかったら、怪談の裏に隠された真実を知った人間は、津田沼校長の犯罪を暴く者として殺されていただろうね。それこそが怪談を七つ知ると死ぬという噂の正体なんだ」 海の思考回路は複雑すぎて、普通の人には理解できない。双子だけに陸は [続きを読む]
  • エピローグ(1)
  • 梅雨があけ、青空が広がって空気が乾いてくると、事件のせいで重苦しかった学園の雰囲気も軽くなっていった。目の前に迫る夏休みの楽しい計画に誰もが浮かれている。 しかし、空の気持ちは逆に沈んでいった。 夏休みをむかえられなかった生徒もいるのだ――「浮かない顔だな」「私が怪談の記事を書かなかったら誰も死ななかったのかなって考えるとね……」「……」 嘘のつけない陸の生真面目さが今日に限って憎らしい。顔をあげ [続きを読む]
  • 第7章 解決編(11)
  • 「今年の春先に配信されたメルマガで怪談の存在を知りました。そのうちの生物室の骨格標本が本物の人骨という怪談を目にして、まさかという思いで調べてみたのです。理恵はひどい外反母趾を患っていました。歩くのも辛いから手術を考えていると言っていました。骨格標本の両足の親指の骨は異様な形をしていました。標本にあるまじき異常な形です。私は骨格標本は理恵で、彼女は殺されたのだと確信しました。理恵を殺して遺体を生物 [続きを読む]
  • 第7章 解決編(7)
  • 「恐るべき犯行です。完全犯罪といってもよかった。誰も、目の前にある骨格標本が殺された人間だとは考えもしないでしょうから。でも気づいた人間がいた――」「それは誰だ?」 しばらくの沈黙の後、声を絞り出した安達が恐る恐る尋ねた。「今回の連続殺人事件の犯人です。津田沼校長の犯罪に気づいた犯人は、おそらく津田沼校長に詰め寄ったと思います。津田沼校長のことだから、否定したか、あるいは秘密を知られて逆上し、犯人 [続きを読む]
  • 第7章 解決編(6)
  • 「二十年前、津田沼校長は、当時学園で英語教師をしていた宮内理恵という女性を殺しました」「宮内先生のことなら――」 富岡は記憶を探るように目を細めた。「失踪したと聞いているが。秋ごろだったか、週明けに出勤してこなかったので騒ぎになったが、家族の話によると週末前にはいなくなっていたらしい。教師になったばかりでいろいろと悩んでいたんだろう。津田沼校長――当時は違うが――に相談していたようだが? 親身に相 [続きを読む]
  • 第7章 解決編(4)
  • 「美術室の石膏像が動いたから、わかったんです、白石先生」「なんの話だ?」 素っ頓狂な声をあげたのは安達だった。「学園に伝わる美術室の動く石膏像の怪談です」「まーた怪談か」 安達は部屋中に響き渡るほどの舌打ちをした。怪談をなぞって殺人事件が行われ、捜査が後手後手にまわっている警察としては怪談と聞いていい気がしないらしい。「美術室の動く石膏像の怪談、市川先生はご存知ですよね」 彫刻刀を手に戻ってきたば [続きを読む]
  • 第7章 解決編(4)
  • 「それで、死体はどこにあるんだ」 安達だけがせわしなく部屋の中を歩き回っている。「死体ならそこに」「何だと」 海の指した方角へと安達は駆け寄っていった。コンクリートの壁にそって段ボールが数箱重ねて並べられてある。その足元には白い物が横たわっていた。 安達は恐る恐る段ボール箱を開けて中を覗き込んだ。しかし中身は書類だったようで、手にした紙切れを海にむかって忌々し気に振り回した。「死体のしの字もありゃ [続きを読む]
  • 第7章 解決編(3)
  • 海と陸は、柱から外れたベンチの背もたれと柱の間に体を入れ、ベンチを押し始めた。ベンチはゆっくりと回転し、柱の足元にはぽっかりと暗い穴が開いていた。「ここが開かずの間への入り口です」 富岡が覗き込んだのを皮切りに、各々は恐る恐る穴をのぞきこんだ。冷たくて黴くさい空気が穴の奥から漏れ出してきている。「学園の地下には地下壕が存在しています。八角の間の柱は地下壕への入り口となっているんです」「地下壕……何 [続きを読む]
  • 第7章 解決編(2)
  • 「ここ、八角の間では不思議な出来事が語られています。創立者の幽霊が徘徊するだの、日本兵が周回するだの、異次元につながっているだの……。八角形の広間という珍しさも手伝っているのでしょう。二十年前、中等部一年の笹木弘明くんが行方不明になった時も、ここ八角の間に彼の上履きが片方落ちていたことから、異次元に連れていかれたのだという噂がたちました」「その事件なら覚えている。だが、殺人事件ではなくて、ただ行方 [続きを読む]
  • 第7章 解決編(1)
  •  海に呼び出され、八角の間にむかうと、すでに何人かの関係者が集まっていた。 校長業務で忙しいのにと、富岡校長はイライラと足を踏み鳴らしている。富岡に、何の用なのかと詰め寄られた安達刑事は、自分も海に呼び出された口だからと困った表情を浮かべるばかりだ。佳苗と希美は互いに寄り添い、胸の前で組んだ両腕をしきりにさすっている。玲子と幸子、奈穂の事務員グループは三人でかたまっていたけれど、もうすぐ退職する奈 [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(12)
  • 井戸から救出された空と陸は、海が呼んだ救急車で病院へと連れていかれた。 井戸に落ちたということになっている空と陸は、レントゲンだのCTだのといった検査を受けさせられた。井戸に落ちたのは嘘だとしても、頭を殴られたことに変わりなかった二人は、頭を強く打っているという理由で大事を取って入院させられることになった。 着替えなどを取りに両親たちが家に戻ったのと入れ替わるようにして、安達が病室を訪れた。救急車 [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(11)
  • くぐもってはいたが、それは海の声だった。 鉄の扉を隔てた向こうに海がいる。 空と陸は声の限りに叫んだ。「海! 私たち、開かずの部屋に閉じ込められたの! お願い、助けにきて!」 海に聞こえるよう、空は一言ずつ、はっきりと大きな声で売った、「開かずの部屋――」 語尾のはっきりとは聞き取れない一事を残して、海の声は掻き消えてしまった。「海の奴、助けに来てくれっかな……」「信じようよ……」 しかし、いくら [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(10)
  • 空はすぐには陸の言うことが理解できなかった。「いいか、ボイラー室だった地下倉庫の入り口は閉じられてしまった。唯一、煙突からなら地下倉庫へ入ることができる」「……煙突から地下倉庫へ入るのは無理だと思う」「そうだろ? なのに俺たちは今、その地下倉庫にいる。犯人はどうやって俺たちをここまで運んできたんだ?」 煙突から投げ入れられたのではないと空にも理解はできた。「どこかに別に入り口があるのね!」「そうさ [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(9)
  • 後を追ってたどり着いたのは北東側の旧校舎の裏手だった。正面からみると旧校舎の屋根の上の左隅にはえているように見える煙突が、裏に回ると真っ直ぐ地面から伸びているとはっきりとわかる。「ここが入り口さ」 陸はいまにも雨粒の落ちてきそうな空を仰いだ。「入り口?」 つられて空も天を仰いだ。 地下倉庫への入り口が天空にあるはずがない。あるのは天を衝く煙突ばかりだ。煙突の先端には角帽のような雨避けが被せられてあ [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(8)
  • 「開かずの部屋、どこだかわかったぜ」 自信満々に陸がそう言うものだから、空はいそいそと後をついていった。「文も読めって海の奴が言うからさ、俺、例の学園の歴史についての本をこっそり読んだんだ」「まさか、開かずの部屋について書かれてあったなんて言わないよね?」「だったら苦労しねえっての。海にだってすぐにわかっただろうし」「海が気がつかなかったってこと?」「まあな」 得意げに陸は鼻を鳴らした。「学園は当 [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(7)
  • 「なんだよ、海のやつ。トイレか?」 ぶつくさ言いながら、陸は海が置いていった本を取り上げ、ページをパラパラとめくった。「へえ、おもしれえ!」 ちょうど本の中央部分、紙質が別のものに変わって写真が掲載されているページを見開き、陸は空の目の前に差し出した。「みろよ、この写真。学園はもともとは十字架の形をした建物だったんだ」 創立当時をとらえたモノクロ写真のいくつかは八角の間の飾り棚におさめられているも [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(6)
  •  殺された篤史が知ったという七つ目の怪談の元ネタは二十年前の出来事にヒントがありそうだと、空はマスメディア部の資料を調べ尽くした。はたして、二十年前の秋から冬にかけてに発行された学園新聞には一連の事件について、おもしろおかしく取り上げられてあった。空はそれらの記事を時系列にまとめてみた。一九九x年十月十四日前後 宮内先生失踪       十六日   中等部一年笹木弘明くんの靴が八角の間で発見される [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(5)
  • 「寺内くんが最近借りた本を知りたいの?」「はい。面白い本を見つけたから、次読んでみろって言われてたんですけど、ああいうことになってしまって。彼、何の本を読んでいたかは言わなかったから……」 篤史とさも仲がよかったかのようにふるまう海の演技力に、司書の中年女性はすっかりだまされ、気前よく本のタイトルを調べてくれた。「これがリストよ。でも、まだ返却されていないわ。……まあ、返却できなかったってことなん [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(4)
  •  真に受けた空と海に対し、陸は懐疑的な眼差しを真澄に向け「オヤジ、作り話じゃねえだろうな」「そんなわけあるか。お前たちの話を聞いていて思い出したんだ。俺たち――俺と空ちゃんとこのパパとママだが――が高校三年の時だから、二十年ぐらい前の話だな。一晩のうちに美術室の石膏像が並べ変えられていたって美術部の連中が騒いでいたっけ。泥棒にでも入られたんじゃないかって話だったけど。その話が動く石膏像の怪談のもと [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(3)
  •  生物室で発見された死体が篤史だと知って動揺を隠しきれず、空は顔を両手で覆った。「そんな……まさか、七つ目の怪談を知ったからっていうんじゃ……」「どういうことだ、それ?」 眠気の吹き飛んだ陸が食いつき、海も膝の間から顔をあげて、空を見上げた。 七つ目の怪談が何かがわかった、七つ目の怪談を知ると死ぬという呪いの謎も解いたと篤史が言っていたこと、八角の間で幽霊を見たと言っていた生徒が行方不明になってい [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(2)
  • 部活の朝練はおろか、その日の授業も中止になり、生徒たちはただちに下校するようにとの指示が出された。休校になったと電車に乗ったところで知った空は次の駅で降り、御藏家へむかった。 陸は遅刻する気だったらしく、パジャマ姿に寝グセのついた髪で空を迎えた。海はその日は朝早くに登校したらしく、真澄が慌てて迎えに行ったところだった。 休校になった連絡では詳しい理由は知らされなかったが、またしても事件が発生したら [続きを読む]
  • 第6章 怪談の呪い(1)
  • 梅雨時はどうしたってにおいが内にこもる。鉄筋コンクリートの新校舎よりは木造の旧校舎の方が屋内の空気が澱む。湿気を帯びた床や階段や階段の手すりから、黴臭いにおいが立ちのぼるからだ。 古い本をめくっているかのようなそのにおいが幸子は嫌いではなかった。実際、築百四十年を超える旧校舎は生徒たちの青春を見守ってきただけでなく、戦争を体験してきて、語る物語を数多に持つ本のようなものだった。 だが、そのにおいは [続きを読む]